海外フランチャイズ事情 〜お隣韓国でもフランチャイズ創業が増えている?
チキン専門のチェーン店で溢れかえる韓国・ソウルの商店街。近年、韓国ではフライドチキン専門店の創業が注目を浴び、現在韓国国内では3万店を超えるチキンが存在しているとも言われています。
韓国紙によれば、本部の知名度と宣伝力を借りて、安定的に事業を始めることができることから、脱サラしたサラリーマンが最も手軽な創業方法としてフランチャイズを好む傾向にあるとされています。
韓国公正取引委員会によると、2016年時点でのフランチャイズ本社は約3500社、加盟店舗数は約19万5000店におよび、直近5年の市場成長率を分析すれば、2017年内にはそれぞれ5000社、22万店舗を超えると予測されています。
日本のみならず、海外でも市場拡大が続くフランチャイズ市場。お隣韓国でのフランチャイズ市場の実態を追います。
目次
多店舗展開が主流
韓国におけるフランチャイズは、1979年、ソウル特別市中区の小公洞(ソゴントン)にロッテリア1号店がオープンしたことに始まります。
韓国公正取引委員会によれば、2017年1月時点でのフランチャイズ本部数は4,264社、これによる加盟店舗数は21万7,885店舗に及びます。
店舗を多数経営する「多店舗店主」も増えており、これがフランチャイズ市場拡大に大きく貢献しているとされます。
1店舗のみ経営する一般的な店主と比較して、多店舗店主は豊富な資本と経営ノウハウを持っており、過去1年間の韓国国内の主要なフランチャイズ多店舗店主の割合も増加しています。
フランチャイズ創業の3年以内生存率73%
韓国紙によるとソウル市内において飲食店を創業した場合の3年以内生存率は、完全独立創業58%、フランチャイズ創業73%となります。相対的にフランチャイズでの創業生存率の方が高いことが示されました。
高い失業率とベビーブーム世代の退職が市場押し上げ
今年4月、韓国では失業率が17年ぶりに最高を記録するなど、雇用環境の改善が進んでいません。韓国統計庁が発表したデータによれば、失業率は前年比0.3ポイント上昇し、4.2%となりました。
また青年失業率(15〜29歳)では11.2%と統計を取り始めた99年以降最悪となっています。
しかし、韓国紙によれば失業率の高さとベビーブーム世代(1955年〜63年)の退職が噛み合った結果、フランチャイズ市場が急成長したとみられています。
そのため、韓国フランチャイズビジネスは20〜30代の若手起業家と、高齢世代の店長型経営者の二つの特徴に分けられます。
青年失業者がフランチャイズ市場の大きさに魅了され、市場参入する例が増加しており、さらに親が子に店を引き継がせるケースも増えているとされます。フランチャイズの業種ではコンビニ創業の問い合わせが多く、事業説明会を開けば参加者の約3割は20〜30代の若者となるようです。
多店舗経営の増加の背景
通常は1つの店舗を経営することだけでも大変ですが、多店舗経営するのは、それだけそのブランド力の成長を信じて投資を増やすからだと言われます。多店舗店主はすでに1つの店舗を運営し売上や利益の増加を経験しているため、新規店舗ではより確信を持って投資に乗り出すことができます。
韓国コンビニ市場業界第1位のCU(ファミリーマートの新ブランド)の場合、多店舗店主が2014年1190人から昨年1462人と増加しました(約23%増)。ここ最近、スマートフォンアプリなどを通じたリモート店舗管理が容易になったことも多店舗店主増加の原因と分析されています。
成長した業界と衰退した業界
韓国紙が20業種、70ブランドの多店舗率を調査した結果、最近1年間の多店舗の割合が増えた業種はコンビニ、ファーストフード、生活用品などであり、減少した業種は、ピザ、コーヒーショップ、デザート専門店となりました。単身世帯の増加とホームファニシング市場に関連する業種が成長したのに対し、既に飽和状態だったり、消費者が食べ飽きたフード関連業種は低成長となりました。
韓国フランチャイズランキング
韓国紙sbiznewsが毎年1月に発表する「大韓民国フランチャイズランキング」は、公正取引委員会の開示資料を基に、2010年から発表しており、今回調査で8回目となります。
韓国フランチャイズは化粧品が強い
「大韓民国フランチャイズランキング2017」では、化粧品の「オリーブヤング(OLIVE YOUNG)」が845点を記録し1位となりました。
次いで、同じく化粧品の「イニスフリー(innisfree)」が2位(825ポイント)、生活用品の「ダイソー」が3位(810ポイント)、オーガニックショップの4位「チョロッマウル」(806ポイント)、5位「ザ・フェイスショップ」(805ポイント)、6位「GSスーパーマーケット」(801ポイント)」、7位「ピザアルボル」(800ポイント)、8位「アイコープ自然ドリーム」(794ポイント)、9位「イッツスキン(ITSSKIN)」(787ポイント)、10位「バーガーキング」(787ポイント)と続きました。
順位 | 企業名 | ポイント |
---|---|---|
1 | オリーブヤング | 845 |
2 | イニスフリー | 825 |
3 | ダイソー | 810 |
4 | チョロッマウル | 806 |
5 | ザ・フェイスショップ | 805 |
6 | GSスーパーマーケット | 801 |
7 | ピザアルボル | 800 |
8 | アイコープ自然ドリーム | 794 |
9 | イッツスキン | 787 |
10 | バーガーキング | 787 |
厳しい選定基準
sbiznews紙のオビョンムク代表は「大韓民国100フランチャイズ」選定の背景について
「優れたフランチャイズを選別するには、さまざまな基準が適用される。たとえ全体的に良い評価を受け、認知度が高いブランドであっても、直近3年間の加盟店の閉店率30%以上、3年連続の営業赤字、3年間加盟店数の増減率がマイナス10%以上、3年間の加盟店名義変更の割合が50%以上であるブランドを、優れたブランドとして評価してこなかった。認知度が高い有名フランチャイズであっても基準を満たしておらず、脱落させるしかなかったものも多かった」
と話しました。