大手コンビニ3社の加盟料・ロイヤリティ徹底比較

人手不足が深刻化するコンビニ業界。バイトを雇おうにも若者が集まらず、高齢者の採用が増えてきました。また、最近は外国人留学生がレジに立つ姿も多く見受けられます。さらに、競合店の進出や本部による値下げ販売の拒否など、加盟オーナーの悩みはつきません。

このようにコンビニ業界のフランチャイズビジネスは厳しい環境にさらされていますが、各オーナーは今もそれぞれの夢の実現のために店舗経営に励んでいます。

これからコンビニ業界で一旗あげようとする経営者のため、大手コンビニ3社の加盟金、ロイヤリティを徹底的に比較します。平成30年を目前に今、どのコンビニにFC加盟するのがベストなのか。その判断材料にしてみてください。

全国のコンビニ店舗数と売上高

JFA(日本フランチャイズチェーン協会)の統計資料によれば、全国のコンビニ店舗数は5万5313店舗(2017年9月時点)で前年同月比2.1%の増加となっています。

アルバイトが集まらず、人手不足が深刻化していますが、店舗売上高は好調です。9月時点で全店ベースでは55ヶ月連続のプラスで8903億1700万円となります。来店客数は全店ベースで2ヶ月連続の伸び、来店したお客が1回に使うお金である平均客単価も3ヶ月連続のプラスです。人員不足といったマイナス要因を抱えつつも、コンビニフランチャイズは好調な業界と言えるのではないでしょうか。

加盟金・ロイヤリティを比較

それでは、大手コンビニ3社の加盟金とロイヤリティを詳細に見ていきます。対象となるのはセブンイレブン、ファミリーマート、ローソンです。国内で不動の地位を築いているトップ3社。今、加盟するのに最も良い本部はどれになるのでしょうか。

セブンイレブンの場合

国内最大店舗数(1万9887店舗)を誇るセブンイレブンはアメリカ発祥のコンビニエンスストアです。日本ではセブンイレブン-ジャパンが中心となって展開しています。同社は加盟オーナーが経営に専念できるよう、決済処理システム「オープンアカウント」や商品の「自動仕入れ調査制度」を導入しています。オープンアカウントは「本部立て替え払い」とも呼ばれています。

経営理念は、「いつでも、いつの時代も、あらゆるお客様にとって『便利な存在』であり続けたい」(同社HPより)。コマーシャルでも有名な「近くて便利」を合言葉に既存中小小売店の近代化と活性化に取り組むとしています。

セブンでの加盟料は契約タイプによって異なります。店舗の土地と建物をオーナー側が用意するAタイプでは300万円、本部に用意してもらうCタイプでは250万となります。

セブンイレブンの契約タイプ別の加盟料

Aタイプ(店舗を自分で用意) Cタイプ(店舗を本部が用意)
研修費 50万円 50万円
開業準備手数料 50万円 100万円
開業時出資金 150万円 150万円
250万円 300万円

(セブンイレブン公表資料より)

研修では、加盟オーナーは10日間の実地研修に参加します。開業準備手数料とは、店舗計画や商品陳列などセブン本部が担当する作業の手数料です。開業時出資金など在庫商品や什器・その他備品などオーナーが調達する最低限の自己資本金となります。

次に、毎月売り上げに応じて支払うロイヤリティを見てみます。セブンイレブンでは「セブンイレブン・チャージ」という名目で各月の粗利益(売上総利益)に応じて一定の割合を乗じた金額を支払わなければなりません。Cタイプでは粗利益が0〜250万円の場合は56%、250〜400万円の場合は66%、400〜550万円の場合は71%、550万円以上だと76%の支払いが必要です。

セブンイレブン(Cタイプ)のロイヤリティ

売上総利益 チャージ率
250万円以下 56%
250万円〜400万円 66%
400万円〜550万円 71%
550万円以上 76%

(セブンイレブン公表資料より)

また、同社では今年9月よりロイヤリティが見直され、1%の減額措置(期間の定めなし)が講じられています。

ファミリーマートの場合

次にファミリーマートの加盟金とロイヤリティを見てみます。同社店舗数は1万7768店舗で業界2位。首位のセブンイレブンとはわずか約2000店舗差となっています。また、海外展開では台湾・中国ほか東南アジアを中心に6710店舗を構えます。TVコマーシャルでもよく耳にする「あなたと、コンビに、ファミリーマート」を基本理念とし、新しい発見と新鮮さにあふれたコンビニを目指すとしています。

ファミリーマートのFC契約は昨年9月に一新されました。新フランチャイズ契約パッケージでは、年間最大120万円を支給する「店舗運営支援金」、賞味期限切商品に対して助成金を払う「廃棄ロス助成金」などが導入されています。

契約タイプは土地・建物を自分で用意するか、本部に用意してもらうかの2種類があります。店舗を自分で用意する場合、加盟金(契約時必要資金)は300万円です。その内訳は、加盟金50万円、開店準備手数料100万円、元入金150万円です。

一方、本部に土地と建物を用意してもらうタイプは加盟者2名以上を想定した契約となっています。加盟金(契約時必要資金)は同じです。

ファミリーマートの加盟金(契約時必要資金)

土地を自分で用意 本部が土地を用意
加盟金 50万円 50万円
開業準備手数料 50万円 50万円
元入金 150万円 150万円
250万円 250万円

(ファミリーマート公表資料より)

ロイヤリティは、毎月の営業純利益(売上総利益に営業収入を加えたもの)に応じて一定の割合を乗じて算出されます。土地・建物を自分で用意するタイプ(1FC-B)を見ると、250万円未満なら52%、250万円〜350万円未満なら42%、350万円以上なら39%となります。

一方、土地・建物の両方を本部が負担する契約タイプ(2FC-N)では、300万円未満で59%、300万円〜550万円未満で63%、550万円以上で69%となります。

ロイヤリティ

自分で土地を用意(1FC-B) 本部が土地を用意(2FC-N)
営業純利益 割合 営業純利益 割合
250万円未満 52% 300万円未満 59%
250〜350万円 42% 250〜550万円 63%
350万円以上 39% 550万円以上 69%

(ファミリーマート公表資料より)

ファミリーマートでは、開店時に手伝いスタッフ募集、許認可申請で別途50万円が必要になるとしています。また、開業6年目以降にロイヤリティが減額される制度もあります。

ローソンの場合

業界3位のローソンは全国で1万3111店舗を展開しています(2017年2月時点)。海外では中国を中心に1000店舗以上を展開。1975年の創業以降、2000年付近の不調を除けばほぼ右肩上がりに成長してきました。

企業理念は「みんなと暮らすマチ」。そのマチで暮らす利用者にとってなくてはならない存在を目指すとしています。さらに、政府も掲げるダイバーシティ(多様性)とワーク・ライフ・バランスの実現にも取り組む姿勢を打ち出しています。

契約タイプは、ファミリーマート同様、土地と建物を自分で用意するか本部に用意してもらうかで分けられます。契約期間は両者ともに10年間です。

加盟金(契約時必要資金)は、いずれの契約タイプの場合ともに開店準備手数料50万円と研修費50万円を合計して100万円となります。別途、つり銭準備・営業許認可費用として50万円が必要です。

ローソンの加盟料

土地を自分で用意 本部が土地を用意
加盟金 50万円 50万円
開業準備手数料 50万円 50万円
100万円 100万円

(ローソン公表資料より)

ロイヤリティは契約タイプ別で異なります。土地・建物を本部で用意してもらうタイプ(FC-Cn)では、粗利益に応じて一定の割合を乗じて算出します。300万円以下の場合だと45%、300万円〜450万円以下の場合だと70%、450万円を超えると60%となります。

一方、土地を自分で用意するタイプ(FC-Bn)では、300万円以下で41%、300万円〜450万円以下で36%、450万円〜600万円以下で31%、600万円を超えると21%となります。

本部が土地を用意(FC-Cn) 自分で土地を用意(FC-Cn)
粗利益 割合 粗利益 割合
300万円以下 45% 300万円以下 41%
300〜450万円 70% 300〜450万円 36%
450万円以上 60% 450〜600万円 69%
600万円超 21%

(ローソン公表資料より)

このほかローソンでは引越し支援金として100万円の支給や見切り品の処分費用一部負担などのサポートを受けられます。

(参照:ローソン公式HPより)

セブンが高くてローソンが安い?

店舗を本部に用意してもらう契約では、加盟金はセブンイレブンが最も高い300万円となります。次いでファミリーマート250万円ローソンの100万円です。セブンイレブンではこのほか、引越し費用や、経営が軌道に乗るまでの2〜3ヶ月分の生活費などを含めて別途150万円が必要としています。

ローソンでは100万円の引越し支援金もあるので、最も低コストでコンビニ経営を始めたいオーナーにとってはローソンがベストかもしれません。

3社の加盟料比較

セブンイレブン ファミリーマート ローソン
加盟金 50万円 50万円 50万円
開業準備手数料 100万円 50万円 50万円
その他 150万円 150万円 0
300万円 250万円 100万円

次にロイヤリティを比較してみます。3社とも「自分で土地・建物を用意する場合」より「本部が土地を用意する場合」のほうがロイヤリティが高く設定されています。最も高いのはセブンイレブンで、売上総利益(粗利益)が550万円を超えると76%(418万円以上)のロイヤリティが発生します。次いで、ファミリーマートの69%です。

一方最も低いのはローソンで600万円以上に対して21%のロイヤリティとなります。ローソンでは、他2社同様、売上総利益が上がるにつれてロイヤリティが高くなりますが600万円を超えると、ロイヤリティが急激に下がります。加盟オーナーにとっては売り上げが伸ばせば伸ばすほど、オーナー収入が上がるシステムになっていることがわかります。

3社のロイヤリティ比較

セブンイレブン ファミリーマート ローソン
550万円超 76% 69% 69%
600万円超 21%

加盟では最も低コストなローソンを選ぶか、国内最大の店舗数を誇るセブンイレブンを選ぶか、間をとってファミリーマートを選ぶか。各社の強みと経営方針を慎重に検討して自分に最も合った本部を選択しましょう。