業務スーパーのフランチャイズとは?加入のメリット・デメリットを解説

業務スーパーとは、業務用の用品を販売しているスーパーマーケットですが、業者だけでなく一般の消費者も利用可能です。業務スーパーは、業務用の商品が多数揃えられており、「良い品物が安く沢山手に入る」ことで人気を集めていることから、業務スーパーのフランチャイズを検討する方も増えています。

そこで今回の記事では、業務スーパーフランチャイズの特徴やメリット、デメリット、さらに、業務スーパーフランチャイズ開業までの手順について解説しています。フランチャイズで独立を目指している方は、参考にしてみてください。

業務スーパーのフランチャイズとは

業務スーパーのフランチャイズとは

業務スーパーは、業務用の品物を販売しているスーパーマーケットです。例えば、レストランや飲食店向けに、調理の材料となる肉や魚、野菜などを揃えているのが業務スーパーです。しかし、業務スーパーはその名称にかかわらず、業者だけでなく一般の消費者も利用することができます。

業務スーパーのフランチャイズは、業務スーパーを展開するフランチャイズに加入し、その加盟店となって業務スーパーの経営を行う形態です。フランチャイズであるため、加盟店は業務スーパーの商号を利用でき、フランチャイズ本部から商品を仕入れて販売することになります。

業務スーパーの経営ノウハウは、フランチャイズ本部から提供してもらい、また、販売方法などの研修も受けることができます。加盟店は、その対価として、フランチャイズへの入会時に加盟金、開業後に毎月ロイヤリティを本部に支払います。

業務スーパーフランチャイズの特徴

業務スーパーフランチャイズの特徴

次に、業務スーパーフランチャイズはどのような特徴を持っているかをみていきましょう。

安価で量が多い

業務スーパーの最大の特徴は、販売商品が安価で量が多いことです。業務スーパーにおける商品の販売価格は、一般のスーパーマーケットに比べ格安に設定されています。また、その安い価格は常時維持されており、特定の日や曜日に限っての特売価格のようなものはあまり設けられません。

これは、特定の日や曜日に限った特売を行うと、その都度値札を張り替えなければならず、また、特売広告なども出すことになり、人件費や広告宣伝費が余計にかかってしまうからです。
業務スーパーでは、人件費や広告宣伝費をはじめとするコストを極力削減して、商品を格安で提供しているのです。

また、業務スーパーの商品は、量が多い特徴があります。商品はバラ売りで販売されているものもありますが、その多くはパック売りなどでまとめられています。中には、箱単位で売られている商品もあります。この商品の量の多さは、業務用商品に特化した業務スーパーならではのものといえます。

ただし、この「安価で量が多い」ことは、粗悪品を安く沢山売っていることではありません。業務スーパーの「安価で量が多い」という意味は、「良い商品を安く豊富に提供する」ということです。

業務スーパーには、多くの飲食店業者が来店して食材を仕入れていきます。飲食業に携わる職人が業務スーパーの固定客になっていることは、その商品がプロの選別眼で合格点を貰っていることを証明しています。

このように、良い商品を安く豊富に提供する業務スーパーだからこそ、飲食業者からの信用を得るとともに、世間の注目を集めることができるのです。

生鮮食品を扱わない

業務スーパーでは、生鮮食品はあまり取り扱っていません(店舗によっては、扱っているところもあります)。

生鮮食品を扱わないというのは、肉や魚、野菜などを取り扱わないということではありません。業務スーパーでは、肉、魚、野菜などを多彩・豊富に販売していますが、冷凍や真空パックで保存された商品が中心となっています。常温または冷蔵の状態で売っている食材もありますが、それ程種類は多くなく、冷凍や真空パック状態のものが非常に多く揃えられています。

業務スーパーの冷凍庫は、一般のスーパーに比べ大きく、その中には、冷凍保存できるあらゆる食材がぎっしりと陳列されているのです。

冷凍・真空パックの食品が多い理由は、肉、魚、野菜などの生鮮食品を常温または冷蔵の状態で保存すると、鮮度を保つための管理に手間がかかります。また、廃棄ロスも発生しやすくなります。

これに対して、冷凍や真空パック保存にすると、管理の手間や廃棄ロスが大きく削減できます。これにより、品質管理のコストを徹底して節約できるのです。

第2の理由は、業務スーパーで売られる食材は、業務用のものが多いからです。レストランや飲食店では、ほとんどの食材を冷凍で仕入れて、冷凍で保存します。冷凍状態で保存すれば日持ちが良く、プロの職人は解凍技術にも秀でているため味を損ねることがありません。

さらに、冷凍食品は、飲食店業者ばかりでなく、一般の消費者にも人気です。家族数が多い世帯などは、業務スーパーのボリュームがある冷凍食品は非常に重宝します。さらに、冷凍食品は、単身者にも愛用されています。冷凍のため長期保存ができることから、1度の使用量が少ない単身者でも、小分けにして少しずつ使っていくことができるからです。

オリジナル商品が多い

業務スーパーは、オリジナル商品が多いという特徴があります。業務スーパーは、本部で独自に商品開発を行っており、他社と異なるレシピで調理や味付けをした商品を提供しています。

オリジナル商品の中には、評判が良く売行き好調な人気商品も多くあります。その商品目当てで、遠方から買物に来る人も多数みられます。

輸入品が多い

業務スーパーは、輸入品が多いのも大きな特徴です。輸入品には、海外の様々な地域から仕入れた食材や調味料、香辛料、缶詰、ビン詰め、酒、ワインなどがあります。

一般のスーパーには、輸入品があまり置いていないため、業務スーパーで輸入品をまとめて購入する人もいます。

業務スーパーフランチャイズが安い理由

業務スーパーフランチャイズが安い理由

それでは、なぜ業務スーパーの商品は安いのか、その理由をみていきましょう。

メーカーから直接仕入れる

業務スーパーでは、商品をメーカーから直接仕入れています。例えば、牛肉や豚肉では食肉メーカーから、乳製品では乳製品メーカーから直接仕入れています。野菜・果物も生産農家から直接購入しているケースもあります。

メーカーから直接仕入れると、卸売業者を介さないため中間マージンがかからず、その分安く仕入れることができます。また、一度の発注量もまとまった量=まとめ買いであるため、割安で購入することができます。

このように、業務スーパーでは、取引の途中に中間業者を介さないでメーカーから直接かつ大量に買い付けるため、割安で仕入れることができ、その結果、販売商品の価格を安く設定できるのです。

自社工場で製造する

業務スーパーは、製造・加工を自社の工場で行います。例えば、ハンバーグやロールキャベツ、フライ、唐揚げなど調理した料理は自社の工場で作ります。また、調理の元となる肉や魚の切り身なども、食肉メーカーや鮮魚店からまとめて購入したものを自社工場で調理しやすいように切り分けます。

このように、業務スーパーは自社工場で製造・加工するため、できあがった物や加工した物を仕入れるのに比べ、コストが格段に節約できます。そのことが、業務スーパーの店頭価格にも反映されているのです。

海外からまとめて購入する

業務スーパーでは、輸入品を海外でまとめて購入します。業務スーパーでは、輸入業者や貿易業者などを通さず、自社で海外から直接商品を買い入れます。そのため、輸入業者や中間業者にかかるコストを節約でき、割安で購入することが可能になります。また、一度にまとまった量を買い付けるため、少量を購入するのに比べて割安となります。

このように、業務スーパーでは、輸入品を海外でまとめて直接購入するため、販売商品の価格を安く設定できるのです。

コストを徹底的に削減する

上でみてきたように、業務スーパーは、

  1. メーカーから直接仕入れる
  2. 自社工場で製造する
  3. 海外からまとめて購入する

などの方法で、商品の調達コストを極限まで削減しています。

それに加えて、製造・管理・販売ラインの人件費やその他のコストも可能な限り抑える方法を採用しています。代表的なものが、生鮮食品は冷凍・真空パックで保存・販売する方法で、これにより、品質管理にかかる人件費を節減するとともに、食品ロスを防いでいます。

また、売場は、見た目より機能性重視の配置や仕様になっており、空間を有効に使うため、商品は積み重ねて販売されています。中には、商品が入った段ボール箱が高く積まれている売場もあります。

さらに、販売員も必要最小限の人数が配置されているだけです。これらの方法により、商品の配置や陳列、管理に要する人件費を削減しているのです。

業務スーパーでは、このように様々なコストを削減することで、販売商品の価格を安く抑えています。

業務スーパーフランチャイズの開業費用と収益

業務スーパーフランチャイズの開業費用と収益

次に、業務スーパーフランチャイズを始めるには、どの位の開業費用が必要で、開業後はどの程度の収益が見込めるかについてみていきましょう。

開業費用

まず、開業費用ですが、業務スーパーフランチャイズを展開している「神戸物産」によると、標準的な店舗は、

①店舗規模

  • ・建物 約130~180坪
  • ・売場面積 約120~150坪
  • ・駐車場 約20~30台以上

となっています。

神戸物産では、店舗は、本部指導のもとに加盟者が建築することになっています(土地は、自前で用意するか、賃借することになります)。これまで個人で小売店かスーパーマーケットを経営していた人が、従来の店舗を利用して業務スーパーに業態変更する場合、店舗の規模や構造がフランチャイズの仕様に適合すれば、建築費用を節約することができます。

②開業費用

  • ・フランチャイズ加盟金 200万円
  • ・保証金 1,000万円
  • ・設備費 約2,000~2,900万円(常温棚・冷凍設備工事)
  • ・合計 約3,200~4,100万円

フランチャイズ加盟金は、フランチャイズに加入する際に支払う費用、保証金は、加盟店が仕入代金やロイヤリティを払えない場合に充当するための費用です。
その他、必要に応じて建築工事費用、レジ設備費用などが必要となります。

このようにみてくると、最低でも約3,200~4,100万円が必要で、場合によっては、建築工事費用などが追加になります。

収益

次に、業務スーパーフランチャイズの収益はどの程度見込めるのでしょうか。以下は、神戸物産が公表している店舗損益シミュレーションです。

ただし、ここで注意を要するのは、神戸物産では、売上・収益の予測は行っていないということです。売上・収益の予測を行っていないのは、店舗の立地環境や運営状況など様々な要因により、予測とかけ離れた結果を招く恐れがあることが理由とのことです。

したがって、以下の損益シミュレーションは、あくまで標準的な店舗の損益を試算したものであり、売上げや損益を予測したものではありません。

【損益シミュレーション】

①店舗概要

〇標準的な業務スーパー

  • ・店舗面積約130~180坪
  • ・売場面積約120~150坪
  • ・駐車場約20~30台以上(商店街や駅前等立地条件によりなしでも可)

②設備費

常温棚および冷凍設備工事費用 約2,000~2,900万円
別途、建築工事費用、POSレジ、加盟金、保証金、その他準備金が必要

③シミュレーション結果

項目 月額金額 構成比
売上高 3,200万円 100%
売上総利益 512万円 16.0%
販売管理費 448万円 14.0%
販売管理費のうち賃料 130万円 4.1%
販売管理費のうち人件費 144万円 4.5%
営業利益 64万円 2.0%

上のシミュレーションで特筆すべきは、販売管理費が売上高の14%と非常に低いことです。
これは、生鮮食品を扱わないことで食品ロスがほとんどないこと、無駄を徹底的に排除した運営システムにより必要経費を圧縮していることなどによるものです。

業務スーパーの収益については、店舗の立地環境や運営状況によって結果が大きく違ってくる可能性があるため、収益の予測値を求めることは困難です。しかし、標準的な店舗の運営を試算した参考資料として、上記のシミュレーションを把握しておくことは役に立つと判断されます。

業務スーパーフランチャイズ加入のメリット

業務スーパーフランチャイズ加入のメリット

それでは、業務スーパーフランチャイズに加入すると、どのようなメリットがあるかをみていきましょう。

集客力がある

フランチャイズの業務スーパーには、集客力があるという大きなメリットがあります。その理由は、第1に、フランチャイズにはブランド力があるからです。個人でスーパーマーケットを始める場合と比べ、フランチャイズには長年培ってきたブランド力や信頼性があります。店舗の商号も世間に周知され、広く親しまれているケースも多いのです。

「あのチェーン店なら安心」、「あの店は良い物を安く売っている」、「有名な店だから、おかしな物は置いていない」有名なフランチャイズであればある程、一般消費者の信頼度や安心感は高くなり、人が集まるようになります。

第2に、業務スーパーが、業者向けの商品を中心に品揃えを行っていることです。レストランや飲食店の業者は、自分の店を営業するための食材を仕入れに来ます。彼らは趣味やグルメのために来店するのではなく、仕事のためにやって来て商品を購入していくのです。
趣味や冷やかしで来店する客であれば、日によって人数が大きく増減しますが、毎日の営業のために来店する客はほぼ固定の常連客となります。この常連客は、雨が降っても強風が吹いても、欠かさずやって来る大切な客です。
常連の業者は、業務スーパーフランチャイズの集客を支える中心的な存在です。

第3として、業務スーパーフランチャイズが、業者以外の一般消費者も惹きつける努力をしていることです。業務スーパーフランチャイズでは、「業務用だけじゃない。一般のお客様も大歓迎!!」などのPRを行っています。これにより、業務スーパーには業務用品しか置いていないと思っていた一般消費者が、1度行ってみようと足を向けるきっかけとなります。

そして実際に店舗に行くと、業務スーパーの最大の特徴である「安価で量が多い」という魅力にはまり、その虜になってしまう人が多いのです。

以上のような様々な理由により、業務スーパーフランチャイズは強い集客力を持っているのです。

客単価が高い

業務スーパーを経営するメリットは、客単価が高いことです。客単価とは、1人の客が1回の来店で消費する金額です。安価で量が多いのが業務スーパーの特徴ですが、その影響で「まとめ買い」をする来店者が多く、1度にかなりの金額を使います。

その理由は、第1に客層に飲食店関係の業者が多いことです。飲食店関係の業者は、商売の材料として使うため、1度にまとまった量を仕入れていきます。

第2に、飲食店関係の業者ではない一般の消費者も、「せっかく来たのだから、この際まとめて買っておこう」と、かなりの量を購入する人が多いことです。業務スーパーの商品は安価で量が多くお得感があるため、客がまとめ買いをする傾向にあるのです。

このように、客層に飲食店関係の業者が多いこと、客がまとめ買いをしがちであることなどから、業務スーパーは客単価が高い傾向にあります。

ロイヤリティが安い

業務スーパーフランチャイズの大きなメリットは、ロイヤリティが安いことです。ロイヤリティとは商標使用料のことで、フランチャイズ加盟店が本部の商標・商号などを使用する対価として、毎月支払う金銭です。

例えば、コンビニのフランチャイズであるファミリーマートに加入して、コンビニ経営を始める場合、加盟店オーナーは自分の店舗にファミリーマートの看板を掲げ、ファミリーマートブランドの商品を販売することができます。その対価として、加盟店は毎月ファミリーマート本部に営業利益の〇%というロイヤリティを支払います。

業務スーパーのロイヤリティの金額は、フランチャイズによって異なりますが、他のフランチャイズ業界に比べ安い傾向にあります。例えば、業務スーパーフランチャイズを展開する「神戸物産」では、毎月のロイヤリティが仕入額の1%となっています。

同じ小売店でも、コンビニフランチャイズなどでは営業利益の数十%、学習塾フランチャイズでは入学金収入の50%、授業料収入の10%などのロイヤリティを徴取している実例があることからも、この仕入額の1%というロイヤリティが非常に安く設定されていることがわかります。

ロイヤリティが安いことは、開業後の店舗経営で大きなメリットとなります。通常フランチャイズ事業を始める場合は、自己資金が足りない部分を金融機関からの融資で賄います。その場合は、店舗開業後に毎月金融機関に借入金の返済を行うことになります。事業が順調で収益が上がっている場合は問題がありませんが、売上げが振るわず利益があまり出ない場合は、毎月のローン返済が大きな負担となります。

このような場合に、ローン返済に加えてロイヤリティの負担が大きいと、経営を圧迫する要因となってしまうのです。

フランチャイズの店舗経営にかかわらず、どのような事業でも最初から最後まで順風満帆ということはありません。様々な理由から、事業が好調な時期もあれば、不調な時もあります。このことからも、毎月の金銭的な負担となるロイヤリティは、安く抑えたいものです。

低コストで運営できる

一般的に、フランチャイズでスーパーマーケットを経営する場合は、様々な必要経費がかかります。主なものを列挙すると、

  1. 商品仕入額(便宜上必要経費としています。)
  2. 商品廃棄ロス
  3. 販売員人件費
  4. 光熱水費
  5. 備品・消耗品費
  6. 店舗家賃
  7. 広告宣伝費
  8. 本部へのロイヤリティ

事業における利益は、
営業利益=売上額-必要経費
と表すことができます。

このことから、フランチャイズ事業を成功させるためには、①いかに集客して売り上げを伸ばしていくか=売上額を大きくすると同時に、②いかに必要経費を削減・節約していくか=必要経費を小さくすることが重要な鍵となります。

この点で、業務スーパーフランチャイズは、必要経費を抑えた経営が可能です。すでにみてきたように、業務スーパーフランチャイズは、様々な工夫で必要経費を抑えた経営を行っています。

上で列挙した必要経費の中では、

  • ①商品仕入額
  • ②廃棄商品ロス
  • ③販売員人件費
  • ⑦広告宣伝費
  • ⑧本部へのロイヤリティ

の費用を低く抑えることが可能です。

①商品仕入額 メーカーから直接仕入れる、自社工場で製造する、海外からまとめて購入するなどの方法で、商品仕入原価を圧縮
②廃棄商品ロス 生鮮品の冷凍保存・真空パック保存により、商品廃棄ロスを削減
③販売員人件費 販売員総数を抑える、冷凍・真空パック保存により商品管理の人件費を削減、商品の配置や陳列を合理化して手数を削減などの方法で販売員人件費を圧縮
⑦広告宣伝費 特売日などを設けない(常に安く販売している)ため、紙の広告や新聞折り込みなどが不要、店舗のPRはネットで行うなどにより広告宣伝費を削減
⑧本部へのロイヤリティ 本部へのロイヤリティは、他のフランチャイズ業界と比較しても割安

このように、業務スーパーフランチャイズでは、コストを抑えた経営により商品価格を安く設定し、売上げを伸ばすことが可能です。

手厚いサポートが受けられる

業務スーパーフランチャイズに加入すると、フランチャイズ本部からの手厚いサポートを受けることができるメリットがあります。フランチャイズ本部のサポートには、以下のものがあります。

①店舗運営マニュアルの提供

業務スーパーにかかわらず、スーパーマーケットを経営するには、その手順や方法というものがあります。それは、商品仕入、品質管理、商品陳列、販売、売上管理、在庫管理、損益管理、販売員の人事管理など多肢にわたります。

このような各ジャンルの手順や方法について、フランチャイズ本部は統一的な手引きを作成しており、それをマニュアルとして提供してくれます。
これにより、スーパーマーケット経営の経験がない初心者であっても、マニュアルに従って店舗運営を行っていけば、事業を円滑に進めることができます。

②経営ノウハウの提供

フランチャイズ本部は、業務スーパー経営のための豊富なノウハウを持っています。

フランチャイズ本部は、

  • ・様々な商品の中で消費者にニーズがあるのは何か
  • ・商品ごとのボリュームや価格設定をどうすればよく売れるか
  • ・商品の質はどの程度が要求されるか
  • ・商品をどう配列すればよく売れるか

などについて分析・検討を行っており、その分析結果に基づいた商品構成や価格設定を行います。

また、

  • ・どこに店舗を立地すればよく売れるか
  • ・店舗の規模や構造はどの程度にすればよいか

についても研究しており、最も費用対効果が見込める立地、規模、構造の店舗を展開します。

③経営モデルの提供

フランチャイズ本部は、成功できる標準的な経営モデルを持っています。標準的な経営モデルは、「この立地と規模の店舗であれば、日々の来客数が〇人程度で、売上げや営業利益が〇円程度見込める」というひな形です。この標準的な経営モデルは、そこから逸脱しないかぎり、業務スーパーの経営は継続してできるというモデルです。

一例をあげると、神戸物産では、対外的に売上げや収益の予測は行っていませんが、標準的な規模の店舗における収益のシミュレーションを試算しています。

仮に、個人で業務スーパーを始める場合は、独力で経営を行いながら、安定した事業継続ができる来客数や売上げ、管理コストなどを探り、安定経営のための経営モデルを自分で作り上げていく必要があるのです。

それに対し、フランチャイズ加盟店では、事業開始当初からフランチャイズの経営モデルを目標に店舗運営を行えば、スムーズな安定経営が可能となります。

④強力な宣伝効果の利用

フランチャイズ本部は、ネットやテレビ、雑誌などを通じて強力な宣伝広告を行っています。業務スーパーフランチャイズは、特売日などを設けずに商品を常に安く提供することで、店舗ごとの広告やチラシはあまり打たない方向ですが、本部はフランチャイズ全体の商号やブランドをPRするための広告宣伝を強力に進めています。

フランチャイズに加入すれば、その強力な宣伝広告の効果を利用して、店舗の集客に利用できるメリットがあります。

⑤仕入先の確保

業務スーパーフランチャイズに加入すると、商品の仕入先を自分で開拓しなくてもよいメリットがあります。加盟店に陳列する商品は、原則として、フランチャイズ本部がメーカーや海外から仕入れたものや本部工場で加工したものを使うことになるからです。

個人で業務スーパーを始める場合は、肉なら食肉加工業者、魚なら海産物加工業者、野菜なら生産農家や農産物加工業者、卸売業者などを自分で探して、個別に購入契約していかなければなりません。その点で、業務スーパーフランチャイズでは、商品は本部から一括して仕入れることができるため、手間が大幅に省けます

⑥本部の支援・指導

業務スーパーフランチャイズでは、事業経営の様々な局面で本部のサポートを受けることができます。業務スーパー開業後は、売上向上のため、本部のスーパーバイザーによる継続的な支援・指導が提供されます。

また、店舗経営を行っていると、以下のような様々な問題が発生します。

  1. 客が集まらない
  2. 売上げが伸びない
  3. 販売員が確保できない
  4. 客とトラブルが発生した

個人で業務スーパーを経営している場合は、このような様々な問題について、独力で解決していく必要があります。
それに対し、業務スーパーフランチャイズでは、このような様々な問題に対し、本部の経験豊富なスタッフが問題解決のための指導やアドバイスを行ってくれます。

トレンド化している

近年、フランチャイズの業務スーパーは世間の関心を集め、トレンドとなっています。

その理由は、①業務スーパーには、業者だけでなく一般消費者向けの商品も置いてあることが周知された、②「安価で量が多い」という特徴が世間に広まり、安いだけでなく品質も良いことが広く認識されたことなどによりますが、トレンドとなった大きな理由として、③全国版のテレビ番組などで紹介されるようになったこともあげることができます。

業務スーパーが業者相手の店のままであったら、このように世間の関心を集めトレンドとなったりはしません。トレンドとなるには、一般消費者の関心を惹き、実際に店に行ってみようとする人が増えることが必要です。

業務スーパーフランチャイズは、一般消費者に対しても広く門戸を開放して呼び込むことに成功し、来店した客が満足できるよう、良い商品を安価に、しかも量を多く提供しているのです。

初心者でもできる

業務スーパーフランチャイズは、スーパーマーケット経営の経験がない初心者でも始めることができるメリットがあります。

個人で業務スーパーを始めようとしたら、その経営方法を知らず、また店舗運営のノウハウもないため、そのハードルは非常に高いといわざるを得ません。しかし、業務スーパーフランチャイズに加入し、加盟店として開業すれば話は別です。すでにみてきたように、フランチャイズのメンバーになれば、フランチャイズ本部から手厚いサポートを受けることができるからです。

一般の個人では知りようがない業務スーパーの店舗運営マニュアルや経営ノウハウの提供を受けることができ、また、商品の仕入れ先もはじめから確保されているため、自分で仕入れ先を開拓する必要がありません

さらに、業務スーパー開業後は、売上向上のため本部のスーパーバイザーによる継続的な支援・指導が、その他店舗運営で問題が生じた場合は本部の専門スタッフによるアドバイスなど、手厚いサポートが提供されます。

したがって、スーパーマーケット経営の経験がない初心者でも、本部のマニュアルに従った店舗運営を心掛けていけば、加盟店オーナーとして業務スーパーの経営が可能となるのです。

業務スーパーフランチャイズ加入のデメリット

業務スーパーフランチャイズ加入のデメリット

業務スーパーフランチャイズには、デメリットもあります。ここでは、業務スーパーフランチャイズ加入のデメリットをみていきましょう。

初期費用がかかる

業務スーパーは、店舗の規模が大きい分初期費用がかかります。

「神戸物産」で標準的な店舗とされているのは、以下の仕様となります。

①店舗規模

  • ・建物 約130~180坪
  • ・売場面積 約120~150坪
  • ・駐車場 約20~30台以上

すでにみてきたように、神戸物産では、店舗は本部指導のもと加盟者が建築することになっています。

②開業費用

  • ・フランチャイズ加盟金 200万円
  • ・保証金 1,000万円
  • ・設備費 約2,000~2,900万円(常温棚・冷凍設備工事)
  • ・合計 約3,200~4,100万円

上の試算では、最低3,200~4,100万円が必要で、既存店舗を持っていない場合は、店舗の建築工事費用などが上乗せとなります。このようにまとまった金額になると、自己資金ですべて賄うことができる人は少ないでしょう。そのため、自己資金不足分を金融機関から借り入れなければなりません。

販売商品や販売方法が決められている

フランチャイズの業務スーパーは、原則として販売商品をフランチャイズ本部から仕入れることになります。

フランチャイズ本部で取り扱う商品は決まっており、「神戸物産」の場合は、食品全般・酒類・雑貨用品となっています。

ただし、フランチャイズ本部で取り扱っていない商品を、他から自分で仕入れて販売することは、本部に相談して認められれば可能です。

フランチャイズでは、販売方法などもマニュアル化されており、そこから逸脱した販売行為は認められません。例えば、フランチャイズ本部で、①特売日は設けない、②新聞折込みの広告は行わないとの方針があるにもかかわらず、加盟店が勝手に特売日を設けてさらに安く売る、新聞折込み広告を出すなどの営業は認められません。

フランチャイズ本部は、店舗の収益性を高めるため統一的な営業方針を策定しており、その方針に反した営業行為は、店舗収益悪化の要因となります。

また、フランチャイズのブランドや信用を失墜させるような営業も認められないことは念頭に置く必要があります。

勝手に廃業できない

フランチャイズ契約では、5年や10年など契約期間が定められています。この契約期間の途中で、加盟者の都合で解約すると、違約金などのペナルティが課される場合があります。
したがって、店舗の売上げが不振となり、廃業しようとしても自由にはできません。

業務スーパーフランチャイズ開業までの手順

業務スーパーフランチャイズ開業までの手順

それでは、業務スーパーフランチャイズを始めるには、どのような手続きが必要なのでしょうか。ここでは、業務スーパーフランチャイズ開業までの手順をみていきましょう。

次は、神戸物産における業務スーパー開業までの手順を表したものです。

①問合わせ

業務スーパーフランチャイズについて、フランチャイズ本部に問い合わせることができます。
問合わせは、メールまたは電話で可能です。

②加盟相談

業務スーパーフランチャイズへの加入について、相談します。
本部から、業務スーパーの特徴や運営方法、契約内容の説明があります。

③出店希望場所の確認

出店を希望する物件を提示します。
本部で物件視察、商圏調査を行い、出店の可否を検討します。

神戸物産では、原則として、店舗の物件は出店者(フランチャイズ加入者)が用意することになっています。出店者が、別の事業を行っていた既存店を持っている場合は、業務スーパー用に改造することができます。また、建物なしの土地だけを所有している場合は、出店者が建物を建築します。なお、店舗物件を持っていない場合は、土地・建物を購入または賃借することになります。

業務スーパーを始めるにあたり、店舗の立地は極めて重要です。自分が店舗に使える物件を所有している場合は、物件取得費用などを節約できるため好都合と考えがちですが、集客を見込むことが難しいと予測される立地の場合は問題です。

そのような立地の良くない場所の物件に対しては、フランチャイズ本部の物件視察や商圏調査で悲観的な判断が下される可能性もあります。店舗の立地の良さは、フランチャイズ事業を成功させるための大きな条件であることから、好立地の場合を除いては、自分の所有物件に固執しない姿勢も大切です。

④店舗レイアウト作成

店舗レイアウトを作成し、出店の可否を検討します。

⑤書類提出

フランチャイズへの加盟審査のための書類を提出します。

⑥加盟審査

フランチャイズ本部に提出した書類に基づき、本部で加盟審査が行われます。

業務スーパーフランチャイズ開業までの手順2

⑦出店決定

出店の可否が決定されます。
出店が可能な場合は、出店者の意向も聞き取られます。

⑧契約締結

フランチャイズ契約を確認し、契約を締結します。

フランチャイズ契約書には、契約期間、加盟金額、ロイヤリティ金額、店舗運営における様々なルールなどが定められています。契約締結前には、契約書を十分に確認することが必要です。特に、契約期間の途中で解約する場合の違約金額などペナルティはチェックしておきましょう。

また、店舗運営にあたって、どのような営業行為が契約違反に該当するかについては、十分な注意が必要です。契約違反に該当する場合の損害賠償の内容も確認しておく必要があります。

フランチャイズ契約書の内容で疑問箇所がある場合は遠慮なく質問し、疑問点をすべて解消しておくことが重要です。契約書のすべての内容を理解し同意した場合に、はじめて契約を締結することができます。

なお、契約書の説明を受けても、その内容にどうしても納得できない点がある場合は、契約締結を見送る(フランチャイズに加入しない)選択も必要です。

⑨不動産賃貸借契約

出店予定の物件を賃借する場合は、物件の所有者と不動産賃貸借契約を締結します。

⑩工事着工

店舗の内外装の工事を行います。

⑪研修

業務スーパー開業に向けた研修を受講します。
日程は、店舗研修6日、本部研修1日となっています。

⑫商品搬入

開業に向けて商品を搬入します。
商品の搬入・陳列は、フランチャイズ本部の指導・援助を受けながら行います。

⑬開業

店舗をオープンします。
開業当初は、フランチャイズ本部が力を入れて支援してくれます。

上記の開業に向けた手順と並行して、下記の事項も進めておく必要があります。

①金融機関への融資申込み

業務スーパーを始めるには、ある程度のまとまった資金が必要です。
自己資金だけで開業資金を賄えない場合は、早めに金融機関の融資を申し込む必要があります。

金融機関の融資審査は時間がかかる場合もあるため、スケジュールに余裕を持って、手続きを進めることが肝心です。融資申込みにあたっては、開業後の毎月の返済額が無理な負担とならないよう、借入額、金利、返済期間などについて検討が必要です。

②販売員(アルバイト)の募集・採用・教育

店舗の内外装工事や研修などと並行して、開業を睨んで販売員の募集を始める必要があります。雇用条件によっては、アルバイトがなかなか確保できない場合もあるため、開業予定日から逆算して募集手続に入る必要があります。

アルバイトは、募集して採用すれば終わりではありません。販売員として最低限の商品知識を身に付け、レジ作業も覚えてもらわなければならないため、これらの教育期間も考慮に入れながら採用を行っていくことが大切です。

なお、どうしても人員の確保が難しい場合は、フランチャイズ本部に相談する方法もあります。フランチャイズによっては、加盟店の販売員確保が難しい場合に、独自のルートで紹介してくれる、傘下の他店から臨時に応援してもらえるなどの支援を行ってくれるところもあります。

③店舗の開業に向けた宣伝広告

新しい店舗を開業してスムーズに軌道に乗せていくためには、店舗開業のPRが必要です。
神戸物産では、特売のための広告などはあまり出さない方針ですが、開業のPRは別の問題です。

この場合、フランチャイズの他店が開業時にどのようにPRしたかについて、フランチャイズ本部の指導を受けるのが最も効率的です。フランチャイズ本部でPRしてくれるのか、加盟店が独自に宣伝広告を出すのか、それとも、紙の広告媒体は使わずネットでの広告に絞るのか、フランチャイズ本部にはその方針やノウハウがあるはずです。

できるだけコストをかけずに効果的なPRを行う方法について、本部と相談しながら進めるのがよいでしょう。

まとめ

業務スーパーのフランチャイズとは?加入のメリット・デメリットを解説

業務スーパーは、業務用の用品を販売しているスーパーマーケットです。しかし、業務スーパーという名称にかかわらず、業者だけでなく一般の消費者も利用することができ、最近では、「良い品物が安く沢山手に入る」ことで人気を集めています。

そのように注目されている業務スーパーですが、経験がない初心者が始めるには敷居が高そうです。しかし、業務スーパーを展開するフランチャイズに加入し、その加盟店となって業務スーパーを始めれば、未経験者でもフランチャイズ本部の強力なバックアップで店舗を円滑に運営することができます。

フランチャイズは、そこに加入するデメリットもありますが、それを補うに足るメリットが多くあり、未経験の初心者が開業できる唯一の機会を提供してくれるといっても過言ではありません。

業務スーパーフランチャイズの業界は、「良い品物が安く沢山手に入る」という世間の評価を今後も大切に守っていけば、将来的に一層の成長・拡大が見込めるジャンルです。フランチャイズで独立を目指している方は、業務スーパーフランチャイズを有力な選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。