コインランドリーのフランチャイズを始めるには? コインランドリービジネスのメリット・デメリット、フランチャイズ加入の注意点を解説

夫婦共働き世帯の増加やコロナの影響による自宅時間の増加により、コインランドリーを利用する機会が増え、コインランドリービジネスに注目が集まっています。コインランドリーで事業を展開する方法としては、独立するか、フランチャイズに加入するかに分かれますが、メリット・デメリットはそれぞれ異なります。

そこで今回は、コインラインドリービジネスの成長要因と、フランチャイズとのメリットとデメリット、フランチャイズでのコインランドリー開業の手順について詳しく解説するので、参考にしてみてください。

コインランドリービジネス

コインランドリービジネス

コインランドリービジネスは、順調に成長している市場です。平成8年(1997年)には10,228店だったコインランドリー施設は、平成25年(2013年)時点では16,993店と約1.7倍になっています(厚生労働省「コインオペレーションクリーニング営業施設に関する調査」より)。

また、ランドリービジネスマガジンによると平成29年(2017年)には2万店に到達したと推計されています。2万店という数値はフランチャイズの代表格でもあるセブン−イレブンの店舗数と並ぶ数になり、平成8年と比較すると約2倍に増加していることになります。

実際に利用する機会も多く、日常生活に密着しているサービスであるコインランドリービジネスについて成長の理由と今後の注目点について確認していきましょう。

●コインランドリービジネスとは
コインランドリービジネスは、マンションやアパートなどの不動産投資や駐車場経営などの投資に近いものと認識する方が多くいます。

コインランドリービジネスの特徴は、手間がかからず大半を無人での店舗運営ができるためです。洗濯機や乾燥機はお客様自身の操作で完結でき、設備のメンテナンスはメーカーやフランチャイズ本部が実施してくれます。また、防犯なども備え付けの防犯カメラが利用できます。手がかからないために、集客に成功した後は顧客を待つだけで収益を得られる安定的な経営を目指せるのがコインランドリービジネスの魅力です。

コインランドリービジネスが成長する理由

コインランドリービジネスが成長する理由は、以下の2つの変化に基づくと言えます。

コインランドリービジネスが成長する理由

  1. ①生活の変化 働き方の多様化や高層マンションニーズ
  2. ②環境の変化 降水量の増加やアレルギーの増加

①生活の変化 働き方の多様化や高層マンションニーズ

日本でのコインランドリーは、昭和46年から50年の高度経済成長期とともに急速に市場が形成されていきました。初期のコインランドリーのターゲットは、独身者や単身者や学生などの洗濯機を持っていない層がメインとされていました。そのため、銭湯などの公衆浴場と隣接した形でコインランドリーが設置されることが多くありました。

近年になり、働き方の多様化によるニーズの広がりに順応する形でコインランドリーの成長要因となっています。現在のコインランドリーの利用者の8割は子育て世代である30代から50代が占めています。

1990年代以降、継続して増加傾向にあるのが共働き世帯になります。一方で、専業主婦は減少傾向にあります。日本全体の少子高齢化による人口減少で労働力不足の解消のため、日本政府は女性の社会進出促進する働き方改革を継続しています。そのため、夫婦ともにフルタイムで働く家族が増加しています。また、フレックス制の導入などによる働く時間の分散などがあります。

総務省が公表している社会生活基本調査によると、6歳未満の子供をもつ夫婦の家事関連時間の推移をみると、家事にかける時間は平成8年には1週間に4.08時間だったものが、平成28年には3.07時間まで減少しています。これは約25%の家事時間が短縮されたことになります。これは継続的に家事に掛ける時間の減少の結果であり、今後も傾向は継続されるものと推測できます。

これらのことから、一度に大量の洗濯物を素早く処理するニーズが継続的に発生することになります。家庭用洗濯機の容量は、5kg前後が一般的です。この場合、ほぼ毎日の洗濯と外干しを含む乾燥が必要になります。しかし、コインランドリーの大型洗濯機と乾燥機を利用すれば、1週間程度の洗濯物であれば1時間程度の時間で洗濯から乾燥までを実施することができます。これは、時間が少ない共働き夫婦にとっては大きな時短になります。

また、近年は高層マンションが人気です。高層マンションは、その管理規約などによってバルコニーやベランダに洗濯物が干せない場合が多くあります。もちろん、備え付けの乾燥機や浴室乾燥で対応することも可能ですが、一定量を超えた場合には一度に大量の洗濯・乾燥ができるコインランドリーのニーズが生まれます。また、定期的に布団などの一般家庭の乾燥機などでは対応しにくいものもあります。これらの高層マンションの住民のニーズも取り込むこともできています。

②環境の変化 降水量の増加やアレルギーの増加

コインランドリーは、非常に天気に左右されるビジネスです。晴天が続く時期より、梅雨のような雨が降り続く時期の方が売上の増加を見込むことができます。天気の良い日には、洗濯物が外で干すことができますが、雨や曇りが続くと洗濯物を乾かすためにコインランドリーを利用する機会が増えていきます。

地球温暖化による気候変動によって、集中豪雨などの今後の降水量の変化はコインランドリービジネスに影響していきます。

花粉やダニなどを代表とするアレルギー症状に悩む人の増加もコインランドリー事業にとっては、プラスの要因になります。2002年から2014年での12年間にアレルギー性鼻炎で治療を受ける人の数は約40万人から約65万人と1.6倍に増加しています(厚生労働省『アレルギー疾患の現状等』より)。

花粉の季節に洗濯物を外に干すと、花粉が衣類に付着してしまいます。そのため、コインランドリーの乾燥機などを活用することが増えています。また、ダニは高温に接することで死滅させることができます。コインランドリーの乾燥機は70度まで温度が上がるため、ダニ対策としても活用することができます。

衣類だけでなく、羽毛布団やカーペットや絨毯など自宅では洗濯・乾燥が難しいものも大型の洗濯機や乾燥機を備えているコインランドリーであれば対応が可能です。羽毛布団などは生地が厚いものはダニが生息する可能性があります。そのため、定期的にコインランドリーなでで乾燥させることで、清潔さを保つことができます。

コインランドリービジネスの今後の注目点

コインランドリービジネスの今後の注目点

コインランドリーの店舗数は、前述のとおりセブン-イレブンと同等の店舗数になっています。今後、さらにコインランドリーの店舗が伸びていくと、継続的に利益を得ることができるのか懸念があります。

●生活になくてはならないサービス
近年、主婦層にアピールするコインランドリーにイメージチェンジが進んでいます。その理由は、以前のターゲットとなるユーザーは学生や単身者などの洗濯機を持っていない層でした。そのため、以前のコインランドリーの店舗や機械はけっしてキレイなイメージがなく、3Kと言われていました。3Kとは『暗い』『汚い』『怖い』です。

3Kのイメージが払しょくできないコインランドリーは、学生や単身者などの男性や若者がユーザーの中心のままでした。清潔さを求める女性などからは、誰が利用したか分からない洗濯機や乾燥機を利用したくない、と言う理由からも敬遠されていました。

この状況を打開するために取り組まれたのがコインランドリーのイメージチェンジです。不特定多数が利用することへの嫌悪感は、ドラム洗い機能や乾燥機洗浄などで洗濯機や乾燥機自体を洗浄する機能が付いたものが2004年以降多く導入されています。

また、コインランドリーの店舗自体も狭く家庭用の洗濯機が主流だった旧来のものから、郊外型など大きな店舗に業務用の大型ランドリーを設置している店舗が多くなっています。場所も生活道路沿いやコンビニやスーパーと併設するなど出店場所も好立地で暗いなどのイメージ払しょくができている店舗も多くあります。

そして、防犯カメラを設置することで監視体制が構築されています。そもそも盗難に対しての抑止と共に、実際に犯罪が発生した時には監視映像をもとに犯人逮捕にも役立てることができます。

これらのイメージチェンジにより、コインランドリーのユーザーの半分は女性になるまでに生活に浸透したビジネスへと変わってきています。現在も、ヘアカットやショッピングセンターなどに併設するなど『ながら』利用ができる場所への出店が進んでいます。これらのことから、コインランドリービジネスが地域に密着して生活になくてはならないサービスになっていく可能性が高いです。

●コインランドリーのIT革命
サービスはITの力を利用することでより良いサービスやコスト削減などが実現できます。コインランドリーにおいても同様です。具体的な導入事例としては、電子マネーやITランドリーシステムの導入です。

電子マネーの導入は、ほぼどのサービスでも利用できるまでに生活に浸透しています、コインランドリーにも導入が開始されています。コインランドリーの利用には100円硬貨が300円~500円単位で必要になりますが、電子マネーの利用は新型コロナウイルス感染防止などの観点からも今後普及が広がる可能性が高いです。

また、ITランドリーシステムはコインランドリーの待ち時間を確認できるツールがあります。コインランドリーで不便を感じる点の一つが、店舗にいってから利用したい機器がすべて仕様されている状況で空くのを待つことや他の店舗にいかなければならないことです。また、30分などの洗濯や乾燥時間の終了タイミングを忘れてしまうなどがあります。

ITツールを活用することで、お客様が使いたい洗濯機や乾燥機の空き時間を確認することや自身が利用している洗濯機や乾燥機の終了をお知らせするメールを受け取ることができます。

さらに、ITを活用することで集客やプロモーションを展開できるため閑散期の販促などをすることができます。具体的には、1,000円のICカードを購入すれば500円分のポイント還元などの販促を行えば、顧客の囲い込みができます。また、ICカードを発行することで利用をする前にキャッシュが入ってきます。これらITツールの活用は、今までのプル型のビジネスであったコインランドリービジネスの仕組みを変える可能性を秘めています。

●コインランドリーの利用率はまだ高くない?
日本のコインランドリー利用率は、6%になります。この数値はコインランドリー先進国であるアメリカの1/3以下の数値です。この数値から考えられるのは、まだ日本のコインランドリービジネスには成長の余地が残っていると言えるのかもしれません。

前述のとおり、家事の時間は削減される対象であり、削減しながらより快適な着心地などを提供できるコインランドリービジネスはまだまだ将来性のあるビジネスです。

コインランドリーフランチャイズ

コインランドリーフランチャイズ

コインランドリーを始めたいと思った時に、フランチャイズに加盟するかどうかは悩む点になります。フランチャイズに加盟するメリットは、『知名度を利用できる』ことと『ビジネスノウハウを活用できる』の2つに代表されます。

フランチャイズに加盟するメリット

知名度を利用できる点は、コンビニでいえばセブン-イレブンやローソンなどその知名度は大きく知らない人より知っている人の方が多いと言えます。しかし、コインランドリーのフランチャイズはそれほど知名度が高くありません。また、サービスに大きな差別化が難しいため、知名度で得られる安心感などは他の事業ほど大きくユーザーに影響を与えないと言えます。

ビジネスノウハウについても、コインランドリービジネスの仕事は機器設置後の清掃などを含むメンテナンスが主な仕事になります。その意味で、非常に手離れが良いビジネスモデルと言えます。手離れが良いことの裏を返せば、ビジネスノウハウはあまり必要ないとも言えます。機器の故障などは、メーカーの保守に入っておけば専門知識は不要です。また、従業員を多く雇う必要もないため、労務リスクなども非常に少ないです。これらのことからビジネスノウハウは他の事業と比較すると、あまり必要としないと言えます。

それでもコインランドリーのフランチャイズに加盟して起業する方も多くいます。それは、事業を開始前と後のサポートが得られる点や複数あるメーカーの中で何を選ぶべきかなどのアドバイスを得ることができることがあげられます。起業する方の状況とやりたいことにあわせてフランチャイズにすべきかどうかを検討することが必要です。

以下では、コインランドリー事業の中で、フランチャイズ展開をしている企業ならびにコインランドリービジネスでのフランチャイズに加盟するメリットとデメリットを整理していきます。

フランチャイズの注目企業

ここでは、コインランドリーを経営するにあたり、フランチャイズを展開している2社を紹介します。

  1. ① mammaciao(マンマチャオ)
  2. ② WASHハウス
  3. ③ コインランドリーピエロ

① mammaciao(マンマチャオ)

マンマチャオは、『カラダにも地球にもやさしいeco-laundry』で知名度を上げています。すでに全国に約580店舗のコインランドリーを展開しています。

マンマチャオでは、人と環境に優しいコインランドリーを標榜しています。人への優しさは、天然由来のヤシの実洗剤と柑橘類由来の仕上げ剤を使用しています。そのため、近年女性や子供に多い敏感肌の方が安心して利用できます。また、環境への優しさは活性水を使用することで使用する水を1/3の節水と洗濯時間の短縮を実現しています。

“人件費無し”を実現できる完全サポートのコインランドリー経営ができるフランチャイズとして現在加盟店を伸ばしています。オーナーは、トラブルが無縁になるように仕組みを構築しています。トラブル無縁は、以下の2つの点で実現をしています。

  • ・スタッフがいないのでマネジメントが必要なし
  • ・機械メンテやお客様の問い合わせ対応など監理サポートサービスを用意

・スタッフがいないのでマネジメントが必要なし
スタッフを雇用する必要があるのとないのでは、事業運営の手間は大きく変わります。スタッフが店舗運営に1名でも必要だと、休みや勤務時間を考慮し複数人の採用が必要となります。そうなると、採用やシフト管理や給与計算やモチベーションアップのためのマネジメントなど、多くの仕事が必要となります。また、SuicaやPASMOを代表とする電子マネーに対応しているため、レジ金など金銭の受け渡しや収集の数を減らすことができています。これらのことから、日常の店舗運用に心配する必要がありません。

・機械メンテやお客様の問い合わせ対応など監理サポートサービスを用意
コインランドリー運営において故障の可能性が高いのが、洗濯機や乾燥機などの設備機器です。機械の故障は、もしもの事態に対応できるサポートシステムが用意されています。また、お客様の問い合わせ対応や万が一に発生するクレーム対応などもコールセンターでの対応が可能です。その他の、店舗の近隣住民対応から集金などの日頃の店舗の細かい運用についてもサポートできる体制があります。

それ以外にも、マンマチャオではホームページのSEO対策といった店舗を周知させるインターネット上の対策をサポートします。そのため、ネットで調べてから来店することの多い主婦層を獲得する可能性が高まります。

そして、ここまでできるマンマチャオのフランチャイズには加盟金とロイヤリティがありません。つまり、フランチャイズの対価は0円です。これは、フランチャイズでは非常に珍しいモデルと言えます。通常だと、フランチャイズ締結を行う段階での加盟金が条件によって0円になることはありますが、毎月フランチャイズに支払いするロイヤリティが無料なのは非常に珍しいケースです。

加盟金がないのは、初期投資の金額が比較的高いコインランドリービジネスにおいて非常にありがたい話です。また、ロイヤリティがないのは毎月のコスト負担が軽減されます。ただし、前述のとおりマンマチャオでは非常に充実したサポートを受けられるだけでなく、事業成功のキーとなる店舗出店エリアに対するリサーチやどのような機械をどれくらい設置するかなども丁寧な提案を受けることができます(mammaciao「コインランドリー経営で安定収入の確保&売上UP」)。

② WASHハウス

WASHハウスは、コインランドリー事業からスタートした会社ではありません。そのスタートは、継続的に収益が出る新たなビジネスモデルの構築を先駆的な取り組みをおこなってきました。その新たなビジネスモデルの構築の対象となったものがコインランドリー事業でした。

コインランドリービジネスは、在庫やロスなどのいわゆるビジネスを進めていく中で発生する無駄が少ないビジネスと言えます。また、コインランドリービジネスを行うのは、個人経営あるがゆえに経営意識も高くなく法令なども改変などが進まない改善余地の多い業界であると認識しています。

WASHハウスのコインランドリービジネスは、他のコインランドリービジネスに多い2つの考え方の否定にもとづいてビジネスモデルが構築されています。

遊休地活用ではない コインランドリービジネスは、集客が多く見込めるエリアに出店することが成功の鍵を握ります。そのため、遊休地の活用を目的に、コインランドリーを開業することを推奨するようなことはしません。出店するエリアの選定のノウハウと、蓄積されたデータに基づく分析を行うことで、出店エリアを提案することができます。
サイドビジネス的発想ではない 安全・安心・清潔で主婦をはじめとするお店に行ってみたいまたはまた来たいと思われるコインランドリーの店舗運営を維持することは、簡単ではありません。“高品質なサービス”があってこそ、コインランドリービジネスは成功するものと考えます。差別化が図れる店舗運営のノウハウが必要と考えられています。

つまり、WASHハウスのコインランドリーの考え方は、投資的な資金を提供してリターンを得ることより、より事業として捉えていることが分かります。一方で、加盟店オーナーに対してはフルサポートの『全店舗一括管理運営方式』を導入にしています。

・全店舗一括管理運営方式
全店舗一括管理運営方式とは、店舗運営と監理などコインランドリービジネスを行う全ての事業活動をWASHハウスフランチャイズ本部が実施します。具体的には、以下の事項を本部側が実施します。

24時間365日受付コールセンター
ウェブカメラと機器の遠隔コントロールによるタイムリーなサポート
日々の点検や清掃
洗剤などの消耗品の補充やメンテナンス巡回
SEOなどのインターネット広告を中心とした宣伝・広告活動

特に、WASHハウスでは、IoT(インターネットオブシングス)と言う利用回数をネット経由で把握することや遠隔で機器を操作することなどインターネットを通じた遠隔での操作や情報収集に力を入れています。

また、24時間店舗の状況をモニタ監視しているため、店舗に人を配置することなく有人店舗と同様のサービスを提供することができます。今後より一層店舗運営効率を向上させながら、お客様のタイムリーなニーズに対応していくサービス提供ができる体制の構築をしていくことが期待できます。

また、それ以外でもお客様のニーズに応える布団丸洗いが可能な容量最大22Kgの洗濯機の設置や25kgまで対応する乾燥機などが標準店舗に設置されています。スポーツシューズやスニーカーなどが丸洗いできるスニーカーランドリーやシミ抜き機器なども利用できます。

・選択事業を核とする付帯事業拡大へ
いま、コインランドリービジネスは現在成長産業です。しかし、10年先や20年先を考えると、環境変化が目まぐるしい現在において主力事業1本で事業展開を行うことはリスクもあります。そのため、洗濯・乾燥を核にしながら付随する事業へビジネスの拡大を行うことを目指しています。そうすることで収益自体を増やすだけではなく、複数の収益源を持つことで変化や不況に対応する幅を持つことができます。

・海外進出を見据える
WASHハウスのフィールドは、国内に留まりません。2009年に監視カメラと遠隔操作を組み合わせたコインランドリー管理システムについて中国と韓国での特許を取得しています。また、現在はコインランドリー先進国であるアメリカ進出を検討しています。アメリカのコインランドリー店は29,500件で、日本市場の数倍の規模があると言われます。しかし、そのサービス質は決して高くなく、個人経営が多いためその経営効率も良くありません。そこで、全店舗一括管理運営方式を導入することで、サービス質の向上と経営効率の向上の両方を実現できる可能性があります(WASHハウスホームページ「WASHハウスのビジネスモデル」)。

③ コインランドリーピエロ

安心・清潔な空間で、楽しい洗濯を標榜して、主婦が選ぶコインランドリー支持率第1位を獲得しているのが、コインランドリーピエロです。

クリーニング業務用洗剤をコインランドリー用にアレンジしたオリジナル洗剤を利用しています。植物由来の洗浄成分を利用しながらクリーニング業務用洗剤に負けない高い洗浄力を発揮し、除菌・抗菌・防臭を実現します。また、泡切れが良いためすすぎが1度で済むため洗濯がスピーディーに終了します。柔軟でふっくらしたお肌に優しい洗濯の仕上がりになりながらも、様々な色の衣類を同時に洗っても色移りなどが起こりにくい洗剤です。

また、コインランドリーピエロは、清潔・安心にこだわってマイナスイオン水を利用しています。マイナスイオン水を利用することで、たんぱく質や油脂の汚れに強く、除菌効果があります。マイナスイオン水には、医療現場などの消毒に使用されている電解次亜塩素酸が含まれています。

・らくらくパック
コインランドリーピエロのらくらくパックは、コインランドリーオーナーの業務運営をすべて任せることができるパッケージです。清掃や集金や運営業務をカバーするパックが月々68,400円で、コールセンター業務をカバーするパックが16,500円になります。2つのパック合計84,900円でコインランドリー事業の全ての業務を任せることができます。
機器のメンテナンスはもちろん、毎日の清掃や洗剤などの消耗品の補充に加えて、月々の売上レポートなどもあるため文字通り全て任せることができます。

なお、コインランドリーピエロでは契約時に加盟金100万円がかかりますが、事業をおこなう上で毎月発生するロイヤリティは必要ありません。そのため、フランチャイズ本部に対して毎月固定的に発生するコストは、らくらくパック(サービスに加入した場合)のみになります。

・完成店舗
コインランドリーピエロでは、店舗開発スタッフが日々コインランドリーに適した立地探しを行っており、条件に合うテナントに対しては徹底的な調査を行い、魅力的な出店場所を提案しています(コインランドリーピエロホームページ

フランチャイズのメリット

フランチャイズのメリット

コインランドリービジネスは、個人経営が大半です。紹介したフランチャイズも現在フランチャイズ加盟店を増やしているもの、圧倒的にフランチャイズに加盟していないコインランドリーの方が多いのが実態です。それでも、近年フランチャイズ加盟店は着実に増えています。前述のフランチャイズ3社も近年フランチャイズ加盟店を順調に伸ばしています。また、都市部を中心としたコインランドリー需要をカバーするようにフランチャイズ店舗が増えていることも注目すべき点になります。

これは、必ずしもフランチャイズを利用しなくてもできるコインランドリービジネスですが、フランチャイズ本部の頑張りによって差が生まれている事実に基づいています。フランチャイズに加盟してコインランドリービジネスを行うメリットの代表的な3点を紹介します。

フランチャイズのメリット

  1. ①総合的な店舗運営をカバーできる
  2. ②導入時の最適な機器の提案を受けることができる
  3. ③事業を継続する上でのビジネスパートナーができる

①総合的な店舗運営をカバーできる

前述のとおり、コインランドリーのユーザーは変化しました。学生や単身者は、洗濯ができることが重要でした。極端な言い方ですが、洗濯ができればよかったともいえます。しかし、メインユーザーが女性に変わってニーズが複雑化しています。より良くより安くサービス質が変わりました。“より良くより安く”を実現するために、サービス質が求められることになります。サービス質を向上させるためにはビジネスノウハウが生まれてきます。

一方で、コインランドリーを始めたいオーナーは自分で経営をしたい方と投資としてリターンに期待する投資家もいます。投資目的でコインランドリーのオーナーになる場合には、できるだけ事業に手間を掛けたくない本音があります。そこで、まるまるパックのような事業運営をすべて任せるモデルがコインランドリーのフランチャイズサービスには発展しています。

これは、お客様のニーズにもフランチャイズ加盟店オーナーのニーズにも応えるフランチャイズならではのメリットと言うことができます。

②導入時の最適な機器の提案を受けることができる

コインランドリー店舗を始めようとする時に必須になるのが、洗濯機や乾燥機など設備購入です。この時に大きくメーカーから購入するか、フランチャイズ本部と契約して購入するかの2者択一になります。

この時にメーカーやその代理店を介して購入する場合には、取扱商品に偏りが出てしまいます。各メーカーに強い点や弱い点があるからです。もちろん、複数のメーカーから購入することもできますが、その後の保守や購入価格のことを考えると、メーカーをまとめないと購入もその後の運用も煩雑になることが少なくありません。

しかし、フランチャイズと契約して商品を購入すれば、実際の店舗経営・運営に基づく売上や利益が出る最適な機器の提案を受けることができます。また、フランチャイズから仕入れた機器であれば、すべてまとめて店舗運営を任せることができるため、運用の煩雑さの心配も不要です。

③事業を継続する上でのビジネスパートナーができる

どんなビジネスでも、景気の良い時と悪い時があります。コインランドリービジネスも同様で、今は成長を続けていますが、10年や20年の期間でみると経営が苦しくなる時が来ます。この時こそ、フランチャイズの強みが生かされるタイミングです。

具体的には、コインランドリービジネスが優秀なビジネスモデルであればあるほど、競合他社が増えていきます。洗濯機や乾燥機の機能は数年単位で進歩していきます。同じ商圏に新しい店舗ができた場合、同じ洗濯や乾燥だけなら新しい機器を設置している店舗にお客様を奪われる可能性が強まります。

このような時に、長期的にお客様を囲い込むために必要となるのが、ブランディングとマーケティングです。ブランディングは各フランチャイズ本部と加盟店が築き上げてきた信頼です。市場に複数の参入者が加わる時期には、サービス質に大きな幅が生まれることが多くあります。その中でコインランドリーを利用するユーザーが求める清潔さや安全や安心を継続的に提供できない店舗や企業も出てきます。その際に、統一された運用で同一のサービス質を維持するフランチャイズ運営は大きな助けになります。

また、広告や宣伝のマーケティングも同様で、競合他社が出てくるほど重要になります。共働きの夫婦層を獲得したように新規顧客層を獲得するのはマーケティングのタスクになります。これらの長い時間と資金を要する新規顧客層の獲得は、フランチャイズなどの一定数の規模の大きさがあることが重要になります。また、付属ビジネスの提案や囲い込みなど既存ユーザーにより良いサービスを展開してくこともマーケティングになります。成功事例も課題も多く情報収集できるフランチャイズ本部だからこそ見つけられる改善策があります。

フランチャイズのデメリット

フランチャイズに加盟することは、デメリットもあります。また、コインランドリー事業においてはフランチャイズを選択しなくてもメーカーの保証やサービスを活用して開業することができます。そのため、冷静にコインランドリーフランチャイズのデメリットを検討することが重要です。デメリットを検討せずフランチャイズに加盟してしまうと、後悔する機会が多くなってしまいます。

コインランドリーのフランチャイズデメリットは以下の通りです。

フランチャイズのデメリット

  1. ①自分の店舗である意識が希薄になってしまう
  2. ②経営の自由度がない
  3. ③加盟金やロイヤリティなどの費用が発生する場合がある

①自分の店舗である意識が希薄になってしまう

良い意味でも悪い意味でも、コインランドリーのフランチャイズは店舗運営全てを任せることができます。そのため、投資に近い感覚でコインランドリーのフランチャイズ加盟する方もいます。

しかし、これはどのフランチャイズビジネスに共通することですが、経営責任はあくまでオーナーにあります。利回りが高いことに期待してオーナーになったが、思うほど利益が出ない場合や、閉店しなければならないほど損失が出てしまう場合もあります。運営全てをフランチャイズ本部に任せることができる利便性は、事業責任を希薄にしてしまうことや経営がうまく行かなくなる予兆や変化に気づく機会を少なくします。さらに、任せきることで最終的な経営責任があいまいになってしまう可能性があります。

店舗運営の本気度は、店舗の清潔さやサービスの質や販促の内容によってお客様に伝わります。フランチャイズ本部は、日々の売上や店舗運営についても気にかけてくれるかもしれませんが、あくまで別経営であることを認識して、経営者としての意識をもって店舗運営に関わることが必要です。

②経営の自由度がない

フランチャイズ全般に言えることですが、フランチャイズ契約は様々な制約が設けられています。そのため、経営の自由度は少なくなります。特に店舗の外装や内装のデザインに自分の好みを反映させたい方には不向きです。

近年は、カフェなどのおしゃれな雰囲気の店舗に併設するコインランドリーもできてきていますが、これらは独立型のコインランドリーだからできる方法になります。フランチャイズはブランドイメージを統一することで規模の利益を追求するため、外装や内装はどうしても画一的になります。

また、サービスの値段やサービス内容も統一されているため、地域の特徴を最大限に生かすような差別化ができる自由度も低いといえます。活用したい土地があって、その土地にあったサービスを展開したい場合にも、フランチャイズより独立系の出店が向いています。

③加盟金やロイヤリティなどの費用が発生する場合がある

コインランドリーでは加盟金やロイヤリティがないフランチャイズ本部もあります。しかし、加盟金だけは発生するパターンや、両方発生するパターンもあります。フランチャイズに関わらず、最もキャッシュアウトが多いのは、起業や開業時点です。そのタイミングに発生する加盟金は非常に重い負担です。

また、発生する条件次第ではありますが、毎月のロイヤリティは毎月の収益に負担になります。これらはフランチャイズに加盟しているからこそ得られる利益とのバランスが重要になるため、フランチャイズに加盟することで得られる利益と十分な比較をすることが重要です。

コインランドリーの開業

コインランドリーの開業

事業を行おうとする時に最も苦労が多いのが、起業です。起業すること自体も簡単ではないうえに、起業時に考慮しておくべきことを考慮していないとその後の事業に大きな影響が出ることも少なくありません。この起業時の苦労が圧倒的に少ないのは、フランチャイズに加盟しての起業です。

コインランドリービジネスの起業は、開業となります。そこで、コインランドリーの開業方法を『独自で開業』と『フランチャイズで開業』の二つを比較してその差を明確にしていきます。

独自での開業

コインランドリーの開業の基本の流れは、以下の通りです。

①立地調査 コインランドリーの店舗を開業する土地を決定します。すでに土地を所有している場合には、その土地がコインランドリーの店舗に適しているのか商圏分析と調査をします。土地を所有していない場合には、コインランドリーに適した土地を探すことになります。これらは、不動産の仲介会社やコインランドリーメーカーや販売店の協力を得ることができます。
②収益計画と資金計画作成 収益計画とそのために必要な資金計画を作成します。土地調査とは同時に行うことが必要です。どのくらいの売上が欲しいのかは、立地によるところが大きく影響します。また、テナントの建築や機器の種類や台数などによっても収益は変わってきます。収益と費用をできるだけ具体的に収益計画と資金計画を立てます。
なお、コインランドリーの開業にはその初期費用で1,500~3,000万円ほどの資金が必要です。
③店舗運営と内装設備の決定 具体的な収益計画と資金計画を基に、開業する土地を決定し、内装や洗濯機や乾燥機などの設備機器を選定していきます。また、設備は一括で購入もできますが、リースやレンタルを行うことで開業時のキャッシュアウトを抑えることができます。
④施工/工事 店舗の施工業者を決定し、実際の工事を行います。この際にも、施工業者と綿密な打ち合わせが必要です。
⑤開業準備 開業にむけて、ホームページの作成やSNSやチラシなどを利用した宣伝・広告を行います。また、来店したお客様が気持ちよく洗濯や乾燥ができることやそれを待つ間に快適になるよう、日々の店舗の掃除や機器のメンテナンスなどのやり方を憶えます。
●保健所にて『コインオペレーションクリーニング営業施設開設届け』を提出し、検査済証の交付受ける必要があります。詳しくは、開業しようとする店舗を管轄する保健所に問い合わせが可能です。
⑤開業 晴れて開業となります。

コインランドリーの開業を独自で行おうとすると、上記の立地調査から収支や資金計画の作成や店舗開業に関わるほぼ全てを決定することが必要です。元々の知識がある方や自分で調査や調べることが好きでこだわりを実現したい方に向いているといえます。

フランチャイズでの開業

フランチャイズでの開業では上記の独自の開業に『コインランドリーフランチャイズ本部選び』と『フランチャイズ本部との契約』が加わります。工程が増えることになりますが、実際にはフランチャイズ本部が決まれば、フランチャイズ本部のサポートや支援を受けられるため、立地調査から開業までの負担は大幅に軽減できます。

●コインランドリーフランチャイズ本部選びのポイント
コインランドリーフランチャイズ本部選びのポイントは、実績とサポート体制を軸に絞っていくことを推奨します。

特に、実績については根拠となるエビデンスを確認し、信用ができる情報であるかを確認します。利益率〇〇%といった数値は特に留意して、どの時期の数値を利用しているかどのような計算かなど数値根拠を確認します。そのうえで、その根拠が自分にも当てはまるかを確認します。

また、出店場所の選定方法の有効性とランドリー機器の取り扱い幅と開業後の運用に対するサポート体制は収益に大きく影響します。実績や近隣のフランチャイズ加盟店オーナーや話を聞くなどしてフランチャイズ本部以外からも意識的に情報を得るようにすることが必要です。1つのフランチャイズ本部の話を聞いて決定するのではなく、最低限2社以上のフランチャイズ本部の話を聞いてから決定するようにします。

まとめ

まとめ

今回は市場の成長がまだ期待できるコインランドリービジネスについて、その成長要因とフランチャイズのメリット・デメリットと開業の流れを解説しました。この解説を通して、コインランドリービジネスはシンプルではありますが、計画した利益を出すことは決して簡単ではありません。

フランチャイズにもデメリットはありますが、必要な知識や経験を補うには非常に有効な仕組みです。そのため、どのフランチャイズ本部もコインランドリービジネスに対して豊富な知識や情報をもっています。コインランドリービジネスに十分な知識や経験がある場合は別ですが、開業を検討する場合、一度フランチャイズ本部の話を聞いておくのがおすすめです。