無店舗型フランチャイズとは?メリットとデメリットも紹介

「フランチャイズを開業するためには店舗が必ず必要」と思い込んでいないでしょうか。最近は店舗を持たなくても開業できる無店舗型フランチャイズが人気となっており、開業資金や運転資金を抑えると評判です。また、フランチャイズに加盟すると、出来上がっているビジネスモデルやサービスや研修制度を活用できるのも大きなメリットです。

新型コロナウイルス感染防止やオリンピックやパラリンピック終了後にやってくると予想される不況など、先が見通しにくい状況では事業の運転資金が低いことやビジネスモデルが確立されているフランチャイズを活用することはアドバンテージになります。

この記事では、今こそフランチャイズを検討している人や情報収集している人に覚えておいて欲しい無店舗型フランチャイズのメリット・デメリットと具体的なフランチャイズサービスを紹介するので、ご参考ください。

無店舗型ビジネス

ショップや店を持たずにビジネスを展開することを無店舗ビジネスと言います。店舗を持たないため、低資金で開業することができるため、リスクを抑えたい方には向いているビジネスになります。

●コロナ禍で注目を集める

新型コロナウイルス感染対策のために人との接触を制限された中で、多くの変化が求められました。接触を控える中で店舗の営業時間は制限され、様々な業界で経営の悪化や事業の縮小も余儀なくされました。

また、従業員同士の接触を控えるために働き方自体も従来のオフィスに通勤して働く今までの常識からリモートワークなどを活用して自宅で働く新常識も生まれています。

これらのことから、コロナ禍によって従来の『店舗ありき』『オフィスありき』の働く場所への考え方が変わってきています。

店舗やオフィスを新たに構える必要が無い無店舗型ビジネスは、“開業すること”と“業態を変更する”ことが有店舗型ビジネスより圧倒的にスピードで勝ります。また、固定費が少なくて済むため損益分岐が低くなるので利益を残しやすくなります。

そのため、不況化においてテスト&エラーを繰り返して市場にあったサービスを見つけ出せて、かつ利益が出しやすいビジネスモデルとして無店舗型ビジネスは注目されています。

無店舗型フランチャイズとは

無店舗型フランチャイズとは、無店舗型ビジネスを実施しているフランチャイズです。無店舗型ビジネスは独立型のビジネスもフランチャイズビジネスも含んでいるため、その中でフランチャイズのみを括ると無店舗型フランチャイズと呼ばれます。

フランチャイズは、無店舗型ビジネスの持つ“認知度が低くなる”弱みを解消してくれる効果が期待できます。

店舗は、目で見えます。当たり前のことですが、この当たり前がビジネスには影響します。店舗がない、実際にサービスが見えないことは認知度や信頼度に影響があるからです。

特に、個人で無店舗型ビジネスを始めると認知度が低くなりがちです。その結果、信用度を上げることに苦戦を強いられる結果になることがあります。

開業時点においてフランチャイズビジネスのメリットと言えるのは、上記のように個人では苦戦しがちな認知度や信用度が高いことです。これは、無店舗型フランチャイズでも同じことが言えます。

フランチャイズビジネスでは、フランチャイズ本部がマーケティングなどを通じて知名度を向上・改善させていきます。そして、フランチャイズに加盟する事業者は知名度の高いサービス名称やブランディングを活用してビジネスができるため、知名度や信用度が高い状態で事業を開始できます。

有店舗型フランチャイズとの比較

ビジネスにおいて一般的なのは、店舗があるビジネスです。この店舗があるビジネスを、有店舗型ビジネスと言います。

フランチャイズビジネスでは、その数でも売り上げ規模でも圧倒的に有店舗型フランチャイズが無店舗型フランチャイズより大きくなっています。その数は、日本フランチャイズチェーン協会のJFAフランチャイズチェーン統計調査で確認できます。

統計調査によると、フランチャイズの3大業種は『小売業』『外食業』『サービス業』になります。小売業のうち、その売り上げの半分以上をセブンイレブンやローソンなどのコンビニエンスストアが占めています。

また、外食業は近年コロナ禍でのテイクアウト需要が伸びていることはありますが、一般的には店舗営業がメインになっています。サービス業についてもクリーンサービスやクリーニングなどコインランドリーや理容・美容業などのため店舗ありきのサービスと言えます。

つまり、有店舗型フランチャイズビジネスの方が圧倒的であり、一般的であると言えます。しかし、ビジネスオーナーになるなら時代の流れにのることと今までにないサービスを展開することの両方の視点が必要です。

今、無店舗型フランチャイズなど店舗を持たないことや来店しなくても良いといった無店舗型ならではのサービスを活かして、既存の有店舗型ビジネスにはない強みを見つけることができるなら成功に近づくことができます。

●店舗型フランチャイズの特徴

無店舗型フランチャイズをより深く理解するために、有店舗型フランチャイズの特徴をおさえておきます。店舗があることから分かる情報によってお客様を増やしていけるのが有店舗型フランチャイズの特徴です。店舗が広告塔としての役割を担います。

店舗を建設している段階から、通りすがりの人は「何の店ができるのか?」興味を持つ人も大勢います。また、実際の商売を始めればスタッフやサービスの様子からどんなお客様が多いのかなど、多くのことを店舗の前を通るだけで見ることができます。

そのため、店舗の周辺の人通りや人気エリアなどの立地条件によって売上や来店数に大きく影響を与えます。店舗をオープンしたタイミングから開店セールなどの販促をすることで、開店と同時にビジネスを軌道に乗せることも可能です。

一方、立地条件の良い場所は人気が高く、家賃が高くなることやそもそも場所が空かずに借りること自体が難しいなどの課題もあります。店舗があるため、商圏が限定されることや家賃が固定費として必ず発生することも有店舗型フランチャイズでは注意が必要になります。

意外と多いビジネス例

無店舗型フランチャイズは、お客様がサービスを受ける場所はお客様の家やオフィスになるビジネスになります。しかし、それだけの説明だと実際にイメージしにくいこともあるので、具体的なビジネスの種類を紹介します。

●清掃業や家事代行業

法人や個人に関わらず展開できるのは、清掃業です。一言で清掃といっても、法人で言えばオフィスや店舗はもちろん、賃貸物件など幅広い対象があります。また、近年はエアコンなどの設備に対しての清掃の需要も広がっています。

また、個人向けとしては清掃を含む家事代行業も広がりを見せています。特に、近年は共働き夫婦や単身世帯や高齢者世帯の増加によって家事に割り振る時間が減少しています*。その結果、家事代行業の市場の成長が見込まれています。

*厚生労働省「専業主婦世帯と共働き世帯の推移」より

●家具や家電などのリペア事業

物は買う時代から修理して使い続けるリユース・リペアを選ぶ人が増えています。

特に機械・家具等修理業については、資料が古いですが5兆89百億円の市場規模と非常に大きく、また今後も成長が予想されています*。

*経済産業省「リユース・リペアの市場規模の推計」より

家具やインテリアのリペアはその代表格と言えます。家具は、本革などの革製品やプラスチックや木材など幅広い素材によって作られています。これらを自分で直そうとすると、専門技術の習得や専用工具を揃える必要があります。そのため、自分でリペアを行うのは一般的にはハードルが高くなっています。

また、近年は個人向けの市場だけでなく、自動車の内装や宿泊施設や飲食店や美容院のインテリア家具やソファーなど事業用向けの市場も広がりを見せています。

また、スマートフォンやパソコンなどのIT機器を含めた家電の修理やリペアも根強いニーズがあります。特に、少子高齢化による高齢者の1人住まいや夫婦2人住まいにおいて、今後のIT家電の広まりによって古い家電の修理ができてかつIT家電へのリテラシーが高い人材は継続的にニーズを獲得できる可能性があります。

●ネットビジネス

ネットビジネスとは、主にインターネットを使って行うビジネスの総称です。そのため、ネットビジネスは幅広い種類の仕事があります。

幅広い総称であるがゆえに、“簡単に稼げる“や“いかがわしい“など特定のイメージが先行している場合もあるので注意が必要です。

ネットビジネスは、ホームページやプラットフォームと呼ばれる特定の目的を持った人が集まるサービスを主に活用します。

無店舗型フランチャイズも同様で、ECサイトなどを通じたビジネスが多くなっています。ECサイトとは、モール型と言われる楽天市場やアマゾンやyahoo!ショッピングなどに出店することや自社でサイトを構築する自社サイトを言います。

経済産業省が集計した消費者向け電子商取引の市場規模*は19.4兆億円(令和元年)となっています。また同じ年の事業者向けの電子商取引は353.0兆円とそれぞれここ10年以上高い成長率で市場を広げています。また、今後もオムニチャネルなどの店舗とネットの両方を活用するなどよりECサイトの需要は広がり、利用者や利用頻度が高まることが予想されています。

*経済産業省令和元年度調査『電子商取引に関する市場調査』より

●営業代行などのフランチャイズ

営業力や人脈に自信がある人におすすめの無店舗型フランチャイズビジネスは、販売代理のフランチャイズになります。

販売代理業のフランチャイズでは、基本的には事前に商品を仕入れておく必要はなく、商品の申込ベースで仕入れて設置することができるパターンを採用していることが多くなっています。

過去は、フランチャイズと販売代理は区別されていましたが、現在はその垣根が少しずつ低くなっているともいえます。特にフランチャイズであることは、販売代理業よりもブランディングを活用できる範囲が広がります。

営業力や人脈だけでなく、そこに商品や運営における信頼が加わることはより営業力や人脈を活かすチャンスが広がります。

無店舗型フランチャイズのメリットとデメリット

無店舗型フランチャイズについては、有店舗型フランチャイズと異なり、店舗が無いことが最大の特徴と言えます。経営を安定的かつ継続的な利益を得るためにビジネスで重要なことの一つは、“強みを活かす”ことです。無店舗型フランチャイズにおいては、店舗が無いことを強みとしてプラスにかつ最大限に活かすことが重要になります。

その他、無店舗型フランチャイズの特徴を理解して、メリットを最大限にしてデメリットを最小限におさえることで経営がうまく行きます。そのためには、メリットだけではなくデメリットも充分な理解が必要です。

メリット

無店舗型フランチャイズのメリットは、フランチャイズのブランディングを活かせることと店舗をもたないことの2つに起因してきます。

費用を抑えられる

店舗がなければ、店舗の設備購入や家賃などの開業資金が抑えられます。開業資金が抑えられるのと同時に、毎月の家賃が発生しないことは経営上非常に大きなアドバンテージになります。

無店舗型のフランチャイズの多くは、家賃が発生しないことをはじめとして売上が無くても発生してくる固定費を抑えるビジネスモデルが多いことが特徴です。固定費が抑えられることは、利益を出すために必要な売り上げが低くできるメリットになります。

年商や売上がいくら多かったとしても、その分費用が発生していたら儲かったことになりません。同じ年商や売上であるならば費用が少ないほうが儲かる可能性が高くなります。

また、費用を抑えることで利益が上げやすい経営体制があれば、お客様に対するサービス単価を下げて競合他社よりも安い金額設定で販売やサービスを展開することもできて、シェアの獲得などや新規顧客の獲得が成功する可能性を高めることができます。

スタッフの人件費をコントロールできる

店舗がある場合、来店するお客様を予想してスタッフの採用が必要です。例えば、コンビニなどの店舗ではお客様の来店があることを想定して24時間スタッフを店舗に配置することが必要です。

無店舗型の場合、お客様が店にくることを想定した体制をとっておく必要がありません。もちろん、無店舗型フランチャイズでもその事業内容によってはサービス提供でスタッフが必要になることがあります。しかし、その時はサービス=売上が入るタイミングで必要なスタッフの力を借りることができます。

スタッフの人件費が、固定費ではなく売上があるときに発生する変動費になるようにできれば人件費の負担をコントロールすることができます。

例えば、無店舗型フランチャイズをサービス業で始めた場合には、仕事を受注して人手が必要な時に必要な分のスタッフをアルバイトなどで手配することで人件費を抑えることができます。

●コロナ禍での人の接触もコントロールできる

令和3年7月現在も続くコロナ禍において、新しく発生したリスクが“人との接触”です。いわゆる“3密”を避けることが事業を継続する上で必須となりました。アルコールを提供する飲食店などが代表的ですが、営業事態を制限される状態となっています。

このコロナ禍では、店舗を持たないことはよりメリットがあります。店舗がなければ、原則来店者がありません。そのため、3密を避けるために事業上で制限を受けることがないか、制限が発生しても有店舗型と比較すれば限定されます。

無店舗型の強みは、商圏が広いことです。無店舗型フランチャイズでは、フランチャイズの知名度を活用しながら広いエリアからお客様を獲得できる可能性があります。

商圏とは、集客できる見込みがあるお客様の居住範囲です。一般的には、毎日使う商品やサービスの商圏は狭くなり、選んで使う商品やサービスの商圏は広くなります。

店舗がある場合には、この商圏が売上や利益に大きく影響してきます。そのため、商圏の特徴を理解して効果的な外装を含めた店舗造りや品揃えや販促活動が必要となります。

少子高齢化が進む現在の日本において、長期的に考えた場合には消費者は減少していきます。2050年には、人口が9515万人になり、高齢化率は約40%になると言われています*。

これからの日本の人口減少の中で、商圏が固定されることは経営上のリスクとなりえます。

一方、無店舗型の場合には、商圏が広がります。特に、Eコマースなどのネットビジネスにおいて商圏は有店舗型と比較して格段に広がります。ネットで商品を販売する場合には、消費者が日本国外であることすらあります。

また、無店舗型であれば商圏やサービス対象エリアを変更することが比較的容易です。店舗があると商圏の移動は、店舗の移動が伴うため新しい店舗の開設費用や旧店舗の閉鎖費用など移転費用が高額になりがちです。

無店舗型フランチャイズであっても、サービス対象エリアの変更にはフランチャイズ本部と調整が必要です。また、既存の顧客へのサービスを継続可能な状態を考慮することが必要です。

*総務省「我が国における総人口の長期的推移」より

デメリット

無店舗型フランチャイズのデメリットは、メリットの裏返しであると言えます。店舗が無いと言う無店舗型フランチャイズの特徴を活かすことも失敗に繋がってしまうこともやり方次第です。

そのため、デメリットとしている部分の内容を理解して、フランチャイズを検討する時もすでにフランチャイズを事業として開始している時でも特徴をマイナスに結びつけていないかを慎重に確認することが必要です。

簡単に始めてしまう

無店舗型でフランチャイズビジネスを開始するのは、簡単にビジネスを開始することができます。これは裏を返すと、簡単に始めてしまうリスクがあります。

無店舗型は有店舗型より開業資金を抑えることができるため、資金が無くても始めやすい点があります。また、フランチャイズはビジネスモデルやブランドや商品や運用マニュアルなどが用意されているため、独自開業と比較するとやはり簡単に始めることができます。

簡単に始められることは、決して悪いことではありません。ビジネスを成功させるには、流れやタイミングが重要な場合も多くあります。タイミングを逃さないためには、簡単に始められることは大きなメリットになります。

しかし、“簡単”という言葉をうのみにして、事業を開始するにあたって必要な“覚悟”や“準備”ができていない状況で簡単に始めてしまうことは危険です。ビジネスのオーナーとして事業の全てを自己責任としてやっていく覚悟をもって、自分のビジネスを成功させたいという想いでビジネスプランを立てることや事業資金を調達しているかは大きな差になります。

もともと、フランチャイズはフランチャイズ本部が大半のことをサポートしてくれるモデルのため、フランチャイズオーナーがフランチャイズ本部に頼りきってしまうことも発生しやすくなっています。

●独立した事業者としての心構え

中小企業庁がフランチャイズ契約の留意点をまとめた『フランチャイズ事業を始めるにあたって』には、その資料の冒頭に加盟者=フランチャイズオーナーになる人が必要な心構えを記載しています。その心構えの1番目が『加盟店は独立した事業者です。』となっています。

フランチャイズ契約は個人と事業者の契約ではありません。フランチャイズ加盟店と本部それぞれが独立した事業者の契約であることを認識する必要があります。事業者同士で契約することは、それぞれが自身の利益のために行う商行為になります。フランチャイズオーナーのためになることでも、自分の不利益になるのであればフランチャイズ本部は実施しないこともあります。

フランチャイズビジネスは、お互いをビジネスパートナーとして双方の利益になる仕組みになっています。それでも、解約の際に解約違約金が発生してトラブルになるなど、フランチャイズ契約自体にトラブルが無いわけではありません。

トラブルを回避するためにも、独立した事業者として結果に責任をとる覚悟でフランチャイズ本部の選択やフランチャイズ契約の確認が必要です。

専門的な技術や知識が必要

無店舗型フランチャイズでも、全てのビジネスが簡単なわけではありません。一般的に、消費者や事業者からお金をもらうためには、払うだけの価値のあるサービスや商品を用意する必要があります。

価値のあるサービスや商品を用意することは簡単ではありません。お金をもらえるだけのサービスや商品レベルを維持するためには、専門的な技術や知識の習得が必要になります。

必要な技術や知識はフランチャイズ本部が勉強会やマニュアルを用意してくれます。しかし、その技術や知識を時分のものにしてお客様がまた利用したいと思うだけのサービスを提供することは簡単ではありません。

●集客知識は必須

店舗が無いので、集客するためにはフランチャイズオーナーの集客アプローチが必須です。いかにうまく集客するかは店舗の有無に関わらず重要です。

有店舗型フランチャイズでは店舗があることで“お客様が見つけてきてくれる”集客が見込めます。例えば、セブンイレブンなどのコンビニへのどが渇いたので飲物を買うために立ち寄ったといった通りすがりの集客が見込めます。また、飲食店などもお昼時や夕飯時に近くに合った店を見つけて入った、といったこともあります。

しかし、無店舗型は店舗がないのでこういったお客様が見つけてくれる集客がほぼ期待できません。そのため、オーナー自ら集客の知識を習得して、集客のアプローチをとる必要があります。

集客するために必要となるのが、ブランド力とリサーチと広告です。このうち、フランチャイズであればブランド力はフランチャイズ本部が主に向上するためのアクションを起こします。

ブランド力とは、サービスや商品などが持っている知名度などの価値です。みんなが知っていて、多少値段が高くても欲しいと思ってもらえるサービスや商品はブランド力が高いと言えます。

一方で、ブランド力に不祥事や品質が悪いなどのマイナスな印象がつくと購入や申込が控えられてしまいます。

フランチャイズ事業におけるブランド力の強化は、フランチャイズ本部が担う部分が大きくなります。フランチャイズ本部は、加盟店から受け取るロイヤリティなどの収入を原資にブランド力を強化する施策を継続的に実施していきます。

言い換えると、ブランド力強化はフランチャイズ本部に依存する部分が強くなります。事業を選ぶ時には、ブランド力強化への力の入れ具合やその施策を必須で確認します。

加えて、フランチャイズの運用規約や規定の細かさもブランド力に影響を与えます。運用規約や規定が粗いとフランチャイズ加盟店の自由度が高くなります。

経営が自由にできることは良い面もあります。一方で、サービスや商品や運営が統一されにくくなりブランド力が落ちる場合があります。また、同じ看板やサービスや商品名称を使っているため、1店舗の不祥事は他のフランチャイズ加盟店にも影響が出てしまう場合があります。

続いて、リサーチについて説明します。リサーチとは、集客する上で誰に対してアプローチをするのか、いわゆるターゲットを決めるための調査です。サービスを気に入ってくれて、お金を払って継続的な顧客になってくれるのはどのような層か?というターゲット層を見つけることがリサーチになります。

フランチャイズ事業においては本部がすでにリサーチを行い、ターゲット層を特定していることが一般的です。そのため、フランチャイズ契約を決めるまでに、ターゲット層の特徴やその数は把握したうえで、10年などの単位で将来も事業がうまくやっていくのに充分なターゲット層がい続けるかを予測しておくことも重要です。

ブランド力とリサーチがあって、広告を行います。無店舗型フランチャイズ加盟店が行う広告は主にサービス申込や商品購入につなげるための広告になります。

広告の種類は、チラシやDM(ダイレクトメール)や看板広告などやネットを利用した広告があります。チラシやDMや看板などは地域や対象を絞って行うことになります。

ネットを利用した広告をウェブ広告と言います。ウェブ広告の市場は2020年に2兆円を超えて拡大を続けている市場です*。これは、ウェブ広告がより効率的でかつ効果的である結果です。無店舗型フランチャイズで広告を行う必要がある場合には、ウェブ広告の知識も必須といえます。

ホームページや楽天やアマゾンなどのネット上に店舗を持つことも広い意味で広告と言えます。また、最近はFacebookなどのSNS(ソーシャルネットワークサービス)を利用する広告もあります。検索エンジンやSEO対策など聞き慣れないことも理解して、ターゲット層にもっとも適した広告手法を選択する必要があります。

*電通「2020年 日本の広告費」より

信頼獲得に時間がかかる

ビジネスを安定的に行うためには、信頼の獲得が必要です。なぜならば、ビジネスでは約束を守ることが基本になるからです。契約は、お互いに責務や権利を明確にするものです。しかし、責務や権利は約束を守る上でしか成立しません。

ビジネスを行えば仕事ぶりなどから信頼できるか分かります。しかし、初めて一緒に仕事をする場合などは相手から信頼できるかを試されていると思って間違いありません。

店舗があることは単純ですが、事業実体を目で見ることができます。そのため、目で見られるので事業をしていることを疑う余地がありません。そして、店舗をみることで清掃が行き届いているか、品揃えや接客態度は適切にできているかなどを見ることができます。

これは消費者が来店する必要のない事務所も同じです。事務所やそこで働くスタッフの働きぶりを見ることで多くのことが分かります。店舗が必要ない事業であっても事務所を設ける理由の一つは、信頼を得る目的があります。

しかし、無店舗型は店舗がありません。オーナー1人で無店舗型フランチャイズを運営していこうとする場合には、事務所が不要の場合も多くあります。また、スタッフも雇っていない場合などは事業実態を見て確認することができません。

また、ホームページなどのインターネットでの事業展開も同様です。もともと、ネットを使っている人の多くは、初めて利用するウェブサイトは安全かどうかを心配しています。

これらのことから、無店舗型フランチャイズでは信頼は簡単に築けるものではない、と考えるべきです。しかし、時間はかかりますが、信頼を築くことはできます。無店舗型フランチャイズであっても、1件ずつの問い合わせを丁寧に対応し、1人ずつのお客様を大事にしていけば信頼を構築できます。

また、前述のウェブ広告を中心に顧客獲得を行う場合には、ホームページのデザインはポジティブなデザインにして、使い勝手がよい分かりやすいシンプルなものにする、といったことに心掛ける必要があります。また、商品やサービス情報については写真や画像を充分に用意し商品説明や商品レビューを掲載することや返品条件や配送方法についても併せて掲載することで安心を高めます。

また、近年は動画やSNSによって自分のことやサービスについて継続的に配信することで親近感をもって情報を伝えることができます。

そして、フランチャイズ本部自体のブランド力が高い場合には、信頼獲得までの時間を短縮することが可能です。そのため、無店舗型フランチャイズビジネスにおいては、より一層ブランド力が重要ともいえます。

無店舗型フランチャイズサービス

具体的に、無店舗型フランチャイズはどんなフランチャイズがあるのかを紹介します。ここで紹介するのはあくまで一部になります。気になるフランチャイズがあれば、フランチャイズ本部へアプローチして情報収集から開始することをおススメします。

しかし、その際にけっして1社の話を聞いてすぐ決めることが無いようにしてください。必ず異なる業種と同じ業種のフランチャイズ本部の情報や、実際にフランチャイズ事業を実施しているフランチャイズオーナーの情報を集めます。

そのうえで、自分がやろうとするフランチャイズ契約を整理・比較してメリットとデメリットを把握します。確認したい事項などをもってもう一度話を聞くなどの慎重さは必要になります。

おそうじ本舗

令和3年7月現在、北村一輝さんをイメージキャラクターにブランド力向上に力をいれているのが、HITOWAライフパートナー株式会社が展開する『おそうじ本舗』になります。

おそうじ本舗では、ハウスクリーニングなどのサービスを展開するフランチャイズ加盟店を募集しています。

おそうじ本舗のフランチャイズは無店舗型以外でも以下のポイントがあります。

  • ・開業資金が抑えられる
  • ・未経験で始められる
  • ・利益率が高い

●開業資金が抑えられる

おそうじ本舗のサイトの「開業資金内訳」に必要な開業資金が掲載されています。機材費165万円*や研修費55万円*などの必要開業資金合計が285万円*になっています。

有店舗型では開業資金で概ね1,000万円前後かかることと比べると、開業資金は抑えられると言えます。

*税抜になります。

●未経験で始められる

ハウスクリーニングサービスには、特別な免許や資格は不要です。その上で、おそうじ本舗のフランチャイズ制度では未経験・未経営の方が加盟店オーナーとして参画できるような研修制度があります。

研修制度は、14日間の実践型の集中研修があります。集中研修は、大きくサービススキルと営業スキルと経営スキルが研修対象となっています。

サービススキルは未経験者でもわかりやすい基礎研修と、トレーナーとともに掃除の現場でクリーニングを行う実践研修があります。

営業スキルは売上を安定させるために必要な、リピートや紹介を獲得するための営業研修やアフターフォローなどの顧客サービス研修があります。

経営スキルは、新規顧客の獲得のための広告手法や利益を出すための経営知識などを行う研修があります。

集中研修を受講後に無料で再研修も受けられます。わかりにくいところやサービスの勉強をもう一度確認したい時にも便利です。

●利益率が高い

利益率とは、“利益÷売上“で計算する営業効率を表す経営指標です。利益率が高いことは、少ない売り上げでも利益が残りやすいので経営が成功する可能性が高くなります。

ハウスクリーニングのサービスは「そうじ」です。そのため、小売業や飲食業に必要な仕入れがなく、在庫もありません。仕入れや在庫がないことは、売上から費用を引いて残る利益が多くなる要因になります。

おそうじ本舗のサイトにある「収益モデル」によると店舗なし1人(スタッフなし)で開業した1年目から利益率が約50%になっています。

この利益率は非常に高いと言えます。経済産業省の『2019年経済産業省企業活動基本調査』による*と、飲食業の営業利益率は3.7%、小売業でも2.6%になっています。また、サービス業の営業利益率も8.0%になっていることからも、おそうじ本舗の営業利益率の高さがわかります。

*従業者 50 人以上かつ資本金額又は出資金額 3000 万円以上が対象となっています。

また、そうじ自体は細かく丁寧な仕事は必要ですが、特別なスキルや技術が不要なので、長い間活躍できる点も経営上大きなメリットです。小子高齢化が進む中で、年金の受給をあてにして老後を生きるのは不安です。そのため、できるだけ長く働ける仕事であることは重要なメリットです。

日本結婚相談所連盟

芸能人の柴田理恵さんが公式アンバサダーを務める、『日本結婚相談所連盟』は日本最大級の結婚相談所ネットワークになります。日本結婚相談所連盟に加盟している結婚相談所は2,832社ありますが、無店舗型フランチャイズとしてこの結婚相談所の運営を行っています。

結婚相談所の仕事は、成婚ビジネスです。成婚ビジネスとは、結婚したい男女に対して“お見合い”ひいては“結婚”につながるように、仲人カウンセラーとしてお見合いシステムを支えることになります。

この日本結婚相談所連盟のフランチャイズも無店舗型になります。そして、この日本結婚相談所連盟の特徴は以下になります。

  • ・フランチャイズ本部IBJが上場している
  • ・開業資金が少なくロイヤリティがない、ストック収益モデル
  • ・会員が最も多い

●フランチャイズ本部IBJが上場している

フランチャイズをするなら、ブランド力が重要です。フランチャイズ本部が上場していることは1つのステータスです。

セブン-イレブン・ジャパンやローソンや日本マクドナルドホールディングスなど、複数のフランチャイズ本部が上場しています。上場していることは一つのブランド力になります。上場をするには、上場基準を満たすことが必要になることや損益や資産状況などの開示が必要になるので公明性が高くなります。公明性が高い企業は、ブランド力向上につながります。

日本結婚相談所連盟を運営している会社は、株式会社IBJになります。IBJの20年12月期の売上は130.7億円で経常利益が16.0億円になっています*。

利益が出ているフランチャイズは、フランチャイズ事業が長年うまくいっていることの証になります。つまり、お客様からの支持を獲得していることの証明と言えます。お客様からの支持があるビジネスモデルであるからこそ、継続的にお客様に利用してもらいそこから利益が生まれます。

また、フランチャイズ本部が利益を出していることはブランド力向上の面でも重要になります。フランチャイズ本部が稼いでいれば、ブランド向上のための広告や加盟店募集にも力を入れることができます。逆にフランチャイズ本部に利益が出ていない、資金が無い場合にはブランド力向上に力を入れたくても原資がないことになります。

*IBJ2020年12月期 有価証券報告書より

●開業資金が少なくロイヤリティがない、ストック収益モデル

店舗が無いため、物件費用が無いのが強みではあります。しかし、それだけではなく、研修費用を含めた加盟金が160万円必要となりますが、それ以外の費用は開業でかからないと日本結婚相談所連盟の開業費用比較で掲載されています。

店舗、在庫、人件費が要らないため、毎月支払いをするランニングコストが発生しません。一方で、日本結婚相談所連盟では複数の売上が得られるモデルになっています。基本的なビジネスは、自身の運営する結婚相談所の会員を増やすことで収益が得られます。

ここで重要になるのは、会員が増えることで得られる収益が継続的にあることです。継続的に得られる収益は以下のようになっています。

入会金 新規会員の入会で30,000円(別途活動サポート料70,000円も)
月会費 会員1名あたり月に10,000円
お見合い料 会員が1回お見合いをする毎に5,000円
パーティー送客 IBJ主催の会員専用パーティーに会員が参加する毎に10,000円
成婚料 会員の成婚の毎に200,000円

このように、会員を増やして成婚活動をアクティブに即していくことによって継続的な収益確保が得られるモデルになっています。会員20名で、毎月1名新規会員を増やして、1名成婚していくと、月間の売上は以下のように60万円になります。

月会費 20万円 1万円×20名
お見合い料 10万円 5千円×20名
成婚料 20万円 20万円×1名
入会金 10万円 10万円×1名

会員を増やすことで安定的に月会費とお見合い料が得られます。この部分は、毎月継続的に得られる収益なのでストック収益になります。かつ、会員が増えることで成婚確率が増えて、成婚者が多くなれば入会者も増える好循環が小規模でも構築できれば非常に魅力的なビジネスと言えます。

一方で、加盟店が毎月支払いするロイヤリティがないことも日本結婚相談所連盟の大きな特徴です。毎月、IBJネットワーク月会費(月間18,800円~)のみの請求になります。無店舗型でロイヤリティが無いのでコストが低く、一方で月会費などの収益はストック型に入っているので、一定の会員数まで増やすことができれば安定した経営が望めます。

●会員が最も多い

日本結婚相談所連盟の会員数は68,000人で、この会員数は同業他社で最も多い会員数となっています*。

成婚ビジネスで重要になるのは、全体の会員の数です。結婚したい人を探して会員になってもらう段階においては、数が多いことは大きな武器になります。相手の希望や条件に合致する人を紹介できる基盤は、会員の数によります。

また、実際に会員になってからも、複数のお見合いやパーティーへの参加を重ねて成婚することが一般的です。できるだけ多くの出会いを提供するためにも、会員数の多さは重要な要素になります。

* 2021年7月現在日本結婚相談所連盟のホームページより

まとめ

無店舗型フランチャイズの概要やメリットデメリットなどをご理解頂けたでしょうか。店舗が無いことは、固定コストが発生しない点や開業資金を抑えられるなどの明確なメリットがあります。

また、フランチャイズ本部のサービスやブランド力を活用することで、店舗型同様にお客様からの信頼を勝ち得ることも可能です。

不況や不安定な状況が続く中では新規事業を立ち上げることは簡単ではありません。しかし、ピンチはチャンスです。不況だからこそチャンスになっている事業もあります。やりたい事業の中にチャンスがあるなら、事業が早く立ち上がりやすい無店舗型フランチャイズはうってつけの場合もあります。

また、無店舗型フランチャイズは事業を継続する上でも商圏による影響が少ないため、これからの少子高齢化や変化の多い競争社会においてはアドバンテージになっていきます。そのため、自分で事業を行うことを検討する際には、無店舗型フランチャイズも検討の選択肢に入れておくことが大切です。