うどん・そばのフランチャイズ経営を成功させるポイントとは

人気フランチャイズの代表的な業種として、うどん・そば店があります。うどんとそばは、はるか昔から日本人に愛されてきた国民食で、世界各国の料理が満ち溢れる今日の日本でも、その人気は廃れることがありません。

そこで今回の記事では、うどん・そば店でフランチャイズ経営を行うメリットや開業費用、フランチャイズうどん・そば店を成功させるポイントなどを解説しています。フランチャイズで飲食店経営を始めたい方は、ぜひ参考にしてください。

うどん・そば店でフランチャイズ経営を行うメリット

うどん・そば店でフランチャイズ経営を行うメリット

初めに、うどん・そば店でフランチャイズ経営を行うと、どのようなメリットがあるのかを確認していきましょう。

商号・ブランドを利用できる

フランチャイズ経営の最大のメリットは、フランチャイズの商号やブランドを利用できることです。フランチャイズに加盟すれば、フランチャイズの商号を看板に掲げて営業することができ、そのフランチャイズのブランド商品を自分の店舗で販売することが可能になります。

どのような事業でも、売上げを伸ばし経営を安定させるには、企業や店が世間から信用・信頼されることが必要です。個人が突然事業を始めても、その店の商号は世間に周知されておらず、そこで提供する商品やサービスにも消費者の信用や信頼が醸成されていないため、初めから店を繁盛させ売上げを伸ばすことは困難です。

それに対しフランチャイズ企業は、長い期間にわたり営業努力を積み重ね、社会からの信用や信頼を得ています。「あのフランチャイズの売る製品は間違いない」、「あの企業は有名だから商品も安全だ」というように、フランチャイズの商号やブランドは一般消費者に周知され、その信頼を勝ち得ているのです。

フランチャイズに加盟すれば、事業のスタート時点から、世間に周知された商号や消費者から信頼されるブランドを利用することが可能です。

経営方法・経営ノウハウを提供してくれる

フランチャイズに加盟すると、経営方法・経営ノウハウの提供を受けることができます。うどん・そば店を始める場合、経験者でなければ、うどんやそばの作り方を学習し身に付けなければなりません。

また、うどんやそばの作り方だけでなく、接客や店舗経営のやり方も覚える必要があります。このような調理技術や営業方法を独学で学習しようとしたら大変な苦労を伴いますが、フランチャイズでは未経験者でも対応できるよう業務マニュアルが用意されています。フランチャイズで開業する人は、この業務マニュアルに従って日々の業務を行うことで、系列他店と同じ水準の営業を行うことができます。

また、開業前には、フランチャイズ本部が実施する研修により、営業にかかる知識・技術を実践的に習得します。さらに、フランチャイズ本部が長年の経験から蓄積した営業のコツやノウハウなども、適時加盟店に提供してくれます。

経営をサポートしてくれる

フランチャイズに加盟すると、加盟店の経営をサポートしてくれる大きなメリットがあります。店舗の開業前には、フランチャイズ本部が研修を通じて事業の進め方を教えてくれ、また開業後は、本部の専門スタッフであるスーパーバイザーが定期的に店舗を巡回指導してくれます。

さらに、何か問題やトラブルが発生した場合は、本部の専門スタッフが適時指導・助言を行ってくれます。このように、自分のバックにはフランチャイズ本部が付いているとの認識を持つことができることは、加盟店オーナーにとって大きな安心感に繋がります。

商圏を診断してくれる

フランチャイズでは、事業を始めようとするエリアの商圏を調査してくれます。事業を始める場合、そのエリアの消費者需要や競争相手がどうなっているかなどについて、事前に調査・判定を行うことが非常に重要です。エリアの需要を調べるには、その地域の人口や世帯数、年齢層、企業数、学校数など居住者や通勤・通学者の状況を把握する必要があります。

また、そのエリアの需要に期待が持てる場合でも、競合店が多ければ激しい競争に巻き込まれることも想定されるため、競合店の数や位置も調べておく必要があります。そのようにして、エリアの消費者需要や競争相手の状況を総合的に勘案し、出店の是非を決定するのです。

しかし、これらの商圏調査を加盟者が個人で行うことは極めて困難です。そのため、フランチャイズでは、加盟者に代わってフランチャイズ本部が商圏を診断し、そのエリアの消費者需要や競合店の状況、将来性などを診断してくれます。

経営の収支モデルを提供してくれる

フランチャイズでは、経営の収支モデルを提供してくれます。フランチャイズで開業しようとする場合に、最も心配になるのが開業後の収支です。開業した後に、毎月いくら位の売上額があり、必要経費がどの程度かかるので、差し引きの営業利益はどの位見込めるのか、という経営の収支が大きな関心事となります。

「事業は、始めてみなければどの位儲かるかわからないのでは?」とおっしゃる方は、考え方が甘いと言わざるを得ません。事業は、始める前から、店舗の立地や規模に応じて毎月の売上額や必要経費、営業利益を見込んで試算しておかなければ、ローンの返済や家賃、人件費の支払いなどが成り立たなくなる虞があります。事業を始めるのであれば、開業後の事業収支を試算しておくことは、基本中の基本といえます。

しかしそうは言っても、これから事業を始めようとする素人が開業後の収支を試算することは、それ程簡単なことではありません。開業後の収支を試算するためには、事業にかかる一定の知識や経験が必要だからです。

そのような場合のために、フランチャイズ本部では、加盟者に対し経営の収支モデルを提供してくれます。経営の収支モデルは、系列の既存店における売上額や営業利益の実績などから求めた数値で、このモデルがあれば、これから事業を始める人はその数値を目安に営業を行うことが可能になります。

店舗を探してくれる

多くのフランチャイズは、加盟者の依頼に応じて店舗を探してくれます。フランチャイズうどん・そば店を成功させるためには、人が集まりやすい良い場所に店舗を構えることが重要です。しかし、好立地にある店舗は借手の競争が激しく、空きが出てもすぐに契約されてしまいます。また、立地の良い場所は家賃額もそれなりに高いため、自分の収支予算に見合う貸店舗を見つけることは簡単ではありません。

そのため、フランチャイズ加盟者が個人で優良かつ予算に見合う店舗を見つけようとすると、労力や時間がかかってしまいます。そのような場合に、フランチャイズ本部に依頼すれば、立地の良い場所に加盟者の予算に見合う店舗を探してくれます。フランチャイズ本部には不動産開拓の専門スタッフがおり、これまでに数多くの加盟店を出店させてきた豊富な実績や経験を持っています。また、フランチャイズ本部は、系列会社や取引先との間に強力なネットワークを有し、店舗用の不動産情報も広く把握することができるのです。

このように、フランチャイズに加盟すれば、自分の専門外の面倒な不動産物件探しに力を貸してくれるメリットがあります。

仕入先が確保できる

仕入先が確保できるのも大きなメリットです。個人でうどん・そば店を始めようとすると、麺や汁、サイドメニューを作るための材料を仕入れる業者を自分で探さなければなりません。それも、ただ探せばよいというものではなく、食材の品質や価格、仕入可能な数量やタイミングなど、様々な条件を総合的に判断して契約する必要があります。そのため、その分野の経験がない初心者の場合は、食材を安く安定して購入できる仕入先を開拓することは、簡単ではありません。

その点フランチャイズでは、食材の仕入先はフランチャイズ本部または本部指定の業者からと決まっているため、自分で仕入先開拓を行う苦労がありません。

そればかりか、フランチャイズによっては、製麺までは本部の工場で集中的に行い、加盟店は運び込んだ麺を温めて汁をかけるだけというシステムを採用している場合もあるため、未経験者でも十分に対応が可能です。

宣伝してくれる

フランチャイズの強みは、本部が大々的に宣伝してくれることです。フランチャイズ本部は、豊富な資金力を背景に、新聞・テレビ・雑誌・ネットなど様々な広告媒体を使って、大々的に宣伝を行っています。それにより、フランチャイズ自体の知名度が上がるため、その看板を掲げている加盟店には大きなメリットになります。

ただし、フランチャイズ自体の宣伝はこのように本部が行ってくれますが、個別の店舗をよりPRしようとする場合は、加盟店が直接宣伝を行う必要があります。

なお、これまでフランチャイズに加盟した場合のメリットを中心に説明しましたが、フランチャイズには、①加盟の際に、加盟金や保証金などの費用がかかる、②開業後は、毎月ロイヤリティ(商標使用料)がかかる、③フランチャイズ契約期間中は、契約に拘束される、④フランチャイズ事業では、本部の経営方針に従う必要があるなどのデメリットもあるので、それらも併せて認識することが大切です。

フランチャイズうどん・そば店の開業費用

フランチャイズうどん・そば店の開業費用

次に、フランチャイズうどん・そば店を開業するには、どの位の費用がかかるかをみていきましょう。

フランチャイズうどん・そば店の開業費用

フランチャイズうどん・そば店を始めようとすると、次のような費用が必要になります。

フランチャイズうどん・そば店の開業費用

①加盟金・保証金

加盟金は、フランチャイズに加盟する際にフランチャイズ本部に支払う金銭です。具体的な金額は、フランチャイズによって違ってきます。

保証金は、開業後に加盟店がフランチャイズ本部に負った負債を清算するために預ける金銭です(例えば、加盟店がロイヤリティや仕入代金の支払いを遅延したなど)。このため、負債の清算がなければ、解約時に全額が戻ってきます。

②店舗物件取得費

うどん・そばの店舗物件の購入費または賃借費です。購入する場合は、土地代や建物代などまとまった資金が必要になります。購入より賃借の方が費用はかかりませんが、賃借契約時に敷金や礼金、当初〇月分の家賃などが必要になります。

③店舗内外装工事費

店舗の内装、外装の工事費です。うどん・そば店の場合は、厨房工事(電気・ガス・上下水道など)が必須です。厨房の規模は、フランチャイズの営業方法によって異なり、店で麺づくり、汁づくりなどほとんどの工程を行うフランチャイズでは作業スペースが必要です。一方、フランチャイズ本部の指定工場から出来上がった麺や汁を仕入れ、店では茹でるだけという場合は、小規模な厨房で足りるでしょう。その他、飲食スペースには、カウンターの設置も必要になります。

④店舗用備品・消耗品取得費

最も費用がかかるのは、流し・ガス台・作業台・冷凍庫・冷蔵庫などの厨房設備です。その他、飲食スペースには、テーブルと椅子、照明器具などが必要です。

⑤研修費

開業前にうどん・そば店の営業方法にかかる知識・技術を身に付けるための研修費用です。研修はフランチャイズ本部が用意しますが、研修費を徴しない場合もあります(その場合は、加盟金などに含まれている)。

➅広告宣伝費

店舗のPR費用です。フランチャイズの宣伝は、本部が集中的に行っていますが、店舗のPRはそれぞれの店が実施します。通常は、費用がかからないネット広告を行いますが、予算に余裕があれば店舗近隣にチラシを配布するなどします。

⑦一定額の運転資金

店を始めるには、開業費用だけ準備すればよいというものではありません。開業すれば、家賃や食材の仕入れ代、アルバイトの人件費、光熱水費などを支払っていかなければなりません。

「それらは、店の売上げから支払っていけばよいのでは?」と考えがちですが、開業当初から順調に集客できて売上げが出る保証はどこにもありません。店が軌道に乗るまでは売上げも僅かしかなく、家賃や人件費を払えないという事態も想定しておく必要があります。

そのため、店の運転資金を一定額準備しておく必要があります。

フランチャイズうどん・そば店の開業費用は、店の規模や立地場所などにより、また加盟するフランチャイズによって違ってきます。店の規模は初めからあまり大きくする必要はありませんが、最低でも、20~30席を確保できる15~20坪の広さが必要です。物件を購入するより賃借する方が経済的ですが、その場合でも、運転資金の予備を除き500万円以上の費用がかかります。

開業費用を抑えるコツ

うどん・そば店にかかわらず、飲食店を開業するには、まとまった額の費用がかかります。そのため、知恵を絞って可能な限り開業費用を抑えることが重要です。開業費用を安く抑えるには、次の方法が効果的です。

①店舗物件は賃借する

店舗物件を土地と建物まるごと購入しようとすると、場所にもよりますが1,000万円を超える資金が必要になるでしょう。このため、立地が良い場所に土地を持っている、店舗に使える物件を所有しているという人を除き、基本的に店舗物件は賃借するのが経済的な方法です。賃借すれば、開業後に毎月家賃を払う必要がありますが、当初は賃借契約のための敷金・礼金・当初家賃程度の出費で済みます。

②店舗は居抜きで借りる

店舗を借りる場合に、最も良い方法は居抜きで借りることです。居抜きとは、前の入居者が使っていた調度や備品がそのまま残された状態で借りることです。前の入居者が飲食店を営業していた物件を居抜きで借りることができれば、内装工事費や備品取得費を大幅に節約することができます。

この場合、前の営業形態がうどん・そば店でなくても、飲食店であれば大丈夫です。特に、最も費用がかかる厨房の電気・ガス・上下水道工事や防水工事、流し・ガス台・作業台・冷凍庫・冷蔵庫などの設備取得費を圧縮できることは大きなメリットです。

ただし、居抜き物件を借りる場合は、前の飲食店が廃業した理由を大家さんからよく聞き出す必要があります。前の入居者が廃業した理由が、家庭の事情や店の評判など個人の問題であればリスクはありませんが、店の場所が悪く人が集まらない所にある、街道沿いであるにもかかわらず駐車場がない、隣に廃棄物処理工場があるため客が寄り付かないなど、立地や環境に問題があって廃業した場合は、自分がこれから開業しても同じ問題に遭遇してしまう虞があるからです。

③居抜き物件がなければ、中古の厨房設備をレンタルする

居抜き物件を借りるのが経済的でも、そう都合よく良い場所に居抜き物件があるとは限りません。居抜き物件が見つからない場合は、最も費用がかかる厨房設備一式をレンタルする方法があります。流しやガス台、冷凍庫など厨房設備一式を購入しようとすると、まとまった資金が必要です。そのため、厨房設備は購入するのではなく賃借するのです。また、賃借する設備は、新品ではなく中古品で充分です。

「厨房設備一式は、どこから借りればよいのか」という場合は、フランチャイズ本部に相談しましょう。強力なネットワークを持つフランチャイズ本部であれば、厨房設備のレンタル業者と取引があり、紹介してくれる可能性は大いにあります。

④加盟金・保証金が安いフランチャイズを選ぶ

加盟金・保証金が安いフランチャイズを選ぶことも効果的です。

同じうどん・そばのフランチャイズでも、加盟金や保証金の額には差があります。他の条件が同等程度であれば、加盟金・保証金が安いフランチャイズを選ぶのが良いでしょう。

この場合、加盟金・保証金が安いフランチャイズを選ぶのは、あくまで他の条件が同等程度の場合だけです。加盟するフランチャイズの選定は、後で説明するポイントなどを踏まえて複数の判断材料を採点し、総合評価を行って決めます。したがって、加盟金や保証金がいくら安くても、他の判断材料が劣っており総合評価で低い得点しか得られないフランチャイズは、見送るのが正解です。

フランチャイズうどん・そば店を始めるために必要なこと

フランチャイズうどん・そば店を始めるために必要なこと

次に、フランチャイズうどん・そば店を始めるために、どのようなことが必要かをみていきましょう。

フランチャイズ契約

フランチャイズうどん・そば店を始めるためには、フランチャイズ契約を結ぶ必要があります。フランチャイズ契約は、契約当事者であるフランチャイズ本部と加盟店双方の権利義務関係を定める契約です。このフランチャイズ契約を締結すれば、加盟店はフランチャイズに加盟できることになります。

フランチャイズ契約の締結前には、加盟先のフランチャイズを選ぶ作業が必要です。うどん・そば店にかかわらず、フランチャイズ事業を成功させるためには、良いフランチャイズを選んで加盟することが最重要であるからです。良いフランチャイズは何が良いのかについては、後で説明する「フランチャイズうどん・そば店を成功させるポイント」を参考にしてください。

店舗

うどん・そば店を始めるには、店舗が必要です。初期費用を出来る限り抑えて開業するためには、店舗物件を購入するのではなく、賃借する方法が良いでしょう。また、事業を成功させるためには、店舗は自然に人が集まりやすい場所に構えることが肝心です。

自分の資金計画で毎月払うことができる家賃額を上限に、出来るだけ条件の良い場所に店舗を見つけるには、強力なネットワークを持ち経験も豊富なフランチャイズ本部の力を借りることが大切です。

資格・届出

うどん・そば店を営業するには、次の資格や届出が必要となります。

①飲食店営業許可

うどん・そば店など飲食店を営業するためには、飲食店営業許可を取得する必要があります。飲食店営業許可は、所轄の保健所に申請し検査に合格すれば得ることができます。飲食店営業許可の申請時期は開業の1か月前となっており、開業前に許可を得ておく必要があります。なお、無許可で飲食店を営業すると罰則が適用されるため、注意が必要です。

②食品衛生責任者

この飲食店営業許可を取得するための要件として、食品衛生責任者を最低1人店舗に配置する必要があります。食品衛生責任者は、食材の過熱や保管方法をチェックし、食中毒の防止など食品衛生を管理する責任者です。食品衛生責任者の資格は、地方自治体主催の食品衛生責任者養成講習会を受講して、保健所に申請することで取得できます。

③開業届

個人事業を開業した際は、開業してから1か月以内に所轄の税務署に対し開業届を提出することとされています。開業届は提出しなくても罰則はありませんが、提出しておくと、青色申告の利用など様々なメリットがあります。

④消防署への届出

収容人数30人以上の店舗では、営業開始日までに所轄の消防署に対し、防火管理者選任届を提出しなければなりません。また、火力を使う設備や出力が大きい設備を導入する場合は、設備の設置届を提出する必要があります。さらに、店舗の修繕や間仕切り変更を行う場合は、防火対象物工事等計画届出書を提出しなければいけません。

研修・学習

うどん・そば店を始めるには、うどん・そばの調理技術や営業方法などを身に付ける必要があります。フランチャイズは、未経験者でも開業できるよう研修制度を充実させています。開業前に、研修によって知識・技術を身に付けるとともに、本部から提供される業務マニュアルを理解し、マスターすることが求められます。

フランチャイズうどん・そば店を成功させるポイント

フランチャイズうどん・そば店を成功させるポイント

それでは、フランチャイズうどん・そば店を成功させるにはどうすればよいか、そのポイントをみていきましょう。

食や料理が好きであること

フランチャイズうどん・そば店を成功させるための最も重要なポイントは、自分が食や料理好きであることです。すなわち、店を経営する自分が、食べること、料理することが大好きで、その分野に強い関心やこだわりを持っていることが重要なのです。

うどん・そば店を始めるのに、「金儲けのために仕事をするのだから、好き嫌いはあまり関係ない」という考え方もあるでしょう。しかし、仮に自分が食や料理好きであったら、うどん・そば店で自分が一生懸命に作った料理を客が食べ残した場合、あるいは、自分が提供した料理を客が美味しそうに食べなかった場合、自分の料理は美味しくないのか、美味しくないとしたらその原因は何かなど、徹底して解明する必要があります。

そして、試行錯誤を繰り返し、客が食べ残さないよう、美味しそうに食べてもらうよう、工夫した料理を提供しようとするでしょう。そのように、客に美味しく食べてもらうよう努力・改善しようとする熱意や誠意が、店の営業姿勢に現れ、次第に客の心を掴んでいくのです。また、店主自身も、日々工夫を重ねることに喜びを感じることができ、客が美味しく食べてくれることが明日へのエネルギーになっていきます。

一方で、食や料理に関心はないが仕事だから店をやっているという場合はどうでしょうか。

食や料理に関心がない店主は、客が食べ残しても、また美味しそうに食べなくても、規定の料金さえ貰えればよいと考えるでしょう。そこには、客のために料理の味を工夫・改善しようとする熱意はみられません。

また、客が喜ぼうが、喜ぶまいが、そのことが日々のモチベーションに繋がることもないでしょう。「好きでなくても仕事だからやる」という考えは一見合理的に見えますが、仕事自体に喜びを感じ生き甲斐とする生き方とは大きく異なっています。そのように冷めた考え方で日々調理していても、きっとそこには、やり甲斐や面白さ、明日への活力、客への誠意などがあまり生まれないでしょう。

客が多く集まり、喜んで食べてくれるうどん・そば店にするためには、店を経営する店主自身が、食や料理が好きで強いこだわりを持っていることが必須の条件になるのです。

自分のプランを生かすこと

次に重要なポイントは、自分のプランを生かすことです。事業を始めようとしている人は、誰もが自分のプランを持っているはずです。ここで言うプランとは、人生や仕事の計画、青写真などをいいます。

そして、これはフランチャイズうどん・そば店を始めようとしている人も同じです。うどん・そば店を開くなら、「機械製麺ではなく手打ちにしよう」、「汁には徹底的にこだわりたい」、「そばには山菜を入れたい」など、皆それぞれの計画や青写真を持っているはずです。

フランチャイズうどん・そば店を始めるのなら、そのプランを生かすことが非常に重要なポイントになってきます。なぜなら、うどん・そば店で自分のプランを生かすことが、その人の生き甲斐に繋がるからです。逆に言えば、仮にうどん・そば店を開くことができても、自分のプランやこだわりを反映することができなければ、何のために開業したかがわからなくなってしまいます。他人から見れば、他愛もない個人の夢や青写真でも、それを生かせるかどうかは本人にとって深刻で大きな問題なのです。

しかし、上で例にあげた「手打ち麺」、「汁へのこだわり」、「山菜そば」などのプランを生かせるかどうかは、ほとんどフランチャイズ本部の営業方針によって決まります。各フランチャイズは、麺や汁の製法、うどん・そばにどのような具を入れるかなどをマニュアルで標準的に決めているからです。

自分がいくら手打ち麺を良いと思っても、フランチャイズによっては機械で大量に製麺する方式を採用しているかもしれません。また、うどん・そばに入れる具は、山菜ではなくハウス栽培の野菜としているフランチャイズもあるでしょう。

このように、フランチャイズでは、一般的に標準的な製造方法が定められていることから、自分の思い描いているプランの中で、生かせるものより生かせないものの方が多いかもしれません。しかし、これだけは絶対に譲りたくない、諦めたくないという大切なプランを絞って、それを生かすことができるフランチャイズを探すことは大きな意味があります。

近年は、味に対する本格志向の意識が高まっています。その観点からみると、機械製麺ではなく手打ち麺を採用しているフランチャイズがあるかもしれません。また、汁の食材や製法にこだわりを持つフランチャイズがあってもおかしくありません。山菜も同じです。ハウス栽培の野菜のように大量生産ができなくても、山菜そばを提供しようとするフランチャイズもあるでしょう。

人生は、日々の仕事の中で自分の思い描く計画や青写真の実現に向けて切磋琢磨すること、その過程に大きな喜びを得ることができるのです。このことからも、自分のプランを生かすことができるフランチャイズを諦めることなく探していくことが肝心です。

美味しいこと

次は、当然の話ですが、提供するうどんやそばが美味しいことです。うどんもそばもシンプルな料理であるため、その味や風味、食感などで客を惹きつけなければなりません。このため、美味しいことが必須のポイントになるのです。

しかし、フランチャイズでは、うどんやそばの食材や調理法がマニュアルで統一されており、加盟店が独自に味や風味を変えることはできません。すなわち、フランチャイズに加盟してからでは、勝手に料理の味を変えることは不可能なのです。

そのため、美味しいうどんやそばを提供しているフランチャイズを探し出し、他の条件が合えば、そこに加盟するのが良い方法です。例えばネット上には多くの口コミサイトがあり、飲食店の評価が掲載されています。その中から、味の評価が高いフランチャイズを探し、それをいくつかに絞り込みます。

次に、絞り込んだフランチャイズの店に実際に行き、提供される料理を食べてみます。フランチャイズでは、どの系列店も食材や調理法が統一されているはずなので、1フランチャイズにつき2店舗程度の試食を行えば、そのフランチャイズの味のレベルがわかります。同じフランチャイズの2店舗を回るわけですから、1回目はうどん、2回目はそばと、試食する料理を変えてみます。その際に、天ぷらやおにぎりなどのサイドメニューがあれば、併せて注文します。

このようにして、実際に試食したフランチャイズを料理の味でランキングしておきます。

サイドメニューが充実していること

うどん・そば店は、サイドメニューが充実していることも重要なポイントになります。うどん・そば店のサイドメニューでまず思い浮かべるのは、①天ぷら、②おにぎり、③いなり寿司などです。また、④唐揚げ、⑤サラダなどを提供している店もあるでしょう。

サイドメニューの種類はあまり多くなくてもよいですが、うどん・そばの良き相棒として、重要な役割を担っていることを認識しておく必要があります。メニューがうどんとそばだけしかないより、サイドメニューがある方が、提供料理の味や見た目に変化を与えてくれるからです。客は、そば1杯では物足りないので天ぷらといなり寿司を付ける、うどんとサラダをセットで食べるなど、自分の好みによって内容をアレンジすることができるのです。

毎日来店する常連客であっても、サイドメニューがあれば、日によってその組み合わせを変えることでマンネリ化を防ぐことも可能になります。

しかし、フランチャイズ店の提供メニューは本部側で決定している場合が多く、フランチャイズに加盟してからでは、勝手にサイドメニューを増やすことが困難です。このことから、フランチャイズ選びの段階で、サイドメニューが充実しているフランチャイズを有力な加盟候補としてリストアップしておきましょう。

良い場所に出店すること

良い場所に出店することは、非常に重要なポイントです。良い場所に店を出せるかどうかで集客状況が大きく異なり、その結果、売上げや利益も違ってくるからです。良い場所とは、自然に人が集まる場所または通過する①ショッピングモールなど大型商業施設の一角、②駅中・駅前の一角などです。

うどん・そば店が①のショッピングモールなど大型商業施設の一角にあれば、家族連れやカップルなどが買物に来たついでに「食べようか」との展開になります。また、駅中・駅前の一角にあれば、会社員や学生が通勤・通学の途中で、または出張の途中に立ち寄ることができます。①や②の場所は、自然に人が集まる場所または通過する場所であるため、苦労しなくても客を集めることができるのです。

さらに、フランチャイズによっては、③国道や県道などの街道沿いに店を出すところもあります。国道や県道などの街道沿いであれば、平日は運送業やタクシー業などの運転手、休日は行楽のドライバーなどが利用することができます。ただし、街道を通過する客はほとんどが車を利用しており、出店にあたっては広めの駐車場を確保する必要があることから、それなりの資金が必要になります。

問題は、上にあげた①または②(例外として③)のような良い場所に出店できるかどうかです。うどん・そば店として良い場所に店舗物件を探そうとしても、素人が簡単に見つけることはできません。一見良い場所に見えても、近隣に競合店がひしめいているなどの場合もあるため、その商圏をよく知らないと本当に良い場所を見つけることが難しいのです。

そのため、店舗探しにあたっては、出店に慣れていて商圏調査のデータや強力なネットワークを持つフランチャイズ本部の支援を受けるのが良い方法です。

したがって、商圏調査結果を踏まえて良い立地にある店舗物件を探してくれるか、または本人が探すのを手伝ってくれるフランチャイズが有力な加盟候補となります。

宅配・持帰りができること

次は、宅配・持帰りにも対応ができることです。近年のコロナ禍により、飲食業は店内飲食から宅配・持帰りに営業分野を広げ、苦境を乗り越えてきました。コロナ禍は、ひと頃と比べて沈静化の兆しが見えてきていますが、まだ収束したわけではありません。今後も感染拡大の波がやってくる可能性があり、また、コロナ以外の新型感染症が流行する危険性もあることから、飲食業における宅配・持帰りのブームは続くと想定されます。

さらに、宅配や持帰りは店内飲食に比べ、周囲に気を遣うことなく自宅でのんびりと美味しい物を食べることができる大きな利点があります。

これらのことから、今後も引き続き宅配や持帰りが飲食業における重要な営業形態であることに変わりはなく、それに対応できる飲食店が営業上優位に立てるといえるでしょう。そのため、フランチャイズ選びにあたっては、宅配や持帰りに対応した営業を行っているフランチャイズが有力な加盟候補となります。

「うどん・そばの宅配はよく知っているけど、持帰りはどうやって持っていくの?」と思われる方もいらっしゃるでしょう。うどん・そばの持帰りは、茹でた麺とスープを別々の容器またはビニール袋に入れて販売する形態が一般的です。

ただし、宅配サービスを行うにはそれなりの労力と時間が必要であるため、雇用する従業員数が増えてしまうケースもあります。

初期費用をかけ過ぎないこと

初期費用を抑えることは、非常に重要なポイントです。初期費用をかけ過ぎると、自己資金だけでは賄いきれずに借金をすることになり、後日その返済で苦労することになります。また、自己資金だけで賄うことができても、開業のために自己資金をすべて使い切り、予備の蓄えがゼロになってしまうのは問題です。運転資金の予備は、何かあったときのために蓄えておく必要があるからです。

初期費用がかかり過ぎる原因としては、次のものをあげることができます。

  1. 加盟金・保証金が高い
  2. 1等地に店舗物件を購入した
  3. 店の内装に凝り過ぎた
  4. 高価な厨房設備を購入した

①加盟金・保証金が高いは、フランチャイズ側に原因があるため、加盟者の努力ではどうにもなりませんが、フランチャイズ選びの重要な判断材料にします。

②の店舗物件購入は、できれば賃借する方向に転換すれば費用を大幅に節約できるはずです。ただし、1等地に店舗物件を賃借すれば、それなりの家賃額がかかることは覚悟しなくてはいけません。

③店の内装ですが、飲食店であるためある程度の綺麗で清潔な雰囲気は必要ですが、レストランやクラブのように洒落た雰囲気にする必要はありません。内装はシンプルに止めておき、費用は必要最小限に抑えましょう。

④の厨房設備は、可能であれば購入ではなくレンタルで済ませたいものです。レンタルが困難であれば購入しかありませんが、その場合でも新品ではなく中古品で充分です。

初期費用をかけ過ぎると、経済的な余裕がまったくなくなり、苦しい思いをすることになります。そうなるよりは、初期費用はできるだけ抑えて余裕を持ってスタートをした方が、経済的にも精神衛生的にも楽に過ごすことができます。

サポート力があること

最後は、サポート力のあるフランチャイズを選ぶことです。フランチャイズでうどん・そば店を経営する大きなメリットは、フランチャイズ本部のサポートを受けることができるからです。ここで説明するサポートとは、フランチャイズ本部が加盟店に与えてくれる広い意味の支援であり、①経営方法・経営ノウハウの提供、②商圏の診断、③経営収支モデルの提供、④その他の支援のような事項を含みます。

①経営方法・経営ノウハウの提供、②商圏の診断、③経営収支モデルの提供については、既にフランチャイズのメリットで説明したので省略しますが、④その他の支援も非常に重要なサポートです。

飲食店を営業していると、以下のような様々な問題が発生します。

  • ・集客状況が悪い
  • ・売上げが伸びない
  • ・必要経費が膨らみ過ぎる
  • ・ローンの返済が負担になっている
  • ・仕入れた食材が余ってしまう
  • ・アルバイトを確保できない
  • ・マニュアルどおりに調理しているが、味が物足りない
  • ・客のクレームが多い
  • ・客とトラブルになる

このような問題が発生した場合、個人営業主であればどこにも頼る先がなく、自分1人だけの力で何とか打開策を見つけていかなければなりません。しかし、上記のような問題は、1人だけで簡単に解決できるものではなく、試行錯誤を繰り返すなどの苦労を重ねることになってしまいます。

それに対し、フランチャイズに加盟している場合は、自分1人で解決できそうもない問題やトラブルが発生した場合は、本部に相談して専門スタッフの適切な指導・助言を受けることができます。また、客とのトラブルが法的な問題に発展した場合でも、法律の専門家による支援を受けることが可能です。

このフランチャイズ本部によるサポートは、その内容や程度に違いがあります。加盟店に対するサポートに力を入れているフランチャイズもあれば、そうでないところもあるのです。

このため、フランチャイズの選定にあたっては、サポート体制が充実しているフランチャイズを探すことが非常に重要となります。

まとめ

うどん・そばのフランチャイズ経営を成功させるポイント

フランチャイズのうどん・そば店を成功させるためには、「食や料理が好き」という条件を必須の基盤として、品質の維持、顧客満足度の向上、地域密着型のマーケティング、人材育成の重視が重要です。また、地域密着型のマーケティングも重要です。地域の特性に合わせたキャンペーンやイベントを行い、地元の利用者に愛される店舗を目指すことができるので、検討してみてください。