結婚相談所のフランチャイズで成功するポイントや始める方法

近年、フランチャイズは様々な業種・業態に普及拡大しています。そのフランチャイズが進出している特色ある分野に、結婚相談所があります。結婚相談所は、会員の個人情報を扱う関係から、特に「信用」というものが求められます。フランチャイズが結婚相談所に普及しているのも、この信用が重視される業界だからと言えます。

そこで今回の記事では、結婚相談所のフランチャイズで成功するポイントやその始め方について解説しています。フランチャイズで独立開業を考えている方は、ぜひ参考にしてください。

結婚相談所とは

結婚相談所とは

初めに、結婚相談所の仕事内容や将来性について見ていきましょう。

結婚相談所の仕事と収益

まず、結婚相談所はどのような仕事をしているかですが、主な業務は以下のようになります。

①会員の募集

結婚相談所の経営は、会員の会費収入で成り立ちます。したがって、会員の募集は、最も重要な仕事の一つといえます。具体的には、ネット、雑誌、テレビ、新聞などの広告媒体を使い宣伝広告を行う、街頭でチラシを配り直接勧誘するなどの方法で行います。

②会員情報の作成

氏名・年齢・職業・年収など、全会員の情報を個別に整理しておきます。その際、会員の人柄や性格がわかるようなプロフィールなども作成します。

③会員の紹介

会員の情報やプロフィールなどから会員同士のマッチングを行います。会員同士のマッチングは、例えば、Aさんにお相手を紹介しようとする場合、㋐会員の中からAさんに紹介する相手を探していきます。㋑年齢・職業・性格などの情報から、Aさんの希望に沿う相手はBさんとCさんではないかと当たりをつけます。逆に、AさんもBさんやCさんの希望に合いそうだということも確認しておきます。

㋒AさんにBさんCさんの情報を紹介し、お見合いを希望するか確認します。AさんがBさんとのお見合いを希望する場合は、BさんにもAさんとのお見合いを希望するか確認し、双方の希望が一致した場合にお見合いへ進みます。

④お見合いの設定

お見合いは、会員双方の希望により設定されます。お見合いの日程を調整し、日時と場所を設定します。お見合い当日は、立会いも行いますが、会員双方が落ち着いて話ができるようフォローします。

⑤お見合い結果の確認・連絡

お見合いが終了したら、一定の期間を置いて会員双方から結果を確認し、その連絡を行います。会員双方からよい返事が貰えたら、次のステップである交際に進みますが、よい返事が貰えない場合は仕切り直しとなります。お見合い結果の確認や連絡は、相手の気持ちを傷つけないような配慮が必要です。

⑥交際の支援・進行管理

お見合いから交際に発展した場合は、適時に交際の状況を確認する、当事者からの相談にのるなど交際の支援・進行管理を行います。仕事が忙しいなどでデートの時間がとれない場合もありますが、交際が順調に進展するよう助言することも大切な役目です。

⑦プロポーズ・成婚の支援

交際が進展すれば、プロポーズ・成婚のステップに移ります。デートの頻度や交際期間からみて適切な時期が来たと判断されたら、プロポーズを勧めます。プロポーズをするには、勇気を必要とするとともに、相手に断られるかもしれない不安から躊躇してしまう人もいますが、励ましながら支援を行います。

次に、結婚相談所フランチャイズの収益ですが、加盟店の年収は、加盟するフランチャイズや店舗の規模により異なります。結婚相談所の収入は、会員からの会費収入、および会員が成婚に至った場合の成婚報酬などになります。

一般的には、小規模店舗で年収数百万円程度といわれていますが、スタッフを雇用して店舗規模を大きくする、または複数店舗を運営するなどすれば、年収をより増やすことが可能です。

結婚相談所の将来性

わが国は人口減少社会を迎えていますが、人口が増えなくても結婚願望を持つ人は一定数おり、将来的にも結婚相談所の需要はあるといわれています。この将来的に結婚相談所の需要がある理由については、以下のことをあげることができます。

①お見合いを世話する人の減少

一昔前は、親戚や近所で世話好きの人が、結婚適齢期を迎える男女にお見合いの話を持ってきたものです。しかし、時代が変わり、親戚づき合いや近所づき合いをあまりしない社会になったことで、親戚や近所の人が持ってくるお見合いの数が減っています。これからは、昔の世話好きだった人に変わり、結婚相談所がお見合いの世話をすることになります。つまり、親戚や近所の世話好きの人から結婚相談所に仕事が移行する図式となるため、結婚相談所の需要は維持されるのです。

②テレワークの普及

近年、通信システムの発展やコロナ禍などにより、テレワークが普及しています。テレワークを採用する企業では、出勤する頻度が減るため、職場での男女の出会いや交際の機会が生まれ難くなります。今後もテレワークが普及していくと考えられることから、自分の手で配偶者を探すことができる環境にない人達を中心に結婚相談所の利用が増えると想定されます。

フランチャイズで結婚相談所を始めるメリット

フランチャイズで結婚相談所を始めるメリット

次に、フランチャイズで結婚相談所を始めると、どのようなメリットがあるかを見ていきましょう。

商標・ブランドを利用できる

フランチャイズで結婚相談所を始める最大のメリットは、フランチャイズの商標やブランドを利用できることです。

結婚相談所を運営するには、信用というものが非常に重要です。結婚相談所に入会すると、会員は自分の住所・年齢・性別・職業・年収・趣味趣向などの個人情報を申告することになります。なぜなら、結婚相談所は、これらの個人情報を勘案して、相手として相応しい異性の会員を探し、マッチングを図ることが仕事だからです。そのため、個人情報を申告することは仕方がありませんが、この申告情報が外部に漏洩しないよう、また悪用されないよう厳重に管理してもらわなければなりません。

また、結婚相談所に入会している事実自体も、個人情報として外部に知られないように秘密にしてもらわなければいけません。

これらのことから、結婚相談所に入会しようとする人は、会員の個人情報や秘密事項を外部に漏らさずしっかりと管理してくれる結婚相談所、すなわち信用がある相談所を選びます。そのため、世間から信用できると判断される結婚相談所に会員が集まり繁盛するのです。

それでは、信用がある、個人情報をしっかりと管理できる結婚相談所とは、どのようなところでしょうか。それは、世間によく周知された結婚相談所ということになります。有名な結婚相談所は、様々な広告媒体を使って大々的に宣伝を行っているため、世間に名が知れ渡り、信用度・信頼度が非常に高いといえます。入会先を探している人は、「この相談所は有名だから信頼が置ける。秘密をちゃんと守ってくれるだろう」と安心するのです。

そのような結婚相談所フランチャイズに加盟すれば、自分の店舗にその商号・ブランドを使うことができ、有名相談所として営業することが可能になります。

一方、フランチャイズに加盟せずに個人で結婚相談所を始める場合は、その商号・屋号が世間に周知されていないため、信用度や信頼度で大きく見劣りがしてしまいます。

以上のように、信用が第一といわれる結婚相談所を始めるのであれば、他の業種の場合よりも、フランチャイズに加盟するメリットが非常に大きいのです。

業務のノウハウが提供される

2つ目のメリットは、フランチャイズ本部から業務のノウハウが提供されることです。

フランチャイズに加盟せずに個人で結婚相談所を始める場合は、誰も業務の進め方やノウハウを教えてくれないため、全て自分1人で勉強し、身に付けていかなければなりません。

例えば、上で説明した結婚相談所の仕事の流れである

  1.  会員の募集
  2.  会員情報の作成
  3.  会員の紹介
  4.  お見合いの設定
  5.  お見合い結果の確認・連絡
  6.  交際の支援・進行管理
  7.  プロポーズ・成婚の支援

なども、その手順や方法を自分で組み立てていくことになります。

また、結婚相談所の仕事には、経験を積まないとうまくいかないものが多くあります。例えば、①見た人の関心を惹き、好感を持ってもらえるようにするには、会員のプロフィールをどのように作ればよいか、②お見合いを躊躇する会員に、どの位の強さで勧めたらよいか、③お見合いをどのような場所に設定したらよいか。当日は、相談所職員がどこまで立ち合えばよいか、④お見合いが終了して、どの位の期間を開けて結果を確認すればよいか、⑤交際の支援・進行管理の際、どの位の頻度でデートすることを勧めればよいか、⑥どの位の交際期間が経過したら、プロポーズを勧めればよいかなど、少し考えただけでも、素人には分からない点が多くあります。実際の仕事をしてみれば、種々の場面で、より具体的で細かい疑問点が湯水のように沢山沸き出てくることが確実でしょう。

個人で結婚相談所を始める場合は、このような疑問に対し、オーナーが独力で調べ、解決していかなければなりません。

それに対し、フランチャイズに加盟して結婚相談所を営業する場合は、業務の流れや進め方などは本部からマニュアルを提供してもらえるのに加え、結婚相談所に特有の上の例のような様々な場面における判断の仕方についても、営業ノウハウとして教示してもらうことが可能です。

フランチャイズ本部には、長年の営業実績に基づく業務の進め方や経営ノウハウが蓄積されていることから、これらの知識や技術を提供してもらうことは、結婚相談所の営業を有利に進めることができる秘訣となります。

市場調査に基づく出店ができる

フランチャイズでは、市場調査に基づく出店ができるメリットがあります。フランチャイズ本部は、どの地域・エリアに結婚相談の需要がありそうかについて、市場調査を行っています。

結婚相談の需要が高いのは、首都圏や地方大都市圏など居住人口や就労人口が多い地域が中心になります。過疎化が進み高齢者の比率が高い地方などは独身者が少なく、結婚相談の需要も高くありません。

本部では、どの地域・エリアに独身者が多く住み、働いているか、各種の調査結果などから分析しています。また、同業他社である結婚相談所の立地についても調査し、どの地域・エリアに出店すれば商圏の競合が生じ難いか、についても判定を行っています。出店を計画している地域に、既に同業他社の店舗が開業している場合は、競合を避けるため出店を見直す場合もあります。

さらに、フランチャイズ本部では、結婚相談の将来的な需要についても研究を行っています。わが国は人口減少社会を迎えていますが、いつの時代になっても結婚したい人は必ずいて、将来的にも一定の結婚相談需要はあるとされています。

このように、フランチャイズに加盟すれば、フランチャイズ本部の持つ市場調査結果やデータに基づいた合理的な出店が可能となります。

本部のバックアップがある

フランチャイズで結婚相談所を始めると、フランチャイズ本部から様々な支援を受けることができます。結婚相談所は、人相手の仕事であるため、相談所と会員との間にいろいろな感情的軋轢やトラブルなどが生じることがあり、こじれると退会されてしまう場合もあります。このような場合に本部に相談すれば、専門スタッフが長年の経験に基づく適切なアドバイスを与えてくれます。

また、開業当初は加盟店の会員数が少ないことから、適切な相手を紹介するのが難しいという事情があります。しかし、フランチャイズ本部が系列の直営店・加盟店の会員名簿を持っているため、その豊富な人材の中から適切な相手を選んで紹介することが可能になります。

フランチャイズ本部のバックアップは、数え上げたらキリがないくらい多くの分野や場面でみることができます。要するに、個人では独力で行わなければならないことを、フランチャイズでは本部の手助けを受けながらできるというわけです。

結婚相談所のフランチャイズで成功するポイント

結婚相談所のフランチャイズで成功するポイント

それでは、どうすれば結婚相談所のフランチャイズで成功できるのか、そのポイントを見ていきましょう。

自分が結婚相談所経営に向いているか分析する

まず、最も重要なポイントは、自分が結婚相談所経営に向いているかを分析することです。

結婚相談所の事業は、他のフランチャイズ事業とは大きく異なる点があります。それは、結婚相談所の業務が、人と人との関係を取り持つ仕事であることです。人と人の関係を繋ぐことが仕事の幹であることから、結婚相談所を経営するには、人というものに深い関心を持ち、人の心の機微に敏感であることが求められます。

例えば、一般的なフランチャイズ事業には、コンビニやラーメン店などがあります。コンビニやラーメン店などのフランチャイズ事業も、もちろん人間を相手にする商売に変わりはありませんが、人への深い関心や人の内面に対する敏感さなどは、それ程要求されません。

それに対し、結婚相談所経営では、人間そのものや喜び、悲しみ、怒り、夢、希望など人間の内面の動きに深い関心を持ち、それを理解しようとする気持ちが必要です。極端な話ですが、①コンビニは、仕入れた物を売って終わり、②ラーメン店は、調理した料理を出して終わりということができますが、③結婚相談所は、人を紹介して終わりというわけにはいきません。

結婚相談所は、人を紹介して上手くいかなければ何度でも紹介し直し、お見合いを成功させ、交際の支援や進行管理を行いながらプロポーズや成婚に繋げていくことが仕事です。そこには、当然会員当事者の気持ちや考えを理解しながら、時にはそっと見守り、時には励ましながらハッピーエンドに到達してもらうことが使命となります。すなわち、結婚相談所の仕事は、コンビニやラーメン店のように売って終わりというわけにはいかず、会員当事者の面倒を最後までみる覚悟が必要なのです。

したがって、結婚相談所を経営するには、人への深い関心や人の心の機微に敏感であることが求められます。そのような素質や特徴が自分に備わっているかどうか、そのことをまず確かめることが先決です。

その点で、人や人間関係というものにあまり関心がないという方は、結婚相談所経営には向いていないかもしれません。逆に、人間というものに深い関心があり、人の心の動きを察知することが得意という方がいれば、結婚相談所経営で成功する確率が非常に高いといえるでしょう。

信用度が高く支援体制が充実しているフランチャイズを選ぶ

次に重要なのがフランチャイズ選びです。極端な話をしますと、フランチャイズ事業におけるフランチャイズの選定は、不動産投資事業における不動産物件の選定と似ています。その理由は、どちらの選定も、その事業の成否を大きく左右してしまうからです。

不動産投資事業では、立地条件に恵まれた優良な物件を選べば、高い賃借需要が見込めるとともに資産価値が維持されるため、成功する確率が非常に高くなります。それと同じく、結婚相談所フランチャイズ事業では、世間的に周知されて信用度が高いフランチャイズを選べば、秘密漏洩などの心配がなく安心して会員になろうとする人を多く見込むことができ、繁盛店になる確率が高くなります。

結婚相談所の経営は、会費収入を上げるためにも、また紹介できる人材を増やすためにも、会員の獲得が生命線となります。その最も重要な会員は、個人の秘密を堅く守ってくれて安全だと判断できる結婚相談所に集中します。そのことからも、世間で信用度が高い結婚相談所フランチャイズを選ぶことが肝心なポイントです。

なお、信用度が高い結婚相談所を選ぶポイントは、以下の通りです。

  1.  周知度が高く有名である
  2.  経営理念に共感できる
  3.  評判がよく悪い噂がない

また、結婚相談所は、人を相手にして異性間の関係構築を手助けする仕事です。業務を行うには、会員の人生観や職業観、異性に対する考え方、興味・関心事項などを理解し、それに寄り添いながら、適宜適切なタイミングで具体的な成果に向けて会員を導いていくことが必要です。そのためには、結婚相談所の事務処理方法をマスターするだけではなく、会員同士を幸せな結果に導いていくノウハウやコツというものが求められます。

このノウハウやコツは、一朝一夕で身に付くものではないため、折に触れてフランチャイズ本部に相談し、その指導や助言を受けることが必要です。そのためには、困った場合や戸惑った時の支援体制が充実しているフランチャイズを選ぶことが非常に重要です。

業務の進め方をマスターしてから始める

結婚相談所フランチャイズは、業務の進め方をマスターしてから始めることが肝心です。既に説明したように、結婚相談所は、人を紹介してお見合いを成功させ、交際の支援や進行管理を行いながらプロポーズや成婚に導いていく、すなわち人と人との関係を繋いでいく仕事です。

そのため、会員当事者との面談やコミュニケーションを通じた希望や考えの把握の仕方、交際の支援や進行管理の方法、一つのステップから次のステップに進む場合のタイミングや間合いのとり方など、他のフランチャイズ事業にはない異色の仕事であるということができ、業務の進め方や段取りの方法、会員とのコミュニケーションのやり方などについて、それなりの業務ノウハウが必要になります。

したがって、結婚相談所フランチャイズを始める際は、他業種のフランチャイズ事業よりも準備期間を十分にとり、より業務の進め方を事前にマスターしてからスタートすることが重要です。

LINEやSNSを使いこなせるようにしておく

結婚相談所フランチャイズを開業する前に、LINEやSNSを使いこなせるようにしておくと様々なメリットがあります。

メリットの1つ目は、結婚相談所のPRや会員集めに役立つからです。LINEやSNSを使って宣伝広告を行う時代なので、ネット上に結婚相談所のサイトを開くだけではなく、LINEやSNSを使って会員集めを行うとさらに効果が見込めます。

2つ目は、コミュニケーションツールとして利用できるからです。今の20~40歳代の人は、LINEやSNSをコミュニケーションの手段にしています。結婚相談所では、会員への連絡や問合せに電話を使うことが多いでしょうが、会員の方から連絡の方法にLINEを希望される場合もあるでしょう。そのような場合に、会員の希望に応じることも営業をスムーズに進める方法です。

初めから手を広げ過ぎないようにする

初めから手を広げ過ぎないようにするのも重要なポイントの一つです。手を広げ過ぎないようにするというのは、事業や店舗の規模を抑え気味にしてスタートするということです。通常は、まず事業の規模を決め、それに応じた店舗の規模にすることから、初めに想定する事業の規模を過大に見積もらないようにするのです。

仮に、想定する事業の規模を大きめに見積もり、それに応じて店舗の規模も大きく構えて開業したらどうでしょうか。この場合には、以下のようなリスクが生じます。

①店舗物件取得費が高い 店舗規模が大きいため、店舗物件取得費が高くかかります。物件を購入する場合はもちろんのこと、賃借する場合も敷金や初回に払い込む数か月分の家賃が高額になり、開業費用が大きくかかります。
②家賃が高い 店舗規模が大きいため、毎月の家賃負担が高くなります。この場合、思うように会員が集まらず会費収入が伸びない場合は、高い家賃を支払えない可能性があります。
③人件費がかかる 想定する事業の規模が大きいため、スタッフを雇用する必要があり、その分人件費がかかります。

また、スタッフに事務作業だけやってもらう場合は問題がありませんが、連絡調整などの会員対応、または見合い設定や交際の進行管理など一連の事業をしてもらう場合は、簡単にはいきません。

会員対応や事業を行うスタッフは、その辺の飲食店や小売店で雇われているような普通のアルバイトでは対応が困難です。会員対応や事業を行うスタッフは、言葉遣いや物腰が丁寧で洗練されており、かつ会員の気持ちや希望をしっかりと受け止め、真摯に対応できる人材である必要があります。仕事の性格上、学生などではなく、一定の人生経験や社会経験がある人が望ましいでしょう。

通常のアルバイト募集で、このような良質な人材が簡単に集まることはほとんどないため、多くの場合採用後に教育せざるを得ない状況となってしまいます。フランチャイズ本部である程度スタッフの研修はやってくれるでしょうが、後は、民間のスクールか自前で教育することになります。研修中も当然賃金を支払い続ける必要があり、また、民間のスクールは授業料が、自前の教育は労力と時間がかかります。

このように、初めから手を広げ過ぎると、開業費用や毎月の家賃、人件費、スタッフの教育コストなど、多大な費用と労力が必要になってしまいます。初めは、想定する事業規模を小さめに設定し、スタッフを雇わずに自分1人だけで開業することが可能です。また、外部に店舗を構えずに、自宅を事務所にして開業することもできます。

「自宅で結婚相談所を始める場合は、相談所への勧誘や会員との面談はどこで行ったらよいのか」と心配する方もいらっしゃるでしょう。勧誘や面談は、ホテルのロビーやコーヒーショップ、ファミリーレストランなどを利用すれば問題はありません。

自宅で1人開業すれば、開業費用を最大限抑えることができ、また、開業後の家賃負担や人件費も節約することができます。きちんとした店舗を構えるかどうか、スタッフを雇用するかどうかは、しばらく営業を続けてみて、会員数や会費収入の状況、業務の忙しさなどを勘案しながら決めることも可能です。

バランスをとりながら業務を進める

バランスをとりながら業務を進めると聞いただけでは、何のことかよく分からないでしょう。この場合のバランスとは、会員との距離感のことをいいます。つまり、会員との距離について適度にバランスをとりながら、業務を進めることが重要という意味です。

結婚相談所の業務は、会員同士の縁を結ぶという仕事です。これは、人の紹介~お見合い設定~交際支援・進行管理~プロポーズ・成婚支援という業務の流れになります。そのため、流れの要所、要所で、以下のような会員当事者の意向確認や状況確認が必要になります。

  1.  人を紹介した場合、お見合いをしたいかどうかの意向確認
  2.  お見合いが終了した場合、交際を希望したいかどうかの意向確認
  3.  交際が始まった場合、その進行状況の確認
  4.  交際が続いている場合、プロポーズするか、交際を止めるか、まだ交際を続けるかの意向確認

会員の中には、こまめに結婚相談所に連絡してくれる、または相談所から頻繁に連絡しても気安く応えてくれる方もいます。ところが一方で、相談所から連絡しなければ音沙汰がない、相談所が交際の進行状況やプロポーズの意向を確認すると急かされている、プレッシャーを感じてしまうなど、相談所から頻繁に連絡されるのを好まず一定の距離を開けておきたいという人もいます。このような会員に、しつこく頻繁に問合せを続けていると、鬱陶しがって退会してしまう虞もあります。

結婚相談所としては、会員の意向を迅速に確認して次のステップに進ませてあげたい、現在の状況がどうなっているか確認して対策を講じてあげたい、と考えているわけですが、このような距離を開けたい会員に対して、一律に距離を縮め頻繁に問合せや催促を行うのは問題です。

しかし、あまり連絡をとらないよう気を遣うと、会員の意向確認や状況確認が遅れてしまい、よいタイミングや機会を逃してしまうこともあり得ます。このため相談所は、このような会員とはある程度の距離を置きながらも、必要なポイントではしっかりと連絡や確認をとるという「距離のバランス=近過ぎず遠過ぎず」を念頭に置きながら業務を進める必要があります。

この距離のバランスに配慮することを忘れなければ、どのような会員でも、鬱陶しい、プレッシャーを感じるなどがあまりなく、退会者も少なく抑えることができるでしょう。

結婚相談所フランチャイズの始め方

結婚相談所フランチャイズの始め方

それでは、どうやって結婚相談所フランチャイズを始めるかを見ていきましょう。フランチャイズ事業を始める手順は、以下のようになります。

  1.  資料請求・説明会参加
  2.  資金計画策定・融資手続
  3.  フランチャイズの選定
  4.  フランチャイズ契約の締結
  5.  研修受講・開業準備
  6.  開業

資料請求・説明会参加

まず、第1ステップは、フランチャイズの資料を請求する、または説明会に参加することです。各フランチャイズは、ネット上で加盟店募集のPRを行っています。この加盟店募集のサイトを見れば、フランチャイズ加盟に関するある程度のことを知ることができますが、加盟するフランチャイズを選定するための情報としては不十分です。

特に、フランチャイズ事業を始めようと考えている人が強く関心を持っている①開業費用はいくらかかるか、②開業後の収益はどの位かなどについては、ネット上のサイトを見るだけでは、その詳細がわかりません。

そのため、フランチャイズ本部に資料を請求する必要があります。通常、ネットの加盟店募集のサイトには、「資料請求」などのボタンがあり、それをクリックすると氏名や連絡先などの情報入力欄が表示されるので、必要事項を入力して送信すると資料が送られてきます。

この資料請求は、1社のみに限定するのではなく、自分が目星を付けた数社(5~6社)に行うことが肝心です。複数のフランチャイズから資料を取り寄せて、お互いに比較することで、このフランチャイズは開業費用が安い、あのフランチャイズは研修が充実しているなどの情報がわかってきます。すなわち、加盟金や開業費用、ロイヤリティや収益モデルなどの項目で一覧表を作り、フランチャイズを比較していくのです。

比較が終わったら総合的に評価を行い、2~3社に絞り込んで説明会に参加してみる</span.ことをおすすめします。その理由は、手元の資料だけではよくわからない箇所や不安に感じる点などについて、説明会で質問することができるからです。

また、説明会では、全体説明の後に個別面談が組まれている場合があります。個別面談では、フランチャイズ本部のスタッフが、加盟や開業についてより具体的に相談に応じてくれます。突っ込んだ質問を行い、欲しいデータを要求するためにも、個別面談を受けることは大きな意義があります。個別面談を受けたからといって、そのフランチャイズに加盟しなければならない義務はありませんので、安心して面談してください。

フランチャイズの選定

第1ステップで、総合評価により加盟候補のフランチャイズを2~3社に絞り込みました。この残った2~3社については、説明会や個別面談を経ることにより、さらに詳細を理解することができたはずです。したがって、次の第2ステップでは、これまで仕入れた以下の情報を基に、最終的に加盟候補のフランチャイズを決定します。

  1.  加盟金・保証金の額
  2.  加盟金・保証金以外に必要な開業費用
  3.  出店できるエリア
  4.  出店できるエリアの市場調査結果
  5.  開業後のロイヤリティ
  6.  加盟店の収益データ
  7.  研修制度
  8.  本部のバックアップ
  9.  本部の経営方針・経営理念
  10.  本部の縛りや拘束の度合い

選定の基本は、将来有望なエリアに安く開業でき、開業後の収益が見込め、本部の研修制度や支援体制が充実しているフランチャイズとなります。

資金計画策定・融資手続

次のステップでは、資金計画を策定し、必要なら融資手続を始めます。加盟候補のフランチャイズが決まれば、具体的に必要な開業費用が算出できます。その開業費用をどのようにして賄うのか、自己資金だけで足りるのか、それとも自己資金で足りない分は融資を受けるのか、について計画を立てなければいけません。一般的な開業費用は、以下の項目からなっています。

  1.  加盟金・保証金
  2.  店舗物件取得費
     物件購入費用または物件賃借費用です。自宅開業の場合は原則不要です。
  3.  店舗内・外装工事費
     自宅開業の場合は原則不要です。
  4.  店舗内備品取得費
     結婚相談所の場合は大がかりな備品は不要です。会員データ管理用のパソコンや面談用の机・椅子などが必要です。
  5.  店舗内消耗品取得費
  6.  広告宣伝費

どのような広告媒体を使うかにより、費用が違ってきます。また、開業費用のほか、開業後当初の運営費用も一定額を準備しておくことをおすすめします。その理由は、開業直後から会費収入や成婚報酬が入ってくる保証はなく、売上げがなくても営業を続けていくことができるようにしておくためです。

これら開業費用および運営費用準備金の合計額に自己資金が不足する場合は、その不足分について融資を受ける必要があります。融資は、民間の金融機関が一般的ですが、政府系金融機関である日本政策金融公庫が扱っている融資制度(新創業融資制度、新規開業資金など)もあり、これらはフランチャイズで開業する場合も対象になります。

また、融資制度ではありませんが、国や地方自治体の補助金・助成金を利用する方法もあります。国や地方自治体では、起業家向けに様々な内容の補助・助成制度を設けているので、調べてみることが肝心<です。

日本政策金融公庫・民間金融機関の融資、または国・地方自治体の補助については、それぞれの窓口に問い合わせて資料を貰い、具体的な手続きについて手順を教えてもらうことになります。これらの融資や補助金は、相談や申請を行ってから審査結果が出るまでに時間がかかる場合もあります。

フランチャイズ契約の締結

第4ステップは、いよいよ加盟候補のフランチャイズと契約を締結して加盟する段階となります。ただし、フランチャイズに加盟するためには、前のステップで説明した開業資金の調達について、具体的な目途が立っていなくてはなりません。

すなわち、自己資金だけで開業費用を賄えない場合は、補助金の交付決定や融資審査の合格などの結果が出てからでなければ、フランチャイズ契約を結ぶことはできません。そのため、第2ステップでフランチャイズを選定しても、その後の開業資金調達手続に時間がかかり、フランチャイズ契約の締結が遅れる可能性があります。

「それなら、第2ステップのフランチャイズ選定と並行して、第3ステップの開業資金調達を進めればよいのでは」と思う方もいらっしゃるでしょうが、加盟するフランチャイズを特定しないと必要な開業資金が決まらないため、金融機関に提出する書類を正確に作成することが難しくなってしまいます。

したがって、第3ステップの開業資金調達手続きは、ある程度時間がかかっても仕方がないと認識すべきでしょう。

開業資金の調達に目途がついたら、いよいよフランチャイズ契約の締結に進みます。フランチャイズ契約書は、フランチャイズ本部の方でひな型を作成しており、その契約書を使うことになります。契約書は、全ての条項に目を通し、疑問点は納得できるまで質問し、説明を受ける必要があります。特に、これまで取り寄せた資料や説明会、個別面談における説明内容と契約書の中身が食い違っていないかどうかは十分にチェックする必要があります。

また、フランチャイズ契約は、通常5年間などの契約期間が定められていますが、その契約期間の途中で解約する場合の取扱いが契約書に定められているか確認しておくことも重要です。

契約書に、中途解約の申入れ期限や中途解約するペナルティとしての違約金の支払いなどの取扱いが定められている場合と、中途解約の取扱いが何も定められていない場合があります。中途解約の取扱いが定められていれば、後日中途解約する場合はその条項に従って手続きを行うことになりますが、定められていない場合は、加盟者とフランチャイズ本部の協議により解約手続を行うことになります。

さらに、フランチャイズ契約では、フランチャイズのブランド・信用を失墜させる行為やフランチャイズの営業を行うために知り得た秘密情報を外部に漏洩する行為などが禁止されているため、確認しておくことが大切です。

研修受講・開業準備

フランチャイズ契約を締結しフランチャイズに加盟したら、以下の手順で開業に向けた準備に入ります。

①研修受講 フランチャイズ本部で研修を受講して、事業の進め方を習得する
②店舗物件取得 店舗物件を購入または賃借する手続きを進める
③店舗内・外装工事 購入または賃借した店舗を事業用に改装する
④店舗用備品・消耗品取得 事業に使う備品や消耗品を購入または賃借する
⑤店舗スタッフの採用 雇用するスタッフの採用手続を行う
⑥宣伝広告 店舗や事業の宣伝広告を行う

ただし、店舗を持たずに自宅を事務所として開業する場合は、②店舗物件取得と③店舗内・外装工事は不要(勧誘や面談を外部で行う場合)で、店舗スタッフを雇わずに自分1人で始める場合は、⑤店舗スタッフの採用は行いません。

結婚相談所は、他のフランチャイズの業種のように、実店舗の取得や店舗スタッフの雇用が必須というわけではありません。例えば、コンビニは実店舗と店舗スタッフを、飲食店は厨房付きの実店舗を、学習塾は教室を用意することが必須条件ですが、結婚相談所は実店舗や店舗スタッフなしでも開業できるため、工夫次第では少額開業が可能な業種といえます。

つまり、結婚相談所を自分1人で自宅開業する場合は、①研修受講、④店舗用備品・消耗品取得、⑥宣伝広告を行えばよいのです。その場合、特に重要なのが、①研修受講と⑥宣伝広告です。

既に説明した通り、結婚相談所は人と人の間を取り持ち、男女関係という人間関係構築のお手伝いをする仕事です。そのためには、会員の気持ちに寄り添う細やかな配慮が必要ですが、同時に、プロポーズや成婚という確実な結果を出すことも求められます。

会員は、結婚相談所に具体的な成果を期待して会費を収めています。対価として金銭を受け取っているからには、プロポーズや成婚という成果を会員に還元することが最大の使命なのです。

プロポーズは人生の分岐点ともいうことができ、また断られる可能性もあることなどから、なかなか踏み切れないという人もいますが、そのような感情に配慮しながらも、適切なタイミングが来れば励ましながら後押しすることも必要です。すなわち、仕事を進める上で、会員の気持ちに配慮すること、および会員の感情に振り回されずに冷静に進路の舵取りを行うことの両方が要求されるのです。

このように、結婚相談所の仕事は、単に事務を覚えればよいという類のものではなく、業務遂行のための様々なノウハウやコツが必須のものとなります。研修では、会員募集から会員紹介、お見合い、交際、成婚に至る事務的な処理のやり方は当然教わる必要がありますが、この業務遂行のための様々なノウハウやコツをどれだけ身に付けることができるかが大変重要なポイントです。

また、結婚相談所は、会員からの会費収入や成婚に至った場合の報酬で成り立っていることから、まずは会員を多く集めることが大きな課題となります。そのためには、入会するとどのようなサービスを受けることができるか、当該相談所がいかに安全で信用できるかなどについて、わかりやすい宣伝広告を行うことが求められます。

開業

研修や開業準備が終われば、念願の結婚相談所を開業することができます。開業直後は、いろいろと戸惑うことやどうしてよいか分からないことも多くあるでしょう。そのような場合は、フランチャイズに加盟しているメリットを最大限に生かし、本部に相談、支援を求めるのが基本です。

分からないことを本部に相談しながら、また困った場合に本部の助言を受けながら、結婚相談所を営業していくコツやポイントが徐々に身に付いていきます。

まとめ

結婚相談所のフランチャイズで成功する

結婚相談所の経営に向いているかどうかは、自分が人と人との関係を取り持つ仕事に適性があるかどうかにより、仕事に対するモチベーションや将来的な業績に大きく影響することが想定されるため、事前にしっかりと確認しておくことが重要です。信用度が高く支援体制が充実しているフランチャイズを選ぶには、十分な情報収集と比較考量が必要になるので、慎重に検討しましょう。