SDGsに取り組んでいるフランチャイズは?企業名や活用内容を紹介
SDGsは、2015年に国連サミットで採択された「持続可能な開発目標」で、すべての国が共に取り組む普遍的な目標とされています。これを受けて日本の産業界でも、近年SDGsに本格的に取り組む企業が増えてきており、その動きは、系列の店舗を多数有するフランチャイズにも波及しています。
そこで今回の記事では、フランチャイズがSDGsに取り組む意義や課題を解説するとともに、実際にSDGsに取り組んでいるフランチャイズを紹介するので、参考にしてみてください。
目次
SDGsとは
SDGsとは、「Sustainable Development Goals」の略称で、2015年に国連サミットで採択された「持続可能な開発目標」のことをいいます。
近年、世界の人々は、過去に経験したことがないような多くの難しい課題に直面しています。例えば、戦争、紛争、貧困、飢餓、気候変動、感染症など様々な問題が発生し、人々が安心して豊かな生活を送ることが難しくなると心配されています。
そのような危機感が増大してきたことから、世界の様々な分野の人々が協議・検討を行い、問題解決に向けて2030年までに達成すべき目標を策定したのが、SDGs=持続可能な開発目標なのです。
何が「持続可能」なのかというと、「持続可能=続けることができる」という意味から用いられた表現で、①目標達成に向けた取組を続けることができる、②取組みを行うことにより、世界の人々が暮らし続けることができるとの期待が込められています。
具体的には、SDGs は、以下のような「17のゴール、169のターゲット」から構成され、2015年9月の国連サミットで採択された目標です。SDGs は、発展途上国、先進国の区分にかかわらず、すべての国が共に取り組む普遍的な目標とされているのです。
【17のゴール】
- 貧困をなくそう
- 飢餓をゼロに
- すべての人に健康と福祉を
- 質の高い教育をみんなに
- ジェンダー平等を実現しよう
- 安全な水とトイレを世界中に
- エネルギーをみんなに、そしてクリーンに
- 働きがいも経済成長も
- 産業と技術革新の基盤をつくろう
- 人や国の不平等をなくそう
- 住み続けられるまちづくりを
- 作る責任つかう責任
- 気候変動に具体的な対策を
- 海の豊かさを守ろう
- 陸の豊かさも守ろう
- 平和と公正をすべての人に
- パートナーシップで目標を達成しよう
【169のターゲット】
ターゲットは、17のゴールそれぞれの下に設定された具体的な目標です。例えば、ゴール①の「貧困をなくそう」の下には複数のターゲットが設定されていますが、その中には、「2030年までに、現在1日1.25ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる。」などがあります。
日本におけるSDGsの取組
国連サミットで採択された持続可能な開発目標を受けて、日本では2016年に内閣総理大臣を本部長とする「SDGs推進本部」が設置され、同年12月に「SDGs実施指針」が策定されました(2019年12月に改定)。SDGs推進本部では、2017年からSDGs実施指針に基づき、「SDGsアクションプラン」を策定しています。
【SDGsアクションプラン2022の重点事項(抜粋)】
- 人間:感染症対策と未来の基盤づくり
- 繁栄:成長と分配の好循環
- 地球:地球未来への貢献
- 平和:普遍的価値の遵守
- パートナーシップ:絆の力を呼び起こす
また、SDGs達成に向け優れた取組を行う企業・団体等を表彰する制度である「ジャパンSDGsアワード」を創設し、表彰を行っています。
フランチャイズにおけるSDGsとは
それでは、フランチャイズにおけるSDGsは、どのような意義や課題があるのかをみていきましょう。
フランチャイズがSDGsに取り組む意義
それでは、なぜフランチャイズがSDGsを重視して取組を行うのか、その理由をみていきましょう。
①フランチャイズのブランドイメージが向上する
SDGsに取り組むと、フランチャイズのブランドイメージが向上します。現在SDGsは広く社会に周知され、一般の消費者も高い関心を寄せています。そのような中でSDGsに取り組んでいるフランチャイズは、一般消費者や取引先からの信頼を得ることができ、それがグループの業績向上に繋がる可能性が高くなります。また、そのようにSDGsへの取組を行っているフランチャイズは、優秀な人材が集まりやすい条件を備えているといえます。
②社会的な影響力が大きい
フランチャイズのSDGsの取組は、単一の企業の場合に比べ、社会的な影響力が大きいことをあげることができます。フランチャイズがSDGsの取組を行う際は、系列の加盟店を巻き込みグループ全体で進めることが求められます。
多くの加盟店オーナーや加盟店で働く従業員は、日々の本来業務を行いながら、社会に役立ちたいとの思いを持っています。SDGsの取組は、ゴミの排出量削減や高齢者への配慮・支援など目に見える内容が多いことから、仕事を通じて社会の役に立っているという実感が得られるものです。そのように、本来業務と並行して社会貢献ができるとの意識を持ちながら働けば、加盟店の業績向上にも繋がります。
フランチャイズは、本部企業をはじめ系列の加盟店を含めたグループで成り立っています。また、それぞれの加盟店は、一般消費者に商品・サービスの提供を通じてその地域の人々と強く結び付いています。その地域の人々と強く結び付いた個々の店舗が、本部や他の店舗と一体化してSDGsの取組を行えば、その波動は地域の消費者を通して広く社会に伝播していきます。
このように、フランチャイズにおけるSDGsの取組は、社会的な影響力が大きいという特徴があります。
③投資家・取引先にPRできる
SDGsの取組は、投資家や取引先にPRすることができます。近年、投資家が投資先の企業を選ぶ際に、社会的な責任を果たしているか、社会的な貢献を行っているかが重要な判断基準となってきています。社会的な責任を果たしている、社会的な貢献を行っている企業は、一般消費者や社会からの信頼性や評価が高くなるため、将来有望と判断されるからです。
また、取引先に対しても、SDGsの取組をPRすることで。一定の評価を貰えることが期待されます。
④社員のモチベーションが高まる
自社がSDGsの取組を行っていることは、社員のモチベーションを高める効果があります。
SDGsの取組は、トップダウンの命令で行うよりは、社員一人ひとりが考え、全員で研究・検討しながら進める方が、はるかに大きい効果が期待できます。
自分たちが考えた取組が社会貢献や地球環境改善に繋がるとの意識や実感を持ちながら日々の仕事に向き合うことは、そのような認識なしにただ漫然と本来業務だけを行う場合に比べ、仕事へのやる気や達成感が格段に違ってきます。さらに仕事を進める上での様々な苦労や逆境に対しても、それを乗り越えて完遂させようというエネルギーが沸き起こってきます。
そのように、仕事に対する社員のモチベーションが高まることは、企業業績にも良い影響を与えることができます。
⑤新しいビジネスチャンスが生まれる
SDGsに取り組むと新しいビジネスチャンスが見えてくる可能性があります。SDGsに取り組むということは、様々な分野の課題を研究し、改善策を練ることです。この様々な課題は多肢に渡っており、かつ非常に大きな問題です。貧困、飢餓、健康、福祉、地球環境、資源・エネルギーなど、世界の人々が背負っている大変重い課題であり、人々が幸せに生き続けるために必ず解決しなければならない問題です。
そのような大きく重い課題は、従来の企業の営業活動の枠を超えた新しい分野であるかもしれず、それまでの枠に囚われていては解決の糸口が見えないものかもしれません。また、そのような大きな課題や新しい分野に対しては、個人や単一の企業だけで知恵を絞っても、良いアイデアが生まれる可能性は高くないといえます。
このため、従来の企業の営業活動の枠を超えて新たな視点を取り入れるためにも、また、外部の知恵を借りるためにも、SDGsに取り組む過程では、異業種や他の企業グループ、国や自治体などの官公庁、シンクタンクなどの研究機関や教育機関との連携が非常に重要になってきます。
以上のように、これまでの企業の営業活動の枠を超えた新しい領域の研究に取り組むと、それまで意識しなかったビジネスチャンスを見つけることができる可能性があります。また、SDGsに取り組む過程で異業種や他の企業・組織と連携すれば、単独では生み出せない新しいアイデアが提供される、または共同でそれまでなかった斬新なプランを考えつくなどが可能になります。
そして、その新しいアイデアや斬新なプランを活用し、従来なかった新しいビジネスチャンスを掴むことも期待ができます。以上のように、フランチャイズがSDGsの取組を行う意義は大変大きいものがあります。
事業の目的、事業の進め方からのアプローチ
フランチャイズにおけるSDGsの取組には、以下のような2つのアプローチ方法があります。
①事業の目的からのアプローチ
事業の目的からのアプローチは、フランチャイズの事業目的がSDGsの目標の一部になっているケースです。すなわち、フランチャイズは自社の事業を進めることで、自然にSDGsの目標達成に向けた取組を行うことになるわけです。
例えば、高齢者向けのデイサービスや障害者を対象とするケア事業を事業目的とするフランチャイズでは、それらの事業目的自体がSDGsの目標である「すべての人に健康と福祉を」、「住み続けられるまちづくりを」などのテーマに合致しています。このようなフランチャイズでは、本来の事業目的に向けた活動を行うことが、自動的にSDGsの取組に繋がるのです。
②事業の進め方からのアプローチ
事業の進め方からのアプローチは、フランチャイズの事業目的がSDGsの目標と直接重なってはいないケースです。この場合フランチャイズは、自社の事業を進める過程でSDGsの目標を取り入れることができます。すなわち、フランチャイズの事業目的自体はSDGsの目標と合致していなくても、事業の進め方にSDGsの目標を取り込むことでSDGsに取り組むことが可能になります。
例えば、衣料品を販売するフランチャイズは、その事業目的自体はSDGsの目標と重なっていなくても、その事業を進める上で省エネやペーパーレスを図っていけば、そのことがSDGsの目標である「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」、「気候変動に具体的な対策を」などのテーマに取り組むことができるのです。
フランチャイズにおけるSDGsの課題
フランチャイズでは、SDGsに関して以下のような様々な課題があります。
①社会的なニーズに応える必要がある
近年は、「社会に役立つこと」「社会貢献を行うこと」が、企業に対する社会的なニーズとなっています。例えば、一般消費者が商品やサービスを購入する際や、投資家が投資先を決める際、または取引先が契約を結ぶ際に重要視する条件となっています。このため、フランチャイズでは、社会的なニーズに応える意味からもSDGsに向き合っていく必要があります。
②進め方を研究する必要がある
企業がSDGsに取り組むには、経験や前例が不足しています。SDGsへの取組は新しい分野であるため、推進体制はどうするのか、何から始めたらよいか、どう進めたらよいかなど、SDGsの取組み方全般がよくわからないという意見があります。このことから、SDGs目標達成に向けた社内の推進体制や進行管理など取組の進め方について研究する必要があります。
③企業内外から理解を得る必要がある
SDGsの取組は、必ずしも企業の利益に直結するとは限りません。SDGsの目標は、人類の平等や地球環境の保全など長期的な視野からみた普遍的な価値を守ることにあるため、短期的な企業利益とは結び付かない場合があります。
そのため、株主をはじめとする投資家、取引先、メインバンクなど外部の利害関係者、社員など内部関係者の理解や支持を簡単に得ることが難しい場合があります。特にフランチャイズの場合は、本部が考える方向と加盟店の利害が一致しないケースもあります。フランチャイズでは、営業の第一線にある加盟店がSDGsの取組の中心になる必要があるため、本部と加盟店が協議を尽くし、グループとしての意思を統一することが大切です。
以上のように、SDGsに取り組む意義や必要性について、グループ内外に対し丁寧に説明し理解を得る必要があります。
④経営陣の理解が必要である
SDGsの取組は、社内の現場からアイデアや発案がされる場合が多くみられます。この場合に、経営陣のSDGsに対する理解が不足していると、なかなか同意や支持を取りつけることができません。SDGsの取組を企業の意思とするためには、経営陣の理解を得るよう努める必要があります。
⑤優秀な人材が必要である
SDGsの取組を進めていくには、時として、日常業務に囚われない広い視野、柔軟な発想力、新しい分野へのチャレンジ精神、果敢な行動力などが求められます。前例踏襲や守りの姿勢では、SDGsの目標を達成することは難しいといわざるを得ません。このため、広い視野や柔軟な発想力、チャレンジ精神や行動力に富んだ優秀な人材を確保する必要があります。
⑥海外へのPRが必要である
SDGsの取組は、国内だけでなく広く海外にもPRしていくことが重要です。そのことが、SDGsの取組を支持する海外企業や団体との情報交換や交流のきっかけとなり、新しいアイデアや進め方などを教えてもらうことが可能となります。
また、このような情報交換や交流により、事業に役立つ情報収集や場合によっては事業協力に発展する場合もあります。それには、SDGsの取組について、海外への効果的・効率的なPRを行っていくことが肝心です。
フランチャイズにおけるSDGsの取組方法
ここで、フランチャイズでSDGsに取り組むには、どのような手順が必要かをみていきましょう。
フランチャイズでSDGsに取り組むには、以下の手順で進めます。
- SDGsについて勉強する
- 取り組むべき課題を決める
- 具体的な目標を設定する
- 自社事業に統合する
- グループ内の意思を統一する
①SDGsについて勉強する
まず、本部の経営者や従業員、加盟店がSDGsについて理解することが先決です。SDGsとは何か、SDGsに取り組む意味は何か、などについて勉強することが必要となります。具体的には、SDGsについての情報収集を行うのと併せて、経営者・従業員・加盟店向けの勉強会・研修会の開催などを通じて理解を促進します。
②取り組むべき課題を決める
- ・自社の目的や事業を考えた場合に、どのような社会貢献ができるか
- ・自社事業を行いながらできる社会貢献は何か
- ・その社会貢献は、SDGsのどこに該当するか
などを検討し、優先的に設定する課題を決めます。
例えば、飲食店のフランチャイズであれば、「原材料・商品・エネルギーの無駄をなくす」が大きな課題の一つにあります。具体的な課題としては、「食品ロス削減」「余った食材の有効利用」「電気・ガス・水道の節約」などが考えられるため、これらを取り組むべき課題として決めることができます。
取り組むべき課題は、本部だけで勝手に決めるのではなく、加盟店の代表者も交えて検討することが重要です。
③具体的な目標を設定する
取り組むべき課題が決まったら、より具体的な目標を設定します。例えば、具体的な課題である食品ロス削減では、無駄な食材を仕入れないよう在庫管理を行う、食材が消費期限切れにならないよう品質管理を行うなどを検討した上で、廃棄食品を何%削減するか目標値を設定します。
また、余った食材の有効利用では、余った食材を店頭で安く売る、余った食材を組み合わせて調理し安く提供するなどを検討し、対策を決めます。このほか、電気・ガス・水道の節約では、電気・ガス・水道それぞれの使用量を何%を節約するかについて、本部と加盟店に分けて目標値を設定します。
この具体的な目標についても、本部と加盟店代表が協議して設定することが大切です。
④自社事業に統合する
検討会で決定した取り組むべき課題や具体的な目標について、正式に自社事業の一環としての意思決定を行います。また、SDGsの取組を自社のビジネスと統合させます。ここでいう統合は、SDGsの取組を自社の本来事業に組み込み、本来事業遂行に併せて実施できるよう方法やタイミングを設定することです。SDGsの取組を自社事業に統合したら、後は実際の取組になります。
⑤グループ内の意思を統一する
SDGsで取り組むべき課題や具体的な目標が決まった段階で、フランチャイズグループ内の意思を統一することが重要です。グループの全員が同じ目標に向かって行動していくためには、目標を決めた段階で全員の意思を統一しておく必要があるのです。
そのため、本部の経営者・従業員、加盟店の経営者・従業員に対し、あらためてSDGsの目標や取組の方法について周知することが重要です。また、取組の進捗状況や目標の達成具合について、逐次グループ内に情報を提供していくことで、グループ内メンバーの情報共有を進めていくことが肝心です。
なお、実際の取組を始めてみたら思うようにいかず、軌道修正が必要な場合がありますが、その場合も、変更内容はグループ内に行き届くよう伝達することが大切です。
フランチャイズにおけるSDGsの取組例
それでは、フランチャイズにおけるSDGsの取組例を紹介しましょう。
セブンイレブン
セブンイレブンは、国内に2万1,353店舗を展開するコンビニフランチャイズです。
会社名 | 株式会社セブン-イレブン・ジャパン |
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所在地 | 東京都千代田区二番町8-8 |
設立 | 1973年11月20日 |
資本金 | 172億円 |
事業内容 | コンビニエンスストア事業 |
セブンイレブンでは、以下の5つの重点課題に基づき、SDGsの取組を行っています。
①高齢化、人口減少時代の社会インフラの提供
電話注文で宅配する「セブンらくらくお届け便」、移動販売サービスの「セブンあんしんお届け便」、買物拠点がない場所への出店などにより買物支援を行っています。また、24時間対応可能な公共料金の支払い、行政の証明書交付などにより客の多様な要望に応えるサービスを提供しています。
②商品や店舗を通じた安全・安心の提供
原料の90%以上が国産野菜であるオリジナルデイリー商品(米飯、サンドイッチ、調理パン、サラダ、惣菜、麺類など)の提供、野菜の鮮度を保つための低温物流網、温度帯別の配送センターから店舗に一括配送する温度帯別共同配送などにより食の安全・安心を徹底しています。
③商品、原材料、エネルギーのムダのない利用
セブンイレブンでは、全店舗で取り組む環境宣言である「GREEN CHALLENGE 2050」を定め、次の4つの取組を進めています。
- ・CO₂排出量削減
- ・プラスチック対策
- ・食品ロス・食品リサイクル対策
- ・持続可能な調達
④社内外の女性、若者、高齢者の活躍支援
地域の子供に職業体験をしてもらう「こどもスマイリング・プロジェクト」の開催、職業体験のための小中学生の店舗への受入れ、子育てと仕事の両立に向けた「セブンなないろ保育園」の開園などを通じて、子供や女性の支援を進めています。また、働く意欲がある高齢者の採用を強化し、「シニア向けお仕事説明会」を開催するなど高齢者の活躍を後押ししています。
⑤お客様、お取引先を巻き込んだエシカルな社会づくりと資源の持続可能性向上
セブンイレブン記念財団、加盟店、本部が協力して環境市民団体に対する支援、自然環境保護・保全、災害復興支援などの活動を進めています。また、「お取引先専門ヘルプライン」を設置して問題の早期発見を徹底する、主に10代の若者との対話を進めセブンイレブンの活動に対する感想を話してもらうなどコミュニケーションを通じた社会づくりを目指しています。
(注)エシカル:本来は「倫理的」、「道徳的」という意味。近年では、「環境保全・持続可能な社会実現に向けた貢献」という意味で使われている。
エースホーム
エースホームは、50の加盟店を全国展開している住宅フランチャイズです。
会社名 | エースホーム株式会社 |
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所在地 | 東京都新宿区高田馬場2-14-5 |
設立 | 2000年11月21日 |
資本金 | 1億円 |
事業内容 | ・建設工事の請負、設計、施工、監理、コンサルティング ・住宅の設計、建築、販売にかかる技術・ノウハウ・コンピュターシステムの開発、販売、賃貸 ・不動産の売買、貸付管理、賃貸借、仲介 ・住宅用設備機器、家具、インテリア用品、エクステリア用品の輸入・販売 など |
エースホームでは、SDGsに向け以下の7つの取組を行っています。
①高断熱の住まいづくり
高断熱の住宅は、季節の気候・温度変化から家族の健康を守り、生活の快適さを提供してくれます。また、高断熱の住宅では、冷暖房などの光熱費を大幅に節約することができ、省エネを通じて地球環境への負担を減らしています。
②ZEHの推進
ZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)は、外皮の断熱性能を向上させるとともに、効率的な設備システムを導入することで、室内環境を維持しながら省エネを実現する住宅をいいます。また、再生可能エネルギーの導入により、年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロにすることを目標としています。
③いつまでも安心・安全な住まい
高耐震設計による構造体をはじめ、制振システム、オリジナル耐震床、準耐火構造などを組み合わせることで、災害時に倒壊せず、災害後も安心して住み続けられる住宅を提供しています。
④住宅に関する情報提供
エースホームでは、家づくり初心者のための勉強会を開いています。勉強会は、資金計画、住宅ローン、土地探し、ZEHのテーマで提供しています。
⑤持続可能な生産システム構築
近年は、高齢化などにより建築現場の職人が不足しています。エースホームでは、建物の一部を工場で製造し現場で組み立てる「サーモスパネル構法」を開発し、建設現場職人の負担を軽減しています。また、建物の構造体に使う木材は、持続可能性が確認できたものを使用しています。
⑥テレワークの活用
長崎県壱岐島にテレワークセンター「エースホーム・スマートスタジオ」を開設し、テレワーク事業の推進に寄与しています。
⑦より価値の高い住まいの提供
エースホームでは、全国に展開する加盟店(工務店)と商品・工法開発、国施策・法規対応を行うフランチャイズ本部とが役割分担・連携し、価値のある住まいを提供しています。
ローソン
ローソンは、国内に1万4,656店舗を展開するコンビニフランチャイズです。
会社名 | 株式会社ローソン |
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所在地 | 東京都品川区大崎1-11-2 ゲートシティ大崎イーストタワー |
設立 | 1975年4月15日 |
資本金 | 585億664.4万円 |
事業内容 | コンビニエンスストア事業 |
ローソンでは、次の6つの重点課題を設定しSDGsに取り組んでいます。
①安全・安心と社会・環境に配慮した圧倒的な高付加価値商品・サービスの提供
ローソンでは、高付加価値のプライベート商品や地産地消商品、社会・環境に配慮した商品、国産食材などの提供を進めています。
また、まちかど厨房やローソンファーム(農場)の展開、社会・環境に配慮したサプライチェーンの構築・運用を図っています。
②商品や店舗を通じてすべての人の健康増進を支援
10のテーマに基づく健康に配慮した商品を開発するとともに、医薬品を販売する体制づくりやナチュラルローソン、ヘルスケアローソンを展開することにより、すべての人の健康増進を支援しています。
③働きやすく、働きがいのある環境の提供
様々な人が働きやすい店舗環境の整備、多様な人材が活躍できる環境の整備、産休・育休・看護・介護休暇等の整備・利用拡大を進めるとともに、フランチャイズ加盟店とのコミュニケーションを活発化しています。
④子どもの成長と女性・高齢者の活躍への支援
ひとり親家庭支援奨学金制度、子供たちの未来のための募金、施設等への商品寄贈などを続けるとともに、女性や子供、高齢者の見守りとしてのセーフティステーションとしての活動を進めています。
⑤社会インフラの提供による地域社会との共生
移動販売、宅配サービスなどを拡大するとともに、ローソン銀行ATM、行政証明書の発行、災害時の国・自治体と連携した被災地支援などのサービスを進めています。
⑥脱炭素社会への持続可能な環境保全活動
再生可能エネルギーの活用、物流の効率化、環境対応トラックへの切替えなどによりCO₂削減を進めるとともに、売り切り・量り売りによる食品ロスの削減、容器包装・販促資材等のプラ使用量削減などを通じ脱炭素社会に向けた環境保全活動を推進しています。
ユニバース
ユニバースは、空調や排水設備などの環境事業、不動産事業、ビル管理事業、フランチャイズ事業などを行う企業です。フランチャイズ事業としては、シャトレーゼ、ツタヤ、ドトールコーヒーショップそれぞれの加盟店として3ブランド8店舗を展開しています。
会社名 | ユニバース開発株式会社 |
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所在地 | 東京都文京区本郷2-10-9 冨士ビル2階 |
創業 | 1970年8月18日 |
資本金 | 5,000万円 |
事業内容 | 環境事業、不動産事業、ビル管理事業、フランチャイズ事業など |
ユニバースでは、以下のようなSDGsの取組を進めています。
①全社共通の取組
- ・ペーパーレス化の推進
- ・グリーン商品購入の推進
- ・リモート商談・会議の推進
- ・リモート勤務・時差出勤の活用
- ・有給休暇の積極的な取得推進
- ・高齢者・女性の積極採用、活躍支援
- ・産業廃棄物の削減
②フランチャイズ事業における取組
- ・フェアトレード・レインフォレスト商材の導入
- ・コップ、スプーン、レジ袋などプラ備品の削減
- ・キャッシュレス決済の推進
- ・食品ロスの削減
(注1)フェアトレード:開発途上国の原料や製品を適正な価格で購入することで、開発途上国の生産者や労働者の自立や生活改善を図る貿易の方法
(注2)レインフォレスト:社会・経済・環境3分野における持続可能性の強化に繋がる手法で生産された原料や製品に与えられる認証(レインフォレスト・アライアンス認証)
ユニバースでは、フランチャイズ事業以外の環境事業、不動産事業、総合ビル管理事業の分野でも、それぞれの事業内容に応じてSDGsの取組を進めています。
トータルリペア
トータルリペアは、自動車の内装や住宅・家具・皮革製品等の修理事業を展開するフランチャイズで、加盟店数は1,057店舗です。
会社名 | 株式会社アミークス |
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所在地 | 東京都新宿区西新宿2-1-1 新宿三井ビル30階 |
設立 | 1982年5月 |
事業内容 | ホイール、インテリア、ウッド・サッシの修理、軽板金、マニキュアコート |
トータルリペアでは、以下の事業を通じてSDGsに取り組んでいます。
①ホイールの修理
タイヤホイールの傷修復やカラーチェンジを行っています。
②インテリアの修理
革、布、プラスチック、ビニールの傷や破れの補修、自動車や家具のソファー、シートやコート、ハンドバッグ、靴などの修理を行っています。ハンドルやシートの擦れ、汚れなど自動車の内装も修復します。
③ウッド・サッシの修理
住宅や家具の木部の補修を行っています。床や柱、木製家具などの傷や欠損の修復、アルミや樹脂のサッシの補修を行います。
④軽板金
自動車の外装の損傷を補修します。修理箇所は、バンパー、ドアミラー、リアフェンダー、ドアなどです。また、補修塗料は、環境に配慮した水性塗料を使用しています。
⑤マニキュアコート
自動車をコーティングし、降雨により汚れが落ちるようにします。SDGsでは、⑫作る責任つかう責任、⑬気候変動に具体的な対策を、⑭海の豊かさを守ろう、⑮陸の豊かさも守ろう、との目標が示されています。
リペア業は環境ビジネスの側面があり、本来なら廃棄される家具や身の回り品を修理・復元して再利用可能な状態にする事業であるため、不要なゴミの量を削減するとともに限られた地球資源を有効に使うというSDGsの目標に適合しています。
また、トータルリペアの修理・補修は、床、柱、敷居、階段などの木部やタイル、大理石などの傷に対して、材料を取り替えずに元の材料を修復して復元するため、材料のリサイクル、材料加工・輸送・廃棄時のCO₂削減、資源の保全に向けた取組であるといえます。
買取大吉
買取大吉は、貴金属から身の回り品までの買取ビジネスを展開するフランチャイズで、加盟店数は約450店舗あります。
会社名 | 株式会社エンパワー |
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所在地 | 東京都新宿区西新宿6-8-1 住友不動産新宿オークタワー19階 |
設立 | 2010年10月 |
事業内容 | 古物の買取事業 |
買取大吉では、以下の事業を通じてSDGsに取り組んでいます。
①LINE査定
商品を撮影して大吉のLINEアカウントに送付すると、LINEで査定結果を返してくれます。
②店舗買取
商品を店舗に持ち込めば、現金で買取を行います。
買い取る商品は、金・プラチナ・宝石などの貴金属、バッグや財布などの身の回り品、切手や古銭、カメラ、携帯電話、お酒など多種類にわたります。
③出張買取
店舗の鑑定士が自宅を訪問して査定・買取を行います。リペア業と同じく、買取業も環境ビジネスの側面を有しています。過去には大量生産・大量消費により使い捨ての風潮もあったモノに対する考え方が、近年は大きく変化してきています。
大量生産・大量消費の時代から必要としている人や場所で末永く使ってもらう時代へと社会は変化しています。生活の中で必要がなくなったから捨てるのではなく、それを必要としている人や必要としている場所で使ってもらう、物を引き継ぐことによりシェアしていくという考え方が主流になっています。
そのような社会・経済状況の変化の中で、買取業は、物を捨てずに必要な人に使ってもらうリサイクルの価値観が幹となっています。物をリサイクルすることにより、地球資源の有効活用やゴミ排出量の削減、ゴミ運搬や処理におけるCO₂の削減など、SDGsの目標に向けた取組に繋がっています。
まいぷれ
まいぷれは、地域密着ポータルサイトを運営するフランチャイズで、155店舗を展開しています。
会社名 | 株式会社フューチャーリンクネットワーク |
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所在地 | 千葉県船橋市西船4-19-3 西船成島ビル |
設立 | 2000年3月 |
資本金 | 2億6,735万5,060円 |
事業内容 | 地域情報プラットフォームの運営 |
まいぷれでは、以下のようなSDGsの取組を進めています。
①地域情報流通事業
まいぷれは、地域のイベントやお店など生活に役立つ情報を発掘して紹介するポータルサイトを運営しています。街のリアルな情報を「地域情報サイトまいぷれ」をはじめ様々なメディアを通して地域に発信します。
②公共ソリューション事業
自治体と協力・連携し、地域の課題解決に向け研究・検討を行っています。まいぷれが持つ民間のノウハウや技術を活用し、地域課題の解決を図ります。
③マーケティング支援事業
地域企業の販売促進に向け、プロモーションツールの製作、地域コミュニティと連動したイベントの企画・運営を行っています。
まいぷれは、地域住民に役立つ情報を提供し、自治体や企業の支援を得ながら地域を活性化していくことを目的としています。
まいぷれの事業は、YoutubeチャンネルSDGs Bizの「SDGsの17の目標【企業の取り組み事例に学ぶ】」コーナーの「目標11・住み続けられるまちづくりを」の動画において、取組事例として紹介されています。
GOOD HOME 就労支援MY GOOD
GOOD HOME 就労支援MY GOODは、障害者向けグループホームの提供や就労支援を行うフランチャイズです。
会社名 | 株式会社CHALLENGE LIFE |
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所在地 | 宮城県仙台市青葉区二日町17-5 Ksビル5階 |
事業内容 | 障害者へのグループホームの提供、就労支援 |
GOOD HOME 就労支援MY GOODでは、以下のようなSDGsの取組を進めています。
①障害者に居場所を提供
4人程度の軽度・中度の障害者とスタッフが共同で生活するグループホームを提供しています。それにより、受入れ施設数の不足により施設に入居できない障害者に居場所を提供することができます。また、「一人暮らしをしたいが不安」「自立した生活をしたい」と考えている障害者に自立支援を行うことができます。
GOOD HOME 就労支援MY GOODでは、利用者と一緒に支援計画を作成し、初めはできなかったことを少しずつできるように手助けを行います。
②障害者に就労支援サービスを提供
働きたい希望を持つ障害者に対し、GOOD HOME 就労支援MY GOODの本部で就労支援サービスを展開します。就労支援は、働きたい障害者に職業能力開発や就労場所の紹介などを通じて働く場所の確保を支援するサービスで、具体的には以下の内容となります。
・就労継続支援B型
一般企業への就職に不安がある人が、各事業所で工賃を得ながら働き、知識や技能を身に付けることができる福祉サービスです。各事業所での作業は、梱包などの軽作業、データ入力などの事務作業、デザイン作成、資料作成などとなります。
ライフデリ
ライフデリは、高齢者に弁当の宅配サービスを提供するフランチャイズで、316店舗を展開しています。
会社名 | 株式会社グランフーズ |
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所在地 | 東京都渋谷区代々木1-54-8 アビエス代々木3階 |
設立 | 2004年10月18日 |
資本金 | 500万円 |
事業内容 | 高齢者施設向け食材販売 個人宅向け食材販売 高齢者施設の厨房受託 など |
ライフデリでは、以下のようなSDGsの取組を進めています。
①食の面から高齢者の健康と生活を支える
体が不自由で買物に行けない、体力的に調理するのが難しいなど、しっかりとした食生活を送ることができない高齢者や病人に対し弁当を宅配することで、食の面から高齢や病気を持つ人々の健康と生活を支えています。弁当は、目的に応じて次の種類を用意しています。
- ・普通食:一般の高齢者など低栄養が心配な人向け
- ・ムース食:嚥下が難しい人向け
- ・治療食:糖尿病、腎臓病、透析など治療中で食事が心配な人向け
②宅配を利用して、高齢者の見守りや支援を行う
ライフデリの仕事は、弁当を宅配するだけではありません。宅配を利用して、次のような高齢者支援を行っています。
- ・宅配時の声かけ・安否確認
- ・弁当を食卓に並べる
- ・弁当の温め
- ・緊急時の家族への連絡
③らいふコールサービス
「らいふコールサービス」は、高齢者に自動音声で安否確認の電話をかけ、確認した健康状態やメッセージを家族にメールで伝えるサービスです。定期的に週1回以上宅配を利用すると、無料でサービスを提供します。
元気ジム
元気ジムは、高齢者向けにリハビリ型デイサービスを展開するフランチャイズです。
会社名 | 株式会社ルネサンス |
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所在地 | 東京都墨田区両国2-10-14 両国シティコア3階 |
設立 | 1982年8月13日 |
資本金 | 22億1,038万円 |
事業内容 | スポーツクラブの運営 介護リハビリ施設の運営 企業・保険者の健康づくり支援 など |
元気ジムでは、以下のようなSDGsの取組を進めています。
①リハビリ特化型デイサービスの提供
元気ジムは、一般のデイサービスのように介護が中心のデイサービスではありません。「高齢者の自立」に目標を置き、健康寿命を延ばすためのリハビリ特化型デイサービスです。デイサービスでは、通所者一人ひとりに合った運動プログラムを提供しています。
②リハビリ計画・介護計画・介護保険請求を通じた高齢者支援
個々の通所者に適したリハビリ計画や介護計画の作成、介護保険請求事務などを通じて高齢者支援を行います。
まとめ
フランチャイズがSDGsに取り組む意義は、①フランチャイズのブランドイメージが向上する、②社会的な影響力が大きい、③投資家・取引先にPRできる、④社員のモチベーションが高まる、⑤新しいビジネスチャンスが生まれるなどをあげることができます。
フランチャイズが本部と系列の加盟店を含めたグループで成り立っており、かつ、それぞれの加盟店がその地域の一般消費者と強く結び付き、その取組が地域に強い影響力を持っていることです。そのため、加盟店を含めたグループ全体がSDGsの取組を行えば、社会全体に与える影響も非常に大きいものがあります。
フランチャイズでは、営業の第一線にある加盟店がSDGsの取組の中心になる必要がありますが、本部が進もうとする方向と加盟店の利害が一致しないケースがあることです。このため、SDGsの取組については、本部と加盟店が協議を尽くしグループとしての意思を統一することが必要です。