クリーニング市場規模、クリーンサービスフランチャイズが急成長?
女性活躍社会推進を背景に、ハウスクリーニングなどを中心とするクリーンサービス市場が注目されています。
近年、女性就業率の上昇は著しく昨年度の「25歳〜44歳女性」では72.7%と、OECD(経済協力開発機構)の平均値を5%ポイント以上も上回りました。その結果、共働き世帯が増加し、必然的に家事代行サービスを増える家庭も増加しています。
経済産業省によれば、家事代行サービスの今後の市場規模は約6000億円に達するとされています。市場拡大によるフランチャイズ加盟店舗の増加も予想されており、将来的にコンビニFC並みの競合他社であふれる業界になるかもしれません。
今のうちにクリーニングフランチャイズに加盟するべきなのか、または家事代行会社を起業するか。その判断材料として現在のクリーニング市場状況、フランチャイズ動向などをまとめたいと思います。
目次
ハウスクリーニング市場6000億円!?
女性の労働力の重要性が叫ばれ始めた2012年以降、共働き世帯は急速に増え、家事代行サービスに対する需要は年々高まっています。ところが、同サービスの利用率は2%といまだ発展途上です。
市場規模では811億円(2011年度)から980億円(2012年度)と2割以上増加。経済産業省が委託した野村総合研究所の調査結果によれば、今後の市場規模は約6倍(約6000億円)に拡大するとの試算結果も発表されました。
利用率が低い理由「抵抗感があるから」
市場は急成長すると予測されているものの、不安材料もあります。家事代行サービスを利用したことがある割合はわずか2%にとどまります。同サービスを「知っているが利用したことはない」は80%と認知度は高いにも関わらず、「将来利用する意向がある」のは16%でした。
なぜ、家事代行サービスの利用率は低いのか。その主な理由は「価格が高い」が53%で最も高くなりましたが、次点で「他人に家の中に入られることに抵抗感がある」(37%)が挙がりました。
このほか、「他人に育児・家事を任せることに抵抗感がある」(24%)、「安全面(破損、盗難、プライバシー情報の漏洩など)に不安がある」(14%)、「(業者が多く)サービス・商品の質に不安がある」(8%)などの意見が見られました。
価格が高いから | 53% |
---|---|
家族内で対応できていて、サービスを利用する必要性を感じないから | 48% |
他人に家の中に入られることに抵抗感があるから | 37% |
他人に家事・育児等を任せることに抵抗感があるから | 24% |
安全面(破損、盗難、プライバシー情報の漏れ等)に不安があるから | 14% |
どの会社が良いサービスを提供しているのかわかりにくいから | 14% |
どのような会社がサービスを提供しているのか分かりにくいから | 12% |
サービス・商品の質に不安があるから | 8% |
利用満足度は9割
家事代行サービスを利用した家庭に対する満足度調査では、90%が「満足している」(「とても満足している」26%+「まあ満足している64%」)と回答しました。
また、「引き続き家事代行サービスを利用したいと思うか」を尋ねると、93%が「利用したいと思う」(「利用したいと思う」43%+「まあ利用したいと思う」50%)と回答しました。
利用率は低いものの、家事代行サービスは高評価を得ていることが明らかとなった同調査。今後は、価格を理由に同サービスを利用しない潜在利用者※が一定層いることから、競合他社参入による価格競争と質の向上が期待されます。
政府は、家事支援サービスの利用促進を図るため、費用面で利用者負担の軽減につながる方策を検討するとしています。
家事支援外国人の受け入れ
国際競争力を高める目的で指定された国家戦略特区(東京圏、関西圏など)では、家事支援外国人の受け入れ事業が始まっています。
政府は、家事支援を行う外国人に実務経験1年以上などの要件を設け、さらに受け入れ企業にも事業実績3年以上などの基準を設定。高まりつつある家事支援ニーズに対応する方針です。
家事支援外国人 | 受け入れ企業 | ||
---|---|---|---|
1. | 満18歳以上 | 1. | 外国人がやむを得ず帰国する場合、当該旅費を負担するなどの帰国担保措置の実施 |
2. | 1年以上の実務経験 | 2. | 経済的基礎 |
3. | 送り出し国による知識・技能研修を修了していること | 3. | 3年以上の事業実績 |
4. | 必要最低限の日本語能力 | 4. | 過去に法令違反を犯していない、暴力団関係者ではない |
少子高齢化や人口減少で人手不足が深刻化している国内労働事情。今後のハウスクリーニング業界は、外国人人材をいかに活用するかが問われています。
ここでの潜在利用者は、「現在家事代行サービスを利用していない人(過去利用者含む)のなかで、利用しない理由となっている要因が解決した場合に同サービスを利用する可能性があると回答する人」という意味。
家事代行フランチャイズはどこがおすすめ?
市場規模の成長が予想されるハウスクリーニングですが、果たしてフランチャイズ本部にはどのような企業があるのでしょうか。
清掃会社の雄「ダスキン」
家事代行サービスには、炊事・洗濯・掃除などを総合的に行う総合タイプと、洗濯代行、掃除代行、炊事代行などを個別に行う個別タイプがあります。
総合的に家事代行サービスを提供しているダスキンは、「ダスキンSサーヴ100」「ダスキンケアサービス」や、高齢者向けの「ダスキン ホームインステッド」などのFCチェーンを展開しています。
特に「ダスキンケアサービス」では、一般家庭の家事の代行から事業向けの本格的な清掃までを取り扱っています。定期的に家庭にスタッフを派遣する「メリーメイド事業」は、時間単位での掃除、洗濯、買い物や戸棚整理、洋服クローゼットの片付け方法など、顧客ごとに細かく指定できるとしています。
加盟金は150万円で、ロイヤルティは毎月の売り上げに対して8%を支払います。
また、ダスキンは、今年10月、家事支援外国人受入事業で、東京都内でサービスに従事する外国人人材を4人受け入れたと発表しました。
富裕層向けのミニメイド
富裕層を中心に30年間家事代行サービスを続けているミニメイド・サービスは2月、家事支援サービスの品質を保証する「家事支援サービス認証」を取得しました(このほか、ダスキン、ベアーズ、カジタクも取得)。
フランチャイズ加盟では首都圏(東京・神奈川)と大阪圏(大阪・兵庫)などエリアに合わせて選択することができます。
たとえば、関東の富裕層を対象とした都市型家事代行サービシ「プレミアサービス」では1回1万1655円(1名2.5時間)で家事を支援。共働き世帯の増加のみならず、一人暮らし世帯や高齢者単身世帯の増加に伴い、安定した収入が見込めるとしています。
初期投資にかかる費用は210万円で、契約から開店までにかかる時間は約1ヶ月としています。
起業する際の注意点は?
フランチャイズに加盟するのではなく、家事代行業者を起業する場合は次のような点に注意したほうがいいでしょう。
契約内容の明確化 | 開業の際、特に必要な資格や許可はないため、自由に開業することができる。ただし、法人を顧客とする場合、人材派遣と見なされてしまうため、請負や業務委託としての契約内容を明確にしておかなければならない |
---|---|
他業種からの参入 | 高い専門的技術やノウハウまでは必要とせず、比較的低コストで開業できる。そのため、ビルメンテナンスや住宅関連業者など他業種からの参入も多いので注意 |
社員とアルバイトの区別 | ハウスクリーニング業は、家事代行型(簡単な拭き掃除など、主婦が日常的に行う掃除)と専門技術型(特殊な洗剤、業務用清掃器具による天井、絨毯などのクリーニング)に分かれる。家事代行型ではパート・アルバイト、専門技術型では正社員による運営が一般的となっている |
信頼の獲得が最優先 | リピーターを得るための信頼獲得が最優先。参入しやすい分、競合他社との差別化が重要になる。また、季節変動などを最小限に抑える経営安定化を図り、また、パート・アルバイトなどの労働力確保にも取り組むことが大切。顧客満足度を常に向上させる努力が必要 |
単身世帯が増加する東京では、全世帯の3分の1を占めるようになりました。また、2030年には4人に1人が高齢者になるとされています。今後の家事代行サービスは、単なる家事支援だけでなく、在宅介護サービスを視野に入れた総合的なサポートの重要性が高まることになりそうです。