【起業するなら】独自開業? フランチャイズ加盟?どっちがトクか

「会社を辞めて独立するか−−」というアイデアは、会社員なら一度は考えてしまうもの。流行りのSNSを駆使して新規ビジネスを立ち上げるか、国家資格を取って事務所を開くか、それとも手堅くフランチャイズチェーンに加盟するか、判断は人それぞれです。

しかし、いずれの選択肢を採るにしても最終的な責任は自分が取らなければなりません。「独立する」というのは「自分自身が最終責任者になる」ということですから、会社員時代のように上司や会社など守ってくれる存在はいません。

では、完全に独自開業した場合とフランチャイズに加盟して創業する場合で、どのような違いがあるのでしょうか。「資金調達」「商品・サービス」「人材」「業界知識・情報」の面から解説していきます。

比べてみよう!独自創業とフランチャイズ加盟

「独自開業」と「フランチャイズ加盟による開業」には、それぞれメリットとデメリットがあります。「独自開業」の場合、これまでの知識と経験を生かして新たに事業を始めるとしても、経営ノウハウや業界知識の面で不安を感じることも少なくないでしょう。かりに事業が軌道に乗り始めたとしても、それまでの資金調達で苦労することもあるかもしれません。

一方、フランチャイズチェーンへの加盟の場合、例えばコンビニオーナーは本部から豊富な業界情報や経営ノウハウ、サポートの提供してもらうことができますが、売上の一部を「ロイヤリティ」として本部に支払うなどのデメリットがあります。

フランチャイズのほうが「資金調達」しやすい?

会社員時代に貯めたお金を開業資金しても足りない場合は、銀行などの金融機関から融資を受けるのが一般的な方法になるかと思います。

開業する業種によっても異なりますが、勤務先を必要としないノマドワークが定番化した近年はノートパソコン1台あれば起業できるようになりました。スマートフォンが普及してからは、パソコンを使うことなく収入を得ることも可能で、月に数万円〜数十万円を副業として稼ぐ会社員もいるといいます。

さて、「独自開業」をする場合、開業資金の調達は融資先との交渉次第ということになります。つまり、提出する事業計画書の内容の出来不出来によって、銀行の融資担当者が融資するか否か、するならいくらまでかを判断することになります。

他方、「フランチャイズチェーンへの加盟」で開業する場合、資金調達は加盟者自身が行わければならないのは、「独自開業」の例と同じですが、フランチャイズ本部の知名度・ブランド力によって融資を受ける際の信用に違いが出てくるでしょう。超有名チェーンへの加入なら本部が持つ経営力には一定の信頼がありますし、さらに、本部によっては融資や保証を行っているものもあります。

「資金調達」面での違い

独自開業 事業計画書の作成や銀行との交渉など、すべて自分だけの力で行わければならない。信用度も高いとは言えない。
フランチャイズチェーンへの加盟 有名チェーンの場合、銀行などとの交渉はスムーズに行きやすい。信用度も高く、希望の融資額を受ける可能性もある。また、フランチャイズ本部によっては、独自に融資制度を整えている企業もある。

民間の金融機関を利用するほか、「新規開業資金」や「新創業融資制度」を利用する方法もあります。民間と比べて低金利だったり、融資期間が長かったりするので、オススメです。

また、開業資金のほかに運転資金も必要となります。会社同士の取引では売上を月末で締めて翌月に支払うことは多いため、商品を売ったとしても現金化されるまで約2ヶ月のタイムラグが生じる場合もあります。その間も仕入れ代金、家賃、水道光熱費、人件費などの固定費は発生するので、運転資金は十分な売上を確保するまでに必要な資金となり、十分な金額を用意しておくのが無難と言えます。

裁量の幅はケタ違い? 商品の仕入れ面

海外から日本でも流行りそうなモノを輸入してお店を開くか、こだわり抜いた食材を使用したカフェを始めるのか、いずれにしても商品の仕入れや仕入れルートの開拓は未経験者にとっては初めてのことになるでしょう。

「独自開業」する場合は、これらすべての自分自身で行う必要があるので、相当の時間と労力を割くことになるかもしれません。その代わり、誰からも指図を受けず、自分の知識と勘で選び抜くことができるので、納得のいく商品(またはサービス)が出来上がります。

一方、「フランチャイズチェーン」の場合、商品・原材料、本部が指定する業者から仕入れることが多くなります。新たに仕入先を探すこともできますが、本部の了承を得る必要が出てくるでしょう。また、仕入値自体にもロイヤリティ(=費用)がかけられるので、実際の仕入れよりも高くなる場合があります。こういった取り決めは加盟の際の契約交渉で十分に吟味しておかなければなりません。

「資金調達」面での違い

独自開業 「仕入れ」「仕入れルート」の開拓など全てを行う。新規参入者に対しては一定の制限を設けている業者も。しかし、100%納得のいくモノを仕入れることができる。
フランチャイズチェーンへの加盟 「仕入先」、「仕入れ数量」はあらかじめ本部によって規定されている。新規仕入れ先の開拓は困難。「仕入れ」自体にもマージンが上乗せされるため、割高に感じることも多い。

失敗しない「人材確保・育成」とは

開業や会社設立は一人でもすることはできますが、事業が軌道に乗り始めたらスタッフが必要になるかもしれません。

「独自開業」の場合、人材募集広告の作成から採用、さらに育成に至るまで経営者本人が行います。スタッフをどのように教育するか、研修マニュアルを作成するかなど含めて決めなければならない事項です。

その一方、「フランチャイズチェーン」の場合、人材採用は加盟者自身が行うことになりますが、スタッフ研修などは本部の決められた育成マニュアルに従って行われることがあります。本部の研修プログラムに派遣すれば済むこともあります。なお、その際の費用は加盟店の負担となることが多いようです。

「人材確保・育成」面での違い

独自開業 スタッフの募集から採用、育成に至るまで経営者本人の経験・知識に基づいて行われる。一度雇用したら正当な理由がない限り退職させることはできないので、慎重に採用を行う必要がある
フランチャイズチェーンへの加盟 人材確保は加盟者が主体となって行うが、スタッフ研修は本部が用意したプログラムを受けさせることで、自身は経営により専念することができる。

本部が持つ膨大な「業界知識・情報」

会社員自体と同じ業界で起業するとしても、やはり会社経営は勝手が違うものです。これが異業種となればなおさらでしょう。新しいことにチャレンジする意欲は素晴らしいですが、何事も十分な計画を立てて実行に移すことに越したことはありません。

「独自開業」する場合、業界研究からマーケティング、販路開拓、店舗確保など全てを自力で行う必要があります。もちろん、これらが創業時における醍醐味とも言えますが、経験や知識がない分、多くの時間とお金を使うことになるでしょう。

一方、「フランチャイズチェーンによる開業」は、これまで述べてきたように本部から経営指導・営業指導を受けることで、未経験でも短期間で事業を始めることができるのが最大のウリです。本部には膨大な業界情報や運営ノウハウの粋が結集しているので、これを最大限活用することができます。
ただし、フランチャイズ本部によって提供されるノウハウの質に差があるので、過度な期待も禁物です。

ところで、独立志向を逆手にとった起業詐欺も横行しているので、怪しげな起業セミナーでの上手い話にはくれぐれも注意をしましょう。

フランチャイズでは、経営が軌道に乗り出すと、2店舗目、3店舗目と事業を拡大することも十分に考えられます。加盟者のなかには30店舗以上を経営し、20億円以上を売り上げるメガフランチャイジーと呼ばれる人もいます。

「業界知識・情報」面での違い

独自開業 独立志向がチャレンジ意欲は高くても、経営ノウハウは不足しがち。相当の業界研究に時間を費やすことが必要。また開業セミナーなどを受講することもできる。ただし、詐欺にも要注意。
フランチャイズチェーンへの加盟 本部が持つ確かな経営ノウハウと膨大な業界情報を活用できるのがフランチャイズ最大のメリットと言える。未経験者でも短期間で経営を軌道に乗らせることも可能。ただし、支援があるからと言って、必ず成功するわけでもないので、過度の期待は禁物。

どのフランチャイズに加盟するのがベスト?

経営未経験者でも容易に開業することができるフランチャイズ。コンビニやレストランチェーン、塾経営といった定番のものからスマートフォンの修理業者など流行りのものまで多種多様に存在します。

もちろん、売り上げが堅実でリスクが最も少ないものを選ぶのも一つの方法ですが、どのフランチャイズに加盟するかは、「自分がどの業種・業界で起業して、何をやりたいのか」を考えるのが最も重要です。

単に儲かりそうだから、友人もやっているからなどの理由で、興味もないジャンルに飛び込むのは早計です。

あくまでも自分の本心に従って、熟考を重ねた上で慎重に判断するように心がけてください。