フランチャイズ加盟で失敗しない10の鉄則

夢の独立を果たしても簡単ではないのが店舗経営です。出店立地を慎重に選んだのに客足が悪い…。思うように売り上げが上がらないなど悩みは尽きません。「一体何が間違っていたのか」。このように思う加盟店オーナーは少なくないのです。フランチャイズ加盟の定番の1つであるコンビニ経営も、手不足を背景にアルバイトが全く集まらないとの悲鳴が全国で上がっています。

インターネットでは全国でチェーン展開している企業たちが加盟者募集を巡ってしのぎを削りあっています。なかには加盟金ゼロ、ロイヤリティゼロをうたう本部もあります。しかし、甘い蜜に誘われるまま安易に契約していいものでしょうか。

どの業種で出店するべきなのか、どの本部を選べばよいのかを本記事を参考に今一度考え直してみましょう

フランチャイズ業界の過去と現在

フランチャイズ契約に基づく本部と加盟店の基本的な関係は、加盟者が本部の商標やブランド力を使用して営業することを許可するというものです。加盟者は、その対価として本部に毎月の売上に対する一定のロイヤリティを支払います。ロイヤリティには本部からの経営アドイバイス、システム使用料、営業支援なども含まれます。

FCシステムの種類

フランチャイズシステムには、コンビニエンスストアやファストフードに代表されるような「ビジネス・フォーマット型フランチャイズ」、自動車販売に代表されるような「商標ライセンス型フランチャイズ」など、さまざまな種類があります。

フランチャイズの種類

商標ライセンス型フランチャイズ 本部が加盟者に対して製品・原材料等を供給し、かつ本部企業のトレードマーク(商標)やロゴ・標章の使用することを許可する、代理店契約のようなタイプ。(例)中古自動車販売、ガソリンスタンド、ソフトドリンクの製造・販売英語表記:trademark license franchise, product and trademark franchise)
ビジネス・フォーマット型フランチャイズ 本部が加盟者に対して、商品やトレードマークだけでなく、本部事業者が開発した独自のビジネスモデルの方法の使用を許諾するタイプ。(例)ファストフード、ファミリーレストラン、コンビニ英語表記:business format franchisingエンスストア
ターン・キー型フランチャイズ 本部事業者において、完成した店舗を準備しておくもタイプ。オーナー募集をかけているコンビニエンスストアなどで見られる。加盟者は、店舗の鍵さえ受け取れば、当日からでも開業可能というもの英語表記:turn key franchising
コンバージョン(転換)型フランチャイズ すでに店舗をオープンし営業活動を行っている既存の同業者を、本部事業者のフランチャイズシステムの中に組み込んでいくタイプ。ホテルや不動産に多い。英語表記:conversion franchising

(参照:経済産業省「我が国のフランチャイズの現状」)

フランチャイズに加盟する理由は?

加盟者は少ない資本で他店舗展開できるなどのメリットがある一方で、本部は加盟者が多くなればなるほど企業規模を拡大することができます。

経済産業省が加盟者に対して行った調査によれば、「フランチャイズチェーンを選んだ理由」として最も多かった回答は、「初期投資が手頃」で全体の34.0%を占めました。次いで、「チェーン・システムが信頼できる」(27.4%)、「経営に自由裁量がある」(27.1%)、「チェーンの商品・サービスの内容が良い」(23.7%)、「成功の確率が高い」(23.4%)、「知名度が高い」(22.3%)、「技術・経験が活かせる」(19.1%)、「ビジネス・ノウハウが取得できる」(14.9%)、「本部事業者の強い勧誘」(13.3%)などと続きました。

加盟オーナーが現在のチェーンを選んだ理由

理由 割合
初期投資が手頃 34.0%
チェーン・システムが信頼できる 27.4%
経営に自由裁量がある 27.1%
チェーンの商品・サービスの内容が良い 23.7%
成功の確率が高い 23.4%
知名度が高い 22.3%
技術・経験が活かせる 19.1%
ビジネス・ノウハウが取得できる 14.9%
本部事業者の強い勧誘 13.3%
知人・家族からのすすめ 8.2%
取引先からのすすめ 5.1%
加盟者が多い 4.3%
契約期間が手頃 2.1%

(参照:経済産業省「我が国のフランチャイズの現状」)

コンビニフランチャイズの現状

ここで、日本フランチャイズチェーン協会が公表している最新のコンビニ東京調査を確認してみます。

昨年12月度のJFAコンビニエンスストア統計調査月報では、店舗売上高(全店ベース)は、前年同月比1.9%増の9255億5300万円となりました。
一方、既存店は前年同月比0.9%減の8204億8200万円となりました。

強い寒気が日本列島を覆ったことで、客足は伸び悩みました。一方で、麺類やスープなどのホット商品の売れ行きは好調となりました。その結果、全店売上高は58ヶ月連続の増加でしたが、既存店は7ヶ月連続の減少となりました。

また、店舗数は前年同月比3.2%増となる5万5322店舗となりました。
来店客数は、全店ベースでは前年同月比1.1%増加の14億4505万人、既存店ベースでは前年同月比1.6%減少の12億7841万人となりました。

全店は2ヶ月連続の増加で、既存店は22ヶ月連続の減少となりました。

お客1人が一回に使う平均客単価については、全店ベースで前年同月比0.9%増となる640.5円となりました。一方、既存店ベースでは前年同月比1.4%増となる641.83円となりました。

2017年12月 2016年12月
全店売上高 9255億5300万円 9078億7300万円
既存店売上高 8204億8200万円 8227億2400万円
全店来店客数 14億4505万人 14億2975万6000人
既存店来店客数 12億7841万人 12億9964万5000人
全店客単価 640.5円 635.0円
既存店客単価 641.8円 633.0円

(JFA「コンビニエンスストア統計調査月報」より作成)

商品構成比別で見ると(既存店売上高ベース)、毎日店舗に配送される「日配食品」は36.9%、「加工食品」26.4%、「非食品」30.8%、「サービス」5.9%となりました。

前年同月比では「日配食品」はマイナス0.3%、「加工食品」はマイナス0.6%、「非食品」はマイナス0.3%、「サービス」は1.2%のプラスとなりました。

最良のフランチャイズ本部を見極めろ! 注目すべき10のポイント

ランチャイズで独立することは難しくないですが、経営を続けていくのは簡単ではありません。本部の言われるままに契約しては会社員時代と変わらないですよね。そこで、自信を持って納得できるフランチャイズの選び方に関する10コの見極めポイントを解説します。

1 フランチャイズ本部のホームページを訪問する
2 経営理念、フランチャイズ展開する理由を確認する
3 商品、サービスなど事業内容を確認する
4 フランチャイズ事業内容を確認する
5 フランチャイズ契約内容を確認する
6 契約→研修→準備→開店の流れを確認する
7 先輩オーナーの事例を確認する
8 店舗を自分で用意するか、本部に用意してもらうかを確認する
9 フランチャイズのメリット・デメリットを確認する
10 本部説明会のスケジュールを確認する

フランチャイズ本部のホームページを訪問しよう

独立すると心に決めたら、まずは気になる企業のホームページをチェックしてみましょう。フランチャイズ展開しており加盟店を募集している本部なら加盟オーナー向けのウェブページを用意しているはずです。細かい加盟条件やロイヤリティ、研修制度、支援制度などさまざまな情報が記載されていますので、本部訪問する前に必ず確認しておきたいところです。

経営理念、フランチャイズ展開する理由をカクニン!

まずは会社の経営理念を確認してみましょう。「経営理念なんて関係ない!儲かればそれだけでいい!」という人は興味がないかもしれないですが、加盟先の経営に対する考え方を調べるのはとても大切です。なぜなら本部の経営者は同じ経営者として大先輩にあたり、事業を成功させた人だからです。どのような理由で会社を立ち上げたのか、どのようにして会社を大きく育て上げたのかなど、初心者オーナーにとって経営理念から学ぶことはたくさんあるはずです。

売上を伸ばすこと、多店舗展開することももちろん重要ですが、何をモチベーションにして何を目的に経営してきたかを知ることは、経営のお手本となります

気になる会社のホームページを見つけたら、面倒くさがらず代表取締役の経営理念を確認してみましょう。

商品、サービスなど事業内容をカクニン!

次に、どのような商品を開発しているか、どのようなサービスを展開しているのかなど、会社の事業内容を確認してみましょう。独立を考えている人ならある程度やりたい仕事や将来展望がすでに決まっているかと思います。しかし、他業種に新規参入することが多くなった現代ビジネスでは、将来何が起きても不思議ではありません。現在ヒットしている商品でも数年後には見向きもされなくなっている可能性だってあります。

加盟しようとしている会社の商品・サービスは今後どうなるのか、将来性は明るいのかなどを、加盟オーナーの第一歩として見極めることが大切です。<

フランチャイズ事業内容をカクニン!

本部のフランチャイズ事業の概要を調べましょう。世界、全国の店舗数、直営店数、加盟店数などを確認します。また、業界におけるポジションや競合他社との相違点なども比較検討しましょう

このほか、近年の出店数および閉店数を確認することも大切です。フランチャイズ事業が上手くいっているのかいないのか、業界が縮小しているのか拡大しているのかを調べる指針となります

たとえ自分の店舗の経営だけ良くても本部が破綻寸前では意味がありません。加盟後にどのような将来設計が描けるのかを考えておくことが大切になります。

フランチャイズ契約内容をカクニン!

加盟金やロイヤリティの確認をします。細かい契約内容などは本部訪問をした際に確認することになりますが、加盟オーナーが最も気になる月々のロイヤリティや本部の支援制度についてホームページに載せている企業が多くなりました。競合他社と比較してどの本部に加盟するのが最も良いのか、慎重に判断しましょう。

なお、法律が定める開示情報には次のようなものがあります。

  1. 加盟に際し徴収する加盟金、保証金その他の金銭に関すること
  2. 加盟者に対する商品の販売条件に関すること
  3. 経営の指導に関すること
  4. 使用させる商標、商号その他の表示に関すること
  5. 契約の期間、契約の更新及び解除に関すること
  6. 契約の期間、①〜⑤に掲げる項目ほか、経済産業省令で定める事項の更新および解除に関すること

(中小小売商業振興法11条第1項より)

契約に臨むさいは、本部が法定開示情報を伝えているかが判断のポイントとなります。なお、契約内容をきちんと把握せずにいると、のちのトラブルの元となります。商品の仕入れ条件はどうなっているのか、本部の支援内容、回数、費用負担はどうなっているのか、加盟金の内訳と返還の条件はどうなっているのかなど、1つ1つ丁寧に確認してください。

このほか、本部と加盟者の間の決済方法の仕組み・条件、本部による加盟者への融資の利率等に関する情報、加盟店の損失に対する補償があるかどうか、経営不振となった場合の本部による経営支援があるかどうか、契約の期間と契約解除の条件、競業禁止義務の有無(加盟後、加盟者の店舗の周辺の地域に、同一又はそれに類似した業種を営む店舗を本部が自ら営業すること又は他の加盟者に営業させることができるか否)などについても検証したいところです。

契約→研修→準備→開店の流れをカクニン!

契約後はどのようなスケジュールで開店となるのかを確認しておきましょう。研修は1日で終わるものもあれば、1ヶ月近くかかるものもあります。その間は開店準備に向けた作業ができないので、家族の理解を得た上で、スケジュールを組むようにします。

研修では、社会人としての基本マナーから販売・接客技術、店舗運営マニュアル、従業員の管理方法、広告の作成などさまざまな知識・技術を学びます。本部が求めている一定の水準レベルに達しないと、店舗運営を任せてもらえないので油断は禁物です。高い向上心を持って研修に望むことが大切になります。

開店準備では、本部スタッフが手伝いに来てくれることもありますが、1人でしなければならない場合もあります。開店日に無理に合わせようとすると、業務にミスが発生しやすいので要注意です。開店日はいつなのか、準備スタッフは何人必要か、スタッフ募集の広告はいつ出すのか、家族の協力は得られるのか、家族のスケジュールは確保できるのかなどを調整しておかなければなりません。

ファストフードなど業種によっては開店日に想定以上のお客が訪れることがあります。このとき、商品不足や材料切れが起きないように、商品の仕入れ量を見極める必要があります。

先輩オーナーの事例をカクニン!

<p>フランチャイズに初めて加盟する人にとって経営が本当に上手くいくのかなどの不安も多いと思います。そこで参考になるのがすでに加盟しているオーナーの事例です。本部ホームページによっては収益モデルケースを紹介していますので、是非参考にしてみてください。

また、先輩オーナーに対する疑問は加盟店訪問で解消することもできます。加入前の相談や契約締結時に本部を訪問したさい、既存加盟店を紹介してもらうことが可能です。先輩オーナーには売り上げの状況や本部との関係について遠慮なく質問しましょう。本部が提示する売り上げ見込みどおりだったか、ロイヤリティ率は経営にどの程度影響を与えているかなどが気になるところです。

また、本部と良好な関係を築けているか、スーパーバイザー(本部支援スタッフ)の訪問回数は十分か、本部の支援内容に満足しているか、このほか本部に対してどのような不満を抱えているかなども聞けるとなお良いでしょう。スーパーバイザー(SV)については、本部によってその質がバラバラだったりします。しかし、加盟後はスーパーバイザーと2人3脚で経営に当たることが多いので積極的にコミュニケーションを図り、良好な関係を築かなければなりません

このほか、可能ならば本部フランチャイズに対するお客の反応などもネットで調べてみましょう。お客からどのような評判を受けているかは経営者は知っておく必要があります。

店舗を自分で用意するか、本部に用意してもらうかをカクニン!

開業するさい店舗を自分で用意するか、本部に用意してもらうかでロイヤリティが変わります。一般的に本部に店舗を用意してもらう契約タイプのほうが、ロイヤリティ率が高く設定されています。

フランチャイズのメリット・デメリットをカクニン!

フランチャイズでは小規模な小売店舗と比べて大量仕入れ・大量販売ができる、悪天候・相場の上げ下げなど外的要因による仕入価格の変動も小さくて済む、商品開発をする必要がない、金融機関から借り入れしやすいといったメリットがあります。

また、本部が持つ膨大な「業界知識・情報」も大きな強みとなります。独自開業」する場合、業界研究からマーケティング、販路開拓、店舗確保など全てを自力で行う必要があります。もちろん、これらが創業時における醍醐味とも言えますが、経験や知識がない分、多くの時間とお金を使うことになるでしょう。部には膨大な業界情報や運営ノウハウの粋が結集しているので、これを最大限活用することができます。

その一方で、店舗経営は本部の経営状況に左右されるといったデメリットがあります。また、独自開業と違って毎月支払うロイヤリティが売上のなかで大きく占めます。商品の仕入れに関しては、独自開業する場合は、これらすべての自分自身で行う必要があるので、相当の時間と労力を割くことになるかもしれません。その代わり、誰からも指図を受けず、自分の知識と勘で選び抜くことができますが、商品・原材料、本部が指定する業者から仕入れることが多くなります。仕入値自体にもロイヤリティ(=費用)がかけられるので、実際の仕入れよりも高くなる場合があります。

本部説明会のスケジュールをカクニン!

本部ホームページで一通りの情報収集を終えたら、オーナー向け説明会に参加しましょう。実際に本部スタッフと触れ合い、話を聞くことでインターネットだけでは得られない貴重な情報を得ることができます。さらに、今後付き合いが長くなるかもしれない仕事相手の人となりを知るいい機会となります。

FC契約における本部と加盟のトラブルとは

フランチャイズ契約では本部と加盟オーナーの間でトラブルが発生することが少なくありません。経済産業省の「フランチャイズ・チェーン事業経営実態調査報告書」によると、本部企業が加盟店に訴えられたことがあるとする割合は13.3%となっています。業種別見ると小売業が24.4%で最も多くなります。一方、外食業6.3%、サービス業9.5%です。

半分以上が売上げに関する訴訟

加盟オーナーが訴訟を起こした理由を見ると、「売上・収益予測との乖離」が50.0%となります。実際、コンビニフランチャイズでは、売上が加盟前に提示された予測とあまりにもかけ離れているとの苦情が後を絶ちません。

本部が見せる資料は、特に業績がよかったり成功している店舗のデータのみをモデルとしていることが多々あります。加盟する前は「売上予測」に基づく根拠は何なのか、ほかの店舗の売上はどうなのかなど、複数を比較検証して慎重に判断する必要があります。

このほか、訴訟理由として多かったのは、「その他」(34.4%)、「一方的閉店」(9.4%)、「競業禁止義務違反」3.1%、「守秘義務違反」0.0%となりました。本部とのトラブルをなるべく避けるためにも、本部が加盟店との間で過去にどのような訴訟を抱えていたかを知る必要があります。

廃棄ロス・棚卸ロスがネックにも

本部によっては商品の廃棄ロスや棚卸ロスを仕入れから差し引いた金額を売上総利益として算定する場合があります。このとき廃棄ロスが増えるほどロイヤリティは増え、加盟店の利益が少なくなるといったことが想定されます。加盟オーナーから「思った以上にロイヤリティが高い」といった相談は毎年多いです。また赤字でもロイヤリティの支払いが発生することがあるので、廃棄ロスや棚卸ロスがどのような扱いになっているか事前に確認する必要があります。

フランチャイズ経営に欠かせない経営分析

加盟オーナーとして経営者になるには、経営学に関する知識もある程度必要になります。特に経営分析に関する知識は欠かせないでしょう。経営分析では会社が作成する決算書類(貸借対照表や損益計算書といった会社の財務状況に関する計算書類のこと)から企業の「安全性」「収益性」「成長性」を調べることができます。

支払い能力を判断する「安全性」

安全性分析とは貸借対照表を用いた分析であり、会社の健全性、倒産の可能性、支払能力などを調べることができます。「安全性」を見る指標は、おもに「流動比率」「固定比率」「自己資本比率」などがあります。

流動比率とは、1年以内の短期的な支払能力を分析する指標です。流動資産と流動負債を比較し、短期的な安全性を判断することができます。一般的に流動資産が流動負債を上回っていることが望ましいとされます。流動比率は「流動資産÷流動負債×100%」で求めることができます。

固定比率とは、長期的な支払能力を分析する指標です。長期にわたって使用する固定資産をもとに分析します。一般的に100%以下であることが望ましいとされ、「固定資産÷自己資本×100%」で求めることができます。

自己資本比率とは資金調達を返済する不要のない自己資本でどれだけ行っているかを分析する指標になります。自己資本(=会社の純資産)に占める純資産の割合を示します。自己資本比率では会社の中長期的な安全性を分析することができ、比率が高いほど経営が安定していることをあらわします。自己資本比率を求める計算式は「自己資本÷総資産×100%」となります。

利益率を明らかにする「収益性」

企業の「収益性」(=利益率)を判断する指標です。おもに、損益計算書を用いた分析であり、「売上高総利益率」「売上高営業利益率」「売上高経常利益率」「純資産利益率」などの指標があります。

売上高総利益率とは、商品力によって稼いだ利益を分析することができる指標です。売上高に対する売上総利益の割合を示します。計算式は、「利益÷売上高×100%」で求めることができます。

売上高営業利益率とは、本業が効率的に行われているかをあらわす指標です。売上高に占める営業利益の割合になります。営業利益とは売上総利益から商品の管理費や人件費など差し引いた本業だけの利益であり、「売上総利益」から「販売費及び一般管理費」(会社の販売と管理業務に関して発生したすべての費用)を差し引いたものです。計算式は「経常利益÷総売上高×100%」で求めます。

売上高経常利益率とは、収益力を示す経常利益が本業によりあらわす指標です。売上高に占める経常利益の割合になります。経常利益とは、本業以外の活動も含めた総合的な利益であり、「営業利益」に「営業外収益」(会社が本業以外で稼いできた利益)を足し、「営業外費用」(本業以外でかかった費用)を引いたものです。経常利益とは計算式は「経常利益÷総売上高×100%」で求めます。

総資産利益率とは、事業に投入された総資産が、どれほど効率的に利益を獲得したかを示す指標になります。英名だとReturn on asset(リターン・オン・アセット)と表記します。「利益÷総資産×100%」で求めることができます。

将来性を判断できる「成長性」

「成長性」は会社の当期と前期の成績を比較してどの程度伸びているかを確認する指標になります。「成長性」を判断する指標には、「売上高成長率」、「経常利益成長率」、「総資産成長率」、「一株当たり利益」、「株価収益率」などがあります。

売上高成長率は、1年間における売上高の伸び率をあらわす指標になります。計算式は「売上高増加額(当期売上高-前期売上高)÷前期売上高×100%」で求めることができます。

経常利益成長率は、経常利益の伸び率をあらわす指標です。「経常利益増加額(当期経常利益-前期経常利益)÷前期売上高×100%」で求めることができます。

総資産成長率は純資産の伸び率をあらわす指標です。純資産増加額(当期純資産-前期純資産)÷前期純資産×100%で求めることができます。継続して見守る必要がある指標です。

1株当たり利益とは、純利益を発行済み株式数で割った指標です。その名の通り、1株あたりの会社の利益(EPS)を示します。純利益が増加すればEPSも増加し、減少すればEPSも減少します。EPSが高いほど1株当たり利益が大きいことを示すので会社の収益性の高さをあらわします。計算式は「当期純利益÷発行済株式数」で求めることができます。

株価収益率とは一株当たり純利益の何倍となっているかを示す指標です。株価が利益の何倍まで買われているかを示す指標です。株価収益率(PER)が低いほど、会社が稼ぐ利益に対して株価が割安であることを示します。逆にPERが高いほど、割高であることになります。計算式は「株価÷一株当たりの利益」で求めることができます。