人気のフランチャイズ「コンビニ経営」の市場と実態を解説し、メリット・デメリットまで紹介

フランチャイズで「コンビニ経営」は、ビジネスを立ち上げようとするときに多くの人が検討する組み合わせです。フランチャイズは会社立ち上げや経営のノウハウを提供してもらえるため、経験が無くても起業ができるようになっています。またコンビニは、セブンイレブンやローソンやファミリーマートなどもはや説明の必要はないほど生活に浸透している業態といえます。

今回の記事では、フランチャイズ「コンビニ経営」を検討する際に押さえるべきポイントをご紹介します。具体的には、コンビニ市場について今後の展望とポイントとなるコンビニ経営の実態をトラブルに発展しやすい部分などにフォーカスして説明したうえで、そのメリットとデメリットについても解説します。

コンビニ市場と展望

コンビニ市場と展望

起業を検討するときに知っておかなければならないものの1つが市場です。市場を見るときには、一般的にはその業界の規模からみていきます。具体的には、その市場で取引される金額=売上の規模とその変化をみていきます。大きくかつ成長もしくは将来の成長が見込める市場は、安定感があり新規参入できる可能性が高いといえます。一方、小さくかつ縮小もしくは将来の縮小が予想できる市場は、逆のことがいえます。

コンビニ市場

一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会『コンビニエンスストア統計データ』によると、コンビニ市場の2019年年間売上高は、11兆1,608億円(前年比+1.7%)となっています。同統計の2008年年間売上高は7兆2,725億円になるので、コンビニ市場は22年間で約1.5倍に成長し、年間平均7.0%成長していることになります。

平均客単価が639.3円(前年比+2.0%)で、コンビニへの年間来店者数は174憶5,871万人(前年比-0.3%)となります。来店者数が0.3%の減少でも52百万人減少という非常に大きな市場であることと、決して客単価は高くなく、日々の売上げの積み重ねが大事になる市場であることが理解できます。また、これだけの客観的数値を長年の間取り続けている業界自体見通しがしやすい業界ともいえます。

コンビニ前述の日本フランチャイズチェーンに加盟している7つのコンビニチェーンにほぼ集約できます。以下は店舗数順のコンビニエンスストアを経営する企業になります。()はIR等で確認できる2020年の店舗数になります。

コンビニはセブンイレブンジャパンとファミリーマートとローソンの3大コンビニチェーン企業でほぼその出店数の大半を占めています。近年では、スーパーの大手であるイオンもミニストップやまいばすけっとなどの店舗数を伸ばしていますが、大手3社の店舗数にはまだ及びません。

コンビニ市場の展望

前述の統計データには、コンビニの店舗数もデータがあります。店舗数は19年12月末現在で5,620店舗となっていて、0.1%ではありますが店舗数は減少に転じています。
2019年の出店計画のうちの新規出店はわずか20店舗(スクラップ&ビルドなどをあわせて総数は2,050店舗)になります。

また、直近数年の話にはなりますが、現在事業を開始しようとする時には、新型コロナウィルスによる経済・経営への影響が気になります。直近経済が冷え込むことが予想されている中で、フランチャイズコンビニ経営へは少なからず影響があります。

コンビニ3大大手各社の2020年4月と5月の月次売上高は前年同月比で落ち込みを見せています。

・コンビニ3大手の2020年4月と5月の月次売上高の前年同月比表

4月 5月
セブン-イレブン ▲5.0% ▲5.6%
ファミリーマート ▲14.8% ▲11.0%
ローソン ▲11.5% ▲10.2%

セブン―イレブンでも▲5%程度の前年同月比の落ち込みになっていますが、ファミリーマートとローソンは▲10%を超える落ち込みを見せています。
そのため、各コンビニチェーンはコロナ禍の中で、経営の合理化などの守りの戦略を粛々と進めている状況がうかがえます。

暗い話題も多いですが、フランチャイズによりコンビニ経営を行おうとするオーナーにとっては、この苦境もある種のチャンスになる可能性があります。それは、コンビニチェーン各社は現在オーナーとの関係改善に動いているからです。

日本の少子高齢化・人口減少に影響される形で何もしなければコンビニ市場全体の規模が減少していくことは予測ができます。この中で各コンビニチェーンは、チェーン運営・オーナーの直面する課題を解消して、よりよいオーナーへの支援を行う風潮にあるからです。

コンビニ市場の課題

コンビニ市場の課題

経済産業省がまとめた『新たなコンビニの在り方検討会』では、コンビニ業界の課題は大きく二つが取り上げられています。

コンビニ業界の課題

  1. ①日本国内市場の成長が鈍化している中での、1店舗あたりの売上げ成長が停滞
  2. ②労働力不足によるオーナーの高齢化と後継者不足や人手不足

また、これらの課題の結果、コンビニオーナーの満足度が17%も満足度が減少しているデータがあります。また、その結果コンビニフランチャイズ契約の契約更新も24%減少しています。

コンビニオーナー満足/契約更新調査

満足しているか 契約更新の希望
2014年度調査 69%が満足 68%が希望
2018年度調査 52%が満足 44%が希望
▲17%の減少 ▲24%の減少

ただし、これらの課題はどちらとも、日本の少子高齢化による人口の減少の原因です。そのため、コンビニ業界の特有の問題というより全ての日本国内の業界すべてに共通する問題であるといえます。

また、1店舗あたりの売上げの停滞は継続的に店舗数を増加させてきた結果でもあります。そのためコンビニ業界は、規模の利益の追求から方向性を変更し店舗数の減少に舵をきっています。前述のとおり、2019年12月の店舗数は前年同月比で123店舗の減少(前年同月比▲0.1%)でした。減少数だけをとらえるとそれほど大きなインパクトはありませんが、店舗数の統計で前年度の実績を下回るのは、統計開始の2005年以来なかったことになります。これはコンビニ大手が新規出店を抑制するために出店基準を厳しくした結果です。

コンビニ市場全体についてまとめると、日本国内の業界共通の課題はあるもののその課題を克服しようとフランチャイズが動いているといえます。

労働力不足に対しては24時間の制約をなくすいわゆる“時短営業”の店舗を増やすことや、人の手を介さないセルフレジなどのITツールを積極的に導入することで課題克服の動きをコンビニ各社から見ることができます。

具体的には、2020年7月現在、セブン-イレブンでは持続可能な成長実現のための指針として行動計画(2019年4月策定)に基づいて以下のようなことを取り組みしています。

加盟店様支援 オーナーヘルプ制度や従業員派遣制度の充実、セルフレジやキャッシュレス決済の導入促進など16の施策
オーナー様とのコミュニケーション強化 役員や部長による加盟店への訪問およびオーナー様との意見交換会開催とアンケート制度の新設の2つの施策
営業時間短縮の検討 直営店の深夜休業実証実験の継続と、加盟店での実証実験の順次拡大の2つの施策
加盟店の売上利益拡大 新レイアウト店舗展開拡大とフレッシュフードの消費期限延長拡大とエシカルプロジェクトの2つの施策

参照:セブン‐イレブンでいま取り組んでいること

ローソン*とファミリーマート**もそれぞれ同様に行動計画を策定し、その進捗状況を開示しています。

*参照:ローソン加盟店支援ならびに加盟店と関係のさらなる強化策の進捗状況について
**参照:ファミリーマート加盟店支援「行動計画」に関するお知らせ

コンビニ経営の実態

コンビニ経営の実態

コンビニは利用したことがない方のほうが珍しいほど、非常に身近な存在です。また、コンビニでバイトなどをした経験がある方も比較的多くいます。そんなコンビニの経営についてはいかがでしょうか。

普段から利用しているため、なんとなくわかっているような気分になりがちなコンビニ経営を始めるための検討ができるように「コンビニ経営とは」をおさえましょう。

●フランチャイズコンビニ経営者の仕事
コンビニ経営は、コンビニ事業の運営を経営する事が仕事になります。経営のやり方は、様々です。自ら店長としても現場に立つ方もいますし、店長などを採用して任せることもあります。しかし、経営者に共通していることは、経営の責任をとることが必要になります。

経営の責任とは、最終的に事業の結果です。そのプロセスにおいて、フランチャイズ本部の協力や支援などもあります。また、従業員などを採用し、店舗運営を任せていたとしても、最終的な利益や損失などの結果は経営責任です。

これに関しては、他のどの経営でもいえることではあります。ただし、フランチャイズ経営においてはフランチャイズ本部からブランディングや商品や事業運営ノウハウの提供を受けて勧められるままに事業をスタートしてしまう場合もあります。このような場合に、必要な経営責任への覚悟が不足してしまいます。

事業の目的を明確に持ち、得たい結果と実際の結果の差を確認し、事業をあるべき方向に日々自ら方向性を示して修正していくことがコンビニ経営でも求められます。

コンビニ経営の仕組み

コンビニ経営の仕組み

コンビニ経営はその運営方法によって、2つに分けることができます。『直営店』と『フランチャイズ店』です。

直営店とは、チェーンを運営する企業自体が店舗運営を行うことをいいます。別名、レギュラーチェーン(RC)という場合もあります。店舗の運営を行う店長などは、フランチャイズチェーンを運営する企業が雇用している場合がほとんどです。

もう一方のフランチャイズ店とは、フランチャイズ自体の運営を行う企業“フランチャイザー”とは別に、店舗運営は加盟店“フランチャイジー”が行う事をいいます。

そのため、フランチャイズ運営を希望する場合には、フランチャイザーとフランチャイズ契約を締結が必要になります。フランチャイズ契約を行うことで、店舗運営やサービス提供をするために必要な大部分=フランチャイズシステムの提供を受けることができます。
フランチャイズシステムの具体例は、以下になります。

  • ・チェーン共通の商品やサービス
  • ・チェーン商標やブランド
  • ・店舗運営に必要な設備や機器
  • ・経営ノウハウ

フランチャイザーとフランチャイズ契約

一方で、フランチャイジーはフランチャイズシステムの提供を受ける代わりに、加盟金やロイヤリティの支払いが必要になります。この金額はフランチャイザーとの契約によって変わります。

コンビニ経営が他のフランチャイズ運営と異なる点は、24時間営業が基本になっている点になります。前述のセブン―イレブンなど各社の行動計画にも営業時間短縮への取り組みは課題として掲げられていますが、まだフランチャイズコンビニ経営の店舗においては極端に夜間の人の出入りが見込まれない場所でなければ24時間営業になっています。

24時間営業であるため、一人で店舗運営をすることは不可能です。そのため、パートやアルバイトを雇うなどして、シフト管理やスタッフ管理が必須になってきます。

また、店舗の多さもコンビニ経営における特徴の一つといえます。認知度の高さでいうとコンビニにも劣らないファストフードのマクドナルドの店舗数は2020年6月末時点で2,909店舗*と実はコンビニ大手3社と比較すると少ないことが分かります。
*参照:日本マクドナルドホールディングスHP店舗数より

フランチャイズ契約の概要

フランチャイズ契約の概要

フランチャイズ契約はフランチャイズチェーン本部と加盟店が契約する契約の事です。フランチャイズビジネスにおいてはビジネスの継続をしていくうえで非常に重要な契約です。加盟店も独立した事業者という扱いになります。そのため、契約後に思ったものと違うなどの場合でも、クーリングオフの適用にはなりません。そのため、契約内容は理解したうえで責任をもって締結を行うことが求められます。

また、フランチャイズ事業であっても事業リスクが発生します。そのため、フランチャイズ事業におけるトラブルを未然に防ぐことが必要です。フランチャイズ契約を締結する前に契約内容を確認と説明を受けるなどして十分な理解の上契約をしなければなりません。

フランチャイズ事業のよくあるトラブルと締結前確認事項

事業を行う上では、トラブルはつきものです。しかし、出来るだけトラブルを発生させない、発生した場合には影響を最小限にするための準備をしておくことが重要です。フランチャイズ事業においては、よくあるトラブルを認識し、フランチャイズの契約内容を理解しておくことが必須です。

フランチャイズ事業におけるトラブルとチェックするポイントは以下になります*。

フランチャイズ事業を開始したが、実際の売上げは予測の50%にも満たない フランチャイズ本部が算出する売上げや利益予測には、根拠として既存店の平均値などが利用されています。この根拠が適切かどうかを確認する必要があります。また、出来るなら第3者のコンサルや事前調査を利用することでより信頼度の高い予測を立てることができます。
店舗開店の状態でも加盟金の返還が受けられない 店舗候補の物件契約を済ませる前に、フランチャイズ契約を結んで加盟金の支払いが発生する場合におこるトラブルです。先に加盟金支払いが発生する場合、返金要件の確認が必須です。
加盟店が本部に支払いするロイヤリティが利益を圧迫してしまう ロイヤリティは、各フランチャイズ本部との契約によって決定されます。売上や売上総粗利に連動する形での変動する場合はとくに計算方法の理解が必要です。特にコンビニにおいては食品の廃棄ロスや棚卸ロスが必ず発生します。これらの必要経費を差し引いた売上総利益から算出できるかなど、手残りの利益に影響があります。
赤字経営の中でオープンカウントによってさらに経営が苦しくなった オープンカウントとは、本部と加盟店の自動的な融資の仕組みです。本部と加盟店の間では頻繁に請求と支払いが発生しています。その中で、本部の支払いを全て実施してしまうと、加盟店側が最終的に赤字になってしまう場合に不足分を融資する仕組みです。一部のコンビニ本部で採用されている仕組みですが、融資には金利も発生する場合もあり、便利な面と経営を逼迫する要因にもなりかねません。
自分の商圏内に同じチェーン店舗が開店して売り上げが下がった コンビニのフランチャイズ契約では、自分の店舗の商圏保護は盛り込まれていない契約が一般的です。そのため、近隣に同一チェーンが開店する場合の条件などを確認する事が必要です。
解約に対して解約違約金の請求が発生した フランチャイズ契約の中途解約には、解約違約金が発生することがあります。そのため、契約が違約にならない形での解約方法を確認することと、万が一違約に該当する場合の違約金の計算方法を理解しておきます。

また、本部事業者は法律によってフランチャイズ契約締結前に開示すべき事項があります。これらについても重要事項になりますので、確認と理解が必要です。

●中小小売商業振興法に基づく情報開示
小売のフランチャイズチェーンは、特定連鎖化事業に該当します。そのため、以下の事項は契約締結前に事前開示が義務付けられている事項が22項目あります。

≪事前開示項目の一例≫

本部事業者の概要株主/子会社/財務状況/店舗数の推移/訴訟件数など
契約内容で加盟店側に特別かつ重要な義務が発生する事項など

  • ・テリトリー権の有無
  • ・競業避止義務、守秘義務の有無
  • ・本部事業者に支払いする金銭(加盟金やロイヤリティなど)の計算方法や支払い方法や条件など
  • ・本部事業者と加盟店の間で発生する取引条件について
  • ・フランチャイズ契約に関わる期間や更新や解除などに関わる事項

など

●独占禁止法に基づくフランチャイズガイドライン
フランチャイズガイドラインで開示が望ましいとされている事項には前述の事項も含まれています。それ以外の事項は下記になります。

  • ・仕入れ先推奨制度の内容(加盟店への商品等の仕入れ先やその方法などの諸条件)
  • ・加盟店への業務・事業における指導内容とやり方や頻度と費用などに関する事項
  • ・事業がうまく行かない場合の補償制度や経営支援の内容

*参照:中小企業庁 『フランチャイズ事業を始めるにあたって2019年度版

コンビニフランチャイズ契約条件

コンビニフランチャイズ契約条件

フランチャイズ契約は各社それぞれで異なります。ただし、加盟店があってのフランチャイズ事業になるので、コンビニ大手3社のセブン-イレブン、ローソン、ファミリーマートもそれぞれ共通する部分と独自性を持ったフランチャイズ契約条件になっています。

ここでは大手3社のフランチャイズ契約内容や加盟店への支援について、セブンイレブンとローソンを取り上げて紹介します。

●セブン-イレブン
店舗数が大手3社の中でも最も多いのが、セブン-イレブンになります。アメリカのセブン-イレブンとライセンス契約を結び、日本で営業を開始したコンビニ事業を展開してきた草分けです。また、店舗数が多いことに加えて、ドミナント方式という特定地域に集中した店舗出店をさせて、ブランディングを高めると同時に商品の配達効率を向上させています。

主要契約条件
契約期間 15年
オーナーの条件 60歳以下で、2名での加盟ができる人※外国人の方は在留資格が必要です。
2名目の条件 夫婦や親や兄弟などの三親等を除く血縁のいとこであることと、経営に専念できる人
加盟金(成約預託金) Aタイプ300万円(税抜)…土地や建物をもっている人
Cタイプ250万円(税抜)…土地や建物をもっていない人
両タイプともに研修費50万円、開業準備手数料をA100万円/C50万円、開業時出資金150万円を含みます。
ロイヤリティ Aタイプ:売上粗利益×チャージ率45%
Cタイプ:売上粗利率×スライドチャージ率
共通
月間売上粗利益額と24時間営業の対応する店舗か否かによってチャージ率が▲1%~▲3%の減額が適用されます。または固定額で売上粗利益から7万円~20万円減額されます。さらに店舗経営を継続することで、インセンティブチャージが受けられます。インセンティブチャージは、5年以上の店舗経営を継続することでチャージ率を▲3%分減額します。

サポートとしては、開業前に受けられる支援と開業後に受けられる支援があります。

開業前
移住希望者への独立支援 実家のある場所に引越しをして店舗を出したいなど、50㎞を超える移住を伴い開業を支援する制度です。
引越費用補助 店舗開店にともなう引越がある場合に、引越費用が補助を受けられる制度です。
従業員独立の支援 セブンイレブン加盟店で勤務経験(通算3年以上)がある人の独立した場合、その勤務経験をインセンティブチャージが適用される年数に加算できます。勤務経験は条件に合致すれば社員でもアルバイトでも適用できます。
複数店経営への支援 加盟店オーナーが複数店経営をする場合には、ロイヤリティを決めるチャージ減額などの優遇条件が適用されます。(ただし、適用を受けるための諸条件があります。)
開業後
水道光熱費の一部負担* 加盟店の水道光熱費を80%分毎月フランチャイズ本部が負担します。
不良品原価の一部負担* 加盟店の不良品における原価15%分毎月フランチャイズ本部が負担します。
最低保証制度* 加盟店のオーナー総収入の一定額を保証する制度です。オーナー総収入は「売上粗利益」-「セブン-イレブンチャージ」で算出されます。
採用支援 従業員を募集するためのwebサイト(セブン-イレブン専用アルバイト募集ページ)への無償掲載ならびにコールセンター受付対応が可能です。
経営サポート 未経験者でも事業が進められるよう、新規開業立ち上げからその後の運用までサポートします。

*土地と建物をもつオーナーの開業(Cタイプ)のみの適用になります。
参照:セブン-イレブン・ジャパンHP 加盟条件・契約タイプ・加盟資金についてAタイプCタイプ

●ローソン
日本の全都道府県での出店を成功したのが、ローソンになります。ナチュラルローソンやローソンストア100などの新業態店舗展開や新商品投入などにも力を入れています。

主要契約条件
契約期間 10年
オーナーの条件 20歳以上で、2名の店舗専従者が必要です。店舗の近隣に住むことが可能です。外国人の方は在留資格が必要です。
店舗専従者の条件 夫婦や親や兄弟などの三親等内で、経営に専念できる人
加盟金(成約預託金) Aタイプ100万円(税抜)…土地や建物をもっている人
Cタイプ100万円(税抜)…土地や建物をもっていない人
両タイプともに研修費50万円、開業準備手数料50万円となります。開業準備金50万円は別途必要になります。
Aタイプの店舗建設や内装設備はオーナー負担になりますが、Cタイプでの店舗建設や内装設備と両タイプの営業什器はフランチャイズ本部負担になります。また、Cタイプにおいて月々の地代・家賃もフランチャイズ本部が負担します。
ロイヤリティ 売上粗利益に応じてチャージ率を乗じます。()はCタイプ
売上粗利益300万円以下×41%(45%)
売上粗利益300~450万円以下×36%(70%)
売上粗利益450~600万円以下×31%(60%)
売上粗利益600万円以上×21%(60%)
ただし24時間営業ではない店舗運営の場合には、上記チャージ率に3%加算されます。

セブン-イレブン同様に、ローソンにも開業前に受けられる支援と開業後に受けられる支援があります。

開業前
転居費支援金 転居が伴う店舗開店の場合には、100万円の支援金がうけとれます。(適用条件は別途規定があります。)
U・Iターン独立支援制度 親元などの地元での開業を希望する方へ、規定に基づき、転居費100万円を支援します。また、本部との契約締結に関わる移動費や宿泊費も本部の負担があります。(規定に基づく)
キャリア独立制度 契約社員として最短3ヶ月から1年間実際にローソン店舗で業務を行います。独立までにキャリアを積むことができますので、未経験者でも安心して独立ができる制度です。また、キャリア独立制度を利用すれば、加盟金100万円が全額免除になります。また、通常は必要となる店舗専従者が不要になり、1人でも独立が可能です。また、転居費・居住費の一部を本部が負担します。
ファミリー独立支援制度 加盟店で働くクルーや社員の独立を支援する制度になります。加盟店オーナーは独立意識の高いクルー・従業員を採用する機会を増やすことができます。また、ファミリー独立制度も、加盟金100万円が全額免除で、1人でも独立が可能です。また、転居費100万円の支給があります。
開業後
水道光熱費の一部負担 加盟店の水道光熱費を50%分毎月フランチャイズ本部が負担します。ただし、1ヶ月の上限は25万円になります。(オーナータイプは関係ありません。)
不良品原価の一部負担 新店開業の場合には、開店初月から6ヶ月間は70%、7か月から12か月間は50%を本部が廃棄費用を支援します。
売上に比例した不良品原価相当額を本部が負担します。
売上×2.0%~3.0%:20%
売上×3.0%~4.0%:30%
売上×4.0%~:55%
(オーナータイプは関係ありません。)
最低保証制度* 加盟店のオーナー総収入の年間1,980万円を保証する制度です。オーナー総収入は「売上粗利益」-「本部チャージ」で算出されます。ただし、24時間営業ではない店舗運営の場合には、上記オーナー総収入は1,680万円になります。
クルー・アルバイト募集支援 1店舗目と5店舗目までの増店などによるクルー・アルバイト募集時には20万円の支援があります。
経営サポート オーナーや専従者、クルー向けの研修は各種用意しています。また店舗開店前と開店後のそれぞれ研修プランがあります。また、本部社員による新店サポートも用意されています。

参照:ローソンWebサイト「契約内容と独立支援制度 フランチャイズ契約

フランチャイズ「コンビニ経営」開始までの流れ

契約内容を理解したうえで、コンビニ経営を始めるまでの流れを押さえていきましょう。

①全体説明会/個別相談 フランチャイズのコンビニオーナー向けの説明会*に参加して、大枠の内容を理解します。その後に、各自の事情や状況に応じて個別に相談や質問をします。*説明会の予定は各社のWebサイトで確認できます。2020年8月現在は、新型コロナ感染予防でテレビ会議などでの説明会を実施している場合もあります。
②面談/体験入店など 実際のフランチャイズ本部の担当者やフランチャイズオーナーとの面談や、実際のフランチャイズのコンビニ店舗での体験入店も行うことができます。実際にフランチャイズオーナーとなる上で必要な具体的な情報に触れる機会になります。できるだけ、メリットもデメリットもこの時点で様々な情報を集めるようにすべきタイミングです。
③最終面談と契約 本部の開発責任者や店舗をエリア責任者などの開店する場所や時期を相談の上、決定します。また、契約における条件の説明を受けて合意の上、契約を締結します。
④開店前準備 店舗自体の開設準備はフランチャイズ本部が準備を進めます。しかし、この期間に研修や実際の店舗でのトレーニングを通じて店舗オーナー業務を憶えていきます。また、社員やアルバイトなどのオープニングメンバーの採用とトレーニングも並行して進めていきます。
⑤開店 ここからがコンビニ経営が開始されます。準備期間から一緒に進めているフランチャイズ本部の相談員と一つずつ確認しながら、経営を進めていきます。

コンビニ経営のメリット

コンビニ経営のメリット

コンビニ経営で起業することは、ほかの起業を選ぶよりどのようなメリットがあるのでしょうか。ここではコンビニ経営のメリットを紹介します。コンビニ経営のメリットは大きく3つあります。

コンビニ経営のメリット

  1. ① 市場規模が大きく、安定した事業である
  2. ② フランチャイズ本部がしっかりしている
  3. ③ 少ない開業費用など、開業モデルが確立されている

市場規模が大きく、安定した事業である

コンビニはすでに現代の生活に不可欠なインフラとなっています。そして、セブン-イレブンとローソンとファミリーマートなど、高い知名度・ブランド力を利用して事業展開ができるというのは非常に大きなメリットになります。

一般的に、不況に強い業種というのは生活インフラに入り込んでいる業種になります。生活インフラに入り込んでいるというのは、なくては生活が成立しない業種になります。厳密にいえば、コンビニが無くても生活は成り立ちます。しかし、24時間いつでもサービスを受けられ常に身近に店舗がある便利さという点においてコンビニは他の小売業にはないサービスを展開しています。

フランチャイズ本部がしっかりしている

フランチャイズビジネスは、フランチャイズ本部との二人三脚で進める面が強いです。コンビニ経営において、店舗開店からその後の商品仕入れや広告などのブランディングやマーケティングなどもフランチャイズ本部の戦略展開などのサポートなどがあって成立しています。そのため、フランチャイズ本部の長年のフランチャイズ経営経験と財務基盤が重要になってきます。

フランチャイズ経営経験とは、フランチャイズ本部としての事業実績の長さと店舗数で測ることができます。
事業実績の長さでいえば、コンビニ大手3社は3社ともに1970年代からコンビニ事業を開始してすでに50年の歴史があります。この50年の間に、バブル崩壊による1993年から2002年までの平成不況や2008年のリーマン・ブラザーズの倒産などのリーマンショックなどの金融危機による不況などがありました。これらの時代を潜り抜けて事業を継続してきた経験は非常に頼りになるものであるといえます。

特に現在の新型コロナ感染対策など、今後不景気になっていくことが予想されていく中ではフランチャイズ本部が持つ不況への対応ノウハウは経営における大きなアドバンテージになります。

また、店舗数は前述のとおりですが、大手3社全て1万店舗を超えています。店舗経営は、立地や競合他社を含む商圏の状況などの外的な要因と資金状況やスタッフの経験値などの内的な要因に影響を受けます。つまり、コンビニ経営では商品などは共通ではあるものの、外的・内的両方の要因が全く同じ店舗は1つもありません。そのため、店舗の数だけ経営状況が異なるということです。そのため、店舗数の多さはそのまま店舗経営経験の蓄積につながります。

これらのことからコンビニフランチャイズ本部は十分なフランチャイズ経営経験があるといえます。

次に財務基盤をみていきます。財務基盤とは、資産の中の純資産=自己資本部分になります。自己資本とは、簡単にいうと借入していない資金力ということができます。企業の資金力を表す資本の合計(総資本)は自己資本と他人資本(借入)の合計値になります。そのため、「自己資本÷総資本」で計算される自己資本比率は、その会社の安定力を表す数値として利用されます。自己資本比率が高いほど安定した財務基盤であるといえます。

コンビニ大手3社はすべて東証1部に上場しています。また、それぞれの自己資本も最も少ないローソンでも2,708億円以上となっていて、自己資本規模が大きいことが分かります。また、自己資本比率が40%を超えるセブン&アイHLDGSは高い財務基盤であるといえます。

自己資本金額 自己資本比率
セブン&アイHLDGS 27,572憶円 43.4%
ローソン 2,708憶円 20.0%
ファミリーマート 5,869憶円 29.7%

少ない開業費用など、開業モデルが確立されている

日本政策金融公庫による『2019年新規開業調査実態調査』によると開業費用は1,055万円となっています。一方で、フランチャイズによるコンビニ経営を行う上で必要となる開業資金は比較的少なくても済みます。前述のとおりセブン-イレブンでは250万円から300万円でローソンでは100万円となり、ファミリーマートでは150万円*になります。

また、支援制度を利用することで開業資金を抑えることもできますし、開業時に支援を受ける事も出来ることはフランチャイズによる起業だから考えられるメリットです。

開業資金を用意することは、経営者の大きな課題となります。そのため、開業する上で資金を少なく済ますスモールスタートは非常に大きなメリットにあります。
*2020年8月時点のファミリーマート『オーナー募集』より

また、開業においてフランチャイズ本部での研修や店舗設備の準備など、開業モデルがパッケージ化されています。そのため、店舗開業に必要なことを抜け漏れなく実行できることもコンビニ経営を始めて挑戦する加盟店オーナーにとっては安心材料になります。

加盟店オーナーが開店前に心配するのは集客ができるかという点です。その点においても、コンビニ経営においてはブランディング力を活用できる点が大きくプラスに影響します。セブン-イレブンやローソン、ファミリーマートがオープンすると分かれば、消費者へのそのサービス内容の説明は不要です。

サービス内容の説明が必要ないというところまで、開店する段階で出来ているのはフランチャイズビジネスの大きな強みです。そのため、事前の売上げや利益予想は、大きくはずれずに、開店後の事業の立ち上がりも早く出来ることが期待できます。

コンビニ経営のデメリット

コンビニ経営のデメリット

万能にも思えるフランチャイズによるコンビニ経営ではありますが、もちろんデメリットもあります。コンビニ経営を検討する際には、デメリットも理解したうえでフランチャイズ契約を検討・選択することが必要です。

フランチャイズ「コンビニ経営」におけるデメリットは大きく以下の2つに集約できます。

コンビニ経営のデメリット

  1. ① 24時間365日店舗を開けなければいけない
  2. ② フランチャイズ規約に沿った事業運営が求められ、独自経営がやりにくい

24時間365日店舗を開けなければいけない

コンビニの大きな売りの一つが、いつでもやっているということです。これは店舗経営の立場からいえば、24時間365日いつでも事業を継続しなければいけない、ということです。事業を継続するということは、経営者も常に経営を続ける必要があります。

24時間の営業をするためには、アルバイトなどの人のマネジメントが重要となります。しかし、現在の日本全体の課題である少子高齢化の影響により、人件費の高騰がおきています。そのため、コンビニのアルバイト採用がままならないということも起こっています。

そのような環境下でも店舗を開店し続けなければいけなくなると、オーナーの労働時間が長くなってしまうという問題に発展します。また、開業時点も同様で、採用が間に合わないと慣れないオーナー業務と店長業務と店舗運営まで一手に行う必要が出てきます。仮に、雇用したスタッフで運用を任せられたとしても、事業が常に継続しているということは、問題やトラブルが発生する可能性も継続するということになります。

そのため、現場のマネジメントを任せられる店長を採用し、長期的に働き続けてくれるアルバイトを維持しておくことが求められます。また、永く働いてくれるスタッフに応えることができる給与を出しても利益が残るところまで事業がうまくいけばこのデメリットは解決することができます。

また、前述のとおりコンビニ業界が抱える課題として24時間営業の見直しが開始されています。コンビニフランチャイズを決める際には、この24時間営業への取り組み状況や将来展望について確認する事を推奨します。

フランチャイズ規約に沿った事業運営が求められ、独自経営の自由度が低い

規約には、何をしなければいけないかならびに何をしてはいけないかが規定されています。コンビニのフランチャイズはブランディングやビジネスモデルが確立されていますし、確立しておくメリットが大きいため独自経営などの自由度は非常に低いといえます。

前述の24時間営業についても2019年に営業時間を短縮せざるを得なくなった店舗オーナーに対して、フランチャイズ本部側が契約解除に伴う違約金1,700万円の支払いを求めるなどのことがありました。

また、コンビニでは食品などの賞味期限切れ食品を破棄するいわゆるロスについても、賞味期限が迫っている食品などを割引して販売するということもかつては許可されていませんでした。

さらにフランチャイズ契約期間が10年から15年と長期間になっているという点も考慮すべき点と言えます。

これらのことは、フランチャイズ本部の利益と加盟店の利益が相反するために発生する事象です。コンビニ加盟店オーナーの満足度が低下している昨今では、この相反をどこまで小さくできるかというのがコンビニ市場の増減に影響してくる課題ともいえます。

まとめ

今回はフランチャイズ「コンビニ経営」についてまとめました。フランチャイズによるコンビニ経営は市場もフランチャイズ本部も安定しており、かつ店舗開店などの新規開業資金が抑えられるうえに、開業や事業のビジネスモデルが確立できています。また、フランチャイズ事業を50年実施しているため、ノウハウが蓄積されており、今後の不況や少子高齢化の変化もフランチャイズ本部と共に乗り越えることができるとみています。

コンビニ経営に興味のある方は、フランチャイズ契約のメリットだけでなく、デメリットやリスクにも注意を払って慎重な経営判断を下すようにしましょう。