フランチャイズの売上保証とは?売上保証のある業種・業界も紹介!

最近さまざまな業種で普及しているフランチャイズ事業ですが、自分も独立・開業して一国一城の主になりたいと思っている方がいらっしゃるのではないでしょうか。独立・開業では店舗の業績が最大の不安要素ですが、最近では、加盟条件に売上保証が付けられているフランチャイズが増えています。しかし、この売上保証はどのような内容で、どのような業種・業界に売上保証があるのか、疑問や不安をお持ちの方も多いでしょう。

そこで本記事では、フランチャイズの売上保証の仕組みやメリット・注意点を解説するとともに、売上保証がある業種・業界について紹介します。フランチャイズでの独立・開業に関心がある方は、ぜひ参考にしてください。

フランチャイズの売上保証とは

フランチャイズの売上保証とは

はじめに、フランチャイズの売上保証はどのようなものか整理していきましょう。売上保証は、フランチャイズ加盟店の売上不振に対し、本部が売上げを保証するもので、大きく分けると次の2種類があります。

フランチャイズの売上保証

  1. 売上保証額に満たない差額を本部が保証する方式
  2. 本部が顧客・仕事を紹介することで売上げを保証する方式

売上保証とは

フランチャイズ加盟店の開業当初は、売上げがなかなか伸びず事業が軌道に乗らない場合もあります。このように、加盟店の売上げが一定の基準に満たない際に、フランチャイズ本部から保証金が支払われる制度が「売上保証」です。

この売上保証があることで、加盟店は販売不振時期を乗り越えて事業を継続することができ、フランチャイズ本部は有望な加盟者を集めることが可能となります。

売上保証の仕組み

売上保証の仕組みは、大きく次の2種類に分けることができます。

①加盟店の売上げが一定の基準(売上保証額)に達しない場合に、フランチャイズ本部が金銭で補填する方式

例えば、フランチャイズの売上保証額が年間1,000万円のところ、加盟店の年間売上げが700万円しかなかった場合、本部がその差額の300万円(1,000万円-700万円)を保証するシステムです。

このような具体的な金銭による売上保証は、大手コンビニ・フランチャイズで多く採用されている方式です。

②本部が加盟店に顧客や仕事を紹介することにより、加盟店の売上げを保証する方式

これは、本部が、金銭ではなく顧客や仕事を紹介することで、加盟店に一定の売上げを確保してもらう方式です。顧客開拓などの営業行為は本部がまとめて行うことにより、加盟店は本来の業務に専念することができます。

この顧客・仕事紹介による売上保証は、修理・清掃業界をはじめ多くのフランチャイズで取り入れられています。

売上保証のメリット

売上保証のメリット

売上保証の制度を設けることにより、加盟店オーナーおよびフランチャイズ企業の双方には次のようなメリットがあります。

売上保証のメリット

  1. 加盟店開業後の不安定期を支えてくれる
  2. フランチャイズ企業が加盟店を募集する際に効果がある

それぞれ詳しく見ていきましょう。

開業後の不安定期を支えてくれる

まず、加盟店オーナーにとってのメリットですが、売上保証は、加盟店が開業後、事業が軌道に乗る前の不安定期を支えてくれるメリットがあります。加盟店の開業直後は、顧客が少なく売り上げもあまりない状態が続く可能性があります。さらに、オーナーもまだ事業経営のノウハウが完全に身に付いておらず、経営の効率化やコスト削減などの手腕が未熟であるため、無駄な出費などが増えやすい時期といえます。

しかし、そのような経営不安定期でも、アルバイトを雇いながら事業を回していかなければならないため、資金面で経営を支えてくれる売上保証は非常に頼もしい制度です。

また、フランチャイズに加盟して事業を開始しようか躊躇している人も、売上保証があれば事前の不安を払拭しやすく、開業への決断がしやすくなります。

このように、開業後の経営不安定期を支えてくれることが、売上保証の本来の目的であると同時に最大のメリットでもあります。

加盟店の募集に効果がある

次に、これはフランチャイズ企業側のメリットですが、売上保証は、企業が加盟店を募集する際に有利なPRポイントになることです。各フランチャイズ企業は、加盟店拡大のために、オーナーが安心して事業に専念できるよう様々なシステムや制度を設けています。その中で、資金的な支えとなる売上保証のPR効果は、非常に大きいといえます。

開業に向けて検討している人は、同業種内で売上保証があるフランチャイズとその制度がないフランチャイズを比べ、売上保証があるフランチャイズの方を優先してしまう確率が高いといえるでしょう。

売上保証の注意点

売上保証の注意点

売上保証には、利用する上で次のような注意すべきポイントがあります。

売上保証の注意点

  1. 売上保証は、オーナーの利益を保証するものではない
  2. 売上保証には期限がある
  3. 売上保証に地域的な特性が反映されているかどうか
  4. 売上保証は、オーナーのモチベーションに影響する
  5. フランチャイズ契約では、売上保証以外の条件も検討する

オーナーの利益を保証するものではない

売上保証は、一定の売上額を保証するもので、オーナーの利益を保証してくれるものではありません。売上保証が想定しているのは、店舗の売上額であるため、その額がそのまま利益になるわけではなく、そこから営業経費を支払った残りがはじめて利益になります。
したがって、オーナーが利益を残すには、売上保証から営業経費を差し引いた残りをプラスにする必要があります。

実際に店舗を開業すると様々な営業経費がかかるため、売上保証を受けていても、営業経費を差し引いた残りが赤字になる場合も想定されます。その場合には、オーナー自身の給料が確保されないということです。

フランチャイズ契約では、本部が加盟店オーナーの給料(利益)を保証することはありません。売上保証は、一定の売上額を保証する制度であることに注意する必要があります。

売上保証には期限がある

売上保証に期限が設けられているか否かはフランチャイズにより異なりますが、現在は多くのフランチャイズで期限が設定されています。その売上保証の期限ですが、売上保証が開業当初の経営不安定期を乗り切るためとの目的で設けられていることから、ほとんどのフランチャイズでは、売上保証が受けられるのは開業後半年から1年間程度となっています。

この売上保証の期間が経過すれば、その後は売上保証なしの営業が始まります。したがって、売上保証を受けることを前提にした事業計画では、保証がなくなる近い将来に経営が立ちいかなくなってしまう可能性があります。本来の事業計画・収支計画は、売上保証がない場合を想定して策定しておくことが重要です。

地域的な特性が反映されているか

店舗の売り上げは、地域の特性に大きく影響を受けます。
例えば、首都圏の人口密集地に出店する場合と過疎地に店を出す場合では、同じブランドのフランチャイズ店でも客の集まりには大きな差が生じます。人口密集地に出店した店舗は短期間で売上げを伸ばすことができる一方で、過疎地の店は事業が安定するまで長期間を要する可能性があります。

また、同じ首都圏であっても、片方はオフィス街でもう片方は大学がある学生街に出店する場合とでは、やはり客の入りは異なってきます。オフィス街は、土日・休日を除けば会社員などの客がほぼ安定して集まるのに比べ、学生街では、夏休みや年末年始などの長期休暇中は学生がいなくなってしまいます。

このため、オフィス街に出店した店舗に比べ、学生街の店は、年間を通した売上げが安定しない傾向があるかもしれません。

このように、同じフランチャイズでも、地域により安定した売上げを達成するまでの期間は異なってきます。したがって、売上保証の基準額や期限が、それぞれの地域の特性を考慮したものになっているかについて、チェックすることも大切です。

オーナーのモチベーションに影響する

売上保証は、開業初期の経営不安定期を支援するものであることから、店舗の売上げが売上保証額に達しない場合は、一般的には、本部がその差額を補填してくれる方法が採られています。

このため、場合によっては店舗の最低限の売上げが保証されることによる安堵感により、加盟店オーナーの事業に対するモチベーションややる気が上がらなくなってしまうことも指摘されています。

売上保証がない事業であれば、日々の緊迫感の中で、いかに苦境を乗り越えていくかという前向きの力が自然に湧き上がってくるという見方もできます。

売上保証以外の条件も検討する

フランチャイズ契約を結ぶにあたり、売上保証の有無や基準額は大変重要な要素です。しかし、売上保証さえあれば安心と、他の条件をあまり検討せずに契約してしまうのは早計な場合もあります。

フランチャイズ契約には、売上保証以外に、次のような十分に検討すべき重要な項目が多くあります。

  1. 開店資金はどの程度必要か
  2. 開店資金以外にかかる経費には、どのようなものがあるか
  3. 本部に支払うロイヤリティーはいくらか
  4. 売上保証以外の経済的な支援制度はあるか
  5. 標準的な店舗の売上額や営業コストはいくら位か

また、検討すべき項目は、経費的な項目だけではありません。

  1. 店舗の立地はどう決めるのか、その地域に将来性はあるか
  2. 研修体制はどうなっているか
  3. 開業後、加盟店の裁量はどの程度認められるか
  4. 営業不振が続くと、どのような措置を講じられるか
  5. 市場の将来性はどうか
  6. 本部は、将来的にどのような事業展開を計画しているか

この他にも、検討しなければならない項目は多くあります。最終的に、フランチャイズ契約を結ぶかどうかは、契約項目や条件全体を広く見渡して、総合的に検討した上で決めることが求められるでしょう。

売上保証を活用するポイント

売上保証を活用するポイント

加盟店の経営では、売上保証はいわば最後の拠り所です。このため、この大切な売上保証を最大限有効に活用することが肝心です。売上保証を活用するポイントとしては、次のものをあげることができます。

売上保証を活用するポイント

  1. 事前のシミュレーションで事業計画の精度を高める
  2. 売上保証の期間中に経営の安定を図る
  3. 売上保証に頼らない経営を目指す

事前のシミュレーションで事業計画の精度を高める

すでに説明したように、売上保証は加盟店オーナーの利益や給料を保証するものではなく、事業開始当初に経営が軌道に乗るまでの間、最低限の売上額を保証するものです。そのため、事業の計画段階で、想定される事業収支のシミュレーションを行い、売上保証を含めた事業計画の精度を高めていくことが重要となります。

例えば、大手コンビニのフランチャイズには売上保証がありますが、その売上保証を加えた事業収支のシミュレーションを行ってみるのです。そこでは、売上保証を受けた場合に、営業経費を差し引いて手元にいくら残るかを計算し、仮に赤字であれば、営業経費の各項目を見直してコストを圧縮するよう工夫をしなければなりません。

そのためには、営業経費を漏れなく計上し、コンビニ営業を開始した場合の現実的な数値を当てはめる必要があります。

【コンビニ・フランチャイズのケース】

①売上保証
売上保証の金額は、売上総利益から本部へのロイヤリティーを差し引いた数値です。

●売上保証=売上総利益-ロイヤリティー(いずれも年額)

なお、売上総利益とは、売上から商品原価を差し引いたもので、粗利といいます。すなわち、一定の基準で算定された店舗の売上から商品の仕入れ原価を引き(これが売上総利益)、さらに本部へのロイヤリティーを引いた金額が売上保証の金額に設定されています。

●売上保証=一定の基準で算定された売上-商品の仕入れ原価-本部へのロイヤリティー

コンビニのオープン当初は、まだ事業が軌道に乗らない(客足や売上げが安定しない)ため、この売上保証に頼るケースも多くありますが、受け取る売上保証から営業に必要な経費=営業経費を支払っていくことになります。
そして、売上保証から営業経費を差し引いた残りが、加盟店オーナーの利益=給料になります。

●オーナーの利益(給料)=売上保証-営業経費

②営業経費
それでは、コンビニの営業経費には、どのようなものがあるのでしょうか。

○人件費
コンビニによっては、昼夜2人体制など最低限配備しなければならない人員数を定めているところもあります。比較的多い例は、オーナーとその家族がそのうちの何割かを賄い、不足分をアルバイトで埋めるケースです。

アルバイト賃金は、昼間の時間帯でも時給1,000円前後、深夜勤務となると1,200~1,300円程度になるため、人件費の負担は大きな比重を占めます。

○光熱水費
店舗の光熱水費は、70~80%など一定の割合を本部で負担する例もありますが、本部負担以外の経費はオーナー負担となります。

○不良品・廃棄品の原価
不良品・廃棄品の原価は、10~20%など一定の割合を本部で負担する例もありますが、本部負担以外の経費はオーナー負担となります。

○消耗品費
店舗で使用する洗剤・トイレットペーパー・消毒薬・包装紙・文房具などにかかる費用です。

○ゴミ収集委託費
営業で発生するゴミを業者に収集委託するための委託費です。

○修繕費
店舗の窓ガラスや備品などが破損した場合の修繕費です。

○盗難・万引き被害
商品が、盗難や万引き被害を受けた場合の損失額です。

○雇用保険負担
アルバイトの雇用保険事業者負担分です。

その他にも細かい出費はありますが、大体以上のような営業経費を売上保証から差し引いて、残りがオーナーの利益になるのです

これらの営業経費を合算して上の計算式に当てはめてみて、オーナーの利益が赤字で持ち出し超過になるようであれば、営業経費の各項目を見直し、その中で削減できる項目を探さなければいけません。そして、削減後の数値を当てはめて再計算を行います。

店舗のオープン当初は、この売上保証に頼らざるを得ない場合が多いため、シミュレーションは、オーナー収入がプラス、出来れば生活費を賄えるプラスの額になるまで、諦めずに知恵を絞り工夫していくことが大切です。

【収支シミュレーションの例】
それでは、実際にコンビニ加盟店を開業した場合の事業収支シミュレーションを行ってみましょう。

○コンビニ24時間営業・24時間2人体制で、オーナーが深夜勤務(他にアルバイト1人)し、昼間にアルバイト2人雇用した場合の例です。
売上保証額は、年間2,000万円とします。

売上保証額 年間2,000万円÷12月≒月1,667,000円
収入合計 月1,667,000円
人件費 アルバイトを昼間2人、深夜1人雇用昼間1,000円×16時間×2人=32,000円深夜1,200円×8時間×1人=9,600円32,000円+9,600円×月平均日数30.5日=1,268,800円
光熱水費 月40万円×オーナー負担0.2=8万円
不良品・廃棄品の原価 月40万円×オーナー負担0.2=8万円
消耗品費 月3万円
ゴミ収集委託費 月3万円
修繕費 月0.5万円
盗難・万引き損失 月0.5万円
雇用保険負担 月1万円
支出合計 月1,508,800円
収支差額 収入月1,667,000円-支出月1,508,800円=月158,200円

上記の例では、売上保証額が月166万7,000円に対し、営業経費合計額が月150万8,800円となり、差し引きの差額である15万8,200円がオーナーの月間利益となりました。オーナーの利益はプラスとなりましたが、この金額で生活全般を支えることは難しいのではないでしょうか。

このため、支出項目である営業経費を圧縮して手残りを増やす必要があります。営業経費の中で最大のウェイトを占める人件費をより圧縮していく方法が効果的でしょう。そのためには、アルバイトを削減することを検討すべきですが、オーナーまたはその家族がアルバイト人数の何割かを賄うなどの方法があります。

このシミュレーションは売上保証を前提にしたものですが、開業初期の経営不安定期を乗り越え、売上保証額を超える売上げを恒常的に維持することができるようになれば、アルバイトの人数を元に戻すことができるでしょう。

なお、前にも説明したとおり、売上保証には受けられる期限があるため、売上保証がなくなった後の収支シミュレーションも併せて進めておく必要があります。

保証期間中に経営の安定を図る

売上保証には期限があります。多くの場合、売上保証を受けることができるのは、事業開始から半年間や1年間などとなっています。

したがって、この売上保証を受けることができる期間が、いわば最大のチャンスといえます。すなわち、売上保証期間中であっても、売上保証額を超える売上げを確保できるよう努力・工夫して、いつ売上保証がなくなっても大丈夫との体制を作り上げておくことが重要です。
この大切な期間に、売上保証があるから大丈夫と呑気に構えていると、売上保証がなくなった後に事業を継続できなくなるかもしれません。

開業時は、オープン記念の安売りなどで客集めができる機会でもあります。客の方も物珍しさから、一時的にでも新しい店舗に集まる傾向があります。この開店時に集まった客をリピーターとして、以降も自分の店に繋ぎ止めるような努力が求められます。

それには、商品の品揃えや配置・価格、店舗の雰囲気など、フランチャイズ契約に抵触しない範囲内で創意・工夫を凝らし、魅力ある店舗づくりを進めることが重要です。

さらに、実際に事業を始めてみると、事前検討では思いつかなかった様々な事情やアクシデントが生じてきます。売上保証を活用しながら、それらの試練を乗り越える方策を検討し、具体的な対策を講じていくことも重要です。

売上保証に頼らない経営を目指す

上で説明したシミュレーションは、あくまで売上保証があることを前提にしたものです。
しかし、売上保証には期限があり、永久的に保証を受け続けることはできません。
そのため、売上保証に頼らなくてもよい経営を目指さなければなりません。

フランチャイズは、フリーの個人起業と異なり本部との契約があります。したがって、オーナーが自由に采配を振るうわけにはいきません。フランチャイズでは、オーナーが独創的な企画を発案しても、本部が認めてくれない場合も多くあります。

だからといって、すべて本部の指示どおりで、オーナー自らが経営改善に向けた努力を行わなければ、事業を軌道に乗せ拡大させていくことは困難でしょう。同一のフランチャイズであれば、すべての加盟店が同じ看板やブランド力を背負っています。地域的な条件による格差はありますが、同じ看板・ブランドを持っていても、経営を安定させ業績を伸ばす店舗と経営に行き詰まり廃業する店が出てくるのです。

そして、その差は、加盟店オーナーのやる気と経営改善に向けた創意・工夫からくるものといえます。したがって、加盟店のオーナーは、本部との契約の範囲内で知恵を絞り、安定した経営に向けて様々な対策を講じていくことが求められます。

売上保証のある業種・業界

売上保証のある業種・業界

次に、フランチャイズで売上保証がある業種や業界について、主なものを紹介します。

コンビニエンスストア

フランチャイズの代表格であるコンビニ業界は、売上保証の制度が充実しています。
コンビニ業界の売上保証は、年間総利益からロイヤリティーを差し引いた具体的な売上基準額=売上保証額が、それぞれの企業で設定されています。
店舗の実際の売上げが、設定された売上基準額(売上保証額)に満たない場合は、本部がその差額を補填してくれます。

ここでは、主なコンビニ・フランチャイズであるセブンイレブン、ファミリーマート、ローソン、ミニストップの売上保証を紹介します。

○セブンイレブン

コンビニ業界の第一人者であるセブンイレブンは、国内総店舗数が2万店舗を突破しています。

ブランド名 セブンイレブン
企業名 株式会社セブン-イレブン・ジャパン
業種 小売
本社所在地 東京都千代田区二番町8-8
設立 1973年11月
総店舗数 2万955店(国内のみ)
全店売上高 5兆102億7,300万円

セブンイレブンのフランチャイズ契約は、CタイプとAタイプの2種類に分かれています。

①Cタイプ
店舗用の土地・建物を持っていないオーナーのための契約で、店舗の土地・建物は本部が用意します。加盟金(研修費・開業準備手数料・開業出資金)として、250万円が必要です。

24時間営業の年間売上保証(最低保証)=オーナー総収入 2,000万円を保証
*オーナー総収入=売上総利益-チャージ料(ロイヤリティー)
ただし、最低保証額は、実営業日数に応じて適用されます。

②Aタイプ
オーナーが店舗用の土地・建物を提供し、本部が販売什器やコンピュータなどを用意します。加盟金として、300万円が必要です。

24時間営業の年間売上保証(最低保証)=オーナー総収入 2,200万円を保証
ただし、最低保証額は、実営業日数に応じて適用されます。

その他、開業後の資金的なバックアップとしては、
①加盟店の毎月の光熱水費について、80%を本部が負担
②毎月の不良品原価について、15%を本部が負担
③加盟店オーナーの自宅を営業待機場所とし、その対価として一定の金額を本部が支給
などがあります。

○ファミリーマート

大手コンビニチェーンのファミリーマートは、国内外合わせて約2万5,000店を出店し、全店売上高は3兆円に迫っています。

ブランド名 Family Mart
企業名 株式会社ファミリーマート
業種 小売
本社所在地 東京都港区芝浦3-1-21
設立 1981年9月
総店舗数 2万4,563店(国内・海外)
全店売上高 2兆9,650万5,200万円

ファミリーマートには、未経験者でも最短6か月で独立開業ができるインターン社員加盟支援制度があります。これは、ファミリーマートにインターン社員として入社し、店長研修を経た後、直営店に勤務しながら店舗運営のノウハウを学ぶ制度です。

ファミリーマートの売上保証は、以下のようになっています。

①24時間営業の年間売上保証(最低保証)=加盟者の年間総収入2,000万円を保証
②16~24時間未満営業の店舗は、1,600万円を保証
③16時間未満営業の店舗は保証なし
*加盟者の総収入=営業総利益-本部フィー(ロイヤリティー)+24時間営業分担金+廃棄ロス分担金+水道光熱費助成金+店舗運営支援金

ただし、上記の額に、店舗の年間実営業日数の割合を乗じたものが、最低保証額となります。

○ローソン

ローソンは、国内全都道府県の他、インドネシア、ハワイ、タイ、フィリピンなどにも店舗を展開しているメジャーなコンビニです。

ブランド名 LAWSON
企業名 株式会社ローソン
業種 小売
本社所在地 東京都品川区大崎1-11-2 ゲートシティ大崎イーストタワー
設立 1975年4月
総店舗数 1万4,444店(国内のみ)
全店売上高 2兆5,069億7,000万円

ローソンでは、低資金での開業に力を入れており、通常の相場を下回る200万円の開業資金で出店を可能にしています。
フランチャイズ5年契約(土地・建物はローソンが用意)では、加盟金100万円、出資金100万円、開店準備金50万円が必要ですが、初年度のみ60万円の支援金が支給されます。

ローソンの売上保証は、最低保証制度という名称で、以下の内容となっています。

①24時間営業の年間売上保証(最低保証)=年間フランチャイジー収入1,860万円を保証
②24時間未満営業の年間売上保証(最低保証)=1,560万円を保証
*フライチャイジー収入=総荒利益高-本部チャージ(ロイヤリティー)

ただし、上記の額に、店舗の年間実営業日数の割合を乗じたものが、最低保証額となります。

○ミニストップ

ミニストップは、国内・海外合わせて5,000店以上を展開する大手のコンビニ・フランチャイズです。

ブランド名 MINI STOP
企業名 ミニストップ株式会社
業種 小売
本社所在地 千葉県千葉市美浜区中瀬1-5-1
設立 1980年5月
総店舗数 5,450店(国内2,197店、海外3,253店)

ミニストップでは、加盟金250万円(保証金150万円、開業準備金100万円)のうち、契約時に開業準備金の100万円が免除してもらえます。本部へのロイヤルティーは、契約タイプにより異なりますが、最も低いタイプで売上総利益高(月額)の30%となっています(24時間営業の場合)。

ミニストップの売上保証は、加盟店総収入保証という名称です。

①24時間営業の年間総収入保証(年間最低保証)=2,100万円を保証
②24時間未満営業の年間総収入保証(年間最低保証)=1,600万円を保証
*加盟店総収入=売上利益-ロイヤルティー
*ただし、契約タイプにより例外あり

その他、経済的支援として、開業時支援、廃棄支援などがあります。

修理・清掃

次は、修理・清掃のジャンルを紹介します。修理・清掃の業界では、金銭による売上保証ではなく、顧客や仕事(売り上げが見込める案件)を紹介することにより、フランチャイズ加盟店を支援しているケースが多くみられます。

これは、業務内容からみて、コンビニなどと異なり1件あたりの客単価が高いことによる保証形態といえるでしょう。

この顧客・仕事の紹介・引継ぎシステムにより、加盟店オーナーは仕事の確保に神経を使うことなく、売上げを確保することができます。

○おそうじ本舗

おそうじ本舗は、テレビCMなどでおなじみの業界を代表するフランチャイズです。

ブランド名 おそうじ本舗
企業名 HITOWAライフパートナー株式会社
業種 清掃、物販、レンタル
本社所在地 東京都港区六本木1-4-5 アークヒルズ サウスタワー
設立 2015年7月
店舗数 1,471店

おそうじ本舗の開業で、最低自己資金の目安は50万円と少額です。本部へのロイヤリティー・その他で月額9万円(税抜)の費用が発生します。

おそうじ本舗では、本部への年間27万件にのぼる依頼案件をすべて加盟店に紹介することで、加盟店の売上げを保証しています。
この依頼案件の件数を1店舗あたりに換算すると、180件超となります。
開業して間もない時期でも、これだけの仕事依頼を貰えれば、事業を安定して継続していくことができそうです。

○COVERALL(カバーオール)

カバーオールは、加盟店オーナーに希望分だけ仕事を紹介し、安定収入の確保を図るシステムを採用しているフランチャイズです。

ブランド名 COVERALL
企業名 ダイキチカバーオール株式会社
業種 修理(リペア)、清掃、ビルクリーニング
本社所在地 大阪府大阪市中央区島之内1-13-28 ユラヌス21ビル
設立 2002年
フランチャイズ店舗数 513店舗

カバーオールの業務対象は個人宅ではなく、テナントビルやオフィス、マンション管理組合などの法人で、定期契約の仕事がほとんどを占めています。オーナーの業務は、ビルの廊下や階段など共有部分の清掃であるため、難しい技術はいりません。

カバーオールでは、顧客開拓などの営業は本部がすべて行い、本部からオーナーの希望分だけ加盟店に仕事を紹介する「製販分離」システムを構築しています。加盟店は、本部から仕事を引き継げばよく、そのため、顧客がない、同業と仕事を取り合うなどの問題が一切なく、安定した売上が保証されています。

具体的には、売上保証額20万円プラン、60万円プランなどが段階別に用意されており、希望するプランを選択できます。カバーオールでは、オーナーの98%が清掃業務未経験者であるにもかかわらず、充実した研修と本部のバックアップにより、スムーズにスタートができます。

○ビルクリーニング ビルズ

ビルズも開店当初からの売上保証を謳っている清掃フランチャイズです。

ブランド名 ビルクリーニング ビルズ
企業名 株式会社アクア
業種 修理(リペア)、清掃、ハウスクリーニング、ビルクリーニング
本社所在地 東京都立川市栄町6-9-15 吉祥ビル1F
設立 2005年12月
フランチャイズ店舗数 24店舗

ビルズでは、開業の年齢制限や定年制度がないため、企業を定年後に加盟するオーナーの方が多いのが特徴です。開業資金の目安は、総額で220~654.2万円となっていますが、自社ファイナンスを利用して自己資金20万円から独立することも可能です。

ビルズでは、本部が営業を代行して行ってくれるため、加盟店オーナーは本部から紹介された仕事を行えば売上げを確保できるとともに、自分の業務に専念することが可能です。
また、売上伝票・請求業務、キャッシュフローサービス、売上・売掛金管理、顧客管理、商品受発注など専門的な分野も代行してくれるため、初めてのオーナーでも安心してスタートすることができます。

○ワイズコーポレーション

ワイズコーポレーションは、手厚い売上保証に定評があります。

ブランド名 ワイズコーポレーション
企業名 株式会社ワイズコーポレーション
業種 住宅・ビル・事務所の壁面・天井のコーティング
本社所在地 東京都新宿区西新宿5-7-1
設立 1995年9月
施工実績 全国で2万件以上

ワイズコーポレーションでは、約8割が未経験者であるにもかかわらず、独立した全オーナーが開業初月に1名稼働で100万円超の売上を達成しています。開業資金の目安は、138.7~303.3万円となっています。

オーナーに対する保証も手厚く、
①研修期間中も報酬が給付される
②研修期間中に見込み客(商談先)を本部が一緒に開拓してくれる
③希望するオーナーには、開業後4カ月間で150万円分の売上が見込める案件を紹介してくれる(選択制で15万円が必要)
などの保証内容となっています。

○HOUSE CLINIC(ハウスクリニック)

ハウスクリニックは、厳密な意味ではフランチャイズではありませんが、会社で技術をマスターした後、独立した専属職人として活躍できる企業です。

ブランド名 HOUSE CLINIC
企業名 株式会社ハウスクリニック
業種 賃貸住宅・オフィスの原状回復、リノベーション、防犯対策
本社所在地 東京都八王子市石川町2966-9
設立 1995年2月

ハウスクリニックでは、最短期間で技術を身に付け独立できるよう、原則50日間の指導期間(指導費40万円)が設けられています。

ハウスクリニックはフランチャイズではないため、加盟金や手数料などのロイヤリティーがありません。独立後の雇用形態は、ハウスクリニックから業務請負で仕事を請け負います。また、独立後の2年間、月額売上30万円(税込)を企業側で最低保証してくれます。

買取り

買取りのフランチャイズは、貴金属をはじめ中古品・不用品を買取り、再販売する事業を展開しています。買取り業界の売上保証では、本部が、加盟店が顧客から買い取った商品の販路を提供し、売れ残りの在庫リスクを抑えるシステムが多くみられます。

加盟店オーナーは、買取り商品の再販売先を自分で開拓する必要がなく、安全・確実に売上げを確保することができます。

○大吉

大吉は、全国で288店舗を展開する買取りのフランチャイズです。

ブランド名 大吉
企業名 株式会社エンパワー
業種 買取り、リサイクルショップ、古着販売
本社所在地 東京都新宿区西新宿6-12-1 パークウェスト7階
設立 2010年10月
店舗数 288店

買取りビジネスは、省スペースでできるため、最低限必要な店舗面積は2坪からとなっています。このため、店舗の取得や内装工事にかける資金を抑えることが可能です。

大吉では、加盟店が客から買い取った商品は、本部推奨業者に販売するシステムとなっています。販売先が決まっているため、売れ残って在庫を抱えるリスクがありません。
このシステムが、売上保証として立派に機能しているのです。

この売上保証の効果もあり、大吉フランチャイズでは加盟店の事業継続率が93.2%と高い比率を誇っています。

○銀座屋

銀座屋は、店舗買取り・出張買取り・宅配買取りなど顧客の利便性を追求した営業で事業を拡大している買取りのフランチャイズです。

ブランド名 銀座屋
企業名 株式会社銀座屋
業種 買取り、総合リユース
本社所在地 東京都世田谷区代沢1-23-3 1階
設立 2010年12月
店舗数 6店

銀座屋では、本部による集客サポートに加え、買い取った商品の換金・再販先を加盟店が自由に選ぶことができます。また最終的には、本部の買取り保証があるため、売れ残り品の在庫を抱えるリスクがありません。

○リサイクルネット

リサイクルネットは、自宅で開業・在庫リスクゼロをビジネスモデルとして営業展開している買取りのフランチャイズです。

ブランド名 リサイクルネット
企業名 株式会社JUSTY
業種 買取り、中古品販売・レンタル
本社所在地 石川県金沢市諸江町中丁181
設立 2011年8月

リサイクルネットは、アジアをはじめ8か所(グループ会社含む)の海外拠点があり、国内で再販売できない商品でも販路に困ることがありません。リサイクルネットでは、加盟店が買い取った商品を迅速に、本部が開拓した国内または海外の販路を使って販売するため、在庫を抱えるリスクなしで売上げが確保されます。

レンタル

○グリーン・ポケット

グリーン・ポケットは、店舗やオフィスに観葉植物をレンタルするサービスを提供しているフランチャイズです。

ブランド名 グリーン・ポケット
企業名 国土緑化株式会社
業種 観葉植物のレンタル・生花販売・造園・解体工事
本社所在地 東京都江戸川区中央2-1-21
設立 1977年8月

観葉植物のレンタルは、顧客の契約継続率が99%と高いことから、安定した固定売上げが見込める仕事です。また、受注後に商品を仕入れるため、在庫を抱えるリスクがありません。

開業するには、加盟金・保証金・研修費等で310万円、ストック設備工事費300万円、トラックのリースなどが必要になります。

グリーン・ポケットの売上保証は、顧客の引継ぎです。グリーン・ポケットでは、顧客の開拓を本部が行い、開業後間もない加盟店に委託形式で顧客を引き継いでくれます。植物レンタルの知識やノウハウが浅い開業直後の加盟店オーナーは、本部が開拓した顧客を引き継ぐことにより、売上げを確保することができます。

テイクアウト

近年、普及・拡大している飲食のテイクアウトですが、ここで紹介するフランチャイズは、厳密な意味での売上保証を用意しているわけではありません。しかし、事業展開の形態が非常にユニークであるため、参考として紹介します。

○ほっともっと

ほっともっとは、持ち帰り弁当の事業を展開しているフランチャイズです。

ブランド名 ほっともっと
企業名 株式会社プレナス
業種 テイクアウト
本社所在地 ・福岡本社
福岡県福岡市博多区上牟田1-19-21
・東京本社
東京都中央区日本橋茅場町1-7-1
設立 1976年11月

ほっともっとでは、フランチャイズ加盟者は、実際の営業実績がある直営店を引き継ぎ、営業を開始するという非常にユニークな事業展開の形態を採用しています。

営業実績がある直営店を店舗・厨房・設備・スタッフを含めて丸ごと引き継ぐため、結果として営業地盤や顧客もそのまま引き継ぐことになり、それが間接的な売上保証となっています。

開業資金の目安は290万円で、これには開店時の在庫も含まれています。通常、この業種の開業資金はこの10倍程度はかかるといわれていますが、店舗を買い取るわけではないため、少額でスタートができるのです。

また、本部へのロイヤリティーは、売上げに関係なく月8万円と固定されています。
なお、弁当の調理・接客・店舗内作業などは、開業前に本部の研修で身に付けますが、開業後もベテランスタッフにフォローしてもらえるので安心です。

まとめ

まとめ

フランチャイズに加盟して独立・開業することは、サラリーマンの夢であると同時に、非常に大きな決断を必要とするものです。
それは、独立・開業後の事業が順調に軌道に乗るかとの不安があるためですが、近年では、開業後の売上保証を用意しているフランチャイズが増えてきました。

フランチャイズの売上保証は、すでに説明したように、コンビニ・フランチャイズなどでみられる「売上額の金銭的な保証」のみではなく、修理・清掃や買取りのフランチャイズに多い「顧客や仕事の保証」など、様々な形態があります。

また、フランチャイズの売上保証は、加盟店にとり開業後の不安定期を支えてくれる、フランチャイズ企業では加盟店の募集に効果がある、などのメリットがあります。
しかしその一方で、売上保証はオーナーの利益を保証するものではない、期限があるものが多い、などの注意すべき点もあります。

重要なことは、開業当初は売上保証の助けを借りながらも、その間に、売上保証に頼らなくてもよい事業体制を構築することでしょう。フランチャイズという契約の制限はありますが、その範囲内で出来る限りの創意・工夫を事業内容に反映させていくことで、近い将来、本来の売上げにつながることが期待されます。