統計調査から見る国内フランチャイズ市場規模

国内フランチャイズビジネスの発展と育成を目的に設立された一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会によると、2015年度の国内フランチャイズチェーン数は6年連続の増加となり、1329チェーンとなりました。また、直営店と加盟店を合わせた総店舗数は7年連続増加となり、26万店舗を超え、フランチャイズ全体の売上高は前年比1.9%増となる約24.6兆円でした。

業界別にみると、外食産業以外のすべてで店舗数および売上高が増加しています。外食業は前年比マイナス0.6%となったものの、チェーン数ではプラス1.2%%の増加を見せました。

市場規模25兆円も視野に入ってきたフランチャイズ業界。同協会によれば、社会インフラとしての位置付けを確立したコンビニエンスストアは、2015年度も大手企業を中心に堅実に成長しており、増加店舗数の約7割、増加売上高の約8割を占めました。

今後のフランチャイズビジネスはどのような成長をみせるのでしょうか。

国内フランチャイズ市場規模、約24.6兆円

統計調査を行っている日本フランチャイズチェーン協会は、1972年、有志企業によって設立された団体で、国内フランチャイズ・システムの健全な発展を図ることを目的としています。協会は年一回、市場規模調査を実施しています。

2015年度の国内フランチャイズチェーン数は1329チェーンで、前年より8チェーン増え、6年連続で増加しました。
また、国内総店舗数は26万992店舗で、前年より1868店舗増加し、7年連続の増加となりました。
売上高も6年連続で上昇しており、24兆5945億円となり、前年より4608億円増加しました。

フランチャイズ統計

2014年 2015年 増減
チェーン数 1321 1329 8
店舗数 25万9124 26万0992 1868
売上高 24兆1336億9300万 24兆5945億2700万 4608億3400万

(日本フランチャイズチェーン公表資料より作成)

小売業の成長はコンビニが牽引

フランチャイズビジネスを小売業、外食業、サービス業の業界別に見ると、小売業全体では、チェーン数0.3%増、店舗数1.6%増、売上高3.0%増となりました。

なかでもコンビニエンスストアは、増加した1718店舗のうち、1278店舗を占めるなど、大きく成長しています。売上高では前年比3.6%増となる10兆4990億円で、増加売上高の約8割を占めました。

コンビニ業界が好調な理由として、協会は、「大手企業の積極出店継続、カウンターコーヒを始めとしたファーストフードや、チルド惣菜の強化等が功を奏した」と述べました。

このほか、中国人観光客を中心とした「爆買い」が落ち着きを見せた結果、家電製品などの売上げを示す「家具・家電・家庭用品関係小売」は前年比マイナス1.2%となる6124億2300万円となりました。

さらに、高齢者や単身世帯、共働き世帯の増加によって調理済み食品の需要が増加したため、スーパーマーケットなどの「各種総合小売」は、前年比3.4%の高い伸びを記録しました。

フランチャイズ統計(小売業)

2014年 2015年 増減
チェーン数 344 345 1
店舗数 105873 107591 1718
売上高 16兆9454億3100万 17兆4468億500万 5013億7400万

(日本フランチャイズチェーン公表資料より作成)

外食はハンバーガーの大不振が影響?

一方、外食業では、チェーン数が前年比で1.2%増加したものの、店舗数はマイナス0.6%、売上高はマイナス1.1%と減少しました。

なかでもファーストフードの落ち込みが激しく、ハンバーガーでは、チェーン数は前年比と変わらないものの、店舗数は181店舗減少し、売上高は622億2700万円減少しました。協会は、「(マクドナルドを始めとする)大型チェーンの売上げ回復が遅れが影響し、売上高ではマイナス10.3%と厳しい結果となった」と述べました。

このほかカフェなど都心を中心に多種多様な展開を見せており、コンビニエンスストの持ち帰り可能なコーヒーとの棲み分けもでき、売上高は前年比0.3%の増加となっています。

また、海外の日本食ブースを背景にアジアを中心とした海外進出が盛んで、協会は、「今後もフランチャイズチェーンの国際的展開が期待される」と述べました。

フランチャイズ統計(外食業)

2014年 2015年 増減
チェーン数 562 569 7
店舗数 5万8910 5万8548 △362
売上高 4兆1045億3900万 4兆580億200万 △465億3700万

(日本フランチャイズチェーン公表資料より作成)

女性の社会進出でクリーンサービスの需要増

サービス業は店舗数で前年比0.5%の9万4853店舗、売上高0.2%増の3兆897億2000万円となりました。

共働き世帯の増加や女性の労働参加率上昇を背景に、「クリーンサービス・クリーニング」の店舗が前年比で4.5%増加しました。協会は「郊外型コインランドリーやハウスクリーニングの利用で家事時間を短縮させたいニーズを掴んでいる」と述べました。

少子化の影響で縮小が予想される学習塾などを含む「学習塾・カルチャースクール」は、店舗数で0.1%の減少となったものの、近年人気の個別指導塾の需要増を背景に、売上高では2.7%の上昇を見せました。

訪日外国人観光客の増加で活況を見せていたホテル業含む「レジャーサービス・ホテル」は、店舗数で1.1%増加したものの、売上高でマイナス7.7%となりました。

フランチャイズ統計(サービス業)

2014年 2015年 増減
チェーン数 415 415 0
店舗数 9万4341 9万4853 512
売上高 3兆837億2300万 3兆897億2000万 59億9700万

(日本フランチャイズチェーン公表資料より作成)

フランチャイズ相談件数も増加

全国的にフランチャイズ店舗数が増えるのと同時に、本部と加盟店の間のトラブルも多発しています。

日本フランチャイズチェーン協会によれば、フランチャイズに関する相談件数は前年比18.8%増の247件で、昨年度はなかでも「解約関連」「契約内容の変更」「契約終了・更新・解除」に関する相談が多く寄せられました。

フランシャイズの相談件数

年度 相談件数
2012年度 201件
2013年度 198件
2014年度 181件
2015年度 208件
2016年度 247件

(日本フランチャイズチェーン公表資料より作成)

小売・サービスの相談件数が半分以上を占める

相談件数を業種別にみると、「小売・サービス」が165件と最も多く、次いで外食53件、CVS(コンビニエンスストア)26件、不明3件と続きます。

昨年度の業種別相談件数

業種 相談件数
CVS 26
外食 53
小売・サービス 165
不明 3
247

今後のフランチャイズ業界は

市場規模を年々拡大させているフランチャイズビジネス。今後は高齢化の進展とともに、デイサービスなど訪問介護の需要増加が見込まれています。しかし、人手不足も深刻化するなかで、介護需要に対してどのように応えていくのか。フランチャイズ業界の動向に注目が集まります。