小売業におけるチェーン加盟数 フランチャイズチェーンが圧倒的?

小売業を営む事業所は全国に約77万あると言われます(商業統計調査より)。このうちコンビニエンススストアやドラッグストアなど、チェーン展開する企業に加盟する営業所は約6万(約8.4%)とされます。このうち約5万がフランチャイズチェーンへの加盟事業者で、残り約1万がボランタリ〜チェーンの加盟事業者となります。

ボランタリーチェーンは、加盟事業者のうち8割が法人であることが特徴的で、フランチャイズチェーンでは約6割となります。さらに、医薬品・化粧品ではボランタリーチェーンが多く、フランチャイズチェーンでは食料品が多いなど、チェーン組織別で違いが顕著でした。

本記事では、経済産業省による商業統計調査をもとに、小売業におけるチェーン組織別の加盟状況などを詳しく見ていきます。

全国の小売業の事業所数77万5196

商業統計調査によると、全国の商業事業所数は103万9079事業所とされます。
このうち小売業は全体の74.6%を占める77万5196事業所となります。

コンビニの数が圧倒的

事業所数を業種別に見ると、最も多いのはコンビニエンススストアや料理品小売業などの「その他の飲食料品小売業」で10万3422事業所となります。

次いで、ホームセンターやペット・ペット用品小売業などの「他に分類されない小売業」(7万9803事業所)、ドラッグストアなどの「医薬品・化粧品小売業」(7万471事業所)、「自動車小売業」(5万6981事業所)、「婦人・子供服小売業」(4万9074事業所)、「菓子・パン小売業」(4万7095事業所)、「燃料小売業」(4万1653事業所)、「機械器具小売業(自動車、自転車を除く)」(3万5836事業所)、「書籍・文房具小売業」(2万9115事業所)、「酒小売業」(2万8287事業所)と続きます。

業種別事業所数(多い順)

業種 事業所数
その他の飲食料品小売業 10万3422
他に分類されない小売業 7万9803
医薬品・化粧品小売業 7万0471
自動車小売業 5万6981
婦人・子供服小売業 4万9074
菓子・パン小売業 4万7095
燃料小売業 4万1653
機械器具小売業(自動車、自転車を除く) 3万5836
書籍・文房具小売業 2万9115
酒小売業 2万8287
その他の織物・衣服・身の回り品小売業 2万6623
各種食料品小売業 2万2116
通信販売・訪問販売小売業 2万1476
写真機・時計・眼鏡小売業 1万7753
スポーツ用品・がん具・娯楽用品・楽器小売業 1万7092

(商業統計調査より)

従業員2人以下の小規模商店が4割強

従業員数別に見ると、「2人以下」の事業所が31万6650で全体の40.8%占めて最も多くなります。次いで「3人〜4人」16万8619事業所(21.8%)、「5人〜9人」14万5948事業所(18.8%)、「10人〜19人」8万7987事業所(11.4%)、「20人〜29人」2万7333事業所(3.5%)、「30人〜49人」1万4998(1.9%)、「50人〜99人」9525事業所(1.2%)、「100人以上」4100事業所(0.5%)となります。

業種 事業所数 構成比
2人以下 31万6650 40.8%
3人〜4人 16万8619 21.8%
5人〜9人 14万5948 18.8%
10人〜19人 8万7987 11.4%
20人〜29人 2万7333 3.5%
30人〜49人 1万4998 1.9%
50人〜99人 9525 1.2%
100人以上 4100 0.5%

(商業統計調査より)

チェーン組織別の加盟店数

小売業を営む全国77万5196事業所のうち、チェーン組織に加盟するのは6万5345事業となります。

フランチャイズチェーンとボランタリーチェーン

チェーン組織はフランチャイズチェーン(FC)とボランタリーチェーン(VC)に分かれ、FCは本部と加盟店が1対1の契約で成立するのに対して、VCは加盟店同士が組織を結成して、横のつながりを持つことができます。

フランチャイズチェーン(FC) 本部と加盟店が別個の企業であり、本部と加盟店が一対一の契約で成立する。加盟店が本部の結成主体でないために、契約パッケージの範囲内での利益が受けられるのみ。
ボランタリーチェーン(VC) 加盟店が自発的な意思に基づいて組織を結成あるいは加盟したもの。本部は、加盟店によって結成されたものなので、加盟店は、本部利益からの戦略的投資という利益の還元を受けることができる。

(参照:日本ボランタリーチェーン協会

フランチャイズチェーンとボランタリーチェーンの仕組み

医薬品業界はボランタリーチェーン加盟が多い

フランチャイズチェーンの加盟事業所数は4万9860、ボランタリーチェーンは1万5485となります。

業種別にみると、フランチャイズチェーンの場合、コンビニなどを含む「その他の飲食料品小売業」が3万3226事業所と圧倒的に多く、全体の66.6%を占めます。

次いで、「他に分類されない小売業」(2278事業所)、「自動車小売業」(2137事業所)、「菓子・パン小売業」(1683事業所)、「機械器具小売業(自動車、自転車を除く)」(1515事業所)、「書籍・文房具小売業」(1497事業所)、「医薬品・化粧品小売業」(1115)事業所、「通信販売・訪問販売小売業)」(1050事業所)などが続きました。

業種別に見るフランチャイズチェーンの事業所

業種 事業所数
その他の飲食料品小売業 3万3226
他に分類されない小売業 2278
自動車小売業 2137
菓子・パン小売業 1683
機械器具小売業(自動車、自転車を除く) 1515
書籍・文房具小売業 1497
医薬品・化粧品小売業 1115
通信販売・訪問販売小売業 1050

(商業統計調査より)

一方、ボランタリーチェーンでは、「医薬品・化粧品小売業」が3881事業所で最も多く25.1%を占めました。医薬品業界はボランタリーチェーンが多いことで有名で、多くのドラッグストアがチェーン組織に加盟しています。

このほか、「各種食料品小売業」(2666事業所)、「その他の飲食料品小売業」(2060事業所)、「他に分類されない小売業」(1237事業所)などとなりました。

業種別に見るボランタリーチェーンの事業所

業種 事業所数
医薬品・化粧品小売業 3881
各種食料品小売業 2666
その他の飲食料品小売業 2060
他に分類されない小売業 1237
写真機・時計・眼鏡小売業 968
機械器具小売業(自動車、自転車を除く) 806
酒小売業 509
燃料小売業 399

(商業統計調査より)

増える電子マネーによる販売

スマートフォンの普及により、取扱販売額が増えてきた電子マネー。小売業における電子マネーが占める年間商品販売額は2兆7294億円(全体の2.2%)となりました。

業種別では、最も多かったのが「その他の飲食料品小売業」7774億円(28.5%)となりました。

次いで、「百貨店、総合スーパー」7267億円(26.6%)、「各種食料品小売業」7069億円(25.9%)、「燃料小売業」1324億円(4.8%)、「医薬品・化粧品小売業」610億円(2.2%)、「機械器具小売業」521億円(1.9%)、「通信販売・訪問販売小売業」480億円(1.8%)、「他に分類されない小売業」423億円(1.5%)、「書籍・文房具小売業」305億円(1.1%)、「婦人・子供服小売業」250億円(0.9%)、「菓子・パン小売業」208億円(0.8%)、「自動販売機による小売業」207億円(0.8%)、「自動車小売業」169億円(0.6%)、「その他の織物・衣服・身の回り品小売業」165億円(0.6%)、「スポーツ用品・がん具・娯楽用品・楽器小売業」101億円(0.4%)と続きました。

業種別電子マネーによる販売額

業種 年間商品販売額
その他の飲食料品小売業 7774億円
百貨店、総合スーパー 7267億円
各種食料品小売業 7069億円
燃料小売業 1324億円
医薬品・化粧品小売業 610億円
機械器具小売業 521億円
通信販売・訪問販売小売業 480億円
他に分類されない小売業 423億円
書籍・文房具小売業 305億円
婦人・子供服小売業 250億円
菓子・パン小売業 208億円
自動販売機による小売業 207億円
自動車小売業 169億円
その他の織物・衣服・身の回り品小売業 165億円
スポーツ用品・がん具・娯楽用品・楽器小売業 101億円