商業統計調査から見る商店街のフランチャイズチェーン組織加盟状況

ネットショッピングの発達や購入機会の多様化により、地方の商店街は衰退の一途を辿っていると言われます。
中小企業庁がまとめた平成27年度版商店街実態調査報告書によれば、平成12年度以降、商店街あたりの空き店舗数は増え続け、平成24年度には過去最高となる空き店舗率14.6%となりました。

また、店主の高齢化または後継者不足により廃業となる店舗も多く、過去3年間に退店(廃業)した店舗数は平均3.6店舗となります。

商店街内に立地するコンビニエンスストアやスーパー、ドラッグストアなどのチェーン店舗も減少しています。平成27年における「近隣型商店街」のチェーン店舗数は前回(平成24年時)より0.2店減少して平均2.6店、「地域型商店街」でも0.7店減少して平均4.2店となりました。

活気が戻る見込みがない日本の商店街衰退問題。少子高齢化・人口減少とともにシャッター通りばかりとなってしまうのでしょうか。

商店街の店舗数、「広域型」のみ増加

中小企業庁は、全国の商店街を対象に商店街の景況や空き店舗の状況などについて実態調査を3年に1度行っています。最新(平成27年度)の調査は昨年3月に公表されたものです。

3年間で平均1.4店舗の増加

報告書によると、商店街の平均店舗数は54.3店舗で前回調査(平成24年度時)よりも1.4店舗の増加となりました。

最寄品中心の「近隣型商店街※」や、最寄品および買回り品中心の「地域型商店街」の店舗数は横ばいが続いていますが、百貨店・量販店が多い「広域型商店街」や、遠距離からも来街する「超広域型商店街」の店舗数は全体的に増加しています。

商店街ごとの平均店舗数

平成21年度 平成24年度 平成27年度
近隣型商店街 44.2店舗 43.0店舗 44.6店舗
域型商店街 58.7店舗 61.8店舗 59.9店舗
広域型商店街 76.7店舗 82.4店舗 87.8店舗
超広域型商店街 89.8店舗 140.4店舗 129.4店舗

(中小企業庁公表資料より作成)

チェーン店舗数、近隣型では半数近くがゼロ

次に、各商店街類型にあるコンビニ、スーパーなどのチェーン店舗数を見ると、「近隣型商店街」では「0店」が44.2%を占めました。次いで「1〜4店」33.1%、「5〜9店」7.1%、「10〜29店」4.9%、「30〜49店」1.1%、「50店以上」0.3%と続きました。また、「地域型商店街」でも「0店」が42.5%と最も多くなります。

一方、「広域型商店街」では「1〜4店」が29.3%で最も多くなりました。次いで「10〜29店」19.1%、「0店」17.6%、「5〜9店」13.8%、「30〜49店」4.3%、「50店以上」3.7%となりました。

全体のチェーン店舗数平均は4.1店でした。

0店 1〜4店 5〜9店 10〜29店 30〜49店 50店以上
近隣型商店街 44.2% 33.1% 7.1% 4.9% 1.1% 0.3%
域型商店街 42.5% 28.9% 9.1% 8.4% 0.9% 1.5%
広域型商店街 17.6% 29.3% 13.8% 19.1% 4.3% 3.7%
超広域型商店街 20.8% 20.8% 11.3% 17.0% 7.5% 7.5%

(中小企業庁公表資料より作成)

「商店街にチェーン店舗は増えたか」との質問では、「増えた」と回答したのは16.5%にとどまり、「変わらない」が66.9%で最も多くなりました。一方、「減った」は5.1%でした。

「近隣型商店街」とは最寄品中心の商店街で地元主婦が日用品を徒歩又は自転車などにより買物を行う商店街。「地域型商店街」は最寄品及び買回り品が混在する商店街で、近隣型商店街よりもやや広い範囲であることから、徒歩、自転車、バス等で来街する商店街。「広域型商店街」とは百貨店、量販店を含む大型店があり、最寄品より買回り品が多い商店街。「超広域型商店街」とは百貨店、量販店を含む大型店があり、有名専門店、高級専門店を中心に構成され、遠距離から来街する商店街のことを指す。(参照:中小企業庁)

増える空き店舗と廃業

少子高齢化の波は商店街の空き店舗率にも影響を及ぼしています。

空き店舗率、12年で2倍に

平成12年度以降、空き店舗数は増加しており、平成24年度までの12年間で2.1店舗増えました(3.9店→6.0店)。空き店舗率は平成15年度との比較で倍となる14.62%となります。

平成27年は空き店舗数5.3店と微減したものの、今後は、人口減少に伴い空き店舗は増加していくものと見られます。

空き店舗数と空き店舗率の推移

空き店舗数 空き店舗率
平成12年度 3.9店 8.53%
平成15年度 3.9店 7.31%
平成18年度 5.3店 8.98%
平成21年度 5.6店 10.82%
平成24年度 6.0店 14.62%
平成27年度 5.3店 13.17%

(中小企業庁公表資料より作成)

空き店舗数が埋まらない理由では、借りて側の意見として「家賃の折り合いがつかない」が33.8%で最も多くなったものの、次いで「商店街に活気・魅力がない」(33.6%)との意見があがりました。このほか、「店が補修できない」(8.1%)、「店舗の老朽化」(26.9%)、「立地条件・交通環境がよくない」(11.5%)、「一部を住居として使用されているため出店したいと思わない」(17.2%)、「空き店舗に関する情報が入手できない」(7.0%)などの意見がありました。

空き店舗が埋まらない理由(テナントを借りる側の意見)

家賃の折り合いがつかない 33.8%
商店街に活気・魅力がない 33.6%
店が補修できない 8.1%
店舗の老朽化 26.9%
立地条件・交通環境がよくない 11.5%
一部を住居として使用されているため出店したいと思わない 17.2%
空き店舗に関する情報が入手できない 7.0%

(中小企業庁公表資料より作成)

理由「店主が高齢、後継者がいない」が最多

過去3年間の廃業数を見ると、1〜3店までの廃業が全体の47.4%(1店14.3%、2店17.0%、3店16.1%)を占めました。

廃業した理由では「商店主の高齢化・後継者の不在」が最も多く、66.6%となります。次いで、「他の地域への移転」23.8%、「同業種との競合」12.9%、「商店街に活気がない」が12.8%、「大型店の進出」4.2%、「立地条件・交通環境の悪化」3.5%、「大型店の退店」1.1%、「公共施設の撤退」0.5%と続きました。

廃業した理由

商店主の高齢化・後継者の不在 66.6%
他の地域への移転 23.8%
同業種との競合 12.9%
商店街に活気がない 12.8%
大型店の進出 4.2%
立地条件・交通環境の悪化 3.5%
大型店の退店 1.1%
公共施設の撤退 0.5%

(中小企業庁公表資料より作成)

近隣型商店街、地域型商店街では店主の高齢化が進み、世代交代も進んでいません。そのため、若者の需要を満たす店舗も少なく、人気のファッションショップなどは全て大型ショッピングモールなどに流れているのが現状です。

どうすれば街の商店街に活気が戻ることはあるのか。今後の動向に注目が集まります。