中国におけるフランチャイズ普及状況

1987年、最初の外資系フランチャイズ企業として進出したのは米ケンタッキーフライドチキン(KFC)でしたが、中国は今、拡大する経済を背景に、最大のフランチャイズ大国になろうとしています。

中国商務部は、2007年および2012年、「商業フランチャイズに経営に関する規定」を改正し、中国のフランチャイズシステムの発展を後押し。フランチャイズビジネスは飛躍的な成長を遂げ、2010年にはフランチャイズシステム数が4500に達し、世界一の水準となりました。

日本経済新聞社の日経メッセによると、中国当局にフランチャイズ登録をしている企業は2973社。登録手続きが完全に浸透していない状況を鑑みると、実際はさらに増えるものと予想されています。

本記事では、ジェトロが発表している「中国フランチャイズビジネスの手引き」を中心に、中国におけるフランチャイズビジネスの普及状況を詳しく見ていきます。

中国フランチャイズ規模の概要

ジェトロによると中国のフランチャイズビジネスは5000種類におよび、加盟店は100万店舗以上になります。

このうち、中国商務部に登録している企業は2973社(2016年4月時点)にとどまり、登録手続きが進んでいない状況が伺えます。

地域別では北京の535社が最も多く、次いで上海(246社)、重慶(204社)、浙江(182社)、広東(180社)、四川(99社)、福建(97社)、海外(89社)、
江蘇(75社)、山東64社と続きます。

運営規模別に見る中国フランチャイズ企業数

フランチャイズ企業を規模別に見ると「10店舗以下」の企業が1068社と最も多く、次いで「11〜30店舗」474社、「31〜50店舗」185社、「51〜100店舗」200社、「101〜200店舗」109社、「201〜300店舗」57社、「301〜500店舗」51社、「500店舗以上」64社となりました。

運営規模別に見る中国フランチャイズ企業数

10店舗以下 1068社
11〜30店舗 474社
31〜50店舗 185社
51〜100店舗 200社
101〜200店舗 109社
201〜300店舗 57社
301〜500店舗 51社

(ジェトロ公表資料より作成)

業種別では小売が最多

次に業種別にみると、小売が820社と最も多くなります。次いで外食(658社)、その他商業サービス(328社)、住民サービス223社、教育研修85社、宿泊50社、仲介サービス44社と続きました。

外資系企業トップはケンタッキー

中国に進出している外資系企業を見ると、売上高3862億800万元(約6.5兆円)、店舗数4200で、最も多かったのは米ケンタッキーフライドチキンです(2012年度)。

外資売上高ランキングトップ10

次いで仏ミシュラン(320億元)、香港bossini(244億400万元)、ファミリーマート(236億170万元)、米スーパー8ホテル(200億810万元)、米センチュリー21(173億728万ドル)、台湾・永和豆漿(169億600万元)、スペインDia(151億300万元)、米Tupperware(96億元)、台湾Clitina(74億元)となります。

順位 企業名 売上高
1 ケンタッキーフライドチキン 3862800万元
2 ミシュラン 320000万元
3 bossini 244400万元
4 ファミリーマート 236170万元
5 スーパー8ホテル 200810万元
6 センチュリー21 173728万元
7 永和豆漿 169600万元
8 Dia 151300万元
9 Tupperware 96000万元
10 Clitina 74000万元

(ジェトロ公表資料より作成)

1000店舗を超えるファミリーマート

日本からはファミリーマートや吉野家、くもんなどのフランチャイズ企業が中国に進出しています。中国全土に1064店舗を構えるファミリーマートに加盟するには、加盟費6万元、保証金20万元のほか、開店費用がかかります。加盟期間は5年で、売り上げが4万元以下の場合、30%をロイヤリティーとして支払う必要があります。

同社は、上海、広東からフランチャイズ展開を開始。2012年以降は毎年10店舗ペースで増やすも、中国経済が鈍化し始めた13年秋以降は、出店を抑えました。

一方、1991年に北京に第一号店を出店した吉野家は、現在(2013年6月時点)では299店舗となりました。直営方式で吉野家を経営し、2009年にはフランチャイズ経営登録しました。

また、現在155センターを構えるくもんは、教師と合作・加盟の形で提携し、教材の提供を運営支援・指導、研修会の開催などを行う代わりに、教師は収益の配分や運営状況の報告会議の参加などが義務付けられます。

中国で日本のスーパー銭湯が大人気?

中国では最近、日本式のスーパー銭湯がブームとなっています。
2013年に中国進出した「極楽湯」は年間入館者が100万人を超えました。中国の一般家庭の多くはシャワー室のみで、浴槽にゆったりつかるといった文化はありません。

また、中国国内にある他の温泉施設も衛生的に問題があるものも少なくなく、だからこそビジネスチャンスがあったと同社の新川隆丈社長は語ります。

2016年には新たに中国の有力企業である「青島紅樹林旅業有限公司」(中国山東省)と「無錫博大置業有限公司」(中国江蘇省)の2社と、それぞれ「青島(チンタオ)」および「無錫(ムシャク)」において温浴施設をフランチャイズ展開することについて合意。中国全土に100店舗を出店することを目標に掲げています。