フランチャイズって何? フランチャイズの仕組み、仕事内容、起業方法を一挙解説

皆さんは起業と聞くとどのようなイメージを思い浮かべるでしょうか。ある程度経営に関与した経験や、マーケティングなどのスキルがないと難しいと思われるかもしれません。しかし、フランチャイズという方法で起業すれば、あまり経営やマーケティングに関する経験がなくても、十分経営を回すことができます。特に最近はあらゆる業種でフランチャイズ経営が普及しており、以前と比べると誰でも経営を始めやすくなっています

そこで今回の記事では、フランチャイズについて、意味やメリット・デメリット、仕組み、具体的な起業方法などをくわしくご説明します。フランチャイズで起業したい方はもちろん、漠然とフランチャイズの意味を知りたい方や、将来的に起業したい方は、ぜひ参考にしてみてください。

目次

フランチャイズとは

フランチャイズとは

そもそも、フランチャイズがどういったシステムかわからない方もいらっしゃると思います。そこでこの章では、フランチャイズの意味や直営店との違いなど、フランチャイズの基本的な部分をご説明します。

フランチャイズの意味

フランチャイズとは、加盟店が本部の持つノウハウや経営資源を使いながら事業を運営するビジネスモデルです。本部側から見ると、自社の名前やノウハウなどを使って事業を行いたい相手と契約を結び、実際に自社の看板を使って事業を行ってもらうこととなります。

例えばコンビニチェーンの大手(セブンイレブンやファミリーマートなど)は、フランチャイズ契約を活用して、全国に店舗を拡大しています。また、居酒屋やフィットネスジムなど、あらゆる業種・業態でフランチャイズビジネスは活用されています。

フランチャイズと直営店の違い

フランチャイズと直営店は一見すると似ているビジネスモデルですが、店舗の運営方式に大きな違いがあります。

店舗の運営方式の大きな違い

フランチャイズは、加盟店の店長がその店舗のオーナーとして事業を運営します。本部からノウハウやブランド名こそ使わせてもらうものの、あくまで事業の運営自体は加盟店自体が行います。一方で直営店は、本部が直々に店舗を運営します。本部の社員が出向するなりして、実際に採用や品揃えなどの業務をすべて行います。

つまりフランチャイズは本部の会社と実際の運営者が異なり、直営店は本部と運営が一致しているという違いがあるのです。

フランチャイズ契約の仕組み

フランチャイズ契約の仕組み

そもそも、フランチャイズ契約はどのような仕組みで成り立っているのでしょうか。結論から言うと、本部(フランチャイザー)が経営のノウハウやブランド名を使わせる代わりに、加盟店であるフランチャイジーはその対価として定期的にロイヤリティと呼ばれるお金を支払います。ロイヤリティは、売り上げや利益の数パーセントと決まっているケースもあれば、業績に関係なく一定のケースもあり様々です。

つまり、「本部のネームバリューやノウハウを使わせるから、得られたお金の一部をくださいね」というのが本部側から見たフランチャイズ契約の仕組みです。

フランチャイズで起業するメリット

フランチャイズで起業するメリット

フランチャイズで起業するケースが近年増えていますが、果たしてフランチャイズで起業するとどのようなメリットがあるのでしょうか。フランチャイズで起業すると主に下記6つのメリットを享受できます。

フランチャイズで起業するメリット

本部の持つブランド力を活かして集客できる

フランチャイズで起業する最大のメリットは、本部の持つブランド力を活かして集客できる点です。ご自身で起業する場合、一から顧客開拓の活動を行う必要があります。よほど過去に実績があったり知名度がある方でない限り、まったく初対面の顧客に商品やサービスを利用してもらうのは簡単ではありません。

一方でフランチャイズに加盟して起業すれば、すでに成功していたり幅広く知られているブランド名を使って、ビジネスを始めることができます。十分なニーズがあると分かっていて、かつ消費者から認知されている商品やサービスを販売することになります。そのため、自分で起業する時よりも効率的かつスムーズに顧客を獲得できます。

本部の持つ経営ノウハウを使うため未経験でも起業しやすい

フランチャイズで起業するメリットとして、もう一つ大きいのが本部の持つ経営ノウハウを活用できる点です。

起業を成功させるには、経営戦略やマーケティング戦略をしっかり練った上で、それを実行しなくてはいけません。そのため、経営やマーケティングの勉強や実戦経験がないと、集客に失敗したり競合に負けてしまうリスクが高まります。

一方でフランチャイズに加盟すれば、本部の精鋭たちが練った経営ノウハウにしたがって事業を運営します。そのため、経営やマーケティングの経験がなくても、企業が成功する可能性が大幅に高くなります。

経営ノウハウを学べるため、今後の起業家人生にも役立つ

フランチャイズで起業する3つ目のメリットは、経営のノウハウを学ぶことができる点です。前述したとおりフランチャイズで起業すると、本部の決定した経営ノウハウにしたがって事業を運営します。

本部の運営方針に従って事業を運営するうちに、経営に役立つあらゆるノウハウを身に付けることができます。そうしたノウハウを身に付けておけば、今後自分だけで起業する際に役立てることができます。本来は莫大な起業資金をかけないと得られないような経営ノウハウを、実践しながら学べる点はとても魅力です。

大量仕入による恩恵を得られる

フランチャイズで起業する4つ目のメリットは、大量仕入による恩恵を得られる点です。個人で一から商売を始める上で必要となるのが原材料や商品の仕入れです。自分で見ず知らずの業者と一から商談を行う必要がある上に仕入れる量が少ないため、どうしても仕入コストが高くついてしまいます。

一方、フランチャイズに加盟する場合、本部がすべての加盟店で使う商品を一括で仕入れているケースが多くあります。本部が大量に仕入れた商品を販売するため、割引価格で安く商品を仕入れることが可能です。

起業時のコストや労力を少なくできる

起業時のコストや労力を少なくできる点も、フランチャイズで起業する大きなメリットの一つです。本来新しく事業を立ち上げる際には、会社の設立登記や機械設備の購入、店舗の借入など、あらゆる手続きに労力やコストがかかります。

一方でフランチャイズならば、店舗運営に必要なものは本部がほとんど用意してくれます。そのため、起業に必要なコストや労力を大幅に削減できます。言い換えると、豊富な資金力を持っていなくても、起業しやすい点がフランチャイズの大きなメリットなのです。

商品開発や接客マニュアル作りなどにあまり労力を割かずに済む

商品開発や接客マニュアル作りなど、直接的には利益につながらない業務に労力をあまり描けなくて済む点も、フランチャイズに加入した上で起業するメリットの一つです。

ご自身で起業する場合、基本的に必要となるのが商品やサービスの開発です。消費者に買ってもらえるサービスや商品でなければ意味がないため、市場調査や試作品開発、テストマーケティングなどを経て、ようやく実際の商品やサービスが出来上がります。そのため、商品開発だけで多大な労力とコストが発生します。

また消費者と接する業種の場合は、接客マニュアル作りも欠かせません。接客を疎かにすると、自社のイメージが低下してしまい、長期的な収益力低下にも繋がりかねません。当然接客マニュアルの作成にも、時間やコストがかかります。

しかしフランチャイズで起業した場合は、すでに出来上がった商品を販売しますし、接客マニュアルも改めて用意されていることがほとんどです。そのため、商品開発や接客マニュアル作りにはあまり労力やコストをかけずに済みます。

フランチャイズで起業するデメリット

フランチャイズで起業するデメリット

フランチャイズには、上記でお伝えした通り、様々なメリットがあります。ここまでメリットが多いため、若手経営者をはじめとして多くの起業家がフランチャイズを選択しています。

しかし一方で、フランチャイズで起業することには、いくつか注意してほしいデメリットもあります。この章では、フランチャイズで起業する上で注意したいデメリットを7つご説明します。フランチャイズでの起業を検討する際には、メリットのみならずデメリットも必ず考慮しましょう。

フランチャイズで起業するデメリット

定期的にロイヤリティを支払わなくてはいけない

やはりフランチャイズで起業する最大のデメリットといえば、定期的にロイヤリティを支払う必要がある点でしょう。

自分一人で起業すれば、得られた売り上げや利益は基本的に100%ご自身の会社に入ることになります。そこから負債の返済や各種支払いこそ発生するものの、ある程度の利益は残るでしょう。

一方でフランチャイズの場合は、ブランド名や経営資源を使わせてもらっている対価として、定期的にロイヤリティと呼ばれるものを本部に支払わなくてはいけません。前述したとおり、売り上げや利益の数%〜30%ほども取られてしまいます。そのため、ご自身でビジネスを行う場合と比べて、手元に残る収入は大幅に減ってしまう恐れがあります。

本部の経営方針に従う必要がある(経営の自由度が低い)

フランチャイズで起業するもう一つ大きなデメリットとして挙げられるのが、経営の自由度が低い点です。

ご自身で起業すれば、当たり前ですが自分の好きなように会社を経営することができます。ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家から出資を受けていれば多少は口出しされるものの、大半のケースでは経営者の意思が尊重されます。

一方でフランチャイズの場合は、基本的に本部の経営方針に従う必要があります。たとえ「こうした方が絶対に良い」と思っても、その考え方が本部の意に反していると実践することはできません。つまり実質的には、雇われ経営者にすぎない状態なのです。

営業時間や休みを自由に設定できない

フランチャイズで起業する3つ目のデメリットは、営業時間や休みを自由に設定できない点です。経営者の持つ特権の一つといえば、営業時間や休みを自由に設定できる点です。例えば平日を休みにしたり、長期間の休みを設定することで好きな時に休むことができます。また子供の教育を優先し、平日の営業時間を短くするといったことも可能です。

一方でフランチャイズの場合、基本的には本部の決めた営業時間や休みに従わなくてはいけません。特にコンビニチェーンなどの場合は、ほとんど休みがなく営業する必要があるケースもあります。どれほど経営に余裕があろうが、自分では営業時間や休みを設定できない点は大きなデメリットと言えるでしょう。

本部や他の加盟店からの悪影響を受けるリスクがある

フランチャイズで起業する4つ目のデメリットは、本部や他の加盟店から思わぬ悪影響を受けるリスクがある点です。

ご自身で一から起業するならば、自社または自社店舗のみ不祥事が起きないように気をつけておけば問題ありません。一方でフランチャイズの場合、本部と同じブランド名で事業を行うため、万が一本部や他の加盟店で不祥事が起きた場合は、ご自身が経営する店舗にも大きな悪影響が及んでしまいます

また不祥事だけでなく、本部の業績悪化による影響も受けます。仮に本部が業績悪化により倒産でもしたら、経営を続行できなくなる恐れがあります。

商品のラインナップを自由に決定できない

フランチャイズで起業した場合、営業時間や休みだけでなく、商品のラインナップも基本的には決定できません。ご自身で起業すれば、一から取り扱う商品を決定できます。試行錯誤しながらヒットする商品を探ったり、ご自身の好きな商品を販売するのは経営者としての醍醐味の一つです。

一方、フランチャイズで起業すると、ほとんどの場合、本部があらかじめ決めた商品のラインナップに従わなくてはいけません。自分で売りたい商品を販売することができないため、経営者としての実感を得られないかもしれません。

本当の意味で経営者としての能力が身につかない可能性がある

フランチャイズで起業する6つ目のデメリットは、経営者としての能力が身につかない可能性がある点です。ここまで見てきた通り、フランチャイズでは商品ラインナップや営業時間、事業戦略など、あらゆることを本部の方針に従います。つまり経営者として実質的に決めることはほとんどないに等しいのです。

語弊を恐れずにいうならば、本部に言われたことを言いなりになってやるだけなので、経営者としての能力は、一から起業する場合と比べると身につきにくいのが現実です。そのため、いざご自身で一から起業する際に、勝手がわからずに上手くいかない可能性もあります。

もちろん会社によっては、経営者としてのノウハウが身に付くところもあります。しかし、中には本部に言われたことをやるだけのケースもあるので注意が必要です。

競業避止義務が設定されている場合が多い

フランチャイズでの起業デメリットとして最後にご紹介するのは「競業避止義務の存在」です。競業避止義務とは、同じまたは類似する業種での事業運営を行わない義務です。フランチャイズ契約には、ほとんどの場合契約解消後の競業避止義務が設定されています。

つまり、競業避止義務が設定されている場合、フランチャイズ契約が終わった後に、その事業を行って起業することはできないのです。例えばカレー店のフランチャイズに加盟した場合、その後自分で実際にカレー屋を経営することはできないのです。

そのため、せっかくフランチャイズで実務的なノウハウを身に付けても、それを全く活かせない可能性があるのです。そもそも本部側からすると、自社のノウハウを流出する恐れがあるため、競業避止義務を設定するのは半ば当然ともいえます。

フランチャイズで起業する際には、競業避止義務が設定されているかは必ず確認しておきましょう。

フランチャイズの失敗率やその原因

フランチャイズの失敗率やその原因

フランチャイズの成功例ばかりが取り上げられるものの、その背景にはたくさんの失敗があります。では一体、フランチャイズはどのくらいの確率で失敗に終わるのでしょうか?また、どのような原因でフランチャイズは失敗してしまうのでしょうか。

フランチャイズの失敗率はどのくらい?

フランチャイズの失敗率は60%〜90%と言われています。失敗率に幅があるのは、業種や経営者のスキルなどのミクロ要因に加えて、その時点での景気などのマクロ要因にも左右されるためです。

多少の幅はありますが、フランチャイズで起業したうちの大半は、開業から3〜5年以内に廃業に追い込まれてしまいます。通常の起業が失敗する可能性よりは多少良いものの、圧倒的にフランチャイズだから成功しやすいとも言えないのです。

失敗原因

失敗原因①:経営やマーケティングを積極的に学ばない

フランチャイズでの起業が失敗する最大の理由は、起業家自身が経営やマーケティングを積極に学ばない点です。確かにフランチャイズでは本部の経営方針やノウハウに従うため、未経験でも始めることはできます。

しかし、未経験でも始めることができるのと実際に成功するかどうかは別問題です。近隣の競合企業に勝つには、はじめは未経験でも経営を進める過程で学びを深め、経営者としての能力を高める必要があります。基本的に本部の意見には従いつつ、工夫できる部分で学びから得られたことを実践する姿勢がないと、フランチャイズは失敗に終わるのです。

失敗原因②:自分の実力からはかけ離れたレベルのビジネスに取り組む

フランチャイズ経営が失敗する2つ目の理由は、自分の実力からかけ離れたレベルのビジネスに取り組んでしまうことです。たとえ本部からノウハウなどを教えてもらっても、明らかに実力不足の経営者では成功することは難しいと言えます。

極端な話ですが、会社員としてビジネスに携わった経験がない状態で、いきなり数億円以上もの大金が動くビジネスや、高度なビジネススキルを要するビジネスを始めても、うまくいく可能性は低いのが現実です。

あまりビジネスに携わった経験がないならば、小さいビジネスから始めるなど、身の丈にあった経営を始めることが重要です。

失敗原因③:本部のビジネスモデルや契約条件を十分検討していない

フランチャイズでの起業が失敗する3つ目の理由は、本部のビジネスモデルや契約条件を十分検討せずに加盟してしまうことです。一口にフランチャイズと言っても、ビジネスモデルや契約条件は大きく異なるため、ご自身の適性や希望に合うフランチャイズに加盟する必要があります。

例えば営業が苦手にもかかわらず、営業で業績が大きく変わるフランチャイズに加盟すると、当然失敗確率は上がります。また、支払うロイヤリティが定額制であることを知らずに加盟すると、売り上げを得られないうちは赤字が続いてしまい、事業継続が困難となるリスクがあります。

実際にビジネスモデルや契約条件を検討せずに、フランチャイズに失敗する起業家は少なくありません。

失敗原因④:資金繰りが甘い

資金繰りが甘すぎることも、フランチャイズ経営が失敗する大きな原因の一つです。フランチャイズとは言え、基本的にはご自身の自己資金や事業で得られた収益を使って資金繰りを行います。

例えば用意している自己資金が少なすぎると、本部に支払うロイヤリティや仕入れなどに費用を回せなくなり、事業続行が不可能となるリスクがあります。また、後先考えずに無駄な支出を繰り返せば、同様に経営状態は悪化します。

資金繰りの甘さが原因で経営が失敗するケースは、フランチャイズに限らずたくさんあります。資金繰りはある意味王道の失敗原因なので、最優先で注意しましょう。

失敗原因⑤:経営管理(従業員の教育や経理など)が下手

資金繰りに関連しますが、従業員の教育や経理などの経営管理が下手なことでフランチャイズが失敗するケースも少なくありません。

フランチャイズに限らずビジネスを軌道に乗せるには、働いてくれる従業員の存在が不可欠です。従業員の教育が下手だと、モチベーションを下げて離職されたり、一人ひとりの生産性が低くなります。その結果、経営状態が悪化し、フランチャイズ経営が続行できなくなるケースは多々見受けられます。

フランチャイズを成功させるポイント

フランチャイズを成功させるポイント

上記の失敗例がある一方で、フランチャイズで起業して華々しい成功を収めている方もいます。実はフランチャイズで成功している起業家には、ある程度共通点があります。そこでこの章では、多くの起業家に共通しているフランチャイズを成功させるポイントを5つご紹介します。

フランチャイズを成功させるポイント

自身にとって関連性の強い業種を選ぶ

フランチャイズを成功させる上で一番重要なのは、自身にとって関連性の強い業種を選ぶことです。これはフランチャイズビジネスに限った話ではありませんが、ご自身が経験したことや得意なことの方が、苦手であったり未経験のことを行うよりもうまくいく可能性は高いと言えます。

例えば同じことを覚えるにしても、勉強が得意であったり記憶力が良い人の方が、勉強が苦手な方や記憶力が悪い人よりも覚えるスピードや覚えられる量は多いでしょう。フランチャイズでも同様で、ご自身が過去に働いたことのある業種や、自分の強みを発揮できる業種の方が、経営はうまくいく可能性が高いでしょう。

複数のフランチャイザーを比較する

フランチャイズを成功させる上で重要な二つ目のポイントは、複数のフランチャイザーを比較することです。同じ業種であっても、フランチャイズの本部によってロイヤリティの料金体系や契約条件、経営方針、経営の自由度、サポートの範囲などは大きく異なります。そのため業種えらびはもちろんのこと、加入するフランチャイズによっても成功するかどうかは変わってきます。

複数のフランチャイザーを比較し、ご自身の希望を満たせたり、充実したサポートを得られるようなところに加入するのが成功する上でオススメです。

本部の意見を素直に聞き入れる

フランチャイズで成功する上でもう一つ重要なのは、本部の意見を素直に聞き入れるということです。フランチャイズの本部は、そのビジネスや業種、顧客のニーズなどを知り尽くした上で、最適な商品ラインナップや経営戦略を編み出しています。そのため、未経験の方が思いつきで編み出したような戦略や施策を行うよりは、基本的に上手くいく可能性は高いでしょう。

せっかく本部から優れたノウハウや意見を教えてもらえるならば、それを最大限活用する以外に選択肢はないでしょう。

本部との関係を良好に保つ

フランチャイズで成功する上で重要な4つ目のポイントは、本部との関係を良好に保つことです。

フランチャイズの加盟店のなかに、たまに見受けられるのが本部と徹底的に抗戦するところです。確かに経営者としてご自身の意見を突き通したいのはわかりますが、あくまで加盟店はフランチャイズの力を借りてこそ成立します。本部との関係が悪いと売り上げが上がらないときに相談できなかったり、困ったときのサポートを受けにくくなります。

一方で本部との関係を良好に保っておけば、業績が低迷したときに親身になって考えてもらったり、より業績を伸ばすためのサポートを積極的に行ってもらえるようになります。意外と見落としがちですが、本部との関係は業績にも影響しやすいので注意しましょう。

本部のノウハウを活かしつつ、できる範囲の創意工夫を行う

フランチャイズでの起業を成功させる上で重要な5つ目のポイントは、ご自身でもできる範囲の創意工夫を行うことです。一見すると、「前述した本部の意見を素直に聞く」と矛盾しているように思えますが矛盾していません。

基本的にはフランチャイズ本部の意見や方針に従わなければいけないものの、ちょっとした陳列方法や営業方針など、多少なりとも加盟店側で工夫できることもあります。たとえ本部が優れたノウハウや実績を持っていても、地域や時期が変わればそれが通用しなくなることもあります。そうした際に加盟店側で工夫をこなした経営ができるかどうかは、成功を左右する上でとても重要です。

フランチャイズで起業する方法

フランチャイズで起業する方法

ここまで読んでフランチャイズを経営したいと考える方は少なくないと思います。フランチャイズを始める上で、まず気になるのが起業する具体的な方法です。この章では、フランチャイズで起業する方法を手順に沿ってご説明します。

ビジネスを始めたい業種を決定する

まずはビジネスを始めたい業種を決定します。そもそもフランチャイズかどうかに関係なく、どんなビジネスを行いたいかが明確でないと、事業を立ち上げることはできません。行いたい事業内容を曖昧にしてしまうと、後から後悔したり方針がブレる可能性があります。したがって、あらゆる要素を考慮した上で行いたい業種を明確に決定する必要があります。

具体的な業種に関しては、前述したようにご自身の経験分野や得意分野はもちろん、ご自身が好きなことや趣味に関係するとなお良いでしょう。

加入したいフランチャイザーを決定する

フランチャイズで参入したい業種が決まったら、次に加入したいフランチャイザーを決定します。前述した通り、同じ業種内でも複数のフランチャイズが存在するケースは少なからず存在します。

フランチャイザーによって契約内容や細かいビジネスプランなどは異なるため、よく考え・比較した上で加入するフランチャイザーを決定しましょう。インターネット上の情報だけでは把握しきれない部分もあるため、実際に会って話を聞いた上で判断するのがベストです。

フランチャイザーとの契約を締結する

加入したいフランチャイザーが決定したら、実際にフランチャイザーとフランチャイズ契約を締結します。フランチャイズ契約を締結する上で特に注意したいのは、加盟店側が負う責任と義務です。場合によっては、ご自身にとって大きな不利となる内容が含まれている可能性もゼロではありません。そのような事態に陥らないためにも、契約内容は隅々まで確認した上でフランチャイザーとの契約を締結しましょう。

事業を始めるための準備を進める

晴れて本部とフランチャイズ契約を締結したら、事業を始めるための準備を進めます。個人で起業する場合とは異なり、基本的にはフランチャイザー側の指示に従って準備を行います。具体的な準備内容はフランチャイズによって異なるものの、店舗の立地選定や仕入れなどを主に行います。

開業する

準備を一通り終えたら、いよいよ開業します。開業まではフランチャイザーから豊富なサポートを受けることができるものの、開業後は基本的に加盟店側が努力して事業を進めます。本部のノウハウや経営資源を存分に活用しつつ、ご自身の頭で考えて試行錯誤しながら業績を伸ばしましょう。

フランチャイズを開店するまでの流れは以上になります。一から起業する場合と比べると、はるかに少ない手間でビジネスを始められることが理解できたと思います。

フランチャイズで人気の業種

フランチャイズで人気の業種

フランチャイズを始める上で、もう一つ重要なのが業種選定です。世の中にはたくさんの業種があるため、どの分野でフランチャイズ経営を始めるかは悩ましいでしょう。

そこで、フランチャイズ経営で人気の職種を15種類をご紹介します。

コンビニエンスストア

フランチャイズで最も人気な業種といえば、コンビニエンスストアです。例えば大手で言えば、ファミリーマートが積極的にフランチャイズ契約により店舗を拡大しています。

コンビニがおすすめの理由は、なんと言っても始める人が多いことです。インターネット上で調べれば様々な体験談を知ることができるため、フランチャイズの実態を知った上で契約を締結できます。また、大手が加盟店を募集しているため、あまりにもひどい本部に加盟するリスクも低いと言えます。

移動販売

二つ目にオススメするのは「移動販売」です。移動販売とは、キッチンカーなどで移動しながら商品を販売するビジネスモデルです。

フランチャイズで移動販売をオススメする理由は、初期費用や運転資金を低く抑えることができる点です。固定の店舗を持たないため、毎月多額の家賃を支払う必要がない上に、スペースも狭いため人件費もあまりかかりません。そのため、少ないコストで効率的に稼げます。

ただし、天気や季節次第では売り上げが大きく落ちるため注意しましょう。

学習塾

フランチャイズでおすすめの業種3つ目は学習塾です。学習塾といえば大手が直営でやるか、もしくは個人が細々とやるイメージがあるものの、近年はフランチャイズで行うケースも増えています。

学習塾がおすすめの理由は、商品などの仕入れや製造コストがかからない点です。人件費以外に大きな支出は発生しないため、工夫次第で高い利益率を維持できます。

飲食店

飲食店の経営も、フランチャイズでは王道のビジネスモデルの一つです。地域密着型の中小企業から、マイナーな料理の専門店まで、あらゆる業態、ジャンルのフランチャイズが整っている点が特徴です。

飲食店の経営ではコスト管理や集客施策など、あらゆる経営者としてのノウハウを学べます。一方でうまくいかないと中々利益が残らない上に、初期費用も高いため上級者向けの業種です。加えて、業界自体が飽和しており、多数の競合相手に打ち勝つ必要があるため注意です。

ペットショップ

フランチャイズでおすすめの業種5つ目は、ペットショップの運営です。ペットは景気に関係なく需要があるため、需要に左右されにくい安定した状況で経営することができます。また、飲食店や小売店と比べると事業を始める際の初期費用を抑えることができる点もメリットです。

ただし生き物を取り扱うビジネスモデルであるため、ある程度専門性がないと失敗する可能性が高いため注意が必要です。加えて事業の細かい内容次第では、許認可が必要となるため手間がかかります。

リサイクルショップ

フランチャイズでおすすめの業種6つ目は、リサイクルショップの運営です。リサイクルショップとは、一言で言うと中古品を仕入れて、それを販売するビジネスモデルです。

リサイクルショップのメリットは、一から商品を製造・仕入する場合と比べて、高い利益率を確保できる点です。新品のものを販売する場合の利益率は、基本的に3%〜10%前後です。一方で中古品を販売する場合は、20%〜50%と非常に高い利益率となります。同じ売り上げでも多くの利益を得られるため、経営者は潤沢なキャッシュフローを得られます。

ただし、古物商の販売許可が必要となる上に、集客や開業に比較的大きな費用がかかります。得られるリターンは大きいものの、その分だけリスクや手間がかかると認識しましょう。

ハウスクリーニング

フランチャイズでおすすめの業種7つ目は、ハウスクリーニング業です。ハウスクリーニングとは、文字通り家の清掃を行う仕事です。

ハウスクリーニングで起業するメリットは、飲食店などと比べると必要な費用が少なく済む点です。交通費や洗剤などの購入費用のみで済むため、事業を行うリスクが小さいでしょう。また高度なスキルもそこまで要さないため、参入しやすい点もメリットです。

一般的には集客が大変ですが、フランチャイズの場合は本部のブランドを使うためそこまで苦労しません。費用を抑えられる点でデメリットが少ないため、おすすめの業種の一つです。

携帯電話の買取・修理サービス

フランチャイズでおすすめの業種8つ目は、携帯電話の買取・修理サービス業です。こちらの業種でフランチャイズ起業する最大のメリットは、スマホ市場の拡大に伴い需要が増加している点です。需要が安定的かつたくさんあるため、仕事に困るリスクはそこまでありません。

ただし、買い取ったスマホを販売する際には、古物商の許認可が必要となる可能性が高いと言えます。一般的に思われているほど、参入しやすいわけではないため注意しましょう。

美容エステ

女性の起業家にオススメなのが、美容エステでのフランチャイズ加入です。美容エステとは、スキンケアやボディメイクなどの総称です。

美容エステで開業する最大のメリットは、開業資金を安く抑えやすい点です。例えば自宅で開業すれば、飲食店のように店舗を借りたり高級な機材を購入せずに済むため、大幅に費用を抑えることが可能です。

ただし、スキルがないと行えない業種であるため、誰でも簡単に始めることができないのは難点です。

不動産仲介

フランチャイズ起業でおすすめの業種10つ目は、不動産の仲介業です。簡単にいうと、不動産を売りたい人と買いたい人をつなげて、契約成立をサポートする業種です。

不動産仲介をフランチャイズで起業する最大のメリットは、大手の看板を使って集客しやすい点です。不動産の売買は金額が大きい以上、顧客はかなり慎重になります。あまり知名度がない業者は、どうしても利用してもらいにくいのが現状です。

一方でフランチャイズで開業すれば、本部のブランド力を活用できるため、安心して顧客に利用してもらえ、そこまで集客に困らずに済みます。

ただし不動産仲介を始めるには、営業スキルや不動産に関する知識、宅地建物取引業の資格などあらゆるものが必要です。そのため、参入障壁は他の業種と比べて高いので注意です。

コインランドリー

フランチャイズ経営でおすすめの業種11個目は、コインランドリーの経営です。コインランドリー経営の最たるメリットは、人件費がかからない点です。一度設備を用意しておけば、あとは勝手に顧客が利用してくれるため、人件費を全くかけずに済みます

ただし初期費用が膨大にかかる上に、競合企業との差別化が困難なので、成功させるにはある程度の工夫が求められます。

フィットネスジム

運動好きの方におすすめの業種といえば、フィットネスジムの経営です。フランチャイズで経営するメリットは、ジムでの指導内容やスタッフ教育などのノウハウをすべて教えてもらえる点です。また、会員制にすることで安定的な収入を見込める点もメリットです。

ただし、近年は運動ブームにより競合が増えているため、簡単には収益を得られないのが現状です。

訪問介護

フランチャイズ起業でのおすすめ業種13個目は、訪問介護です。訪問介護とは、患者さんの自宅に直接訪問し、身の回りのお世話を行う仕事です。

この業種をオススメする最大の理由は、高齢化により安定的な需要を見込める点です。流行などに左右されにくいため、安定した収入を得たい方には最適なビジネスモデルです。ただし、ホームヘルパーの資格が必要であるため、すぐには開業できないのが難点です。

コンサルティングビジネス

会計やマーケティングなど、何かしらの専門知識を持っている方にオススメなのがコンサルティングビジネスでのフランチャイズ加盟です。

コンサルティングで起業する最大のメリットは、事業を行う上で費用があまりかからない点です。ご自身だけいれば成立するビジネスなので、赤字になるリスクがとても低いでしょう。

ただし、コンサルティング業界ではフランチャイズがあまり浸透していないため、加盟できる本部を探すのが大変という側面もあります。

居酒屋

フランチャイズビジネスで最後にお勧めするのは居酒屋です。居酒屋でフランチャイズ経営を行う最大のメリットは、飲食店と同様に安定した需要がある点です。ただし、初期費用がかかる上に、忙しさからどうしてもブラックな労働環境になりやすい面もあるため、慎重に検討しましょう。

まとめ

今回の記事では、フランチャイズの仕組みや仕事内容、起業方法などを解説しました。長くなったので、最後にもう一度今回の内容をおさらいしましょう。

フランチャイズとは、加盟店が本部の持つノウハウや経営資源を使って、事業を運営するビジネスモデルです。実際の運営者と本部の会社が異なる点で直営店とは異なります。フランチャイズ契約を結ぶと、加盟店はノウハウなどを使わせてもらう対価として、定期的にロイヤリティを支払います

フランチャイズで起業すると、本部の持つノウハウや資源を使える上に、コスト削減や大量仕入の恩恵を得られます。ただし、経営の自由度は下がるので注意を要します。

フランチャイズではコンビニや飲食店などあらゆる業種がありますが、共通して本部の意見を素直に取り入れつつ、経営者自身が創意工夫を行うことが成功する上で重要となります。ご自身の強みを活かせる業種や趣味に関連した業種があれば、ぜひフランチャイズでの経営を検討していただければと思います。