夫婦でフランチャイズを始める際のポイントと人気業種・業界を一挙解説!

これまで会社員として働いてきて、会社の組織変更・リストラ・待遇の変更や、通勤の負担・転勤の負担などから脱サラをしようと考えている方にとって、「夫婦でのフランチャイズ加入」というのは一つの策と言えます。特に、配偶者がパートや家事に専念しており、子育てに余裕ができてきた場合などは協力も得やすくなります。

ただし、フランチャイズを検討する場合は、フランチャイズの事業内容と、夫婦それぞれの強みが活かせるか、事業に再現性があるかは重要な検討材料になります。社会は常に変化しているので、フランチャイズの事業が今後も実績を積み重ねられるかは、見通しのつきにくい面もあるからです。

そこで、この記事では夫婦でフランチャイズを始める際のポイント、夫婦に人気の業種・業界について詳しくご紹介していきます。フランチャイズの加入を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

夫婦でフランチャイズを始める際のポイントは?

夫婦でフランチャイズを始める際のポイントは?

長年勤めた会社を退職、もしくは脱サラ・セミFIREなどの形で、事業を始めようと考える方にとって、「どのような事業を行うか」は非常に難しい課題です。自分や夫婦・家族で何かを始めると言っても、現在どんなビジネスにニーズがあるか、というのはわかりにくいものです。

例えば、退職して大きな金額のお金を借り、数百万~数千万の投資をして、飲食店・喫茶店を始めることなどは、ハイリスクかつ、得られるリターンが非常に不透明です。いくら食事がおいしくても、雰囲気が良くても、社会の変化により持ち帰りや中食、自宅での食事が一般化した現代では、なかなか飲食というビジネスで利益を出すことは難しいと言えます。

しかし、フランチャイズの場合は、現在のニューノーマルの社会でも強いニーズがあり、事業として成功した再現性のあるパッケージを提供しているため、加盟者がきちんとビジネスに取り組めば、未知の領域でビジネスを行うより成功しやすくなります。

夫婦でフランチャイズを始めるのが有利な理由

まずは、夫婦でフランチャイズを始めるメリットを確認してみましょう。

夫婦でフランチャイズを始めるのが有利な理由

①二人で行うため、ビジネスの継続性が保ちやすくなる 一人でフランチャイズ事業を行うと、人を雇用したり、アルバイトを利用していない限り、事業がストップしてしまう。夫婦でフランチャイズを行う場合は、1人が体調を崩しても、もう一人でカバーできる
②夫婦で経営するため、仕事・経理に関し強力な相互監視が働く 単独経営で懸念されるのが、経理がいい加減になったり、少し事業がうまく行くと、経営者が浪費に走り、仕事がおろそかになってしまうこと。
夫婦で経営をしている場合は、女性側からもきちんと監視・管理ができ、ダンナをしっかりと仕事に専念させることができる。
また、身内同士のため、率直に注意することがしやすく、経理に関しても夫婦間のものなので、お金の管理を第三者に任せるより安心
③単独より複数の方が顧客の信頼を得やすい 一人よりも二人の方が、顧客対応も安心してできる。特に、人を家に入れるサービスに関しては、男性より女性の方が抵抗感がない。また、複数で対応することで、ミスもしにくくなる
④夫・妻がそれぞれの仕事に対して理解を得られる 夫がサラリーマン、妻が専業主婦やパートなど、異なる環境であった場合、夫が妻の家事や子育ての大変さ、妻が夫の仕事の大変さについて、身をもって理解するのは難しい。しかし、夫婦二人で事業を行うことにより、それぞれの大変さが理解でき、また仕事や家事の分担などに関しても、理解が進むようになる可能性がある
⑤日本政策金融公庫・保証協会・金融機関の信用度が上がり、融資を受けやすくなる可能性が上がる 夫婦二人で事業を行う形であれば、事業資金を融資する日本政策金融公庫・金融機関や、保証を行う都道府県の信用保証協会としても、融資がしやすくなる、融資希望額を満額出しやすくなるケースが多い
⑥専業主婦(専業主夫)に取っては、外の世界と積極的な交流が持てる 専業主婦(主夫)の場合は、これまでが家事・子育てで、どうしても地域や友人などの限られたコミュニティにしか属することができなかったが、夫婦でフランチャイズを運営することにより、外の世界で、ビジネスを通し、様々な相手と関わることができる
⑦不審な儲け話等に毅然と対応できる フランチャイズに限らず、経営者や個人事業主になると、様々な場面で怪しい儲け話やネットワークビジネスへの勧誘、その他強引な勧誘を受けることがある。単独だと、配偶者が気づかないうちにトラブルの沼にハマってしまう可能性があるが、二人で運営していると、片方が「これ、おかしくない?」と問題があることに気づくことができる。
人は、他人のことを客観視することはできるが、自分を客観視することは難しい。夫婦で経営を行っていれば、そのおかしなシグナルに気づきやすくなる
⑧場所を選ばない、通勤が楽、転勤がない 会社勤めで、会社が日本全国・全世界を対象としている法人の場合、全国転勤・海外転勤は避けられないが、フランチャイズビジネスの場合は行う場所を選べ、転勤という概念もない。また、ビジネスを行う場所を選べることから、自身がやりたい場所でビジネスをでき、通勤に関しても負担のない場所を選ぶことができる。ただし、創業当初は9時5時とは無縁のハードワークになるかもしれないが、自身で選択・決めて行うことなので、会社で命令を受けて行う残業より負担感は少ない

一人より夫婦の方がリスク回避になる

投資の世界では、「卵を一つのカゴに盛るな」という言葉は有名です。ビジネスでは、複数の卵というのは無理でも、夫婦でフランチャイズに取り組むことにより、夫婦一方の体調の異変や、夫婦の家族・親族に何らかのことがあった時の対応などを、手分けして行うことが可能です。また、家族の協力が得られる体制であれば、より心強いと言えます。

これが夫婦どちらかでフランチャイズを運営している場合、運営者が体調を崩すと、例えスタッフがいても、仕事が円滑に回らなくなるおそれがあります。スタッフはあくまで経営者の指示を受けて動く立場です。フランチャイズの運営が安定し、任せる体制ができていないと、フランチャイズ経営者に何らかのことが生じた場合、事業が立ちゆかなくなる可能性があります。特に、時間通りの営業が求められる物販・飲食・コンビニエンスストアなどの業態では、店を開けられないことが「契約違反による解除」など、取り返しの付かないダメージになることがあります。

夫婦双方の考え・価値観のすり合わせが重要

夫婦双方の考え・価値観のすり合わせが重要

ゼロから何らかの事業を立ち上げることに比べ、ビジネスの形ができているフランチャイズへの加入は、無から事業を行うよりは、スムースに行くことが想定されます。しかし、夫婦でフランチャイズに加入する場合は、夫・妻がそれぞれの強みを活かせ、併せて二人が前向きに取り組める業種を選ぶこと、そして仕事に対する夫婦双方の考え、価値観を一致させることが重要になります。

どんな仕事であっても、夫婦が納得して仕事に取り組まないと通常の仕事よりもパフォーマンスが落ちるおそれがあります。また、フランチャイズ加盟を考える上で、夫と妻それぞれが、どれくらいのレベルで仕事に取り組みたいかを検討することが重要になります。どれくらいの収入を得たいのか、どれくらい働きたいのか、仕事と家庭の両立はできそうかなどの条件をよく話し合い、フランチャイズ検討時にも担当者に確認したり、先輩経営者の話を聞くなど、下調べ・仕事や人生に求めることの夫婦間のすり合わせが必要になります。

松下幸之助が重視する加盟店にふさわしい夫婦とは?

経営の神様としてナショナル(現在のパナソニック)を世界有数の企業に発展させた松下幸之助氏は創業の時から夫婦二人三脚で歩み、電器販売の加盟店を募集する際も、夫婦仲の良さを重視したと言われています。やはり、経営を行っているとよいときもあれば、そうでないときも出てきます。大変な時に、夫婦で支え合えるかどうかが経営を大きく左右します。

もし、夫が一生懸命働いているのに、妻が夫の仕事に理解を示さず、「仕事ばかりして、うちのことを全然やらない!」と不満をぶつければ、夫としては大変です。夫(妻)が仕事にフルコミットするためにも、夫婦仲が元々良く、そして大変な時も支え合っていけるというのは重要な要素となり得るのです。

バランスが取りやすくなる

バランスが取りやすくなる

人間、一人だと客観的な視点が持ちにくいものです。特に仕事が安定するまでは、仕事や家庭のあらゆることに対するバランスが取りにくくなることも想定されます。例えば、夫が間違った施策を一生懸命やっていても、妻など長い付き合いの人間が直接現場を見ていないと指摘しにくいこともあります。

また、妻が勘を有し、違和感に気づいても、一緒に働いているかいないかで、夫の側としても妻のアドバイスをそのまま受け入れられるかどうかが違ってきます。妻が一緒に働いていない場合や、別の仕事をしている場合、「一緒に仕事をしているわけでもないのに、自分の仕事の大変さがわかるのか!」と不満を口にすることもあります。

これが、同じところで一緒に働いていると、いいことも悪いことも、すぐに気づくことが可能です。当然、夫婦で仕事・家庭双方の場で、二十四時に近い状態で間顔を合わせるので、大変なところもあるかもしれません。ただし、一緒に何かの事業を成し遂げていくというプロセスから、より夫婦としての絆が強まるという点も言えるでしょう。

特に、子育てが一段落した世帯は、夫婦・子どもそれぞれが自分の生活を送っているため、何かに一緒に取り組むという機会が減ります。子どもが就職し巣立った後では、なおさらと言えます。

いずれにしても、一人で事業に取り組むよりも、夫婦二人で事業に取り組んだ方が、様々な意味でバランスが保ちやすくなると言えます。特に配偶者が専業婦(主夫)の場合は、ビジネスに対する先入観が少ない分、素直にフランチャイズのノウハウを学び、加盟店として求められる創意工夫を行うことも期待できます。

夫(妻)が複業として陰でサポートすることも

夫婦二人でフランチャイズを始める場合、夫・妻が単独で加入しつつ、配偶者がサポート・複業という立場で支えるという方法もあります。公務員は複業が禁止されているため、業務に関わることはできません(農業など例外もある)。民間企業で複業が認められている場合などは、仕事終了後に配偶者の仕事の、特にバックオフィス部分を手伝うということも一つの考えです。片方が自営業(経営者)、片方が会社員(公務員)というのは、収入の安定感、収入の分散化による節税という意味で理想的です。

ただし、フランチャイズによっては夫婦での加入を絶対条件にしているところなど、諸条件がある場合もありますので、フランチャイズ本部への確認は重要と言えます。

夫婦で分担すれば仕事と家庭を両立できる

フランチャイズ運営の事業内容によっては、夫と妻で業務分担をしないと厳しい事業も少なくありません。特に、店舗型ビジネスの場合は、夫と妻、どちらかが現場にいることが求められます。夫婦での仕事・家庭の両立は大変ですが、二人でうまく大変さを分担し合うかがカギとなります。

研修が必要な場合は、研修期間や場所・負担を考慮

フランチャイズの種類によっては、研修期間中は収入がない、もしくは限られるケースや、研修を都内や郊外など、居住地と別の場所で行う可能性もあります。そうすると、研修参加費用や交通費・滞在費が掛かりますし、夫婦二人で研修を受ける場合は、家庭の事情によって夫婦一緒に受けるか、二人で別々に受講するかなどを検討する必要があります。特に、二人で同時に研修を受けることが必須である場合、子どもや介護が必要な親がいる場合はどうするかを考えておく必要があります。

特に小さい子ども・要介護の親がいる場合は、研修をE-ラーニングで受講できたり、できるだけ現在の所在地を離れないで済む、あるいは研修期間が短いフランチャイズを選ぶことをお勧めします。

契約期間・解約条件・違約金は熟慮

契約期間・解約条件・違約金は熟慮

フランチャイズにおいて、契約期間は遵守すべき重要な約束と言えます。フランチャイズ契約自体が、全体として一度締結すれば、その通りに従う必要がありますが、契約期間については、やむを得ない理由がない限り契約満了まで契約を続けることとなります。途中で契約を解除する場合は、違約金等を支払う必要が生じ、業態によっては数百万か、それを超える額が必要となるケースも存在します。一方、一定の契約期間を過ぎれば違約金を徴収しない業態も存在します。

子どもや家族が重い病気になる、自分や配偶者が重い病気になるなど、体調の変化というのは予期できない出来事です。また、災害などが発生する可能性もあります。このように、不可抗力で事業を続けられない場合はどうなるのかも確認し、加えて契約期間中ずっと問題なくフランチャイズ事業を続けられるかは考える必要があります。

また、自身の年齢を踏まえ、契約期間が10年など長い場合は、「10年後も同じように仕事ができるか」ということを考えるのが重要です。仮に、60歳で定年退職した人が、同じ年の配偶者とフランチャイズを始める場合、60歳と70歳では仕事のキャパシティが相当異なることも想定されます。自身と配偶者が、契約期間満了まできちんと業務を行えるかということは、よく検討すべき事項と言えます。

「転勤無し」はお金に変えられない

これまで全国・海外転勤がある会社員・公務員として働いていた人に取っては、転勤というのは大きな負担だったと思います。住む場所も、仕事も大きく変わり、単身赴任か家族を帯同してかの転勤となり、いずれのケースでも大きな負担となります。

特に、家族揃っての引っ越しになる場合は、配偶者が別の仕事を探す必要が生じたり、これまで仲の良かった友人と離れる事になり、高校までの子どもがいる場合は学校の環境・友人も変わり、子どもの心にも負担を与えます。

フランチャイズであれば、場所を一カ所に落ち着けて仕事に専念できるため、転勤という概念はなくなります。一方で、地域に密着しなければならなくなるという点はあるため、地域社会・商業との良好な関係作りや地域貢献の地道な取り組みも必要になると言えます。ただし、やはり転勤の必要がないということは、様々な意味でプラスの点が多いと言えます。

セミFIREの場合は、時間の拘束がないフランチャイズを

独立・フランチャイズ事業へ加入を考えている人の中には、一定の資産はあるが、ほどよく仕事はしていきたい、社会とつながりを持ちたいという、働くことからの完全なリタイヤである「FIRE」までは行かないが、比較的不可の少ない仕事をしていきたいという「セミFIRE」の考えで、独立を考える方もおられるでしょう。その場合は、時間の拘束や肉体労働要素が強くないビジネスや、これまでの人脈や仕事、経験知が活かせるビジネスを考えることが望ましいでしょう。

夫婦でフランチャイズを始めるならどんな業種・業界が人気?

「夫婦でフランチャイズに加入し、経営を行う」と言っても、どれくらい仕事に労力・時間を割くか、夫婦の仕事への関与配分はどうするかなどの状況は、夫婦によって千差万別です。そこで、様々な種類の、夫婦でフランチャイズに加入することが適した業種・業態をピックアップしていきます。

夫婦でフランチャイズを始めるならどんな業種・業界が人気?

夫婦だからこそ説得力のある「結婚相談所」

夫婦だからこそ説得力のある「結婚相談所」

夫婦だからこそ説得力のあるビジネスとして思い浮かぶのは、「結婚相談所」です。以前は見合い結婚、仲人さんの存在、地域の世話焼きの女性の存在など、交流に自信がない人でも自然と結婚できる仕組みがありました。

しかし現在は、地域の付き合いの希薄化や都市化、男女を問わず、社会人としてまずキャリアを構築する必要があるという社会状況などから、結婚するカップル自体の絶対数は減少し続けています。さらに、結婚者の減少により、子どもの数が減り続けているため、現在の日本社会は「子どもの減少」+「結婚の減少」+出産の減少」という三重の課題に直面しています。

こう書くと、結婚可能者が減少している現状で、結婚相談所に未来はあるのか、という考えも出てきます。しかし、現代はむしろ結婚相談所について、追い風が吹いている状況と言えます。なぜなら、ある結婚相談所のフランチャイズ事業者では、会員数が毎年伸び、数万人に達しています。少子・結婚絶対数の減少という状況はあれど、「結婚をしたい」という潜在的なニーズは伸びていると言えます。

特に、2020年の新型肺炎発生など時代の変化を通して、外出制限やイベントの制限などが掛かっていることなどを通し、一人で生きるという選択肢が実は大変ということを体感した独身者の方は少なくないと言えます。特に都市部では、イベントが開催されなくなったり、外出が制限されたり、結婚の知り合いとなる機会が多かった大学や職場に行くことが大きく減ったため、「このまま一人でいいのかな」と考えた人も少なからずいると推測されます。

今後、新型肺炎の対策ができ、人が自由に外に出られるようになった時、また現在のように、なかなか自由に異性と出会うことが難しい状況において、「結婚相談所」のニーズが取り高まっていく可能性があります。

結婚相談所の強みは、身元が双方確認されていることにあります。いわゆるマッチングアプリなどはありますが、比較的カジュアルな出会いや交流のきっかけとして利用されることが多く、また、相手の身元が確実かは不確かなケースもあります。

結婚相談所の場合は、きちんと双方が個人情報を登録し、一定の費用も出した上で、真剣な結婚相手探しを行っているため、結婚を前提とした健全なお付き合いが望めます。

また、この仕事は夫婦、特に女性にとって向いている仕事と言えます。結婚相談所のカウンセリングにおいては、長い結婚生活を続けてきた夫婦だからこそ言える実体験、夫婦として長くやって行く秘訣、相手の選び方、結婚式、結婚後の金銭の使い方など、これまで夫婦が通ってきた道を、ヒントとして示すことができるのです。

また、夫婦であれば、男性側からの意見も述べることができるなど、男性・女性双方の相談者に対応しやすくなります。さらに、結婚相談所の場合、やり方によっても異なりますが、実店舗を必ずしも構える必要がなく、物販と異なり、仕入れの必要もないため月々のランニングコストが抑えられるというのも大きなメリットです。このように、結婚相談所は夫婦での加盟に向いた業態と言えます。

ニューノーマルでもニーズあり「現場系アパレル店舗」

コロナ禍が2021年現在でも続き、在宅勤務という形態も定着しました。しかし、そんな中でも、実用的な服・建設や産廃、長距離トラックの運送業、農林水産業など現場仕事向けの服というのは、引き続き求められています。

このような、現場向けの服を扱うアパレルメーカーでも、店舗のフランチャイズを募集している会社が存在します。現場系店舗は、建設・産廃、農林水産業のように朝が早く、夜の終わりも早いという業態は、生活サイクルが早朝から始まる家庭に取ってぴったりです。

また、男性・女性を問わず建設業、運送業など力仕事主体の現場の第一線で頑張っていた人から見れば、現場系アパレル店舗というのは過去の経験が活き、お客様への適切な品のアドバイスや、お客様の現場仕事での話を聞き、共感しながら話ができます。また、現場系の仕事については、「今すぐ買い」のニーズも存在します。作業服が急に必要になった、忘れてしまったなどのニーズで、今すぐ欲しいという場合、通販でなく店舗で購入するニーズが出てきます。

通常のアパレル業態は、外に出歩く機会が少なくなったことから、高価格帯・中価格帯等が特にダメージを受けています。しかし、現場系仕事の場合は、必然的に外に出ないと仕事ができません。そのため、現場系の服は、今も根強いニーズがあると言えます。

社会貢献とビジネスを両立できる「介護サービス」

社会貢献とビジネスを両立できる「介護サービス」

こちらも、夫婦二人で加入することが理想的なサービスと言えます。介護というのは、介護される人の心情を理解したきめ細やかなサービスに加え、力仕事、お客様が難しいことを要求した際に、毅然と対応することなど、男性の役割と女性の役割、双方が求められるサービスと言えます。現在、ニーズに対する介護人材が少ないということは様々なところで言われています。これは、介護施設で働くことが、仕事が大変な上に、給料が安いということが認知されているのが原因です。

しかし、建設業界でも元請と下請で大きく利益が違うのと同じで、介護業界でも、経営者の立場として関わるか、従業員の立場として関わるかでは大きく利益が違ってきます。当然事業がうまく行けば、施設に勤務するより利益が大きいというのはありますが、きちんと運営しないと利益が得られないのは、他のビジネスと同じです。

特に介護サービスというのは、本人だけでなく家族の口コミも大きいものです。これまで介護に携わってきている家族にとっては、介護サービスの利用により、様々な負担が軽くなります。そして、介護している人が「あそこのサービスにお願いして良かった」ということを家族に伝えれば、クチコミで地域に「あのサービスにお願いすれば、きちんと対応してもらえる、話も聞いてもらえる」という評判が広がると、様々なところから依頼が来ることも想定されます。

ただし、きちんとしたサービスを行わないと、逆のパターンも想定できます。これについては注意する必要があります。また、介護サービスに関しては、公的な運営がなされている介護保険を利用するものと、全額自費のものがあります。介護保険を利用するサービスであれば、大半の費用が介護保険より出ますので、利用者も金銭的な負担が少なく利用することができます。ただし、介護保険というのは数年ごとに制度改定が行われます。その際に、助成率が変化する可能性、制度が変更されるという可能性も存在します。

また、介護保険を活用した事業の場合、市区町村などの自治体に詳細な報告を行ったり、様々な決まり事を守る必要があります。それに対する違反があると、営業停止処分や免許取消、場合によっては介護報酬の返還や屋号・氏名の公表など新聞沙汰になったり、形事告発される可能性もあります。そのため、介護保険を活用した事業の場合は、定められたルールを厳格に守り運営していくことが重要になります。

一方、利用者側にとっても、負担が少ないため、コンスタントな依頼の継続が望めるのもメリットです。やはり、介護者を要する世帯では、年金や介護をしながらのパート収入など、所得が限られる世帯があるという状況があります。そのような家庭だと、介護保険の利用ができるサービスでないと、継続的な依頼はしにくくなります。

ただし、介護保険利用のサービスは、介護される人の要介護度に応じたサービス・指定されたサービスにしか使えないなど制約があるため、全額自費のサービスに関してもニーズはあります。加えて公的保険では、サービスの時間・方法・やっていいこと・いけないことなど公費を用いる故の、様々な制限があります。そのような拘束がない自費のサービスは、「柔軟性・より被介護者・家族のニーズに寄り添える」というメリットがあります。

介護保険を用いるサービスも、介護保険を用いないサービスも、それぞれメリット・デメリットがあります。サービスを展開するフランチャイズ事業者の説明をしっかりと受けた上で、自分たちの場合はどちらが合うのかをじっくり考える必要があります。

働く時間に縛られにくい「補修・リペアビジネス」

意外と目立たないですが、古くなったものを補修・リペアするサービスも需要があります。このような、目立ちにくいが、需要があるサービスというのは狙い目です。特に年を重ねた人ほど、「今まで使っている家具や家に愛着があり、変えたくない」というニーズは強くあります。

家電などであれば、部品がないため物理的に修理ができないというケースも多いですが、家具や自宅の補修・リペアサービスの場合は、使い勝手を変えずに、元の状態に修復できるというメリットがあります。他の家族から見ると、「新しいものに変えてもいいのでは?」と思うケースでも、結婚記念や誕生日、仕事での目標達成のお祝いなど、物を購入した背景が存在し、愛着がある、だから買い換えるよりお金を払って、できるだけ買った本人としては直して使いたいというニーズは少なからずあります。

また、自宅の補修・リペアは相手宅に赴く必要がありますが、家具などは自宅で修理することもできます。全てを現場でやる必要があるわけではなく、通常の現場仕事と違い、現場と自宅工房二カ所での作業ができるというのもメリットです。特に、家具の修理の場合はしっかりと直す必要がある一方、顧客の予定や、作業によって顧客の自宅を汚してはいけないということもあるため、持ち帰りで作業ができるということは作業する側・顧客双方にとってメリットがあります。

これまで建設業など現場仕事に従事してきたが、年を重ねたため、ハードな仕事は難しいという人にとっても、補修・リペアサービスは、通常の建設業より身体的負担が少ないサービスと言えます。ハードな仕事は難しくても、仕事を通して社会との接点を持っていきたいという人にとっても、補修・リペアサービスはお勧めと言えます。

環境改善の兆しも見せる「コンビニエンスストア」

環境改善の兆しも見せる「コンビニエンスストア」

夫婦・家族で行うビジネスとしてこれまで定番だったコンビニエンスストア。これまで、24時間営業や取り扱う業務の多種多様化などがあり、フランチャイズ経営者にとっても大変な局面がありました。

しかし、近年の働き方改革の趨勢や、現在のフランチャイズ加盟店の声もあり、コンビニエンスストア加盟店運営者に対する配慮や意見の取り入れも、積極的に行われるようになりつつあります。

コンビニエンスストア本体も、加盟店と本部がwin-winの関係を作らないと、新規加盟店の獲得は難しいということを理解しており、新規加盟店の負担が少なくなる様々な施策を行っています。

ただし、やはりコンビニエンスストアは業務の契約やルールの遵守、経営の統一性に関しては厳格ですので、加盟する場合は契約に関するチェックと、他の経営者の現状を何らかの形でリサーチするなど、本部と加盟店の対話姿勢があるか、また商品力はあるかなどを調査した上で検討することが重要です。

家事がお金になる「ハウスクリーニング」

特にこれまで専業主婦(主夫)として、家事に関わってきた人にとって、家事というのは「無償労働」でした。家族としても、外部からも、やって当たり前という意識を持つ人はいまだに少なくありません。ですが、これがハウスクリーニングだと、お金をいただいて、しかも「ありがとう」と顧客から言ってもらえることもあります。

専業主婦(主夫)にとっては、掃除という作業が喜ばれ、お金が貰えるという、これまでの無償家事労働とは、全く違うものになります。

また、夫婦二人で始める場合は、ある程度力が必要な作業や、高いところを扱う作業は男性、細やかさが求められる作業は女性が分担するなど、様々なハウスクリーニングのニーズに対応しやすくなります。そのため、ハウスクリーニングは、夫婦で行うのにうってつけのサービスと言えます。

社会貢献と利益性を両立できる「就労継続支援事業ビジネス」

就労継続支援事業という、障がい者の人が社会に参画するための公的制度があります。就労継続支援は、種類により働いてもらえる仕事と行政の支援が異なりますが、一例として就労継続支援A型事業の弁当宅配事業を挙げます。

まず、日本の現状として、様々な身体・精神等の障がいを持つ方は、現在日本に600万人近くいると言われています。高齢化社会の影響で、今後も障がいを持つ人が増えることは明白で、2030年には障がいを持つ人が1,000万人を超えるという予測もあるくらいです。

ただし、障がいを持つ人全員が、全く働けないというわけではありません。健常者のように最前線で働くのは難しくても、障がいと共存して、ある程度の仕事ができるという方は少なくありません。また、障がいを持つ人本人や家族としても、家の中にずっといるよりも、何かの仕事をして社会と接点を持った方が、本人も自尊心を保ち、収入を得て、家族も一日中関与する負担がなくなるという点で、雇用者・本人・家族に取って三方良しのサービスと言えます。

また、自治体や働き方の内容にもよりますが、障がい者の雇用により、月間で10~12万円前後の補助が公的機関から行われるため、雇用側も障がい者に対する雇用の様々な負担を軽減できます。

しかし、この就労支援事業を独力で活用することというのは、福祉に関する知識がないと難しいと言えます。行政に対する書類提出や報告、障がい者雇用や各種事業に関する補助金・助成金や国民健康保険連合会への請求に関して、ゼロから調べるのは大変です。このような各種公的手続に関してもノウハウを持つフランチャイズを活用することで、経営者は書類仕事ではなく、事業そのものの方に注力できます。

就労支援事業は、障がい者の方でもできる仕事である必要があります。とはいえ、障がいを持つ方でも、定型的な作業が苦にならない、独自のクリエイティビティを持つ、一度方法を覚えるとスピードが早いなど、「仕事に参画しないことがもったいない」というスキルを持つ方は少なくありません。

例えば、ネットショップの運営では、大量の在庫発送・検品を行う必要があります。障がいがある人でも、定型的な作業が普通の人よりも圧倒的に早かったり、検品に関して、精度をの高い作業を行える人がいるなど、障がいを持つ方でも体が動いたり考えたりする事などができる人は相当数います。

そんな人材を、「障がい者」として社会から離れた状況にしておくというのは非常にもったいないので、仕事に適材適所があるように、ハンディキャップを持つ方でも、仕事の種類・適性を考え、根気強く教えていくことで、非常に大きなパフォーマンスを出す可能性も秘めているのです。

ただし、介護保険サービスと同様、公的制度が変更になると、事業収益に影響が出る可能性はあります。この、公的制度の変更は事業で起こりうるリスクと捉え、最初は公的制度を活用しつつも、制度に変更があっても大きな影響が出ないような事業計画を考え、障がいを持つ人を、フランチャイズ本部のサポートも得ながら、しっかりと育て上げて行く必要があると言えます。

加えて、夫婦で介護や障がい児の養育経験がある場合、ハンディキャップを持つ人の家族の気持ちというのを実体験しているので、経営者側も働く障がい者、家族の心情に配慮し、障がい者・家族の心理的サポートも含め「社会の役に立てる喜び、障がいを持つ家族が社会に参画できるうれしさ、そして給料が入ってくることによる生活へのプラス」など、メリットが非常に大きいと言えます。

ただし、改めてとなりますが、就労支援事業は公的制度のため、ルールに沿った利用を行うことは重要です。就労支援事業を適切に運営しなかったばかりに、事業が頓挫したり、就労支援事業取消の措置がなされると、様々な方面に影響が出ることとなります。その意味でも、初心や社会貢献性を忘れない運用は、重要と言えます。

これまでの経験や経歴が活きる「個別学習指導塾」

これまでの経験や経歴が活きる「個別学習指導塾」

個別学習指導塾というのも、子育てが一段落した専業主婦(主夫)や、教える仕事をしていた人、難関大学卒の出身者にとってうってつけの仕事と言えます。

いわゆる「お受験」では、様々なブランドの学習塾や通信教育などが存在します。しかし、個別学習指導塾のニーズは、「どこがわからないのかわからない」「疑問を言語化できない」、
これから成長の伸びしろがある子どもとその親にこそ求められるものと言えます。

特に専業主婦(主夫)経験者であったり、働いていても両親に知識があった場合、子どもにわかりやすく物事を教えるのに苦労されたかと思います。幼少期などは特に。小学生であれば、1+1=2、2×2=4ということは容易にわかりますが、乳幼児にはそもそも「計算式」という概念が存在しません。また、小学校であれば親が教えることが可能であっても、中学・高校となると、教科書の内容や学習カリキュラムの変更もあり、親が教えきれないというケースが出てくることも大いに想定できます。

また、これまで夫か妻が転勤族で、転勤があり帯同する必要があるため、配偶者も有名大学を出ていながら、その知識やスキルを生かし切れずに、パート・専業主婦(主夫)などの役割を担っていた方も少なくないと思います。大学の同級生が社会に出て、有名企業の要職に就任したり、経営者としてメディアに取り上げられるのを見ると、自身の立場に不満が出ることもあるでしょう。

学習指導塾であれば、経営者やスタッフが○○大学のOB・OGであるというのは、一つの信頼性の証明になります。また、いわゆる一流大学でなくても、地元の国公立を卒業していたり、中堅の私立大学を卒業している場合でも、(特に地域密着型の場合は、地元の国公立卒業というのは大きな信頼性の獲得に繋がる)大きなプラスになります。

個別指導の場合、わからないことをすぐに聞ける、やり方が間違っていたら軌道修正してもらうなどができるため、一般の学習塾のように、わからないことを授業後に聞く、通信教育のように回答にタイムラグがあるわけではあります。この「わからない時にすぐ聞ける」というのは大きなアドバンテージになります。このように、個別学習指導塾も、夫婦での経営に適した業種と言えます。

まとめ

以上、夫婦でフランチャイズを始める際のポイントと、人気業種・業界を一挙に解説しました。夫婦でフランチャイズを行う場合は、夫婦同士の協力、時には他の家族の協力・理解が重要になります。

また、夫婦双方がフランチャイズ事業にフルコミットする場合は、事業の成否が家庭の収入にも大きく関わります。そのため、夫か妻が正社員などの立場を続けており今後も両立する気持ちがある場合は、両立できる業種を検討するのも一つの手段です。状況に応じ、夫婦で完全にフランチャイズ運営に取り組むか、主体は夫婦どちらかで、もう一人はサポート役に回るなど、役割の切り替えというのも大切です。

夫婦が事業にしっかりと取り組んでいけるよう、ぜひ参入事業の検討や夫婦・家族の話し合い、加入後は事業への徹底したコミットを通し、事業を成功させるよう、取り組みましょう。