50代でフランチャイズビジネスを始める際のポイント

50代という年代は、男女を問わず、様々な人生の転機となる年代です。職場の役職定年・事業再編や自身・配偶者のリストラ、自身や家族の病気、親の介護、Uターンなど、突発的なことから、想定できることまで、様々なライフイベントが発生する可能性があります。

また、同じ50代でも、会社人生一筋の人、あるいは主婦(主夫)として家事に専念した人、あるいはシングルで派遣社員・アルバイト・日雇いとして生きてきた人など、これまでの経験は様々と思います。

複数の条件を考慮した上で、、様々な層の50代にとって、ビジネス、特にフランチャイズビジネスで考慮したい点を解説していきます。

50代のためのフランチャイズビジネス検討ポイント

2020年代において想定できる大きな変化は、「ビジネス環境の変化」と、「IT化の急激な進展」と言えます。IT技術の進展や2020年からのコロナ渦によって、通常の対面営業や事務作業、対人業務のあり方が大きく変わりつつあります。

現代の50代は、ITやインターネットをある程度使いこなせる素養がある人が少なからず存在します、かつ従来のアナログな営業・事務にも通じたハイブリッドな方が大半、そして仕事で長年培った人脈という武器もあります。

テクノロジーの最先端の部分になると、20代~30代の世代が強いかもしれません。しかし、ミドル層が持つ「対人力」「事務処理能力」「人脈」という要素は、若い世代にないものです。その強みを活かし、フランチャイズビジネスを行うというのは一つのあり方と言えます。

それでは、、50代がフランチャイズビジネスを検討・開始する際に重要なポイントを検討します。

50代だからこそ活かせる強みを活用する

50代という年代は、そのまま組織に残るか、あるいは組織を飛び出すかで迷う年代と言えます。会社や公務の組織に属している人にとっては、良くも悪くも先が見えてくる年代です。また、家庭の中でずっと生きてきた人も、社会ともう一度関わりたいという気持ちが出てくる方がおられるかと思います、

その中で、会社に残るにせよ、飛び出すにせよ、家庭からビジネストラックに戻るにせよ、自身の強みが発揮できる環境・ポジションにいることは重要です。例えば、研究一筋だった人が、対人折衝だらけの飛び込み営業に対応するのは、なかなか大変です。

また、対人営業に強みを持つ人でも、2021年現在も続くコロナ渦によるWeb営業・インサイドセールスへのシフト、ネットにより顧客獲得を行う手法へのシフトを行う会社も多く、これまでの地道な営業として積み上げた強みが活きにくい環境となってしまったと感じる方もいらっしゃるでしょう。

ビジネスの先端の部分では、確かにIT化が徹底的に進んでいる点は否めません。しかしBtoC、つまり対消費者、特に高齢者やITが苦手な人や、対人接触を好む層、特別扱いを好む富裕層にとっては、従来のアナログな手法が通じやすいという面があり、そこに50代の強みが活きる場所があります。

50代に限らず幅広い層が、この数年、急激に生じた社会の変化を受け止め、その中で「自分の力が活きる場所はあるか」という点を探す考えを持つことは重要です。

リクルート創業者の江副浩正氏が当時社訓とした、「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」という言葉があります。現在も社訓とは異なる形で語り継がれるこの言葉は、変化の大きい現在だからこそ、改めて見直すべき言葉と言えます。

自身の力が活きて、かつチャンスを作り出し、適応できる自分にアップデートするためには、新しい事へのチャレンジというのも一つの選択肢です。

ただ、「何もないところへ飛び込んでいき、何の手助けもなくチャレンジするのは、さすがに負担が大きい」と感じることもあります。

そのため、ゼロから事業を起こす他に、既に一定の成功を収めた、再現性のあるフォーマットを使ってビジネスを行う「フランチャイズビジネス」という選択肢があります。

現職(前職)の経験とフランチャイズビジネスにつながりを

まず、フランチャイズビジネスを選ぶ上で、大きな強みとなるのが「現職(前職)とこれから行うフランチャイズビジネスのつながり」です。

特に、融資の局面では、過去の業務と今後のフランチャイズビジネスの連続性は重要です。フランチャイズビジネス開業の際に、日本政策金融公庫などから融資を受ける場合、過去の業務経験と、これから始めるフランチャイズビジネスの内容につながりがある場合は、審査上大きなプラスになることが想定されます。

過去に経験した業務や、過去の経験が活きる業務であれば、過去の経験と全く関わりのない業務を始めるよりも、金融機関の審査・実際のビジネス等、様々な面で大きなアドバンテージになります。

ここで強調したいことは、これまでの仕事がこれから行う仕事と、全く同じものでなくても良いということです。例えば、百貨店の外商マンの仕事を通算20年以上行ってきたとします。ここで、外商の業務に要されるスキル・能力を分解します。

  1. ・相手の話を聞き、ニーズに合う商品を提案する傾聴力
  2. ・資産家・経営者などとの長年の付き合いによって得た信頼
  3. ・この人に頼めばなんとかしてくれる(欲しいものを確保してくれる)課題解決力
  4. ・ハイクラスの顧客に対し、不快感を与えないマナー
  5. ・商品の価値を先方にとって刺さる部分を強調し、「欲しい!」という気持ちにさせる提案力
  6. ・顧客先の内装・調度品・庭など、良いところを見つけ、さりげなく褒めるスキル
  7. ・本物の品を扱ってきたことにより身についた、本物と偽物を見分ける審美眼
  8. ・様々な勧誘を受け、警戒心の強い資産家・富裕層の懐に飛び込む、人としての魅力
  9. ・売り上げ目標の達成のために最善を尽くす、目標達成力
  10. ・ポジションによっては部下の育成に関わる人材育成力

どのような仕事であっても、自分がこれまで当たり前のようにやってきたことが、他の業界他の人から見たら「すごい!」と強みになる可能性を秘めています。

また、一見前職と関連性のなさそうなフランチャイズビジネスであっても、前職のこう言う点が活かせると分解することで、過去の業務と、フランチャイズビジネスを繋ぐことができます。

そのため、自身の強みをどんな小さいものであっても書けるだけ書き出し、具体化してみることもお勧めします。

体力・年齢勝負ではなく経験・対人力で勝負できる分野を

フランチャイズビジネスを考える上では、体力勝負・若さがプラスになるという業務は避けた方が望ましいと言えます。具体的には、肉体労働を伴うフランチャイズビジネスや、若い女性をターゲットにしたフランチャイズビジネスは、厳しい部分があります。

50代になると、若いときのような無理や、体力勝負の仕事というのは難しくなります。また、若い女性をターゲットにしたフランチャイズビジネスの場合、年代がどうしても異なるため、若い女性顧客から受け入れられにくいという可能性があります。

しかし、50代であることのアドバンテージも多くあります。50代ともなれば、どんな人でも様々な経験を積み、対人力を身につけているものです。社会では、ITだけではどうしてもカバーしきれない分野があります。また、「デジタル・ディバイド」という、インターネット・ITを使いこなせる人と使いこなせない人の分断が存在します。

ご自身の周囲、特に年配の方に目を向けていただくと推測がつくかと思いますが、年齢が高くなればなるほど、どうしても全てをデジタルでまかなうというのは難しくなってきます。現在が、アナログとデジタルの過渡期であるからこそ、アナログ・デジタルに両方対応できる50代という年代は強みとなります。

60代~80代とのコミュニケーション力も強み

50代にとって、現在社会で一番資産を持つ高齢者層、特に60代~80代とのコミュニケーションができることも強みです。60代には先輩として、70代以上に対しては親に対するような気持ちで対応できます。

デジタルネイティブ、つまり全てパソコン・スマホを通してネットでできることが当たり前で育った世代は、それまでの世代と価値観が違います。ある程度年代を経た人の、「ネット予約より電話が楽」という考えは、デジタルネイティブからすると「逆では?」というケースがあります。

また、年齢が高くなるほど電話・FAXというコミュニケーションには慣れていますが、若年層になると、FAX自体全く使わない、電話はよほど緊急の用事がある場合にしかかけない、ネットで出来ることは全てネットでするというのが、当たり前という人が少なくありません。

このように、若年層と50代以降の世代では、発想の起点が全く異なるケースが少なくありません。50代というのは、60代以降の「現在の急激なデジタル化にはついていけない」という率直な気持ちを理解することの出来る数少ない世代と言えます。

会社の看板がなくなるということ

独立に関して、注意すべき面にも目を向けます。多くの人はこれまで、「○○株式会社の部長である○○です」という形で、社名と肩書きだけで十分な信頼を得ることができました。

しかし、有名会社の重要な役職に慣れてしまうのは、一種の怖さがあります。社名と肩書きを取った時に、他の部分で信頼を補完できる要素が必要になってきます。元○○という肩書きが最初のうちは使えたとしても、時が経つにつれ「では、今のあなたは何者ですか?」という問いを他社から投げかけられる可能性があります。

顧客や取引先が関心を持つのは今のあなたと、あなたのポジション・できることであり、過去の肩書きは、過去のものでしかありません。これまで大きな会社・高い地位にいた人ほど、留意すべきことと言えます。

金銭的な余裕は大きな強み

50代でフランチャイズビジネス起業をするという場合、家庭を持っているケースでも、多くの場合は子どもが社会人になるなど、子育てが一段落する、DINKS(夫婦共働き・子どもなし)、ローン返済もある程度終わっている、あるいはまとまった貯金があるなど、20代~40代に比べ、様々な意味で金銭的な余裕があると思われます。

また、ローン等を遅延なく返済していれば、信用情報もしっかりしていきますので、フランチャイズ加盟の際の資金調達もスムースになると言えます。

貯金がある、あるいは今後大きな支出の見込みが少ないなど、金銭面で「一定の貯金がある」「大きな借入がない、もしくは一定部分を返済した」などの状況は、そのままフランチャイズビジネスを行う上でも、資金繰りや生活費に焦るなどのトラブルを減らせる強みになります。それゆえ、非常に気持ちの面で安定して目の前の業務に取り組むことができます。

自分が誇りを持って携われる業務か

「自分が誇りを持って携われる業務か」というのは、特に経営者にプレイングマネジャーの役割が強く求められる創業初期にとって、重要な要素と言えます。創業初期は、様々な意味で大変な局面が多くなることが想定されます。この局面を乗り切るには、「自分はこの仕事に誇りを持っていて、これで食べていくのだ」というマインドセットが重要になります。

同時に、「仕事に誇りを見つける」という能動的な姿勢も重要です。イソップ寓話の「3人のレンガ職人」は、同じ仕事に対しても、仕事の姿勢がこれからを大きく分けるということを示唆しています。

1人目のレンガ職人は、レンガ積みの作業を「苦行」とし、目の前の仕事に向き合うことをとてもネガティブに捉えていました。自分がこれから経営者になる立場として、こういう人を雇いたいものでしょうか。

2人目のレンガ職人は、レンガ積みの作業を「家族を食べさせるための手段」として考えており、仕事は辛いが、他に仕事がないから仕方ないという考え方でした。これは、気持ちはわかる一方、仕事は「お金を得るための手段であり、苦行である」という気持ちのため、なかなか自主性などを求めることは厳しいように見受けられます。

3人目のレンガ職人は、レンガ積みの作業を「歴史に残る大聖堂を造りあげる大事業に取り組んでいる」と定義し、自分の仕事を誇りに思い、積極的に取り組んでいました。

自分ならどの職人を雇うかと考えると、仕事への姿勢というのはとても重要なものであることが言えます。

例えば、この後に紹介する、「50代にお勧めできるフランチャイズ業種9選」でも、意識なしに取り組むと、単純に目の前の仕事をこなすだけになってしまう可能性のある業種もあります。

しかし、そこで「自分は空き家問題という社会課題の解決に取り組んでいるのだ」「高齢者と仕事で接することで、家族の負担軽減や、高齢者の尊厳を守っているのだ」など、前向きな姿勢を持った上で取り組めるかは重要です。

どんな仕事でも、楽しいこと・大変なことは大なり小なりあるものです。その中で、大変な事でもポジティブに捉え、乗り越えていけるかは、フランチャイズビジネスの成否に大きく関わる要素と言えます。

腰は低く、志は高く

50代の方が仕事を通して得た経験・スキルは、何十年の積み重ねを経て構成されています。それゆえ、自分や自分の仕事に自信を持つことは大切です。ただ仕事の遂行能力に自信を持つこと、志・目標を高く持つことは大切ですが、尊大な態度を取ることは、好ましいものではありません。

会社を辞めて、一人の個人事業主(もしくは社長)となった場合、周囲の扱いはおそらく露骨に変わることが想像できます。

仮に、有名企業の役職者であれば、取引先・下請先・部下などは、それなりに敬意を払って接してくれていたと推測します。しかし、企業の看板と役職がなくなると、周囲の見方は一気に変わります。

特に、これまで取引先・下請先・部下に尊大な態度を取ることに慣れており、独立後も同じような気持ちでいると、まず周囲は協力しようという気持ちにならないと言えます。

そのため、独立を考えたとき、そして独立時は、「自分は周囲に対し、偉そうな態度を取っていないか」「ビジネスの利害関係者に、フラットな立場で接しているか」「周りに感謝の気持ちを持ち、ねぎらいの言葉を伝えているか」などを意識する必要があります。

「人として応援される人間であること。」
これはフランチャイズビジネスの成否を大きく分ける要因になります。

会社で長年培った折衝力・人材育成力を活用

会社組織では、様々な形で提案を通すために、上司や外部、同僚、部下との折衝が求められる場面が多くあります。フランチャイズビジネスにおいても、地域との関わり、フランチャイズ本部との交渉、顧客とのコミュニケーション、人を雇った場合は部下の育成など、「人」に対峙することは避けて通れません。

その点、50代でこれまで会社生活を送ってきた人の多くは、折衝や人材育成には慣れていることが考えられます。加えて、様々な局面を経験することによる暗黙知も蓄積していますので、様々なチャンスや危険を察知することも望めます、そのため、20代~40代の起業とは違った、大人のフランチャイズ起業を実現することが見込めます。

高い役職の人ほど、過去のプライドを捨てる

これまで、会社で高いポジションに就いていた人ほど、「周囲が雑務やあらゆる実務・根回しなどを行ってくれる」という環境に慣れ、それを当たり前のものと感じるものです。

しかし、独立すると、基本的には自分一人か家族やアルバイトなど、最小限の人数からスタートすることになります。そのため、これまで部下に任せたあらゆる雑務を自分で行うことは必須となります、また、税務・労務・法務など専門的な分野は、お金を払って専門家の知恵を活用することになります。こういう分野を自分でやろうとすると、時間ばかりかかり、お金を産まない作業に時間とエネルギーを投じてしまうという不毛な状況が発生します。

この際、注意したいのが、過去の取引先や専門家に対し、一方的なお願いをしたり、無償での知識提供や相談を求めることです。会社から離れたにも関わらず、これまでと同じような姿勢を取っては、協力を得ることはできません。

過去の感覚、また実績やプライドを捨て、一から事業を興していくという気持ちを持つことが大切です。

50代にお勧めできるフランチャイズ業種11選

ここまで、50代がフランチャイズビジネスで起業する上で意識するべき事をまとめてきました。それでは、50代という年代に向いたフランチャイズビジネスは、どのようなものがあるかを確認していきます。

代理店業

特にこれまで営業畑一筋で来た人にとって、「代理店業」はうってつけの業種です。代理店の商材には、対法人向けのもの、対個人向けのものなど幅広くありますが、自身が売りやすい相手に、売りやすい商材を売るというのが望ましいです。

ただし、代理店と一口に言っても種類は様々です。住宅販売のフランチャイズというのもあれば、コスト削減策の提案など無形商材もあります。また、BtoBの商材を幅広く扱える代理店もあります。

自身が売りやすいという商材であることがまず大前提です。その上で、フランチャイズ本部が信頼できる代理店業を検討する上で、様々な代理店FCの資料やセミナーなどで情報を集め、その上で決断することが望ましいでしょう。

フランチャイズビジネス加盟検討の際には、商品の将来性の他、なぜ自社での販売網拡大ではなく、代理店形式のフランチャイズとしているのかという、明確な理由も大切です。

個別指導塾

少子高齢化が叫ばれる中でも、塾、特に個別指導塾のニーズというのはコンスタントに存在します。スマホでの学習やタブレット学習、通常の塾や通信教育など、様々な方法がある中で、なぜ個別指導塾が存在するかというと、大きく3点の要素が考えられます。

・学ぶ中で、「わからないことでつまずく」というプロセスが少なからずある

子どもさんを育てている、もしくは育て終わった家庭であれば想像がつくかと思いますが、子どもが勉強していくと、わからないことが出てきて、そのプロセスで止まるということが時折発生します。

個別指導塾であれば、先生に声をかけて、「ちょっとここがわからないのですが」とすぐに聞くことができます。しかし、他の学習方法だと、授業終了後やメール、答案を通しての質問など、回答までにタイムラグができてしまいます。

この「わからないときに気軽に聞ける環境」というのはとても大きいと言えます。大人であれば、合理的に「わからない部分は後で対応しよう」という仕分けが自然とできます。しかし、物事の進め方に慣れていない学生だと、わからないことが発生すると、ずっとわからないことが気になり、全体像の把握が不充分になりがちです。

そのため、わからないときに気軽に聞ける、個別指導塾の存在意義は大きいと言えます。

・標準以下の子どもを、標準以上にしたいというニーズが少なからずある

都会のお受験を経験したり、自身が有名大学を卒業したりしていると、レベルの高い進学教室や通信教育を認識することはあっても、平均に満たないレベルの学生を、平均以上に引き上げたいというニーズは、意外と目につきにくいものです。

しかし、平均以下の学生を平均レベルに引き上げたり、平均レベルの学生を上のレベル(地域No1高校やMARCH・関関同立レベルの大学)に引き上げたいというニーズは、ことの外存在します。むしろ、教育産業では上澄みの高偏差値の学生より、今後の伸びしろが大きい、普通レベル・普通未満のレベルの学生の数・対応できる教育へのニーズを狙う方が、裾野は大きいと言えます

ゲーム・遊びなど様々な誘惑の多い学生が、自主的に学習習慣をつけるということは、自分の意志だけでは難しいものです。ですが、「スマホが使えない、勉強するしかない」という空間に置かれると、きちんと学習をできるようになります。

個別指導塾という空間で、学ぶクセ付けやわからないことをすぐにわかる、自分のペースで学ぶなど、わからないことをわかるようにする成功体験を積み重ねることができます。

きちんと学生たちと接していくことで、大げさではなく、学生の人生を変える手伝いができます。その点、個別指導塾は社会的意義が大きいフランチャイズビジネスと言えます。

リペア・ハウスクリーニング事業

リペア・ハウスクリーニング事業も、今後の社会に欠かせない事業です。

ただ、リペア事業とハウスクリーニング事業では、少し性質が異なります。リペア事業は、ものを丁寧に扱い、修復する技能と、丁寧に修復を進める段取り力が要されます。これまで工場での作業やもの作りを行っていた人にとって、うってつけの作業と言えます。

年を重ねた方ほど、これまで大切に使ってきたものを、形を変えずに今後も使い続けていきたいという気持ちがあります。時には、修復する製品に、何らかのお客様の思い入れがある場合もあります。その気持ちに応える、丁寧な修復をする事で、ものだけでなく、お客様の心の満足も満たすことができます。

一方、ハウスクリーニング事業は、清掃や、清掃のための重量物運搬、様々な器具の利用など、体力・細やかさ・お客様対応など様々な用途が求められます。

一般家庭に訪問し、修理・害虫駆除・廃品回収など何らかの作業を行う仕事をしていた人であれば、スムースに業務になれていくことが望めます。

福祉サービス事業

福祉サービス事業に関しては、今後も根強いニーズが望めます。高齢者向けの福祉サービス事業・障がい者向けの福祉サービス事業で見ても、様々な種類のビジネスが存在します。その中で、自分のスキルが活かせ、かつ将来性がある分野はどれかを見極める必要があります。

福祉に携わりたいという気持ちがある方の場合、社会貢献という面を重視する傾向がありますが、社会貢献だけでなく、事業として継続していけるかという「ゴーイングコンサーン」の確立は重要になります。

つまり、社会貢献という公共性だけでなく、事業として適正な儲けを出し、継続していけるかという「ソロバン」も求められるのです。

どんなによいサービスを提供しても、適正な利益を得ず、結局途中で破綻してしまっては、サービスの利用者が最後で大きな被害を被ることになります。

社会貢献という面だけでなく、きちんと適正な利益を得られるか、そしてフランチャイズ本部が、社会貢献と、本部・フランチャイズ加盟店・顧客の三方良しというビジネス構造を構築しているかを見定める必要があります。

高齢者向け宅配サービス

高齢者向けの宅配サービスは、2020年から続く、社会の変化や、日本全体の高齢化により、ニーズが更に高まることが予測できます。

高齢者にとって、自分で料理を作ったり、スーパーへ毎日惣菜を買いに行くというのは、予想の他大変な作業です。高齢になると、材料の買い出しも大変ですし、食事の量も減りますので、自分で作ったり、惣菜を買っても余ることがあります。

かといって、一週間に一度の定期宅配サービスだと、どうしても生ものより冷蔵・冷凍物が多くなるため、つくりたてのものを味わうということは難しくなります。Uber Eatsや出前館などであっても、全国津々浦々をカバーしている訳ではありません.

また、スーパーの惣菜は、あらゆる世代が食べることを想定しています。そのため味付けがしっかりした物になっており、高齢の方に取っては「味が濃い」「塩分や糖分が多い」と感じられることもあります。

しかし、高齢者向けの宅配サービスであれば、高齢者の志向・味覚・そして健康に配慮した食事を宅配でき、その日につくったものをその日に食べていただくことができます。

そして、毎日食事を宅配することにより、高齢者の方の安否確認に加え、毎日宅配することにより親近感を持っていただき、高齢者が社会と接点を持つことをお手伝いする、更なる信頼を得て、宅配食材以外のアップセルの商材をお買い上げいただくなど、高齢者の生きがいサポートと、利益の確保という、双方に取ってよい取引ができます。また、誠実な宅配・応対を心がけていると、地域の高齢者ネットワークでよい口コミが広がり、紹介が舞い込む可能性もあります。

「ザイオンス効果」という言葉があり、人は単純接触が多ければ多いほど、その人に親近感を持つという説もあります。また、遠くの親戚より、近くの他人という言葉もあります。

毎日のように接触することにより、時間をかけて顧客の信頼を自然と獲得していくことにより、高齢者の生きがい作りへの貢献と、他の商材の販売や紹介獲得のチャンスという、社会貢献と実利の両方を獲得できる可能性があるという点で、高齢者向け宅配サービスは、まだまだチャンスが存在している分野と言えます。

空き家活用ビジネス

今後、都市・地方を問わず課題となるのが、「空き家問題をどのように解決していくか」とう点です。以前から新聞等マスメディアでトピックとして取り上げられているように、空き家問題というのは、様々なところで存在します。

空き家が出来てしまう理由としては、主に下記の要因が存在します。

・空き家を解体し更地にすると、固定資産税が6倍になるケースが多い。また、空き家の解体費用も百万円~数百万単位でかかる

空き家の解体は、木造の小規模な住宅でも百万円を超える解体費用を要するケースが多いです。さらに、鉄筋コンクリートの建物を更地にする場合は、数百万単位での出費が想定されます。

このように、相当な解体費用がかかり、かつ毎年払う固定資産税が6倍になってしまうわけですから、持ち主や土地家屋の相続人にとっては、空き家を解体することは極めて大きな負担になります。

また、今後も十分に住める状況の空き家であっても、相続人全員が都会に出ており、誰も空き家を相続したくないというケースもよく聞く話です。

その場合、何らかの措置が取られないと、空き家がそのまま放置され、事故等様々なトラブルの誘発要因になるおそれがあります。

この社会状況で、空き家をリノベーションして別の用途で活用したり、空き家を買い取るというニーズは強く求められると言えます。不動産を負動産にしない、空き家の有効活用は今後より重要な物になると見込まれます。

地域情報ポータルサイトビジネス

人によっては、「いまさらポータルサイト?」という印象を持つ方もおられるかもしれません。様々な企業がWebサイト・SNS等を活用する中で、わざわざ地域情報に特化したポータルサイトが求められる理由は次の2つです。

①選択肢が多すぎて、地元の情報がピンポイントで集められない

インターネットが普及して25年近くが経つ中、自分が住む地域の情報を集約したサイトとなると、意外と多くありません。地域住民間の情報交換や物品交換のサイトはあっても、地域の会社/店舗を知ることができるポータルサイトというのは意外と少ないものです。このように情報過多の時代だからこそ、地元に絞り込んだポータルサイトというのが逆に求められる場合もあります。

②企業・店舗によっては、自社サイトや顧客との交流場所を作るのも難しい

これは特に地方企業にあることですが、今でも自社や店舗のサイトを作っていない法人・個人事業主というのは思いの他存在します。理由は様々なですが、詰まるところ「サイト作成に充てる時間がない」「予算がない」「作る意義がわからない」という点に集約できると言えます。

単にサイトを作成するだけなら、無料や月額数百円のサービスでも、開設は可能です。しかし、一般の人にとっては、その手順も複雑で、忙しい業務の中行うのは難しいというのが現実です。

かといって、Webサイト作成企業に依頼すると、数十万~数百万の費用がかかります。また、クラウドソーシングでフリーランスに依頼すれば数万円で作成できるとしても、数年経つとそのフリーランスと音信不通になったり、不具合がいろいろとあるという話しも一部で聞きます。その結果、一から作り直す羽目になるなど、節約が仇になる場合もあります。企業にとってWebサイトの構築というのは、簡単なようで、実はトラブルも多発しがちなものと言えます。

そこで、比較的負担の少ない作業で、地域毎のポータルサイトに自店舗を掲載できるサービスというのが思いの他有用な存在として出てくるのです。

地域の店舗を調べると、ホームページ作成やMEO(地図検索エンジン最適化)などに手が回っていない店舗が多くあることを実感いただけるかと思います。

専門サービス業にとっては、どんなに自社の技術や味・サービスに自信があるところでも、その強みをホームページ等でアピールするということは、二の次になってしまうところが少なくありません。

上記の理由により、インターネット対応が出来ない企業が今でも多いというのは、おわかりいただけると思います。そういう企業にこそ、本来は強みや良さを伝えるインターネットの活用が必要なのですが、これはWebの営業ではなく、リアルの営業でないと伝わりません。

会社勤めの時に、地元の企業をたくさん周り、現状や課題を認識している人であれば、ポータルサイトビジネスはうってつけの業務と言えます。元々顔を出しているから、その企業の良さも熟知しており、また課題やWebサイトにリソースを割けない理由もわかるはずですので。

コンビニエンスストア運営

世間では様々な意見のあるコンビニエンスストアのフランチャイズですが、社会的インフラの一翼を担う重要な存在であるということは確かと言えます。

コンビニエンスストアの運営本部も、以前の課題を踏まえ、加盟店との共存共栄をより重視する方向にシフトしています。また、ミドル層が運営しやすいように、仕組みの構築やオペレーションの改善など、様々な工夫を図り、加盟店と本部がwin-winの関係を構築できるような配慮を進めています。

もちろん、加盟を実際に行う上では、本部の姿勢の見極めや、自身や家族のコンビニ経営に対する対応の現実性を検討することは必要ですので、その点は留意して下さい。

補助金・助成金コンサルタント

会社の総務・経理畑や、法人折衝に従事していた人にお勧めできる業務が、補助金・助成金のコンサルティング業務です。補助金や助成金というと、税理士・中小企業診断士・行政書士・社会保険労務士などの士業の分野の印象が強いです。

実際の所、助成金(人に関する厚生労働省からの補助)については、社会保険労務士でないと対応できません。

また、補助金によっては、「認定支援機関」という、金融機関や税理士・公認会計士・中小企業診断士などの専門性を持つ資格者によって構成される事業者等の認定を受ける必要がある補助金も存在します。(事業再構築補助金など)

しかし、社会保険労務士や認定支援機関でない場合でも、「補助金や助成金の対象になる企業に提案を行い、申請資料の作成支援や社会保険労務士への助成金請求手続の橋渡しをする業務」に関しては、資格制限はありません。

有資格者でないと出来ない部分は有資格者に一任する一方、資格がなくても問題ない分野に関しては、誰が行っても問題はないわけです。

例えば、2021年に募集されている事業再構築補助金という、3分の2など一定割合を、100万円~1億円など、かなり大きな額で補助する補助金があります。この申請に関しては、金融官や商工会、税理士など認定支援機関の確認申請こそ必要で、申請そのものは会社自身に行ってもらう必要があるものの、資料作成自体は資格の有無を問わず行うことが可能です。

事業再構築補助金であれば、事業をどのように再構築していくかというもくろみ、意図を15ページ以内のWordファイルにまとめる必要があります。この作業を、一般の会社が自力で行ったり、補助金申請のノウハウがないところが行うのは、極めてハードルが高い作業となります。

全く決まりがない白紙のフォーマットで、審査委員会が納得するような事業再構築計画をまとめるというのは、相当難しい作業です。

ですが、フランチャイズなどで既に様々な補助金や助成金の申請ノウハウを蓄積しており、「この補助金にはこういう書き方、この助成金はこういう企業に適用できる」というような型を知っておくと、大きく違ってきます。

フランチャイズ加盟者は、会社や店舗に訪問し、世間話や現状、課題、ニーズの確認を行った上で「御社ならこの補助金が活用できますよ」と提示する事で、企業に喜んでもらえます。かつ企業の事業改善に資するように、重要なポイントの改善に対し、補助金を配分する工夫をすることで、相手先の事業に貢献できるのです。

探偵業

探偵業は、非常に意見の分かれる分野かもしれませんが、あくまで選択肢の一つとして提示します。

探偵業は、警察への届出が必要であり、専門的な知識・技術も必要になるため、誰にでもお勧めできる分野ではありません。

しかし、様々な調査や確認、あまり公にはできないことのリサーチなど、潜在的に社会から求められるニーズを満たすのが、探偵業の強みでもあります。

例えば、配偶者に不貞行為が存在する場合は、この状況を放置しても、不貞行為をされた側に取って大きな負担、そして心の傷となります。これをしっかりとつかみ、取るべき措置を行うための手段としての探偵調査というのは、社会的意義があると言えます。

結婚相談所

前述の探偵業とは正反対の方向性ですが、様々な人生経験を経た50代の経験が活きる一つの分野が「結婚相談所」と言えます。

現在結婚生活を継続していても、あるいはシングルであったり、離婚をしていた場合であっても、それぞれのケースにおいて「実感」「経験」「課題」など、実体験に基づいた、リアリティあるアドバイスができます。

例えば、自身の状況や身上を踏まえて、過大な理想を望む40代の相談者がいたとします。これがもし、30代の人から、「あなた、今の状況だと高望みですよ」と言われると、感情的な反発を招くおそれがあります。

しかし、50代の年上から、「気持ちはわかるけれども、少し妥協の余地も備えておく方がいいのでないですか?過去にこういう経験がありましたので。」と、やわらかく説得されると、相談者の側も、「なるほどそうか」と思いやすくなります。

やはり「実際に体験をしている」人の話というのは、大きな説得力を持ちます。その経験が良いものであっても、ネガティブなものであっても、実体験に基づくことで、話が圧倒的なリアリティを持ちます。

特に、50代まで専業主婦(主夫)をしてきて、自分にはビジネスで活きるスキルが何もないという人であっても、「子育て」「親戚付き合い」「嫁姑」「婿舅」「夫婦の関係」「家事分担」「夫婦のパワーバランス」など、実体験を通していろいろと話せることがあります。

どんな人でも、50代まで生きたからには何らかの強みがある。そういう思いで、フランチャイズビジネスに目を向けてみて下さい。

まとめ

ここまで、50代のフランチャイズビジネスというテーマについてまとめました。人生百年、また、年金支給もこれからどんどん下がっていく時代で、自分で稼ぐ力をつけるというのは大変重要です。

しかし、ただ「稼げ」といわれても正解が見つからないところに、ヒントやマニュアル、アドバイスを与えてくれるフランチャイズビジネスの存在というのは、心強いものです。

社会的には、フランチャイズビジネスに対し、様々な意見があるかもしれません。ただ、同じフランチャイズビジネスでも、失敗している側が変に注目を集める一方、軌道に乗っている、成功している側というのは、なかなか取り上げられません。

フランチャイズビジネスとして続いている背景には、加盟店と本部の共存関係が存在します。ぜひ、読者の皆様は、慎重さをもちつつも、うまく行っている側の方に目を向け、どうすればうまく行くかという建設的な方向で考えるようにすることをお勧めします。