評判の良いフランチャイズを見分ける方法・ポイントとは

フランチャイズでの起業を検討する場合は、評判の良いフランチャイズを見分けてそこに加盟することが重要な戦略となります。ただし、「評判の良い」とは、一般消費者からの評判に加え、加盟店オーナーの評価が高いフランチャイズを指します。その理由は、実際に事業を行っている加盟店オーナーの評判が良いフランチャイズは、事業経営の面から見て成功する確率が高い投資先と言えるためです。

今回の記事では、フランチャイズで開業したいと考えている加盟店オーナー予備軍の方向けに、一般消費者と加盟店オーナーの双方から見て評判が良いフランチャイズを見分ける方法や見分けるポイント、注意点をご紹介するので、フランチャイズでの起業を考えている方は、参考にしてみてください。

評判の良いフランチャイズとは

評判の良いフランチャイズとは

通常、評判の良いフランチャイズとは、一般消費者の評判が良いフランチャイズを思い浮かべます。当然のことですが、一般消費者からの評判が良いフランチャイズは、口コミで良好な評価が広がり繁盛する可能性が高くなります。

それでは、この一般消費者の評判が良いフランチャイズと加盟店オーナーの評判が良いフランチャイズは、同一のものと言えるのでしょうか。一般消費者の評判が良いフランチャイズと加盟店オーナーの評判が良いフランチャイズは、多くの部分で共通点を持っていますが、少し異なる点があります。

つまり、加盟店オーナーの評判が良いフランチャイズは、一般消費者の評判が良いフランチャイズが持っている条件に加え、プラスαの要素も併せ持っています。

一般的に、消費者の評判が良いフランチャイズは、「便利な場所に店舗があり、質の良い商品を安く販売していて、従業員の応対も丁寧である」ことなどの特徴を持っています。そのようなフランチャイズは、客が集まり繁盛する可能性があるため、加盟店として開業すれば成功するのではないかと考えます。

ところが、この「成功するのではないか」というのがミソで、このようなフランチャイズ店舗が必ずしも100%成功するとは限りません。なぜなら、①便利な場所に店舗があっても、その物件取得費が高額で経営を圧迫する、②質の良い商品を安く販売していても、仕入原価が高く売値が安いため利益率が低い、③従業員の応対が丁寧であっても、教育費や教育時間に大きな投資が必要であるなどのケースがあるからです。

フランチャイズ店舗として成功するためには、「便利な場所で、質の良い商品を安く販売し、従業員の応対が丁寧」との一般消費者受けする条件はもちろん大切なのですが、それに加えて事業経営の面からみた条件を同時に満たすことが必要です。

この事業経営の側面からみた条件については、「3 評判の良いフランチャイズを見分けるポイント」で説明しますが、これらの条件を満たすフランチャイズが、事業として成功する確率が高い投資先であり、一般消費者と加盟店オーナー双方からの評判が良いフランチャイズなのです。

なぜ評判の良いフランチャイズを見分ける必要があるか

上で説明したように、事業として成功する確率が高い投資先としてのフランチャイズは、一般消費者の評判が良いことに加え、事業経営の観点からみて成功するための条件を備えていることが必要です。

事業経営の面からみて成功する条件があるかどうかは、一般消費者には把握ができない要素であり、その評価にも入ってきません。しかし、実際に事業を行っている加盟店オーナーは、この事業経営の観点からみた成功する条件をよく知っています、いや、身をもって分かっているといった方がよいのかもしれません。

一般消費者が把握できない成功の条件は、実際に事業を行っている加盟店オーナーだけが、日々の体験や苦労の中で身をもって理解し、把握しているものです。

すなわち、一般消費者の評判が良いことは必須の条件として、それに加えて事業で成功するための条件も併せ持つフランチャイズが加盟店オーナーの評判が良いフランチャイズであり、逆に言えば、そのようなフランチャイズを見分けることが最終的な事業の成功に繋がるのです。

評判の良いフランチャイズを見分ける方法

評判の良いフランチャイズを見分ける方法

それでは、評判の良いフランチャイズを見分けるにはどうすればよいか、その方法を確認していきましょう。

ネットの評判で見分ける

第一の方法は、ネットの評判で見分けるものです。ネットには、様々なフランチャイズに関する評判が掲載されています。その中には、消費者目線で書かれているものも多くありますが、そのような一般消費者から見た評判も参考になります。なぜなら、一般消費者の評判が良いフランチャイズと加盟店オーナーの評判が良いフランチャイズは、多くの部分で重なる点があるからです。

また、加盟店オーナーやフランチャイズで開業を検討している人の評判も見ることができます。加盟店オーナーやフランチャイズで開業を検討している人が記載しているサイトは、加盟金やロイヤリティなど具体的な情報が載っている場合もあります。

資料請求・説明会参加で見分ける

次は、フランチャイズ本部への資料請求、および説明会参加により見分ける方法です。

各フランチャイズは、加盟店の募集を広く行っています。フランチャイズ本部に加盟にかかる資料を請求すれば、一式を送付してもらえます。ただし、その資料はフランチャイズ本部が選んだ資料であるため、こちらが欲しい内容が掲載されているかどうかはわかりません。したがって、こちらが欲しい資料が不足している場合は、再度請求して取り寄せる必要があります。

また、フランチャイズ加盟説明会に参加してレクチャーを受ける方法もあります。説明会では、フランチャイズの加盟に関する一通りの説明があり資料も配布されます。フランチャイズによっては、合同説明会の終了後に個別相談会に移行し、フランチャイズ加盟や開業についての質問や相談に応じてくれます。

これら資料請求や説明会参加で提供される資料には、実際に加盟店オーナーになった人の体験談などが掲載されています。その体験談には、加盟店オーナーとしてのやり甲斐やフランチャイズ本部の支援などが掲載されているケースが多いのですが、フランチャイズ本部側の都合が良い内容が多いため、その体験談からフランチャイズの客観的な評判を判断することは困難です。

元来、フランチャイズ本部から提供を受けた資料の表面的な記載内容だけからでは、フランチャイズの評判を客観的に把握することはできません。それでは、なぜ資料請求・説明会参加で評判の良いフランチャイズを見分けることができるのでしょうか。

それは、請求した資料や説明会で得た資料から、そのフランチャイズの客観的な価値や将来性がわかるからです。そして、客観的な価値や将来性があるフランチャイズであれば、そのことが必ず良い評判に結び付くはずだからです。

したがって、資料請求や説明会参加は、評判の良いフランチャイズを直接見分ける方法ではなく、客観的な価値や将来性があるフランチャイズを見つける方法であると理解してください。

自分の目で見分ける

第3の方法は、自分の目で見分ける方法です。自分の目で見分けるとは、自分の目や耳、舌、体感など、自分の五感をフルに使って評判の良いフランチャイズを見分けることです。「五感を使って、果たして評判の良い店を見分けることなどできるのか?」とお思いの方もいらっしゃるでしょう。

確かに五感を使っても、評判の良いフランチャイズを直接見分けることはできません。しかし、五感をフルに使えば、このフランチャイズが、①客のニーズを掴んでいるか、②最大限のサービスを提供しているか、③快適に過ごすことができるかなどは十分に把握することができます。

客のニーズを適確に掴み、最大限のサービスを提供し、快適に過ごすことができるフランチャイズであれば、確実に消費者の評判は万全なものになります。また、これらの条件を備えているフランチャイズは、将来的に安定・成長していくことが見込めることから、必然的に加盟店オーナーからの評判も良好となるはずです。

このことから、自分の五感を使ってフランチャイズ店舗を調査する場合は、実際に店舗に出向き、①販売商品を購入してみる、②提供している料理を食べてみる、③提供しているサービスを体験してみることが重要です。

上で、①販売商品を購入してみるは、主に小売店の場合、②提供している料理を食べてみるは、主に飲食店の場合が想定されますが、③提供しているサービスを体験してみるについては非常に業種の幅が広くなります。例えば、①英会話教室であれば、体験入校・実際の入校をしてみる、②美容クラブやスポーツジムであれば、体験入会・実際の入会をしてみる、③宿泊施設であれば、宿泊してみるなどの方法が挙げられます。

このように、実際に店舗に出向いて提供サービスを享受してみれば、そのフランチャイズが、①客のニーズを掴んでいるか、②最大限のサービスを提供しているか、③快適に過ごすことができるかなどについて身をもって把握することができます。

同一のフランチャイズであれば、営業方法やサービス提供のやり方はマニュアルで統一されており、従業員の教育も同程度の水準であると想定することができます。したがって、同一フランチャイズの数ある店舗の中で1~2店舗を回って実際にサービスを受けてみれば、評判の良いフランチャイズかどうかの目途を立てることができます。

評判の良いフランチャイズを見分けるポイント

評判の良いフランチャイズを見分けるポイント

それでは、評判の良いフランチャイズを見分けるためには、何がポイントとなるかを確認していきましょう。

成長している

1つ目のポイントは、そのフランチャイズが成長していることです。フランチャイズは、傘下の加盟店を増やすことにより、グループ全体の売上げや収益を拡大させることを基本としています。そのため、フランチャイズ本部は、グループ全体における商品価値やサービス力を高めることにより、そのブランドを普及させていくことに力を入れます。

その結果、評判の良いフランチャイズには、加盟店の応募が集中し傘下の加盟店数が増えていきますが、評判が芳しくないフランチャイズは加盟店が増えていきません。加盟店のオーナーになろうとする人は、様々な手段を使って、目当てのフランチャイズが社会的にどのような評価を受けているか、その評判はどうかなどについて調べます。

その調査の結果、合格点を付けたフランチャイズにオーナー予備軍は加盟申込みを行うのです。したがって、評判の良いフランチャイズには加盟申込みが増え、加盟店数も伸びていきます。

傘下の加盟店数が増えることは、フランチャイズが成長するということです。フランチャイズが成長しているかどうかは、そのフランチャイズの評判を判断する指標になるのです。

フランチャイズの加盟店数の増減状況は、フランチャイズ本部にデータとして蓄積されています。こちらが資料請求すれば、特別な支障がない限り、そのデータを提供してくれるはずです。

継続している

2つ目は、継続していることです。何が継続しているかというと、加盟店の営業が長く継続していることを意味します。加盟店の営業が長く継続しているかどうかは、そのフランチャイズの評判が良いかどうかの判断指標になります。

評判の良いフランチャイズの店舗には、自然に客が集まり売上げも伸びていきます。逆に、評判が悪いフランチャイズは客が集まり難く、収益が上がりません。その結果、評判の良い店は、長く安定した経営が可能になる反面、評判の芳しくない店は、短期間で閉店してしまう可能性が高くなります。

フランチャイズ本部は、傘下の加盟店の継続営業期間についてのデータを持っています。加盟店候補者が、そのデータの提供を要請すれば、支障がない範囲で提供に応じてくれるはずです。

収益が上がっている

収益が上がっていることも、評判の良いフランチャイズを見分けるポイントです。収益が上がっているとは、経営が赤字ではなく、利益が出ていることです。利益が出てこそ、加盟店オーナーとしてフランチャイズ事業を行う意義があるのです。

しかし、経営が赤字なのか黒字なのかは、加盟店を外側から見ただけではわかりません。客が集まり一見儲かっているように見える店でも、懐が火の車で赤字に陥っているなどの例もあるからです。それでは、何をもって収益が上がっていると判断できるのでしょうか。それは、フランチャイズ加盟店の損益データです。

フランチャイズでは、標準的な経営モデルを作成しています。標準的な経営モデルとは、標準的なフランチャイズ加盟店の損益の見込みです。すなわち、「この立地、この程度の規模の店舗では、年間の売上額は○○、必要経費は○○、営業利益は○○を見込むことができる」という経営のモデルです。

フランチャイズ本部では、傘下の加盟店の営業実績を集計し、立地エリア別や店舗規模別に分析を行っています。その集計・分析したデータに基づき、フランチャイズの標準的な経営モデルは作成されているのです。

この標準的な経営モデルは、各フランチャイズが掲載している加盟店募集のサイトで公表されています。例えば、あるフランチャイズの標準的な経営モデルは、以下のようになっています。

月間売上高 ・1人開業
売上高○○万○○円
・従業員3人
売上高○○万○○円
月間営業利益 ・1人開業
営業利益○○万○○円
・従業員3人
売上高○○万○○円
月間必要経費 ロイヤリティ○万円
広告分担金○万円
システム使用料○万円

この標準的な経営モデルは、フランチャイズ傘下の既存店の収益平均値から作成されています。このため、実際の生きた数値として、信憑性があると判断されるのです。

標準的な経営モデルの公表状況は、フランチャイズにより異なります。かなり細部まで具体的な数値を公表しているフランチャイズもあれば、大雑把な内容しか公表していないところもあります。また、経営モデル自体を公表していないフランチャイズもあります。

フランチャイズで起業しようとする加盟店オーナー候補者の関心事は、①開業費用はどの程度かかるか、②開業後の営業収益はどの程度になるかの2つに集約されます。開業後の営業収益は、開業費用と並び、オーナー候補者の最大の関心事なのです。このため、フランチャイズ本部も、オーナー候補者の関心を惹きつけるため、標準的な経営モデルを作成し、公表しているのです。

逆に言うと、標準的な経営モデルを公表していない、または公表していても大雑把な内容しか掲載していないフランチャイズは、オーナー候補者の関心を十分に惹きつけることができません。そのようなフランチャイズは、これからフランチャイズで起業しようとしている人達の評判が良いとは言えないのです。

フランチャイズで起業しようとしている人達に評判が良いのは、①開業後の営業収益の見込みについて、標準的な経営モデルという形でよくわかるように公表している、②標準的な経営モデルの数値で、収益が上がっていることが確認できるなどの条件を満たすフランチャイズです。

上で重要なのは、②の黒字であること、そして、どの程度の黒字幅が見込めるかということです。開業後にどの程度の収益が見込めるかは、フランチャイズで起業しようとしている人達がそのフランチャイズに加盟する大きな判断材料になります。

サイトの公表内容では不十分であると判断される場合には、直接フランチャイズ本部に請求すれば、許される範囲内でデータを提供してもらえるはずです。ただし、個々の店舗の営業損益は、企業情報となるため提供はしてもらえません。提供してもらえるのは、あくまで既存店の営業実績の集計や平均値に止まります。

客が集まっている

次に、店舗に客が集まっていることも重要です。店に客が集まることは売上げに直結することから、フランチャイズ事業を軌道に乗せ、拡大・成長していくためには欠かせない条件です。

なぜ客が集まる店と集まらない店があるかというと、客が集まる店は消費者が欲しいものを提供している、消費者のニーズを掴んでいるからです。このため、1度来店した客は、2度、3度と足を運ぶリピーターとなり、そのリピーターからの口コミで他の人達に良い評判が広がっていきます。

それに対し、客が集まらない店は、提供商品やサービスが消費者のニーズとズレており、客の心を掴むことができていません。このように、店舗に客が集まっているか否かによって、そのフランチャイズの評判をある程度見分けることができます。

それでは、店舗に客が集まっているかどうかは、どのように判断したらよいのでしょうか。

それには、「2 評判の良いフランチャイズを見分ける方法」で説明したように、①資料請求・説明会参加で見分ける、②自分の目で見分けるの2通りの方法があります。

①資料請求・説明会参加で見分ける方法では、フランチャイズ本部に、1店舗あたりの購入客数のデータを要求します。1店舗あたりの購入客数は、1日単位でも、1か月間単位、1年間単位でも構いません。本来であれば、1店舗あたりの来店客数を知りたいところですが、来店客数は特別な調査でもしない限りフランチャイズ本部でも把握できない情報のため、購入客数で判断するしかないのです。購入客数であれば、売上げの集計データから容易に把握ができているはずです。

さらに、同じフランチャイズでも、店舗の所在により1日あたりの購入客数に差が出てくることが想定されるため、都心の店、鉄道駅の近くにある店、郊外に立地している店などに分けて資料請求するか、都道府県別に平均値を教えてもらうなどの方法で、全体的な傾向を把握するよう努めるとよいでしょう。

ただし、フランチャイズによっては、これらの情報は営業上の機密事項ということで、教えてもらえない場合があります。そのような場合には、②自分の目で見分ける方法に頼るしかありません。

自分が目を付けたフランチャイズの店舗を複数、できれば都心の店、鉄道駅の近くにある店、郊外に立地している店など立地条件が異なる店に出向き、客の入りを実感として把握します。同一店舗でも曜日によって集客状況が違ってくるため、可能であれば、土日に1回、平日に1回訪問して集客状況を把握するようにします。

その結果、繁盛店が多いフランチャイズは評判が良い、客が閑散としているフランチャイズは評判が良くないと区分けすることができます。

上質のサービスを提供している

評判の良いフランチャイズを見分ける重要なポイント

上質のサービスを提供していることも、評判の良いフランチャイズを見分ける重要なポイントです。

サービスというと、まず頭に浮かぶのが従業員の応対です。従業員の応対は、確かに店が提供するサービスの重要な要素ですが、本来のサービスはより幅が広いものです。

例えば、

①店舗の立地

・便利な場所にあるか
・景観の良い場所にあるか
・駐車場は入れやすいか

②店舗の外観・内装

・外観や内装が綺麗か、洒落ているか
・店内は移動しやすいか
・店内で落ち着けるか
・雰囲気が良いか

③提供される商品の質

・販売商品の種類や質は問題ないか
・料理の味や質は良いか
・価格は手頃か

④従業員の応対

・従業員の態度や対応は適切か
・教育が行き届いているか

など、店舗運営のハードやソフトのすべてを使い、客に快適な体験をしてもらうことが、上質なサービスを提供するということです。

上質なサービスを提供しているフランチャイズかどうかについては、「3-4 客が集まっている」と同様に、①資料請求・説明会参加で見分ける、②自分の目で見分けるの2通りの方法で判断することができます。

①資料請求・説明会参加で見分ける

では、フランチャイズ本部から提供された資料や説明会における話などから、そのフランチャイズ企業の経営理念や経営方針を把握することが可能です。

  • ・どのような理念に基づき、客にサービスを提供しようとしているか
  • ・サービスをどのように捉えているか

などについて調べていけば、その企業がいかにして客に快適な時間や空間、体験などを提供しようとしているかが見えてきます。

②自分の目で見分ける

では、自分の足で実際に店舗を訪問し、

  • ・小売店の場合は、商品を購入してみる
  • ・飲食店の場合は、料理を食べてみる
  • ・ホテルの場合は、宿泊してみる
  • ・その他のサービス業の場合は、サービスを享受してみる

ことにより、そのフランチャイズのサービスの内容や質、問題点などを把握します。

この場合、ただ漫然と普通の客になるのではなく、従業員にいろいろな事項を質問する、少し無理な注文を投げかけてみるなどして、その反応や応対を調べると、表面からでは分からない裏の顔が見えたりします。

フランチャイズは、店舗が違っても、営業方法は業務マニュアルで統一されており、サービスの提供方法や従業員の応対もほぼ規格化されています。したがって、代表的な店舗を調べれば、そのフランチャイズが提供するサービスの水準を把握することができます。

なお、この調査の目的は、そのフランチャイズが上質なサービスを提供しているかどうかを把握することですが、「3-4 客が集まっている」で述べた店舗の集客状況も併せて調べると効率的です。

社会のニーズを捉えている

その時々の社会のニーズを適確に捉えることは、これからのフランチャイズ事業でなくてはならないポイントで、これを満たしているフランチャイズは、一般消費者と加盟店オーナー双方から高い評価を受けることができます。

ところで、「社会のニーズを捉える」とは漠然とした基準であることから、具体的にどうすれば社会のニーズを捉えることができるのかとの疑問が沸き起こります。

しかし、この問題については、その時々の社会経済状況の変化や流れを見ながら、個別に判断していくしかありません。

例えば、最近の社会や経済状況の流れは、①少子化により子供数が減少している、②コロナ禍が収束していない、③材料費の上昇により、食料品が値上がりしている等が挙げられます。

①少子化により子供数が減少している

子供の数が減ったことにより、各家庭では子供1人あたりに潤沢な教育費をかけることが可能になっています。そのため、授業料は多少高くても、丁寧な指導ができるマンツーマンの個別指導学習塾や英会話教室が人気となっています。

②コロナ禍が収束していない

コロナ禍により、外食が敬遠される、飲食店が営業制限を受けるなど、実店舗型飲食店が苦境に立たされています。

そのため、店内飲食ではない「持ち帰り」や「宅配」型の飲食業に活路を見出す流れが生じています。

③材料費の上昇により、食料品が値上がりしている

食料品の値上げにより家計が圧迫され、少しでも安くて良い物を買いたいという消費者のニーズが高まっています。

そのため、販売食品の構成を生鮮品から冷凍食品にシフトして管理費・人件費を削減し、一括大量仕入れにより仕入原価を抑えるなどの方法により割安な価格で食品を販売する業務スーパーなどが人気を集めています。

すなわち、

  • ①では、家庭の子供数が減ったことにより、子供1人あたりに十分な教育を受けさせたい
  • ②では、他人と接する店舗内空間ではなく、自宅で美味しい料理を食べたい
  • ③では、少しでも安くて良い物を買いたい

との社会的なニーズがあり、そのニーズを適確に捉えたフランチャイズは、一般消費者と加盟店オーナー双方から高い評価を受け、それぞれの業界で生き残ることができているのです。

少額で開業できる

少額で開業できることは、重要なポイントとなります。もちろん、少額の資金で開業できることと評判が良いことは、直接イコールの関係とはなりません。しかし、少額で開業できることは、これからフランチャイズで起業しようとする人達にとっては、非常に大きな魅力です。

言うまでもなく、フランチャイズで起業しようとする人達の強い関心事項は、①開業費用はどの程度かかるか、②開業後の営業収益はどの程度になるかの2つです。その1番目の関心事項である開業費用は、フランチャイズで開業するための関門、すなわち越えなければならないハードルです。

しかし、フランチャイズで起業しようとする人達が融通できる開業資金には限度があり、一部の富裕層を除いては、手持ちの資金にあまり余裕がありません。この場合、金融機関から融資を受けるにしても、返済許容範囲内しか借りることができない問題もあります。

このため、必然的に、フランチャイズで起業しようとする人達の目線は、いかに開業資金を抑えるか=少額で開業できるフランチャイズはないか、という1点に集約される傾向があります。そのようなことから、少額開業ができるという情報に、加盟店オーナー予備軍の方達の関心が集中するのです。

すなわち、少額の資金で開業できるということは、加盟店オーナー予備軍の関心を集め、そのことが評判の良さに繋がっていくのです。

フランチャイズで少額開業できる環境としては、以下のようなものがあります。

①実店舗なしの開業 実店舗を構えずに、自宅で開業できる業態です。店舗物件の取得費を大幅に節約することができます。
②自分1人での開業 従業員を雇わずに、加盟店オーナーが1人で開業できる業態です。開業前に従業員を配備する必要がないため、人件費を節約できます。
③在庫を持たない開業 在庫を持たない業態であれば、商品や材料を仕入れておく必要がないため、仕入原価代を抑えることができます。
④小規模店舗での開業 店舗規模を小規模に抑えれば、店舗物件取得費や店舗内外装工事費を節約できます。

実際に、以上のような少額資金で開業できるフランチャイズの業態は、これから起業しようとする加盟店オーナー予備軍の方達には好評となっています。

本部のバックアップが手厚い

本部のバックアップが手厚いことは、評判の良いフランチャイズに欠かせない要件です。

フランチャイズで起業しようとする人は、誰もが様々な不安を持っています。また、フランチャイズ事業の開業後は、実際に種々の問題が生じる可能性があります。

例えば、

  1.  開業資金が不足した
  2.  従業員が集まらない
  3.  業務をこなすことが難しい
  4.  客が思うように集まらない
  5.  利益が出ない
  6.  近隣に同業種の店が開店した
  7.  扱っている商品のブームが下火になった
  8.  必要経費が試算の範囲内に収まらない

などの困った問題です。

そのような場合に頼りになるのがフランチャイズ本部です。フランチャイズ本部には、これまでに加盟店を開業させてきた豊富な実績や経験があります。その豊富な実績や経験から、加盟店をスムーズに開業させるコツや開業後に経営を軌道に乗せるノウハウが蓄積されており、加盟店をバックアップしてくれます。

具体的には、

  1.  開業前に加盟店オーナーに対する研修を行い、業務遂行の要領などを教えてくれる
  2.  加盟店オーナーに業務遂行マニュアルを提供してくれる
  3.  従業員が確保できない場合に、本部のルートを使って人材を紹介してくれる
  4.  営業用備品を揃える場合に、本部のルートを使って割安な購入先を紹介してくれる
  5.  開業後に様々な問題が生じた場合に、専門スタッフの派遣や指導・助言などの支援を行ってくれる
  6.  客とのトラブルが法的な問題に発展した場合に、法律の専門家を紹介してくれる

など様々な支援を行ってくれます。

しかし、このフランチャイズ本部のバックアップは、フランチャイズによりその内容や程度が異なります。様々な分野や場面で非常に手厚い支援を行ってくれるフランチャイズもあれば、あまりバックアップ体制が充実していないフランチャイズもあるのです。

加盟店オーナーは、経験者であれ未経験者であれ、問題が生じた時にはフランチャイズ本部の支援を頼りにしています。そのような場合に、加盟店の目線に立って親身になり、できる限りの応援を行ってくれるフランチャイズであれば、オーナーの営業継続に向けたモチベーションが維持され、頑張って苦境を乗り切ろうという気持ちになります。

逆に、加盟店が困っている時に、あまり身を入れずに形だけの支援しか行わないようなフランチャイズでは、オーナーの期待が裏切られる格好となってしまいます。

このように、フランチャイズ本部のバックアップは、加盟店の最後の拠り所であることから、手厚いバックアップ体制のフランチャイズは、間違いなく加盟店の評価が高くなります。

評判の良いフランチャイズを見分ける際の注意点

評判の良いフランチャイズを見分ける際の注意点

次に、評判の良いフランチャイズを見分ける際に注意すべき点を確認していきましょう。

資料・データを出さないフランチャイズは要注意

まず、資料やデータを出し惜しみするフランチャイズは要注意です。既に説明したように、評判の良いフランチャイズを見分けるためには、フランチャイズ本部から様々な資料やデータの提供を受け、それを自分なりに把握する必要があります。

一方、フランチャイズ本部にとっては、事業から得られる様々な統計データは、非常に重要な企業情報となります。そのため、資料やデータを要求しても、なかなか提供してくれないフランチャイズもあります。

しかし、フランチャイズは、傘下の加盟店を増やすことにより、グループ全体の売上げや収益を拡大させることを基本的な事業戦略としています。したがって、加盟店が増えないことには、グループ全体の成長・拡大が止まってしまいます。

これから起業しようとする加盟店オーナー候補者は、目当てのフランチャイズの収益性や社会的な評価、将来性などを見極め、加盟の是非を判断するために資料やデータの提供を求めているのです。

このことから、個別店舗の情報や個人情報、企業の営業機密にかかる情報など、外部に漏れては事業や社会的信用に支障が生じる情報を除いては、積極的に情報開示することが望まれます。

仮に、事業や社会的信用に支障が生じる虞がないにもかかわらず、資料やデータを出し惜しみするようなフランチャイズは、グループを拡大・成長させることに熱心でない企業とみられても仕方がないでしょう。

加盟店の目線に立たないフランチャイズは要注意

次に、加盟店の目線に立たないフランチャイズにも注意が必要です。フランチャイズの加盟店は、本部から経営ノウハウや各種支援を受けながらも、その業界で生き残るため日々懸命に営業しています。フランチャイズ本部は、その加盟店の営業努力を後押しするのが本来の使命であり、仮にも加盟店を苦境に立たせるような意思決定を行うべきではありません。

例えば、フランチャイズで店舗を構えている場所の近隣に、同じフランチャイズの店舗が新規出店するケースを見かけます。その場合、当然フランチャイズ本部は事前に市場調査などを行い、同業者が近くに出店しても両方の店がやっていけると判断したはずですが、様々な要因が重なって片方の店が閉店してしまう場合もあります。

この場合、近隣への新規出店だけが廃業の原因とは言えないまでも、その影響が皆無だったとは言い切れません。同じフランチャイズの近隣への新規出店は、多かれ少なかれ既存店の営業に影響を及ぼしたはずで、また、新規出店側も近くに既存店があるという不利な条件を初めから与えられていたことになります。

フランチャイズの出店では商圏競合などに注意を払っていますが、それぞれのフランチャイズ企業には独自の出店戦略というものがあり、時には、出店目標数の達成など様々な事情から無理な新規出店を進めるケースがあります。

どのような地域に、どれだけの間隔やペースで出店しているかについては、フランチャイズ本部に資料請求すれば提供を受けることができます。明らかに、商圏競合が疑われるような店舗展開を行っているフランチャイズは、加盟店の目線に立っているとは言い難く、加盟には慎重な判断が求められます。

おとり広告を使うフランチャイズは要注意

おとり広告を使うフランチャイズは、企業の営業姿勢やモラルに問題があり、注意が必要です。おとり広告とは、商品やサービスが提供できないにもかかわらず、あたかも提供できるかのような表示を行う広告の形態です。

例えば、海鮮料理を提供する店で、ズワイガニ料理を破格の安値で提供するという広告があり、それに釣られて入店して注文したところ、既に売り切れで品がなく、正規の価格の別の料理を勧められたとします。この場合、広告に掲載された安値のズワイガニ料理が実際に用意されており、完売になってしまったのであれば問題はありません。

しかし、広告に掲載された安値のズワイガニ料理が全く用意されていない、または、ごく少量しか用意されていない場合は、おとり広告として問題になる場合があります。

おとり広告は、飲食業以外の小売業やサービス業などにも存在していますが、外側から見ただけでは客がおとり広告と判断できない難しさがあります。おとり広告ではないかと疑いが生じた時点では、客は既に入店している場合が多く、完売してしまった商品の代わりに別の商品を購入してしまうケースが多くみられます。

おとり広告は、客寄せの手法として使われる場合が多いのですが、フランチャイズの場合は、加盟店が勝手に値引きなどすることは難しく、本部からの指示によっているケースがほとんどです。

おとり広告まがいのことを繰り返していると、最終的には消費者に背を向けられ、商売が成り立たなくなる可能性があります。そのような問題を起こしたことがあるフランチャイズは、加盟の際に慎重にチェックすることが肝心です。

まとめ

評判の良いフランチャイズを見分ける

評判の良いフランチャイズを見分けるには、その評判の発信元に注意を向けることが大切です。これからフランチャイズで起業しようとする加盟店オーナー候補者の方が、フランチャイズに加盟して事業で成功するためには、一般消費者からの高い評価に加え、事業経営の側面からみて成功する条件を持っていることが求められます。

事業経営の側面からみて成功する条件があるかどうかは、一般消費者には把握ができず、その評価にも入ってこないものです。

この一般消費者が把握できない成功のための条件は、実際に事業を行っている加盟店オーナーだけが、日々の体験や苦労の中ではじめて実感として感じ取り、理解しているものです。したがって、事業経営面で成功する条件を持っているフランチャイズは、一般消費者だけでなく加盟店オーナーからも高い評価を受けているはずです。

一般消費者の評価に加え、これらの条件を満たすフランチャイズこそが、高い評価を集めているフランチャイズです。一般消費者と加盟店オーナー双方の高い評価、それらはどちらも欠かすことができないフランチャイズ事業経営の両輪であることから、その両方から高い評価を受けたフランチャイズを見極めることが成功への鍵となります。

フランチャイズ事業は、ある意味で不動産投資に似ています。不動産投資では、いかに優良な物件を探すかが事業の成否を決めますが、フランチャイズでもいかに良いフランチャイズを見分けて加盟するかが勝敗の行方を左右します。このことから、自分が加盟するフランチャイズ探しでは、労力や時間、多少の費用を惜しんではいけません。そのようなエネルギーを惜しまずに調査し、最終的に優良なフランチャイズを見分けることが大切です。