フランチャイズ加盟に向いている人、いない人

経営未経験でも比較的容易に独立できるフランチャイズ。経営ノウハウは本部が指導してくれますし、最近は融資の相談にも乗ってくれます。しかし、だからと言って誰もが、フランチャイズを利用すれば成功できるという訳ではありません。

フランチャイズでも独自経営でも最終的に責任を負うのは、経営者本人です。あいまいな動機でフランチャイズに加盟した結果、結果出すことができず、1年を経たずして契約解除となった例も後を絶ちません。フランチャイズと言えど、独自に企業、会社設立するのと同じくらいのチャレンジ精神や向上心が必要となるのです。

フランチャイズに加盟するのに向いているのはどういう人になるのかを詳しくて見てきましょう。

フランチャイズで成功を収める人とは

加盟時は1店舗のみでも、経営が軌道に乗り出すと店舗を複数持つ人が多くなります。公正取引委員会が公表している「フランチャイズ・チェーン本部との取引に関する調査報告書」によれば、複数経営している人は55.5%と半数を超えます(コンビニエンスストア以外の場合)。

このなかのほとんどが法人加盟者と言われていますが、個人で店舗を複数経営している人もいます。複数店舗経営がさらに発展すると「メガフランチャイジー(巨大加盟者)」と呼ばれ、年間20〜30億円の売り上げを記録する人もいます。

まさしくフランチャイズビジネスの成功者と言える訳ですが、成功者に見られる共通点は次の5つとなります。

フランチャイズビジネスに向いている人

1 責任感が強い
2 忍耐力がある
3 リーダーシップ性、コミュニケーション能力がある
4 チャレンジ精神が旺盛
5 客観的に見ることができる

責任感が強い

どの仕事でも言えるかもしれませんが、「責任感が強い」というのは最も基本的で大事な要素となります。特にフランチャイジー(加盟者)にとって大切と言えるでしょう。

加盟者はそのお店の経営者であり、同時に本部の重要な事業パートナーです。
いくら本部から経営指導や多くの支援を受けるからと言って、本部は上司ではありません。何かミスがあった場合、最終的に責任を取らなければならないのは加盟者であって、本部ではないわけです。

そういった意識が低いまま経営しているといつのまにか本部に依存し、指示待ち状態が多くなってしまいます。

最終責任者であるとの自覚を強く持ち、本部と対等の関係を構築して経営に当たることが望まれます。

忍耐力がある

フランチャイズ加盟者と本部は、法律上、対等な関係にあるとされますが、実際は本部の方針に従わざるを得ないケースが少なくありません。本部が指定した仕入先から商品を仕入れたり、仕入れ数量を指示されたりしますが、これを断る不利益的扱いを受けることもあります。

独占禁止法では、このような「不公正な取引行為」について、優越した地位にある本部が加盟店に対して「優越的地位の濫用」をすることを禁じています。過度な指示に対しては、本部とじっくり話し合う必要があるでしょう。

裁量の幅に制限がある分、不満が募ることもありますが、本部の指示をしっかりと受け入れて第2、第3の出店に生かす姿勢が大切です。

リーダーシップ性、コミュニケーション能力がある

フランチャイズ加盟は個人でも行うことができますが、協力者の存在は必要不可欠です。元職場の同僚や、友人・知人、家族などの支援を得られるに越したことはありません。開業資金の調達先では「自己の貯金」や「金融機関からの融資」などが一般的ですが、「家族、友人・知人からの借金」が多いのも事実です。

その際に重要なのがコミュニケーション能力です。そもそも脱サラしてフランチャイズに加盟する場合、家族がいる人は自分だけで決められる問題ではありません。フランチャイズの中には夫婦での参加を義務付けている企業もあり、家族の理解と協力は必須となります。

また、友人と共同経営を認めているフランチャイズ本部もあります。通常、本部と契約を交わすのは代表者1人ですが、もう1人は連帯保証人として経営に参加し、実質的な共同経営の形をとる例があります。この場合も人任せになることが無いように、いかにリーダーシップを発揮するかが重要となります。

チャレンジ精神が旺盛

独立と収入の安定性のバランスを考えてフランチャイズに加盟する人もいるかと思いますが、常に新しいことにチャレンジする姿勢が求められます。
フランチャイズ経営は本部の指示待ちになることも少なくないですが、自ら行動を起こすことを禁止されている訳ではありません。時代の変化や顧客のニーズの変化にアンテナを張り、求められているモノを敏感に察することが大切です。

決められた仕入れ先よりも良い条件で商品を仕入れることができそうなら本部と交渉してみるべきですし、新規事業の開拓を提案するのも面白いかもしれません。

とにかく未来志向で何事にもチャレンジする精神がなによりも重要な要素となります。

客観的に見ることができる

先入観で決めつけず、物事を冷静に分析するのも成功の秘訣の一つです。商品の売れ行きの変化に対して一喜一憂するのではなく、好調・不調の原因は何なのか、どんな対策が立てられるか、問題解決に向けたコストはいくらかかりそうか、など客観的に調査・分析する力が必要です。
これが最低限できないと経営すること自体が難しくなっていきますし、期間満了を待たずして本部から契約解除となってしまうでしょう。そういう意味でも、客観的に経営分析できるかどうかは、経営者にとって最も重要な要素かもしれません。

チェックリストで適性を自己分析してみよう

自分がフランチャイズ加盟に適しているかを下記チェックリストで自己診断してみましょう。

チェックリスト

項目 チェック欄
責任感が強い 他人との約束は必ず守る
重要なポジションを任せられたことがある
失敗は自分のせいにしてしまう
重要な仕事でも積極的に引き受ける
人から責任感が強いと言われる
忍耐力がある 長く続けているスポーツ・趣味などがある
人からよく相談される
他人の意見をあまり否定しない
仕事を途中で投げ出したことが無い
上手く行かないときでも自暴自棄にならない
リーダーシップ性、コミュニケーション能力がある 他人と共同して仕事をするのが好き
周囲の意見をまとめることが多い
積極的に声をかけるほうだ
リーダーに指名されることが多い
物事をはっきり言うほうだ
チャレンジ精神が旺盛 指示されるよりも動くほうが好き
過去の失敗にとらわれない
新商品・新サービスなど新しいモノが好き
尊敬する成功者がいる
他人と競争するのが好き
客観的に見ることできる 失敗を人のせいにしない
同じ過ちを繰り返さない
問題の原因を突き止めるのが好き
経営を運だと思わない
周りの意見に流されない

チェック項目のうち、該当数が「0~5個」だと、残念ですがフランチャイズでの独立に対する適性はないと言えるでしょう。
「6~12個」は、急いで加盟するのではなく、一度立ち止まって、自分が本当にやりたい仕事や自分の性格についてじっくり考えたほうがいいかもしれません。
「13~19個」の人は独立する適性があるので、自分に何が足りないのかを見直すといいでしょう。
「20~25個」は、フランチャイズに加盟するのに十分向いていると言えます。あとは実行に移すだけではないでしょうか。