スマホ修理のフランチャイズで独立・開業は可能?ビジネス内容や加入のポイントを紹介!

最近様々な分野に普及・拡大してきたフランチャイズですが、今流行りのスマートフォン修理業として独立・開業はできるのでしょうか。スマホ修理業で独立・開業した場合、仕事はどのような内容で、フランチャイズ加入にあたり何に気を付ければよいのでしょうか。

本記事では、スマホ修理業の需要フランチャイズでスマホ修理を始めるメリット、さらにフランチャイズに加入する際のポイントなどを解説しています。フランチャイズで独立を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

スマホ修理業とは

スマホ修理業とは

はじめに、スマホ修理業の需要や仕事内容を見ていきましょう。

スマホが急速に普及

近年、スマホは日常生活を便利に過ごすための必需品となっています。旧来型携帯電話の時代に比べ、機器の性能や通信システムなどが著しく進化したことから、ネットを通じ様々な情報や動画をダウンロードでき、SNSを通じて文字情報のみならず画像や動画までも広く情報発信することが可能になりました。

そのため、国内におけるスマホの普及率は飛躍的に伸びています。総務省が毎年実施している通信利用動向調査におけるスマホの世帯保有率をみると、2010年では9.7%だったのが、10年後の2020年では86.8%に上昇しており、8割を超える家庭がスマホを所有していることがわかります。なお、同調査によるとパソコンの世帯保有率は、2010年が83.4%、2020年が70.1%と減少しています。

このことから、従来はネット閲覧などの情報収集やメール・ブログなどの情報発信は専らパソコンに依存していましたが、近年ではその主役の座をスマホが取って代わったといってよいかもしれません。若い世代の中には、テレビは視聴せず、スマホでニュースや映画を見る人が増えているという話も耳にするほどです。

スマホは故障しやすい

このように、現代社会に急速に普及してきたスマホですが、機械製品であるため故障は付きものです。というより、旧来型携帯電話であるガラケーに比べ、スマホの故障する確率は高くなっています。

スマホの故障は、①人のミスによるもの(スマホを落とす、水没させる、温度差による結露発生などのミスにより故障させるケース)、②経年劣化によるもの(経年劣化によりバッテリーや接続部などが具合悪くなるケース)、③初期不良によるもの(設計ミスや生産工程の不具合により初期不良となるケース)分けることができます。

従来型の多機能携帯電話(ガラケー)と比べて、高性能で仕様が繊細であるため壊れやすかったり、液晶画面が剥き出しであるため破損しやすい、ガラケーよりサイズが大きいものが多く、持ちにくく落としやすいためです。

スマホ修理業の需要は

このように旧来型携帯電話の時代に比べ、スマホの故障や不具合が増えてきていますが、具合が悪くなってしまうと使用者自身で直すことは技術的に困難です。

不具合が多いとすぐに新しいスマホに買い替えるという人もいますが、多くの人はまず修理しようとします。なぜなら、スマホは機種によりますが販売価格が非常に高額なものがあるため、買い替えると経済的な負担となるからです。中でも、人気があるiPhoneは、新製品では10万円以上と安くありません。そのため、不具合が発生すると、iPhoneユーザーを中心に修理に出される傾向が顕著です。このことから、スマホ修理に対する需要は大きいものがあります。

では、iPhoneユーザーが中心となって修理に出すとしたら、どこに出すでしょうか。大きく分けると次の2通りの方法があります。

①キャリアまたはメーカーの修理窓口

通常は、ドコモ、ソフトバンク、auなどの携帯キャリア、またはスマホ製造メーカーの修理窓口に修理を依頼します。しかし、保証の有無やその内容にもよりますが、キャリアやメーカーの修理費用は概して高くつく傾向があります。また、修理依頼してから修理完了して戻ってくるまでの日数も長くかかる場合が多くみられます。

そのため、高い修理費用に負担を感じる人、手元にスマホがないと困る人などは、キャリアやメーカーを敬遠しがちです。

②街のスマホ修理業者

経済的な負担感や長い修理期間を嫌う人は、キャリアやメーカーを避け街のスマホ修理業者に依頼する傾向があります。街のスマホ修理業者は、安い費用やスピーディーな修理を謳っているところも多くあり、そのことがスマホユーザーのニーズにマッチしているのです。

以上の理由で、街のスマホ修理業者に対する需要は大きいと判断できるでしょう。

以上のことを整理すると、次のようになります。

  1.  近年スマホは急速に普及し、わが国のスマホ世帯保有率は8割を超えている
  2.  スマホは、様々な理由から旧来型携帯電話であるガラケーより故障しやすい
  3.  スマホは高価なものも多く、故障してもなかなか買い替えることが難しいため、修理の需要は大きい
  4.  スマホを修理に出す場合、キャリアやメーカーの修理窓口に依頼すると費用が高く、修理日数がかかる傾向がある
  5.  高い修理費用や長い修理期間を嫌う人を中心に、キャリアやメーカーを避け街の修理業者に依頼する人が増えている

これらのことから、スマホの普及を背景として、スマホ修理業に対する需要は増えているといえます。

スマホ修理業の仕事内容は

それでは、スマホ修理業の仕事内容はどのようなものなのでしょうか。スマホ修理業の仕事は、利用者のスマホを修理することですが、その内容を区分すると次のようになります。

①人のミスによる故障を修理する

人のミスによるスマホの故障を修理

〇画面・液晶の修理

よくあるケースは、スマホを落として画面が破損する事故です。表面ガラスは破損したが、内部の液晶が無事でタッチ機能が健在であれば、ガラスパネルの交換のみで済みます。

しかし、内部の液晶が被害を受けている場合は、液晶も交換しなければなりません。

〇水による故障の修理

これもよくありがちですが、スマホに飲み物をこぼしてしまう、トイレや風呂に落として故障してしまう事故があります。水に濡れた部品は、乾かして機能が復旧するものと、乾かしても復活が難しいものとがあり、乾かしてダメな部品は交換するしかなくなります。水没による故障は、被害箇所が広範囲に及ぶ場合が多いです。

〇結露による故障の修理

スマホを寒い屋外から暖かい部屋の中に入れると結露が生じ、内部まで傷んでしまう場合があります。これも、広い意味で水による故障に含まれ、修理方法も同様になります。

②経年劣化による故障を修理する

経年劣化によるスマホの故障を修理

〇バッテリーの交換

スマホを長く使っているとバッテリーが劣化してくるため、交換の依頼があります。

〇接続部の故障

充電コードの接続部やイヤホン接続口などが接触不良で不具合が生じる場合があり、不良個所一式を交換します。

〇タッチ機能の故障

タッチ機能がうまく作動せず、画面が反応しないなどの不具合が発生します。この場合は、液晶の機能をチェックし、劣化していれば交換します。

〇マイク・スピーカーの故障

通話声にノイズが入る、綺麗に聞こえないなどの不具合の場合は、マイクやスピーカー部品、基盤などが故障している場合があります。

〇センサーの故障

液晶画面を消すセンサーが不具合を起こし、うまく作動しなくなります。なお、設計ミスや生産工程の不具合による初期不良は、メーカーや販売店の保証を使って修理してもらう、新品と交換してもらう方法が一般的です。

スマホ修理業はフランチャイズが有利か

スマホ修理業はフランチャイズが有利か

それでは、スマホ修理業はフランチャイズで開業するのが有利かどうかを見ていきましょう。

フランチャイズでスマホ修理業を開業するメリット

フランチャイズでスマホ修理業を開業するメリットは、次の通りです。

①技術・ノウハウを提供してもらえる

フランチャイズのスマホ修理業では、本部から修理技術や修理のノウハウを提供してもらえる強みがあります。コンビニや雑貨店などを開業するのとは異なり、スマホ修理業を始めるには特殊な技術が必要です。コンビニや雑貨店を営業する場合は、商品の仕入れから在庫管理、宣伝、接客販売、会計など一通りの商売のやり方を身に付ければよいのですが、スマホ修理業の場合は、その一通りの商売のやり方に加え、スマホ修理についての専門知識や技術というものをマスターする必要があります。

いくらネットワークやSNS、スマホの操作に精通していても、スマホのハードを修理するための知識・技術は別物です。また、機械いじりが得意な人であっても、スマホを直せるようになるには、スマホ修理の分野について特別な勉強をしなければいけません。

仮に個人でスマホ修理業を始める場合は、このスマホ修理についての専門知識や技術を独学で身に付けていくことになります。

それに対し、フランチャイズでは、開業する前にスマホ修理についての専門知識や技術を身に付けるための研修が用意されています。また、スマホの修理方法を体系的に説明する業務マニュアルも提供してもらえます。加盟店のオーナーやスタッフは、この事前研修によりスマホ修理の技術やノウハウを身に付けた上で、日々の業務はマニュアルに従って進めていくことができます。

②本部のバックアップがある

フランチャイズのスマホ修理業では、本部のバックアップを受けることができるという大きなメリットもあります。フランチャイズでは、加盟店が開業後に、フランチャイズ本部のスタッフが巡回指導して、営業上改善すべき点があれば助言・指導を行ってくれます。また、加盟店は、事業を進める中で以下のような様々な問題やトラブルを抱える場合があります。

  1.  修理依頼の件数が伸びない
  2.  1件あたりの修理に時間がかかってしまう
  3.  修理している際に、他の部分を破損してしまった
  4.  今日中に仕上げてくれと無理な注文を出す客がいる
  5.  修理を受けていないゲーム機を直せと言う客がいる
  6.  修理した後で液晶が暗いと文句を言う客がいる

問題やトラブルの種類は様々ですが、その多くは集客面や修理技術、客とのトラブルなどです。このように問題やトラブルが生じた場合に、個人営業ではオーナーが独力で対処しなければならないところを、フランチャイズでは、本部の専門スタッフに相談して適時適切な指導を受けることができます。

さらに、スマホ修理で最も大切な点は、「修理依頼を受けたものの、日数だけかかって結局直すことができなかった」ということがないようにすることです。客としては、店にスマホを持ち込んで修理を引き受けてもらった時点で、当然修理が完了したら元のとおりに使うことができると考えています。にもかかわらず、長い期間待たされた挙句修理できませんでしたでは収まりがつきません。

このようなケースは、客がスマホを持ち込んできた際の作動状況や客の説明に基づいて下した診断(例えば、接続ジャックを交換すれば直るなど)に誤りがあったということです。知識や技術が未熟なために当初の診断が甘く、分解して目当ての部品を交換しても直らず、その原因がわからないという話です。これが個人営業の店であったら、自分の能力では修繕が不可能なので、客に謝るしか方法がないことになります。

しかし、フランチャイズでは、このような場合に最後の拠り所として本部に助けを求めることができます。本部の専門技術者であれば、加盟店の技量ではわからなかった故障原因を突き止めて修理することが可能です。

③部品仕入先が確保されている

フランチャイズのスマホ修理業では、部品の仕入先が確保されるメリットがあります。個人でスマホ修理業を始める場合は、オーナーが自分で交換用部品の仕入れ先を探し、安定して供給されるよう手を打たなければいけません。それに対し、フランチャイズでは、部品はフランチャイズ本部または本部指定の業者から仕入れることになるため、あらかじめ部品供給のルートが確保されています。

これまでに、近年急速に普及してきたスマホは、旧来型携帯電話であるガラケーより故障しやすいが、高価なために故障しても買い替えることが難しく、修理の需要が大きいことをみてきました。また、キャリアやメーカーの修理窓口に依頼すると費用や修理日数がかかるため、街の修理業者に依頼する人が増えていることを説明してきました。

しかし、その街の修理業者も、修理用の部品の調達に苦労している実態があります。というのは、スマホを修理する場合に必要な交換用部品が不足しており、それを確保するのが大変だからです。

現在、スマホは次々と新しい機種が生み出されています。新しい機種が誕生すると、当然、その新しい機種が故障した場合の交換用部品も流通するのですが、新しい機種が出てくるサイクルが早いため、それに対応する交換用部品の流通が追い付かなくなっているのです。そのため、スマホ修理業者の間で交換用部品の確保に向けた競争が生じ、営業力やネットワークが弱い小規模個人修理業者が部品を確保できずに営業が成り立たなくなるケースも生じています。

それに対して、組織力やネットワークが強靭な大手修理業者は部品を安定的に確保でき、業績を伸ばしています。その大手修理業者の代表の一つに、スマホ修理のフランチャイズ企業も入っています。

スマホ修理業は個人で開業しても部品の確保という面で課題があることから、フランチャイズなど大手企業に所属して安定的に部品を供給してもらうことが成功するポイントの一つとなります。

④商標・ブランドが利用できる

フランチャイズに加入すると、商標・ブランドの利用ができるのも大きなメリットです。スマホ修理フランチャイズの場合は、フランチャイズの名称を加盟店の屋号に使うことができることが大きな強みとなります。フランチャイズによっては、様々な広告媒体を通して宣伝PRを行っており、その企業名や商号が世間的に周知されています。その商号を見た人は、「この店なら良心的な価格できちんと直してくれる」と信頼して、修理依頼を出してくるのです。

フランチャイズでスマホ修理業を開業するデメリット

フランチャイズでスマホ修理業を開業すると、次のようなデメリットがあります。

①加盟金・保証金・研修費がかかる

加盟金は、フランチャイズに加入する際にフランチャイズ本部に支払う金銭です。加盟金の額はフランチャイズにより異なりますが、20~30万円程度のところが多くあります。なお、加盟金なしのフランチャイズもあります。

保証金は、清算時に加盟店が本部に債務を負っている場合、その弁済に充当するために預ける金銭です。保証金を徴さないフランチャイズも多くあります。

研修費は、開業前にスマホ修理の技術を中心にフランチャイズ事業のやり方を受講する費用です。スマホ修理業の場合は、修理技術やノウハウをマスターする必要があるため、ある程度研修費がかかるのは覚悟する必要があります。

これら加盟金、保証金、研修費の金額は、フランチャイズにより違ってきますが、いずれも開業費用に上乗せされる形でかかるコストであることから、高額な場合は大きな負担となる虞があります。加盟金・保証金・研修費の安さを優先して加入するフランチャイズを選ぶのは問題がありますが、その金額の高低は、フランチャイズ選定の判断材料の一つになります。

②ロイヤリティがかかる

ロイヤリティは、開業後に、フランチャイズの商標・ブランドを使用する対価としてフランチャイズ本部に支払う金銭です。ロイヤリティの具体的な金額はフランチャイズによって違いますが、開業後に毎月一定の金額を支払う方式と売上額や利益額の一定割合を支払う方式などがあります。

ロイヤリティは、毎月フランチャイズ本部に支払う必要があるため、その支払金額や事業の経営状況によっては、経営の圧迫要因にもなり得ます。

③自由な営業が制限される

フランチャイズ加盟店は、フランチャイズ契約の当事者として、契約期間中は、契約内容を遵守する義務があります。フランチャイズ契約では、フランチャイズのブランドや信用を守るため、製造・加工業であれば定められた製造・加工法に従うこと、サービス業であれば定められた営業法に沿わなければならない旨が規定されています。

例えば、スマホ修理のフランチャイズであれば、修理受付可能なものがiPhoneとiPadの2種類と定められていたら、それ以外のandroidやゲーム機の修理を受けようとしても無理です。また、〇〇機種の液晶交換は〇〇円、バッテリー交換は〇〇円と修理料金が定められ、それを守らずに格安修理などのバーゲン行為を行おうとしても困難です。

さらに、中古スマホの販売を扱うフランチャイズであれば、本部の方針でスマホ関連のグッズやアクセサリーの販売も行わなければならないかもしれません。加盟店としては、グッズやアクセサリーは販売したくなくても、商品として置かなければならない場合もあるわけです。

このように、フランチャイズに加入するということは、フランチャイズ契約の内容を遵守するとともに、フランチャイズ本部の経営方針に沿うよう他の加盟店と横並びの営業を行うことになるということです。したがって、スマホ修理業で独立・開業ができたといって、加盟店オーナーが自分のやりたいように営業することは難しいことを覚悟しておく必要があります。

スマホ修理業はフランチャイズが有利

これまで、フランチャイズでスマホ修理業を始めるメリットやデメリットをみてきました。

フランチャイズでスマホ修理業を行う場合は、加盟金や研修費、ロイヤリティなど金銭面を中心とする負担があることがわかりました。この金銭面における負担は、開業時およびその後の営業時に加盟店にかかってくるものだけに、その影響を軽くみることはできません。

しかし、スマホ修理業をフランチャイズで始める場合、①技術・ノウハウを提供してもらえる、②本部のバックアップがある、③部品仕入先が確保されている、④商標・ブランドが利用できるといったスマホ修理事業の成否を左右するメリットがあります。

スマホ修理という技術的・専門的な分野における技術・ノウハウを提供してもらえるとともに、不足しがちな部品の仕入先が安定的に確保されるのです。しかも、修理が加盟店で手に負えない場合は本部が手助けしてくれるのですから、フランチャイズに所属しない個人修理業に比べ非常に有利な営業を行うことが可能です。

スマホ修理のフランチャイズに加入するポイント

スマホ修理のフランチャイズに加入するポイント

それでは、スマホ修理のフランチャイズに加入する際に、どのようなポイントに気をつければよいかを見ていきましょう。

開業費用が高くないか

フランチャイズ開業費用

フランチャイズの独立・開業で、まず問題になるのが開業費用です。開業費用の金額は、フランチャイズの業種や業態によって違ってきますが、概ね次のような費用からなっています。

①加盟金・保証金・研修費

加盟金は多くのフランチャイズが徴取していますが、保証金を課すところは少数です。加盟金や保証金は、複数のフランチャイズを比較し、特別な理由がないにもかかわらず不自然に高額なところは、注意するほうがよいでしょう。

研修費は、研修内容や研修期間によって異なってくるため、一概に判断できません。スマホ修理業という業務内容からみて、充実した研修を用意しているフランチャイズでは、少々研修費がかかっても仕方がないでしょう。

②店舗物件取得費

店舗物件の取得に要する費用です。

店舗物件の取得は、物件を購入する方法と賃借するやり方がありますが、購入より賃借の方が安くあがります。ただし、賃借の場合でも、契約時に敷金や当初の家賃など一定の費用が必要です。

スマホ修理業では広い店舗面積は不要で、2~3坪程度あれば客の応対や修理作業を行うことができます。そのため、比較的立地の良い店舗でも、家賃額が高額にならずに済みます。なお、スマホ修理業では、店舗を借りずに自宅で開業することも可能です。自宅開業であれば、店舗物件取得費やその後の毎月の家賃支出が不要になります。

ただし、実店舗開業では客がスマホを来店持込してくれますが、自宅開業の場合は、電話やネットで受け付け、こちらから客の住居や職場にスマホを預かりに行き、修理完了時に再度届けることになります(または郵送)。なぜなら、店舗は客が来やすい交通の便の良い場所に構えますが、自宅は必ずしも便利な場所にあるとは限らないため、多少手数がかかっても訪問営業を行わざるを得なくなるからです。

この訪問営業の手間や時間が負担という人は、多少費用がかかっても実店舗を探して開業するしかありません。

③店舗内・外装工事費

店舗の内装、外装の工事に要する費用です。スマホ修理業の場合は、飲食店のように店舗の内装、外装にお金をかける必要はないため、必要最小限の支出で済みます。

④店舗用備品・消耗品取得費

店舗で使用する備品や消耗品の取得費です。スマホ修理業の場合は大がかりな備品は必要ないため、高額な費用はかかりません。備品、消耗品は、パソコンや作業机、スマホ修理用工具などを揃えます。

⑤宣伝広告費

店舗をPRするための費用です。宣伝広告費の額は、使う広告媒体によって違ってきますが、ネットを中心に宣伝すれば費用を抑えることができます。

上記は開業費用の内訳になりますが、スマホ修理業では、コンビニや飲食など他のフランチャイズ業種と比較すると、少額で開業することが可能です。

しかし、開業の際には上記開業費用に加え、店舗家賃、部品仕入費用、人件費(アルバイトを雇用する場合)、光熱水費などの運転資金を一定額準備しておく必要があります。その理由は、開業後間もない時期に支払う必要がある費用は、あらかじめ別途確保しておかないと、支払不能に陥る危険があるからです。

「開業後の支払いは、営業の売上げや利益から支払えばよいのでは」という考え方もありますが、売上げや利益が生じるタイミングが当初の支払時期に間に合う保証はありません。というより、そもそも開業後間もない時期に、支払いに回せるほどの大きな売上げや利益をあげることができる程商売は甘くありません。

開業直後は来客がなく売り上げが少なくても、地道にきちんとした営業を続けながら店のPRに励み、その結果、次第に客の信頼や評価を得て売上げや利益を出せるようになっていくのが商売です。

このことから、開業の際には、開業資金に加えて一定額の運転資金の用意がぜひとも必要なのです。したがって、スマホ修理業が他業種に比べて少額開業ができるといっても、運転資金を用意するためにも、開業にかける費用はできる限り低く抑えたいものです。

フランチャイズ選定にあたっては、①加盟金・保証金・研修費の具体的な金額、②自宅開業が認められるか、③実店舗開業の場合には、どのような場所にいくらの家賃額の店舗を探してくれるかなどについて、複数のフランチャイズを比較・考量することが重要です。

ロイヤリティが高くないか

ロイヤリティの金額も重要な判断材料です。スマホ修理フランチャイズのロイヤリティは、フランチャイズによってかなり差があり、無料や毎月5,000円程度のところから毎月数万円や売上額の10%などのところもあります。

店舗経営が順調で毎月利益が生じていれば、ロイヤリティを払うのも苦になりませんが、売上げが伸びず利益も少ない状況の場合は、ロイヤリティの支払いが負担になります。このことから、ロイヤリティを高く設定しているフランチャイズは、それに見合うだけのメリットが他にあるかどうかを十分に見定める必要があります。

ロイヤリティが少々高くても、店舗の立地条件が良い、本部のバックアップ体制が充実しているなどの長所があれば、総合的な判定で加入するのも可でしょう。

事業範囲が限定されてないか

事業ができる範囲が限定されていないかも、重要なポイントです。スマホ修理業の事業は、文字どおりスマホを修理することです。修理対象のスマホは、iPhoneが中心になります。逆に、iPhoneを扱わないスマホ修理業は、経営が成り立たなくなる可能性があります。その理由は、iPhoneはandroidに比べ機種代が高額であるため、調子が悪くなったからといって簡単に買い替えることが経済的な負担となるからです。このため、iPhoneユーザーの多くは、端末の調子が悪くなった場合にまず修理してもらおうと考えます。

それに対し、android端末の中には格安で販売されているものもあり、壊れたらまた安い物に買い替えればよいというユーザーが多くいます。このことから、スマホ修理業では、iPhoneの修理を行うことが優先的な条件になるのです。

しかし、このことは、iPhoneの修理さえできれば安定した売上げが保証されるということではありません。世の中にiPhoneの修理店は多くあり、それだけ競争が激しいのが現実です。すなわち、スマホ修理業を始めるなら、iPhoneの修理は必須であるが、それだけでは業界で勝ち抜いていくことは難しいでしょう。

それでは、スマホ修理業として、iPhoneの修理以外に何ができるのでしょうか。スマホ修理業として事業範囲に加えることができるものに、例えば以下の仕事があります。

  1.  iPhoneの修理
  2.  iPadの修理
  3.  android、タブレットの修理
  4.  ゲーム機の修理
  5.  中古スマホの販売
  6.  スマート家電の紹介

②iPadの修理技術は、①iPhoneの修理技術と同一ではありませんが、共通点は多くあります。iPhoneの修理技術を身に付けた上で勉強すればマスターできるはずです。③android、タブレットの修理も同様で、iPhone修理の延長上にあります。④ゲーム機の修理は、スマホとは異なる分野であるため勉強が必要ですが、スマホの修理技術や道具が役に立つはずです。

⑤中古スマホの販売は、フランチャイズ本部または本部指定の業者から中古品を仕入れて販売する形態となります。⑥スマート家電は、スマホで家庭内の電気製品をコントロールするシステムですが、今後成長が期待される分野であり、メーカーなどのシステムや製品を紹介・PRすることがメインとなります。

以上のように、スマホ修理業として行うことができる事業は様々ですが、iPhone修理だけを専門に行うのではなく、他の機種やゲーム機など広範囲の修理を行いながら、中古スマホ販売やスマート家電の紹介など修理以外の分野にも手を広げて営業を行う方が、幅広い層の客を集めることが可能になります。

問題は、加入しようとするフランチャイズの事業範囲がどの程度広いかです。加入しようとするフランチャイズの事業範囲が、例えば「iPhone修理だけ」となっている場合は、いくら加入者がその他の分野に手を広げようと思ってもできません。

このことから、iPhone修理以外の分野も広く手掛けているフランチャイズを探すのが、重要なポイントになります。中古スマホの販売やスマート家電の紹介はともかく、最低でも、iPhoneの他androidの修理も手掛けているフランチャイズを選ぶことが肝心です。

優良立地に出店できるか

店舗の立地が良いかどうかは、極めて重要なポイントです。「3-1開業費用が高くないか」において、自宅開業で開業費用を節約することが可能である旨を説明しましたが、自宅ではなく外に店舗を構える場合は、その立地条件が重要となります。なぜなら、自宅開業の場合は、こちらが客の自宅や職場に訪問してスマホの納品・返品を行いますが、店舗営業では客に店まで来てもらうことになるからです。このため、お客さんが来やすい場所に店を構えることが、大切なポイントになります。

一般的に、平日は、勤め帰りの人が通勤途中にある店に立ち寄りやすく、土日・休日は、自宅の近くにある店に行きやすいというパターンが成り立ちます。スマホが壊れた場合、多くの人はできるだけ早く直してもらおうとして、勤め人であればその日の帰りに、自宅にいる人は近くの店に直ぐに立ち寄ろうとするからです。

このため、駅ビルや商業施設、ショッピングモールなど、交通の便が良いエリアや人が集まりやすい場所に店舗を構えるのが理想的です。

したがって、加入しようとするフランチャイズが、①そのような立地の良い場所に店舗物件を探してくれるか、②そのような立地の良い場所に出店することを認めてくれるかがポイントになってきます。

駅ビルや商業施設、ショッピングモールなど立地条件の良い場所は競争も激しく、個人ではなかなか予算に見合う物件を見つけることが困難です。その点で、フランチャイズ本部の組織力・情報収集力を使えば、良い立地の物件を見つけることも容易であることから、本部が優良物件を探してくれれば非常に効率的です。

また、フランチャイズ本部が、自社の出店戦略や経営方針に基づき、加入者の出店場所を決定する、または規制する場合もあります。あまり立地条件の良くない場所に出店を勧められる、あるいは、せっかく優良な店舗物件を見つけても様々な理由で出店を認めてくれないなどの可能性もあります。

いずれにしても、実店舗を構えてスマホ修理業を営む場合は、人が来やすい場所に店を出さなければ集客で苦労するのは明白であるため、優良な立地場所に出店できるかが非常に重要なポイントになります。

部品供給力が強力か

スマホ修理では、部品の供給体制も重要なポイントです。部品の供給体制が評価されるのは、①迅速性、②価格、③保証の3点が優良である場合です。

フランチャイズでは、部品は、フランチャイズ本部または本部指定の業者から仕入れることになるため、仕入れルートは加盟店が開拓しなくても確保されます。しかし、消費者の目線に立った部品の供給体制がしっかり確立されているかどうかは、フランチャイズにより異なるため、加入の際は部品仕入れについてチェックすることが必要です。

①迅速性は、必要な部品が直ぐに手元に届くことです。

スマホ修理で最も重要なポイントは、客ができるだけ早く直してもらいたいと考えていることです。「スマホがないと何も始められない」、「スマホがなければ非常に困る」という人は意外に多く、その人達は、1日、1時間、1分でも早く修理してもらいたいという強い希望を持っています。

そのような場合に素早く修理を行うためには、必要な部品をスピーディーに取り寄せることができる体制を構築していなければなりません。必要な部品が届くまでにかなりの日数がかかるとなれば、客は、より早く直してくれる店を求めて逃げてしまいます。このことから、部品仕入の迅速性は非常に重要な鍵となります。

また、②価格も重要なポイントです。同じ部品でも、フランチャイズにより仕入値が異なる場合があります。部品の仕入値を高く設定しているフランチャイズと安く設定しているフランチャイズとでは、年間の仕入コストが大きく違ってしまいます。

さらに、仕入れた部品が不良品だった場合の③保証も重要です。不良品に対する保証の内容がどうなっているかを確認し、良心的に対応しているフランチャイズを選ぶことが肝心です。

研修体制が充実しているか

研修体制が充実しているかは、非常に重要なポイントです。スマホを修理するには、一定の技術やノウハウが必要です。客が壊れたスマホを持って来店した時、不具合の原因がどこにあるのか、液晶なのか、接続部なのか、それとも基盤なのか、そして部品交換が必要になるのかという診断を行う必要があります。

そうしなければ、どの程度の修理時間が必要で、修理費用はどの程度になるかなどを客に伝えることができないからです。「分解してみないと、修理ができるかわかりません」、「開けて調べてみないと、修理期間や費用はわかりません」などの説明では、客は到底納得しないでしょう。

そのため、スマホの外見や作動状況、客の説明などを聞いた上で、「接続部のコネクターを交換する必要があるため、修理期間は〇日間、費用は〇円程度になるでしょう。ただし、分解してみてコネクター以外の修理も必要な場合は、連絡を差し上げます」などと伝えることになります。しかし、スマホの外見や作動状況、客の説明などを聞いた上で修理箇所や費用を予想するためには、スマホ修理に関する一定の技術力やノウハウが必要です。

さらに、実際の修理工程に入れば、実際の修理・交換作業により物理的にスマホを使える状態に復旧させるための技術力が求められます。

スマホ修理に関しては、ほとんどの加入者が未経験であると予想されることから、この技術やノウハウは、フランチャイズ本部による研修で身に付けるしかありません。そのため、研修によって営業していけるだけのしっかりとした技術力やノウハウをマスターさせてくれるフランチャイズを選ぶことが重要となります。

本部のバックアップが手厚いか

最後のポイントは、本部のバックアップが手厚いかどうかです。フランチャイズ本部の研修により、スマホ修理の技術やノウハウを身に付ければ、修理店として日々の営業を行うことが可能になります。しかし、加盟店では手に負えない修理案件が持ち込まれることもあります。例えば、修理するには高い技術力や経験が必要な場合、特別な設備や機材を要する場合などが想定されます。そのように難しい案件が持ち込まれた場合、フランチャイズ本部または本部指定の業者に修理を依頼する以外によい解決策がありません。

そのように本部の手助けが必要な場面では、本部のバックアップ体制が充実しているかどうかが大きく影響します。加盟店の営業にマイナスとならないよう、できる限りスピーディーに対応してくれるフランチャイズもあれば、頼んでもなかなか応じてくれないところもあります。

フランチャイズ本部に修理を依頼すれば、それなりの日数が必要になるため、加盟店での店頭修理のように素早く直すことは困難となります。しかし、一定の日数はかかるものの、本部経由でも修理が可能ということであれば、店の信用や評価に傷が付くことは避けることができます。

仮に、本部がなかなか受けてくれないため客に断りを入れるようであれば、その客は永久に戻ってこない確率が高く、店の評価も下がってしまいます。

また、店舗の集客や営業など経営面で問題が生じた場合、スマホ修理を巡って客とトラブルが起きた場合など、速やかにフランチャイズ本部に相談し、助言・指導を受けることができれば、問題がこじれて大きくなる前に解決することも可能です。

以上のように、いざという場合にフランチャイズ本部が手厚くバックアップを行ってくれることが、加入の重要なポイントになります。

まとめ

スマホ修理のフランチャイズで独立開業

スマホ修理のフランチャイズで独立・開業は可能かというテーマですが、それを判断するには、①スマホ修理の需要があるか、②需要がある場合に、フランチャイズ加入が有利か、の2点を見極めることが肝心です。

また、フランチャイズ加入が有利かについては、①スマホの新機種発売サイクルに交換用部品の供給が追い付いていけず、部品獲得競争がある、②街の小規模な個人修理業者は、部品を確保することが難しい、③フランチャイズなどの大手修理業者は、部品を安定的に確保できるルートを持ち、グループ全体の業績を伸ばすことができる、④その他、フランチャイズには、技術・ノウハウの提供や本部のバックアップなど大きな強みがあるということで、スマホ修理業を始めるならフランチャイズ加入が有利な戦略の一つとなります。

スマホ修理業で独立・開業を目指す方は、それぞれのポイントについて情報収集と評価を行って、加入するフランチャイズを選ぶことが大切です。