コロナの影響で売上が8割減!飲食店がコロナ禍で生き残る方法とは?

新型コロナウイルスによる日本の死者数は各国と比較すると少ないものの、収束にはほど遠い状況です。ワクチンや治療薬も何年先になるかわからないので、私たちはコロナとともに生きる「ウィズコロナ時代」を迎えたといわれています。

重傷者数や死者数は少ないものの、コロナが与えた経済への打撃は深刻な状況です。コロナで命を落とすのではなく、コロナ不況によって間接的に命が失われていく危険がすぐそこまで迫ってきているといえるでしょう。

その中でも特に深刻な被害を受けているのは飲食店で、2020年3月の売上が前年3月より下がった飲食店は、なんと8割にも上りました(飲食店.COM調べ)。このままでは街の飲食店は次々に倒産してしまうかもしれません…。

そこで今回は、経営者アンケートの結果から飲食店がコロナ禍で生き残るための方法についてお伝えします。

今回取り上げた「テイクアウト・デリバリーの対応状況に関するアンケート調査」について

■調査概要
調査対象:飲食店.COM会員(飲食店経営者・運営者)
回答数:514名
調査期間: 2020年4月3日~2020年4月6日
調査方法:インターネット調査

■回答者について
本調査にご協力いただいた回答者のうち68.7%が1店舗のみを運営しております。また、回答者のうち東京にある飲食店の割合は58%(首都圏の飲食店の割合は73.3%)となっており、こうした背景が結果に影響していると推測されます。

飲食店.COM(株式会社シンクロ・フード)調べによる「飲食店リサーチ

新型コロナウイルスが売上に与えた影響は?

新型コロナウイルスが売上に与えた影響は?

新型コロナウイルスが飲食店の売り上げに与えた影響を見ていきましょう。2020年3月の売上を前年同月の売上と比べてみると、ベスト3は次のような結果となりました。

①30%減った(20.8%)
②20%減った(16.5%)
③40%減った(13.0%)

それから④50%減った(11.7%)、⑤60%以上減った(11.3%)、⑥変わらない(8.8%)、⑦10%減った(8.2%)と続き、ようやく8位に「10%増えた(6.0%)」が出てきます。

つまり前年同月と比べて売上が10%以上減った飲食店は、81.5%にもなるのです。このデータは、緊急事態宣言が発令されるより前(4/3~4/6)に集計したものなのですが、すでにこれだけ大きな影響が出ていたとは驚きですよね。

出典:飲食店.COM(株式会社シンクロ・フード)調べによる「飲食店リサーチ

現在の営業状態は?

現在の営業状態は?

新型コロナウイルス感染が問題になってからの飲食店の営業状態を見ていきましょう。まだ緊急事態宣言が出る前ですが、飲食店の営業に次のような変化が見られました。

①普段通りに営業している(49.0%)
②営業時間を短縮した(30.9%)
③休業日を増やした(18.1%)

それから④営業自粛を検討している(17.7%)、⑤営業自粛中(10.5%)、⑥閉業を検討している(5.3%)、⑦閉業した(1.2%)と続きます。閉業を検討している店や閉業した店は合わせて6.5%にもなっていますので、コロナ禍が飲食店に与えた影響は大きいといえるでしょう。

このアンケート調査は緊急事態宣言が発令されるより前のものですので、緊急事態宣言が発令されて、街から人の姿が消えた後の飲食店の状況は、さらに悪化しているに違いありません。

出典:飲食店.COM(株式会社シンクロ・フード)調べによる「飲食店リサーチ

営業を続けるための取り組みは?

営業を続けるための取り組みは?

コロナ禍の中で、運営する飲食店を継続するために検討していることを見ていきましょう(複数回答)。

①融資・補助金・助成金を活用する(54.7%)
②テイクアウト販売を始める・または強化する(52.7%)

③営業時間を短縮する(30.5%)

それから④店舗家賃の支払いの猶予を求める(26.5%)、⑤従業員を減らす(26.3%)、⑥営業自粛する(17.9%)、⑦イートインの売上維持に取り組む(16.3%)、⑧特になし(4.3%)と続きます。

飲食店の営業を続けるために、思いつく限りの取り組みをおこなっているような状況ですよね。このまま収入がなければ倒産してしまうので、店舗を維持するために助成金などを活用しながらテイクアウト販売に力を入れるなど、コロナの影響を受けにくい方法を考えることが生き残るための一つのキーとなりそうです。

出典:飲食店.COM(株式会社シンクロ・フード)調べによる「飲食店リサーチ

コロナ禍に対応する飲食店への助成金には、たとえば次のようなものがあります。

引用元:令和2年度補正事業 外食産業におけるインバウンド需要回復緊急支援事業

テイクアウト販売をしている?

テイクアウト販売をしている?

コロナ禍で飲食店の売り上げが激減する中、テイクアウトを始める店が増えてきているようです。テイクアウト販売への積極性を見ていきましょう。

①テイクアウト販売を行っている(51.4%)
②テイク販売を行っていないが検討中(19.6%)
③テイクアウト販売を行っていないし今後もやる予定はない(16.5%)

それから④テイクアウト販売を行っていないが準備を進めている(12.5%)と続きます。実に83.5%もの飲食店がテイクアウト販売に活路を見いだしている状況であるということがわかります。

テイクアウトでしたら、人と人との接触を最小限に抑えることができますので、コロナ感染を防ぐために効果的ですよね。たとえコロナ感染のリスクがあろうとも、人間の飲食が消えることはありませんので、テイクアウト販売が増えていくことは消費者としてもありがたいことなのではないでしょうか。

出典:飲食店.COM(株式会社シンクロ・フード)調べによる「飲食店リサーチ

テイクアウト客を集めるための工夫は?

テイクアウト客を集めるための工夫は?

テイクアウト客を集めるために工夫したことや効果があったことを見ていきましょう。

「来店したお客様へテイクアウトの宣伝を行ったことで、口コミでテイクアウトの利用客が増えました」 (兵庫県/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)
「Facebook、Instagramでの告知を強化。また、Googleマイビジネスで新着情報を告知しています」(神奈川県/カフェ/1店舗)
「宅飲み用のおつまみセットを販売しています」(神奈川県/その他/3~5店舗)
「割引券つきのチラシをテイクアウト容器に添付し、イートイン客の集客にも役立てています」(東京都/アジア料理/1店舗)

飲食店.COM(株式会社シンクロ・フード)調べによる「飲食店リサーチ

口コミ、Fabebook、INstagram、Googleマイビジネス、割引券など、テイクアウト販売と同時に宣伝活動にも力を入れていることが伝わってきます。来店客のリピート率を上げることも含め、コロナ禍で生き残るには、複数の方法を活用していくことが必要なのかもしれません。

デリバリー販売をしている?

デリバリー販売をしている?

コロナ感染防止のため、人との接触を抑えて売上を上げる方法として飲食店のデリバリー販売も注目されています。テイクアウト販売に続いてデリバリー販売への積極性も見ていきましょう。

①デリバリー販売を行っていないし今後もやる予定はない(43.8%)
②デリバリー販売を行っていないが検討中(25.7%)
③デリバリー販売を行っている(19.1%)

それから④デリバリー販売を行っていないが準備を進めている(11.5%)と続きます。今すでに実施している店や準備中の店を含めると、デリバリー販売に積極的な店は56.3%にもなります。

56.3%という数値は、テイクアウト販売の83.5%と比べると少々低いかもしれません。しかしそもそもデリバリーに適していない飲食物を提供している店や、従業員の数が少ない店もあることから考えると、多くの店がデリバリーにも積極的であるといえそうです。

それにテイクアウトは今ある店舗を利用してすぐに取り入れることができますが、デリバリーとなると顧客管理の仕組みなど、取り入れるためのハードルが少し上がってしまいますよね。それでも過半数の店がデリバリーにも意欲的なのです。

出典:飲食店.COM(株式会社シンクロ・フード)調べによる「飲食店リサーチ

デリバリー客を集めるための工夫は?

デリバリー客を集めるための工夫は?

デリバリー客を集めるために工夫したことや効果があったことを見ていきましょう。

「複数のデリバリーサービスに手を出さずに絞ったことで、オーダーが集中するように感じる。また競合他店より少し割引をした」 (東京都/テイクアウト/1店舗)
「SNSでの情報発信が地域のお客様を集客するのに1番影響があると思う。あとは地域の新聞、地方紙などで告知する」 (千葉県/和食/2店舗)
「料理は1人前ずつで真空パックにして、冷蔵で最低でも2週間は日持ちするものを作っています」(東京都/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)
「代行配送の手数料が高いため、自社配送に切り替え粗利UP 」(神奈川県/専門料理/2店舗)

飲食店.COM(株式会社シンクロ・フード)調べによる「飲食店リサーチ

デリバリーサービスを絞ったり、競合他店よりも割引したりするなど、単にデリバリーするのではなく「どうしたら効果が出るか」をきちんと考えた上でデリバリー販売を活用している様子が見てとれますよね。

それからSNSでの情報配信、新聞、地方紙などでの告知、一人暮らしの方でも利用しやすいパック、手数料の問題をクリアなど…デリバリー販売の方法も細かく工夫して他店との差別化を考えていることが伝わります。

コロナ禍で売上が増えたフランチャイズは?

コロナ禍で売上が増えたフランチャイズは?

コロナ禍での生き残り策について飲食店のアンケート結果から見てきましたが、フランチャイズの中でも数は少ないのですが、売上を伸ばした勝ち組の飲食店があります。2020年3月分の既存店の売上が、前年同月の売上と比べて上回った大手のフランチャイズ企業は、次の2つです(帝国データバンクの公開資料より)。

出典:帝国データバンク

ほとんどすべての飲食店が売上を落とした中で、ケンタッキーフライドチキンとモスバーガーがコロナ禍で売上を伸ばしたことは、飲食店に対する希望を残した結果ともいえるでしょう。

どちらのフランチャイズも、テイクアウト販売に力を入れているのはもちろんのこと、デリバリー販売にも積極的に取り組んでいます。個人で飲食店を運営するかどうか悩んでいる方は、ケンタッキーフライドチキンやモスバーガーの販売方法を参考にしてみるのもいいかもしれません。

・ケンタッキーフライドチキンのデリバリー販売「お届けケンタッキー
・モスバーガーのデリバリー販売「モスのネット注文

まとめ

まとめ

アンケートの結果から飲食店がコロナ禍で生き残るための方法についてお伝えしました。どんな内容だったか、カンタンにふり返ってみましょう。

  • ・新型コロナウイルスの影響で売上が減った飲食店は83.5%
  • ・普段通りに営業している飲食店は49.0%
  • ・営業を続けるために取り組んでいることは、助成金の活用、テイクアウト販売、営業時間の短縮など
  • ・テイクアウト販売に積極的な飲食店は83.5%
  • ・テイクアウト客を集めるための工夫は、口コミ、SNS、割引券など
  • ・デリバリー販売に積極的な飲食店は56.3%
  • ・デリバリー客を集めるための工夫は、SNS、新聞、販売方法の見直しなど
  • ・コロナ禍で売上が増えた大手フランチャイズは、ケンタッキーフライドチキンとモスバーガー
  • ・ケンタッキーフライドチキンもモスバーガーも、テイクアウト販売とデリバリー販売に積極的

こうして見ていくと飲食店が、売上が減ったことを嘆くばかりでなく、営業を継続するために色々なことに取り組んでいる様子が伝わります。コロナの感染を防ぐため、飲食店が生き残るためにはテイクアウト販売とデリバリー販売は、基本スタイルといってもいいかもしれませんよね。

それから効果的な情報配信の方法として、Facebook、Twitter、インスタグラムなどのSNSを活用することに挑戦している人もいました。他の広告媒体と違って、SNSはほとんど費用がかからないところが何よりのメリットですので、チャレンジあるのみです。

新型コロナウイルスによって、私たちは今まで当たり前にあった「人と人が触れ合う」ことがどれだけ貴重な時間であったかを思い知らされました。アフターコロナからより進んだウィズコロナの時代を迎え、これからはコロナと共存していくような社会の変化が求められています。

厳しい状況は続くと見られていますが、人間は時代に合わせて変化していますので、このような苦境に負けることなく新しい社会を作っていけるはずです。お気に入りの飲食店のあの味を守ることに、私たちも協力していきたいですよね。