【パソコン・スマホ】修理・サポートのフランチャイズ市場

総務省がまとめた今年の情報通信白書によれば、スマートフォン普及率は71.8%と前年度より微減したものの、ほぼ頭打ち状態となっています。端末のOS別では世界各国でグーグル社製のAndroid(アンドロイド)が多数派となるなか、日本ではiPhone(アップル社)が7割と圧倒的シェアを占めています。

iPhone優勢の背景を受け、スマートフォンの修理を請け負うリペアサービスが今注目されています。iPhoneの修理を専門に行う修理業者「あいさぽ」によると、スマートフォン修理国内市場は2300億円を超え、2020年には4000億円に達すると見込まれています。

従来の折りたたみ式の携帯電話と比べてスマートフォンは画面が割れやすいなど、修理需要が高い端末です。スマートフォン修理サービスをフランチャイズ展開する企業も年々増加しており、今後も修理市場の拡大が期待されている注目の分野です。

スマートフォンの普及と修理サービス

従来型の携帯電話を修理する場合、キャリアに依頼するのが一般的でしたが、スマートフォン修理ではより安価な修理専門業者を利用する傾向にあります。駅前や大型ショッピングモールでスマートフォン修理の店舗を見かけることも多くなったではないでしょうか。特にiPhoneユーザーが多い日本では、同機種を専門とした第三修理業の出店が増えています。

スマートフォン普及率71.8%

電車に乗れば真っ先にスマートフォンをいじりだす乗客がほとんどです。情報通信白書(2017年版)によると、昨年のスマートフォンの普及率は71.8%で前年より0.2%ポイント減少。2010年以降、普及率は急激な拡大をみせていましたが、現在はほぼ高止まり状態と言えます。

またタブレットの普及も進んでおり、昨年は34.4%と前年度より1.1%ポイント増加しました。

一方、固定電話の普及率は減少傾向です。過去10年間で90.7%から昨年は72.2%まで落ち込みました。

スマートフォン等の普及率

スマートフォン タブレット 固定電話
2007年 90.7%
2008年 90.9%
2009年 91.2%
2010年 9.7% 7.2% 85.8%
2011年 29.3% 8.5% 83.8%
2012年 49.5% 15.3% 79.3%
2013年 62.6% 21.9% 79.1%
2014年 64.2% 26.3% 75.7%
2015年 72.0% 33.3% 75.6%
2016年 71.8% 34.4% 72.2%

(参照:総務省 平成29年度情報通信白書)

iPhoneが圧倒的人気の日本

スマートフォン端末をOS(オペレーティング・ソフト)別に見たアウンコンサルティング社の調査では、多くの国でAndroidがトップシェアとなるなか、日本ではiPhoneが圧倒的となる68.9%を占めます。アジアでiOSがAndroidを上回っているのは日本のみで、このほかオーストラリア(iOS57.4%、Android40.7%)、アメリカ(iOS54.0%、Android44.9%)、カナダ(iOS52.7%、Android43.3%)、スイス(iOS59.3%、Android38.9%)などがあります。ただ、iOSのシェア率が60%を超えているのは日本のみです。

スマートフォンのOSシェア率で見る各国比較

国・地域 iOS(アップル社) Android(グーグル社)
日本 68.9% 30.1%
韓国 18.1% 81.7%
中国 24.7% 74.4%
オーストラリア 57.4% 40.7%
アメリカ 54.0% 44.9%
カナダ 52.7% 43.3%
ブラジル 10.0% 83.9%
フランス 35.2% 62.1%
ドイツ 30.0% 67.3%
スイス 59.3% 38.9%
ロシア 28.5% 67.3%
エジプト 6.6% 89.9%
南アフリカ 8.4% 71.7%

(参照:アウスコンサルティング「世界40カ国、主要OS・機種シェア状況」)

2020年に市場規模4000億円!?

スマートフォン全体の修理市場は、2008年ではわずか41億円だったものの2015年では2300億円を超えました。スマートフォン契約者数も過去7年間で57倍となる6850万人に伸びました(参照:あいさぽより)。今後も拡大を続ける修理市場は2020年に4000億円を突破すると予想されています。

スマートフォン修理市場の推移

修理市場 iPhone出荷台数 契約者数
2008年 41億円 62万台 120万人
2009年 107億円 169万台 315万人
2010年 304億円 323万台 895万人
2011年 325億円 725万台 955万人
2012年 873億円 1066万台 2568万人
2013年 1482億円 1443万台 4358万人
2014年 1950億円 1648万台 5734万人
2015年 2329億円 1473万台 6850万人

(参照:あいさぽ)

このように、近年のスマートフォンの普及に伴い、修理サービス需要は年々高まりを見せています。

修理・サポートサービスの利用状況

iPhoneの修理では画面(ガラス)のヒビ割れや水漏れによる故障は保証対象外であるため、修理代金が高額になることも少なくありません。しかし、一般的な第3修理業者は正規修理代金よりも安く請け負っているため、利用者は年々増加しています。

修理経験者は7割以上

調査会社のMM総研が行ったアンケート調査によれば、故障経験のあるスマートフォンユーザのうち修理サービスを利用したことがある人は7割以上に及びました。修理先ではキャリア(携帯電話事業者)が最も多く75.5%で、次いでアップル社16.8%、第三修理業者2.6となりました。

スマートフォンの契約形態で格安SIMの利用者が少ないため、国内3大手事業者に修理を依頼するケースが多いとみられます。
第三修理業者を選択する理由として、「端末をすぐに修理してくれるから」が44.9%で最も多く、次いで「料金が安いから」が挙がりました。

このほか、キャリアに修理を依頼する理由では「端末補償サービスを契約しているから」が33.0%で最も多く、アップルに依頼する理由では、「利用している端末の製造メーカーだから」(23.8%)、「メーカーとしての安心感・信頼感があるから」(20.9%)が多くなりました。

修理先別の理由

キャリア(携帯電話事業者) 端末補償サービスを契約しているから 33.0%
スマートフォンの購入先だから 31.6%
代替機を無償で貸し出してくれるから 20.9%
アップル社 端末補償サービスを契約しているから 29.7%
利用している端末の製造メーカーだから 23.8%
メーカーとしての安心感・信頼感があるから 20.9%
第3修理業者 端末をすぐに修理してくれるから 44.9%
料金が安いから 39.1%
端末内のデータを残したまま修理してくれるから 18.8%

(参照:MM総研)

3年間で約1000店舗増加

第3修理業者の店舗数は年々増加しています。2015年3月末時点では652店舗でしたが、翌年には1197店舗、今年は1418店舗、そして2018年3月には1600店舗と予測されました。

第3修理業者の店舗数推移と予測

2015年3月末 652億円
2016年3月末 1197億円
2017年3月末 1418億円
2018年3月末 1600億円

(参照:MM総研)

総務省は2015年か一定の条件をクリアしたキャリア以外の修理業者を「登録修理業者」として認める認可制度をスタートしました。認定業者は26業者いますが(2017年9月時点)、ユーザーの間では「聞いたことがない」とする割合が78.5%と認知度は高くない様子です。今後は修理需要に対応するため認知度向上に向けた取り組みが期待されます。

代表的なフランチャイザーは?

スマートフォン修理業を営む企業のうちフランチャイズ展開している会社は多数あります。なかでもiPhoneの修理専門店である「あいさぽ」は、東京都内を中心に全国展開しているフランチャイザーです。

スマートフォン修理のFC加盟の魅力の1つに小スペースでの開業が挙げられます。あいさぽによれば最低5坪での開業が可能で、短期間での資金回収ができるとしています。

また、首都圏の主要駅周辺でおもに店舗運営しているiPhone修理ジャパンはフランチャイズフィーやロイヤリティゼロを掲げる本部となります。同社では液晶およびバッテリー交換技術の研修としてそれぞれ6時間の講習を受ける必要があります。開業支援では店舗の内装・デザイン設計ほか、広告支援・ウェブ支援を受けることができます。修理支援では、対応できないケースは本部に依頼することもできるとしています。

このほか、Android端末を中心に請け負う「スマホ修理王」は、ソニー製XPERIAの修理をはじめとした第3修理業者です。iPhone向けの修理業者が多いなか、同社はAndroid端末の豊富な修理経験を武器にフランチャイズ展開しています。画面のヒビ割れ、水没修理や基盤交換ほか、タブレットが従来型携帯電話の修理サービスにも対応しています。開業後のフォローでは電話やメールによる技術サポートや特別価格でのパーツ提供があるとしています。

都内を中心とした人口密集地で数多く見かけるようになったスマートフォン専門のリペアショップ。国民1人につきスマホを1台持つようになるまで時間の問題と言われています。リペアフランチャイズから目が離せない状況が続きそうです。