英会話教室でフランチャイズに加入する際のポイントまとめ おすすめのFC英会話も紹介

近年普及しているフランチャイズには様々な業種がありますが、英会話教室の開業費用や収益性はどの程度なのでしょうか。フランチャイズには、ブランド力をはじめ教室経営のノウハウや多彩な教育システム、カリキュラム・教材などを利用でき、強力な宣伝広告をしてもらえるなど様々なメリットがあります。英会話教室を成功させる近道は、これらフランチャイズのメリットを最大限活用することです。

本記事では、フランチャイズ英会話教室を始める費用や収益、フランチャイズ英会話教室に加入する際のポイントを解説するとともに、人気のフランチャイズ英会話教室を紹介します。フランチャイズで独立開業を目指している方は、ぜひ参考にしてください。

目次

フランチャイズ英会話教室とは

フランチャイズ英会話教室は、フランチャイズに加入して英会話教室の経営を行う営業形態です。フランチャイズとは、フランチャイズ加入者が、フランチャイズ企業に対価を支払い、その代わりに、フランチャイズ企業の持つ商号ブランドをはじめ、営業システムや商品・サービス・経営ノウハウなどを使用する権利を得る仕組みです。

フランチャイズ企業に支払う対価は、フランチャイズに加入するための加盟金、および毎月の売上げの中から何%かを支払う手数料としてのロイヤリティからなっています。

フランチャイズに加入すれば、このようなフランチャイズ本部から提供されるメリットを享受しながら英会話教室の経営を行うことができます。

フランチャイズ英会話教室の開業費用

フランチャイズ英会話教室を始めるには、どの程度の資金がかかるでしょうか。ここでは、各フランチャイズに共通する開業に要する資金を掲載しました。各フランチャイズで必要資金の捉え方や計上方法が異なるため、単純に比較はできませんが、フランチャイズ英語教室を開業するには、おおむね500~1,000万円程度が必要です。

【開業費用内訳】

加盟金 ・フランチャイズに加入するための費用
・フランチャイズにより金額は異なる
物件取得費
または
物件賃借費
・教室の場所を確保するために、不動産物件を購入する場合は物件購入費、不動産物件を賃借する場合は物件賃借に要する費用
・不動産物件を購入する場合は、まとまった資金が必要
・自宅または既存物件を活用する場合は不要
教室工事費 教室の内装、教室の看板、教室出入口の錠工事に要する費用
教室設備費・備品費 教室の机・椅子・パーテーション・パソコン・エアコンなど設備・備品を揃えるための費用
教材費・文具費 開業時に揃えておく教材や文具に要する費用
研修費 教室のオーナーになるために、本部で受ける研修に要する費用
宣伝広告費 生徒募集のために宣伝広告を行う費用

英会話教室の開業費用は、他の業種に比べ、大きくかかりません。例えば、飲食店や小売店の場合は、人が集まる駅前など、交通の便が良い場所に出店する必要があるため、物件取得費や物件賃借費が多くかかります。

それに対し英会話教室は、生徒が通える場所であれば駅前でなくても運営ができるため、物件取得費や物件賃借費を抑えることができます。

また、飲食店や小売店は、まとまった費用がかかる厨房設備が必要である、または、店舗内の内装や設備を凝った造りにする必要があるなどのため工事費もかかり、総額数千万円が必要になるケースもみられます。

その点英会話教室は、学習のできる環境を作ればよく、内装・設備にお金をかける必要がありません

そのように、他業種と比較して開業資金が大きくかからない英会話教室ですが、開業資金に占める割合が高い項目が、教室の物件取得費・物件賃借費です。上記で、フランチャイズ英会話教室を開業するには、おおむね500~1,000万円程度が必要と述べましたが、この費用には、教室の物件取得費・物件賃借費が加わっています(物件を購入する場合は500~1,000万円では不足、物件を賃借する場合は500~1,000万円もかかりませんが、両者を平均するとこのような金額に落ち着きます)。

自分で教室となる場所を提供できる場合、または、すでに塾経営を行っていて既存教室をそのまま利用できる場合には、開業費用をさらに圧縮できます。

後に説明しますが、教室のスペースを自分で用意できる場合には、少額で開業できるフランチャイズもあります。

フランチャイズ英会話教室の収益

それでは、フランチャイズ英会話教室では、どの程度の収益が得られるのでしょうか。
フランチャイズ英会話教室の売上収入や営業利益は、各フランチャイズや個々の教室によって違います。

しかし、教室経営を軌道に乗せることができた場合は、年間売上収入は2,000~3,000万円、教室経営にかかる年間必要経費が1,000~1,500万円程度、年間売上収入から年間必要経費を差し引いた年間営業利益が1,000~1,500万円程度が基準になります。

通常、英会話教室の運営期間が長くなれば、教室の知名度がアップし、生徒や保護者の信頼性も上がるため生徒数が増加し、営業利益は増えていく傾向にあります。

〇営業利益=売上収入-必要経費
〇手元に残る利益=営業利益-ローン返済金-税金
これをまとめると、
◎年間の手元に残る利益=年間売上収入-年間必要経費-年間ローン返済金-年間の税金

【売上収入内訳】

入学金 ・入学金は、生徒の入学時に入る収入
・継続性なし
授業料 ・生徒1人あたり月に30,000~35,000円程度
(計算例)
・生徒1人あたり月30,000円として、50人集まれば、
30,000円×50人×12月=年間1,800万円
・生徒1人あたり月35,000円として、70人集まれば、
35,000円×70人×12月=年間2,940万円
その他の収入 ・教材販売や特別レッスン料
・継続性なし

【必要経費内訳】

教室家賃 教室の場所を賃借するための家賃
講師人件費 外部講師を雇うための人件費
教材費・文具費 教材・文具購入のための費用
光熱水費 教室の照明代・冷暖房費・上下水道費などの費用
宣伝広告費 生徒募集のための広告宣伝費用
ロイヤリティ 売り上げの中からフランチャイズ本部に支払う手数料
諸経費 教室設備・備品の修繕費、洗剤・雑巾等の消耗品費など

【その他の支出】

必要経費ではありませんが、開業資金を融資で賄った場合のローン返済金、および税金が支出項目に加わります。

運営面では、英会話教室は他の業種に比べ、大きなリスクを負う心配がありません。
例えば、飲食店や小売店は、商売を行う上で材料や商品を仕入れることが前提となります。仕入れた在庫品をすべて消化できればよいですが、時として売れ残り在庫を抱えてしまうリスクがあります。

それに対して、英会話教室は在庫を抱えることがないため、その分商売上のリスクが大きく軽減されます。

また、英会話教室は、安定した事業が行える業種です。なぜなら、英会話教室は、他の業界と比べると、長期にわたり安定した収入が見込めること、および、事業の先を見通しやすいことなどが理由です。長期にわたって見込める安定した収入とは授業料収入であり、事業を見通しやすいとは、生徒数がどのように変化していくかについて先読みができることです。

英会話教室の生徒は、一旦入校すると長く続けようとします。生徒は、退学しない限り、来月もその次の月も継続して月謝を払ってくれるのです。他の業種、例えば飲食店や小売店などでは、元来一過性の客が多く、長期にわたって継続してお金を落としてくれる客は、あまり多くありません。

その点、英会話教室の生徒は、学習成果が表に現れてくる時期まで、あるいは受験や資格試験などで目標を達成する時期まで、一定の期間は継続する意思を持って入学してきます。

また、子供を英会話教室に通わせている保護者も、学習成果が現れるまでは自分の子供を継続して学ばせようとします。その間は、毎月授業料という安定した収入を得ることができるのです。

さらに、生徒が英会話教室を退学する時期も、ある程度は先読みができます。生徒が受験生の場合は入試や資格試験が終わる時期、海外留学を目指している場合は留学が決まる時期などです。このように英会話教室は、年間を通じて在籍する生徒数や退学する時期について、ある程度先読みが可能な業種です。

フランチャイズ英会話教室のメリット

次に、フランチャイズ英会話教室を始めると、どのようなメリットがあるかをみていきましょう。

ブランド力が利用できる

フランチャイズ英会話教室に加入する最大のメリットは、フランチャイズの有するブランド力を利用できることです。

通常、どこか良い英会話教室がないかと探す場合は、有名な商号を持つ教室を優先して調べていきます。その理由は、有名な英会話教室であれば、その講師陣や教育システムに信頼が置けると判断されるためです。英会話教室などのスクールでは、他の何よりも、授業や教育の質が重要視され、「有名=質が高い」と思われるのです。

さらに、大手のフランチャイズ英会話教室ともなると、有名校への合格や海外留学生排出、資格試験取得など豊富な実績も加わり、一般の人は「やはり、有名なスクールなら間違いない」と考えてしまう傾向があります。

その点で、周知度の低い個人経営の教室などでは、どのように良い授業を行っていても、生徒や保護者の信頼感を得ることは簡単ではありません。

このように、有名な商号を持つフランチャイズ英会話教室では、加入者は商号の知名度や実績などのブランド力を利用することができます。

経営ノウハウが利用できる

フランチャイズ英会話教室は、教室経営のための豊富なノウハウを持っています。フランチャイズ英会話教室は、様々な広告媒体の中で何を使えば効果的か、どのようなタイミングで宣伝広告すればよいかなどについて分析・検討を行っており、その分析結果に基づいて効果的な生徒募集を行うことができます。

また、フランチャイズ英会話教室では、成功できる標準的なビジネスモデルを持っています。標準的なビジネスモデルは、「この立地と規模の教室であれば、生徒数が〇人程度で、売上げや営業利益が〇円程度見込める」というひな形です。この標準的なビジネスモデルは、その枠から外れないかぎり、英会話教室の経営は継続してできるという水準からなっているのです。

それに対し、個人で英会話教室を始める場合は、初めの数年間は苦労を重ねながら経営を行い、安定して事業継続できる生徒数やコストなどを求め、安定経営のためのモデルを自分で作り上げていく必要があります。

このようにフランチャイズの加盟教室では、事業開始当初からフランチャイズのビジネスモデルを目標に教室運営を進めれば、いち早く経営を安定させることが可能となります。

カリキュラム・教材が利用できる

フランチャイズ英会話教室では、授業カリキュラムや教材は本部から提供されます。個人経営の英会話教室では、オーナーが自分で年間カリキュラムを作成し、また、授業で使用する教材を調達・用意しなければなりません。

それに対して、フランチャイズ英会話教室では、年間のカリキュラムや教材はフランチャイズ本部から提供してもらえるため、オーナーが自分で作業する負担がかかりません。

多彩な教育システムが利用できる

英会話教室は、パソコンやスマホを使ったWEB配信型やオンライン双方向コミュニケーション型の授業に適しています。特に、オンラインで講師と生徒がマンツーマンのレッスンを行えば、非常に効果的です。

また、最近では新型コロナウィルスの感染拡大の影響で、自宅に居ながらオンライン授業が受けられる英会話教室も増えています。

このように近年普及が進んできたオンライン授業ですが、個人経営の英会話教室で、オンライン授業用の視聴覚機器やツール・教材を揃えるには、費用的にかなりの負担となります。

フランチャイズでも一定の備品費は必要ですが、配信ツールや教材はフランチャイズ本部から提供を受けることができます。

強力な宣伝広告が利用できる

フランチャイズ英会話教室は、ネットやテレビ、雑誌などを通じて強力な宣伝広告を行っています。その理由は、強力な宣伝広告を行うことで、その教室に生徒が集まり、フランチャイズ加入事業者も増え、その結果、本部に入るフランチャイズ加盟金やロイヤリティが増えるからです。

そのため、大手のフランチャイズともなると、その資金力にモノを言わせて強力な宣伝広告を展開するため、個人経営の教室はとても敵いません。

フランチャイズ英会話教室に加入すれば、その強力な宣伝広告を利用して、生徒募集を有利に展開できるメリットがあります。

本部の支援が利用できる

フランチャイズ英会話教室では、事業経営の様々な局面で本部のサポートを受けることができます。

一般的に、英会話教室の経営では以下のような問題が発生します。

  1. ①生徒が集まらない
  2. ②退学する生徒が増えた
  3. ③生徒の成績が伸びない
  4. ④近隣に他の英会話教室が開校する

個人で英会話教室を経営している場合は、このような様々な問題について、独力で解決していかなければなりません。その点、フランチャイズ英会話教室では、このような様々な問題に対し、本部の経験豊富なスタッフが問題解決のための指導やアドバイスを行ってくれるメリットがあります。

生徒の幅が広い

これはフランチャイズに限ったことではありませんが、英会話教室の生徒は、一般の学習塾に比べ、その幅が非常に広いというメリットがあります。一般の学習塾の生徒は、進学を目指している小・中・高校生がほとんどを占めています。

それに対して英会話教室の生徒は、次のように多彩です。

  1. ①進学を目指している小・中・高校生
  2. ②幼時期から英会話を学ぶ小学校入学前の児童
  3. ③実践的なビジネス英会話を学ぶ会社員や自営業者
  4. ④海外留学を目指して英会話を学ぶ生徒
  5. ⑤海外旅行や海外移住のために英会話を学ぶ一般の人
  6. ⑥定年退職後に趣味として英会話を学ぶ高齢者

このように英会話教室は生徒の幅が広いことから、それだけ多様なニーズがあると判断することができます。

フランチャイズ英会話教室のデメリット

フランチャイズ英会話教室には、デメリットもあります。次は、そのデメリットについてみていきましょう。

開業費用が必要である

フランチャイズ英会話教室を始めるには、以下のような開業費用がかかります。

  1. ①フランチャイズ加盟金
  2. ②物件の取得費・賃借費
  3. ③教室内装費・看板工事費・出入口錠前工事費
  4. ④教室設備費・備品費
  5. ⑤教材費・文具費
  6. ⑥研修費
  7. ⑦宣伝広告費

これら必要となる開業費用は、フランチャイズによって異なります。また、開業場所や教室規模、教室物件を取得するか賃借するか、自前で用意するかなどにより差が生じますが、一般的には500~1,000万円程度が必要です。

なお、自宅を教室に改装して個人で英会話教室を始める場合は、上記の費用のうち、①フランチャイズ加盟金、②物件の取得費・賃借費、⑥研修費などがかからないため、開業費用を大幅に節約することも可能です。

ロイヤリティの支払いが必要である

フランチャイズ英会話教室では、本部に毎月ロイヤリティ(手数料)を支払うことになります。ロイヤリティの具体的な金額はフランチャイズによって様々ですが、一般的には、入学金の50%、授業料・特別講習費の10~12%程度となっています。

ペナルティが発生する場合がある

通常、フランチャイズ契約には5年、10年などの契約期間があるため、その契約期間中に途中解約するとペナルティが発生する場合があります。この契約期間の長さや違約金の額は、フランチャイズによって様々です。

このため、個人経営の英会話教室では、いつ廃業するのも自由に決めることができますが、フランチャイズ英会話教室では勝手に止めることができません。フランチャイズ契約期間の途中にもかかわらず、オーナーの都合で教室を閉鎖すると違約金をとられる場合があります。

本部の経営方針に従う必要がある

フランチャイズ英会話教室では、教室の運営に関することは本部の方針に従う必要があります。このため、以下の事項については、教室オーナーが自由に決めることができないケースが多くみられます。

①開業場所

個人で英会話教室を始める場合は、開業場所を自分の意思で自由に決めることができます。しかし、フランチャイズ英会話教室では、開業場所は本部で決定するケースがほとんどです。

その理由は、既存の加盟教室と商圏が重なり競合しないように、本部が開業場所をコントロールするためです。

②授業料

フランチャイズ英会話教室では、授業料も本部が決定します。このため、加盟教室オーナーが授業料を安く設定しようと思ってもできません。フランチャイズには標準的なビジネスモデルがあり、その枠から外れないよう、定められた授業料を設定する必要があります。

③カリキュラム・教育内容・指導方法・教材

フランチャイズ英会話教室では、教育カリキュラムや教材も本部で提供されたものを使用することになります。

また、教育内容や指導方法もフランチャイズの標準モデルに従うことになります。例えば、「小学校低学年には、どの位のレベルでどのような内容のレッスンを行うか」などがあらかじめ決められており、テキストも用意されています。

さらに、フランチャイズの標準的な指導方法がパソコンを使用したオンライン授業の場合には、加盟教室オーナーの希望がパソコンを使わない対面授業であっても、定められた指導法に従う必要があります。

ただし、オンライン授業と対面授業併用型の指導法を採用しているフランチャイズであれば、オーナーの交渉次第で対面授業の割合を高める余地は残されています。

生徒募集に有利とは限らない

フランチャイズは予算をかけて宣伝広告を行うことができるため、生徒募集で有利な立場にあります。しかし、必ずしも生徒募集で絶対的に有利であるとは限らないことを念頭に置く必要があります。

通常、英会話教室に入学しようとする場合は、その教室の知名度や信頼性が大きな決定要因となりますが、英会話教室を選ぶ材料は知名度や信頼性だけではないからです。

知名度・信頼性以外の決定要因には、次のものがあります。

  1. ①教室の場所
  2. ②授業料の額
  3. ③教育内容・教育システム
  4. ④講師の質

以上のような教室選びの材料が複合的に勘案され、それぞれの生徒が自分の価値観や好みに従い教室を選ぶことになります。このため、知名度や信頼性がある大手フランチャイズであっても、その他の要因次第では、生徒募集に苦労する場合もあり得るのです。

フランチャイズ英会話教室に加入する際のポイント

それでは、フランチャイズ英会話教室に加入する際は、どのような点に気をつければよいのでしょうか。次は、フランチャイズ英会話教室に加入する際のポイントをみていきましょう。

自分がフランチャイズに向いているか検討する

フランチャイズ英会話教室への加入を検討するにあたり、最も重要なことは、自分がフランチャイズに向いているかどうかという点です。フランチャイズに加入すると、フランチャイズの持つ経営ノウハウや教育システム、教材などを利用できる反面、英会話教室の経営方針はフランチャイズ本部の指示に従わなければなりません。

このことから、次のような人はフランチャイズに向いていると判断できます。

①英会話教室の経営経験がない初心者、ノウハウを持っていない人

英会話教室の経営経験がない初心者の人、または、英会話教育についての知識やノウハウを持っていない人は、フランチャイズ本部が提供してくれる標準経営モデルや教育システム・教材などを利用し、外部講師を雇って始めるのが安全で賢明な方法です。

②ある程度資金がある人

フランチャイズに加入して英会話教室を開くには、一定の開業資金が必要となります。融資を受けずに開業資金を賄える人は、開業にあたって非常に有利です。

逆に、次のような人はフランチャイズにはあまり向いていないでしょう。

①英会話教育に自分独自の考えや信念を持っている人

英会話教育に自分独自の考えや信念を持っている人は、フランチャイズの教育方針や指導法に納得できないことが多々生じてくる懸念があります。自分の考えや信念を貫き通したいという人は、フランチャイズには向いていません。

②資金をあまり持っていない人

開業資金をあまり持っていない人は、フランチャイズ加盟金を節約する、自宅を教室にする、自力で宣伝広告するなど、開業費用を極力抑える必要があります。その場合は、フランチャイズ加入の要件を満たせないことも多いでしょう。

フランチャイズ加入に際しては、自分がフランチャイズに向いているかを初めに検討することが大切です。

自分の計画に合うフランチャイズを選ぶ

同じフランチャイズ英会話教室でも、その教育理念や教育方法、教育対象、教室の経営方針などは様々に異なります。

例えば、英会話の幼児・児童教育に重点を置いている、大人対象に実践的なビジネス英会話を主体としている、日常会話など趣味として教えているなど、フランチャイズによって対象となる生徒や教育内容がそれぞれ異なっている場合があります。

小さい子供に英会話を教え育てることが夢であるにもかかわらず、幼児・児童教育に重点を置いていないフランチャイズに加入しても自分の目標は達成されません。また、本格的なビジネス英会話の指導を行いたい希望があるにもかかわらず、フランチャイズの力点が趣味的な日常英会話に置かれていたのでは、自分のやる気が不完全燃焼を起こしてしまいかねません。

フランチャイズに加入する際は、加入後に自分が何をやりたいのか、自分にはどのような青写真や計画があるのかなどについて十分に認識した上で、自分の計画に合うフランチャイズを選ぶことが肝心です。

市場調査・生徒募集に強いフランチャイズを選ぶ

英会話教室を軌道に乗せて成功させるには、事前の市場調査が欠かせません。事前の市場調査は、次の点に着眼して行います。

①年齢別・職業別・性別・居住地別の英会話ニーズ

年齢別・職業別・性別・居住地別にどの程度の英会話ニーズがあるかを調べます。それによって、ターゲット層や教室の立地場所を絞っていきます。

②英会話の内容別ニーズ

幼児教育、ビジネス英会話、受験英会話、資格試験用英会話、海外留学用英会話、日常英会話などで、それぞれのニーズがどの程度あるか調べます。それによって、英会話教室のメイン事業が絞られてきます。

③許容できる授業料の額、教室の所在

一般の人が許容できる授業料の額や教室の場所(駅から〇分など)を調べます。それによって、授業料の設定や教室の立地が絞られてきます。

④人気がある授業形式

オンライン対話形式、対面形式、オンライン・対面併用型などで、人気がある授業形式を調べます。これによって、授業形式が絞られてきます。

⑤既存の英会話教室の場所・規模等

既存の英会話教室の場所・規模などを調べ、競合状態を判断します。フランチャイズでは、組織的な市場調査を行い開校していきますが、その市場調査のタイミングや方法、結果の精度はフランチャイズによって異なります。

フランチャイズ英会話教室に加入する際は、科学的な市場調査を行い結果に結びつけているフランチャイズを選ぶことが大切です。

また、生徒募集に強いことも重要な選定要素です。英会話教室経営の生命線ともいうべき生徒募集は、ネット・テレビ・新聞・雑誌・電車広告・チラシ配布など多様々ですが、使用する広告媒体や広告のタイミングはフランチャイズによって様々です。

学習塾フランチャイズに加入する際は、宣伝が生徒や保護者の心を掴む内容になっているか、広告を出すタイミングはどうかなどに着眼し、生徒募集に力を入れているフランチャイズを選別することが肝心です。

教育システムが充実しているフランチャイズを選ぶ

近年、英会話教室では、パソコンなどの視聴覚機器を用いた指導法が普及しています。視聴覚機器を用いた指導法には、次のようなものがあります。

①授業・教材のビデオ配信

・授業の内容や教材をビデオ配信することで、生徒が好きなときに映像を視聴して学習することができる

②双方向コミュニケーション型の授業

  • ・オンラインで講師と生徒を繋ぎ、リアルタイムで指導を受ける
  • ・生徒が自宅で講師の説明や実技を視聴し、わからない箇所は即座に質問することができる

③スマホを使った指導

・パソコンのみでなく、スマホにも対応したリアルタイム指導

上記の中では、リアルタイムで指導が受けられる双方向コミュニケーション型の授業に人気がありますが、中でもスマホに対応した授業形態は、これからの主流になっていく可能性が高いといえます。

また、新型コロナウィルス感染拡大の影響により、英会話教室においても将来的にオンライン授業が一層普及拡大していく流れにもなっています。

大手のフランチャイズでは、それぞれ独自のオンライン学習システムを開発して指導を行っており、フランチャイズによって使用する配信ツールや教材などは様々に異なります。

フランチャイズ英会話教室を始めようとするのであれば、これからの時代は、視聴覚機器を活用した学習システムや学習環境、教材などが充実しているフランチャイズを選ぶのが間違いのない選択といえるでしょう。

カリキュラム・教材が充実しているフランチャイズを選ぶ

フランチャイズ英会話教室では、カリキュラムや教材は本部から提供されたものを使用することになります。したがって、フランチャイズに加入する際は、事前にカリキュラムや教材を十分にチェックし、生徒の英会話能力を効率的に伸ばしていけそうな内容になっているかを確認することが大切です。

フランチャイズ選びでは、カリキュラム・教材が充実していることも重要な判断材料です。

資金計画・事業の収支計画を立てる

【資金計画】

どのような事業を始める場合においても、初めに資金計画を立てなければなりません。フランチャイズ英会話教室を始める場合は、次のような開業費用が必要となります。

  1. ①フランチャイズ加盟金
  2. ②物件の取得費・賃借費
  3. ③教室内装費・看板工事費・出入口錠前工事費
  4. ④教室設備費・備品費
  5. ⑤教材費・文具費
  6. ⑥研修費
  7. ⑦宣伝広告費

具体的な開業費用の金額はフランチャイズによって様々ですが、まず、開業費用の合計額を算出し、そこから自己資金の額を引いた残りが融資を受ける額になります。

【事業の収支計画】

資金計画を策定したら、次に、事業の収支計画を立てておくことも必要です。事業の収支計画は、英会話教室経営による売上収入から必要経費などの支出を差し引き、営業利益を明らかにしておく計画です。

売上収入は、生徒の入学金、毎月の授業料、その他の諸収入を加えて算出します。

必要経費は、次の各費目を明らかにした上で合算して求めます。

  1. ①教室賃料
  2. ②講師等の人件費
  3. ③教材費
  4. ④文具費
  5. ⑤光熱水費
  6. ⑥フランチャイズ本部へのロイヤリティ
  7. ⑦その他の経費

そして、次のように営業利益を算出します。

営業利益=売上収入-必要経費

また、融資を受けた金額(元本・金利の合計額)は、毎年の営業利益から返済しますが、返済を続けるには、一定額以上の継続した営業利益が必要になることに注意しましょう。そして、営業利益からローン返済額と税金を差し引いた残りが、教室オーナーの手元に残る利益になります。

手元に残る利益=営業利益-ローン返済額-税金

フランチャイズには、英会話教室が軌道に乗る標準的なビジネスモデルがあり、例えば、開校3年目の生徒数は40人で、入学金・授業料収入が1,600万円、教室賃料以下の支出が900万円、営業利益が700万円などとなっています。

しかし、これはあくまでも標準的なモデルであるため、自分の教室の立地や規模、家賃額などによって実際の数字は変わってくるはずです。事業の収支計画は、標準的なビジネスモデルを自分の条件に当てはめて、各項目の数字を算出し直し、策定しておく必要があります。

そうしておくことで、実際の教室経営を軌道に乗せることができるか、融資の返済が滞らないかなどが判断でき、削減しなければならない支出項目も明らかになってきます。

個人で実績を積んでから加入する方法もある

英会話教室を始めようとする場合、まず頭に浮かぶのがフランチャイズへの加入です。フランチャイズに加入すると、これまでみてきたように様々なメリットがあるため、それは自然な流れといえるでしょう。

しかし、フランチャイズに加入する際は、加盟金やその他決められた費用を支払わなければならないため、ある程度まとまった資金が必要になります。また、開業資金を工面してフランチャイズに加入しても、生徒が思うように集まらず、途中で行き詰ってしまう可能性もあり得ます。

フランチャイズ英会話教室のスタート時に、第一関門を通過できるか否かは、

  1. ①開業資金を無理なく用意できるか(融資も含めて)
  2. ②開業後に、事業を継続できる数の生徒を集めることができるか(融資返済も含めて)

の2点に絞られます(その後、経営安定のための第二関門がありますが)。

特に、②の生徒集めは、英会話教室経営の生命線であり、同時に大きなリスクでもあります。

このようなリスクを負わないためには、いきなりまとまった開業資金を投資してフランチャイズに入るのではなく、個人で実績を積んでから後に加入するという方法があります。これは、開業資金を極力少額に抑えて、個人スクールとして実績を積んでいく方法です。特に、英会話や指導技術に一定の経験や自信を持っている人は、いきなりフランチャイズに頼らなくても、個人教室で始めてみるのも方法の一つです。

具体的には、家賃がかからないよう自宅を教室にして開業し、知人・友人などを介して生徒を紹介してもらうなどで宣伝広告費も節約していくやり方をとります。この場合は、開業費用を極力少額に抑えているため、生徒が小人数でも経営が成り立つ場合が多いのです。

そして、個人経営の英会話教室で数年間かけて生徒や保護者との信頼関係を築いていけば、教室の評判も次第に上がっていき、同時に開業のための資金も準備することができます。そうやって、準備万端整ってからフランチャイズに移行すれば、個人経営時代の生徒を一緒に引き連れて移動できるため、開業時の生徒募集で悩むこともなくなります。

また、開業資金も数年かけて準備していれば、無理なローンを組まなくてもよいというメリットがあります。

以上のように、個人で実績を積んでからフランチャイズに加入する方法も重要な選択肢です。

人気の学習塾フランチャイズ

次に、人気の学習塾フランチャイズを紹介しましょう。

ECCジュニア+ベストワン

「ECCジュニア」は、子供向け英会話で有名なECCが経営する幼児・児童対象のフランチャイズ英会話教室です。また、「ベストワン」は、同じくECCが経営する学習塾です。ECCでは、このECCジュニアとベストワンを同じ物件に併設し、幼児・小学生を囲い込みながら、学習塾へのレールを敷いた事業展開を行っています。

同じ物件で片方の空き時間に、もう一方の教室を開講できるため、資金的にも非常に効率的です。

また、大人向け英会話教室である「ECC外語学院」とベストワンの併設タイプもあります。新規開業にあたっては、本部で講師の採用を支援してくれるなど、ECCが強力にサポートしてくれます。

名称 ECCジュニア+ベストワン
対象生徒 小学生・中学生
開業資金 700~900万円
(内訳)
加盟金250万円
保証金52万5,000円
ロイヤリティ 授業料・諸費の10%、入学金の50%

ジオスバイリンガルスクール

ジオスバイリンガルスクールは、0歳から中高生までの生徒を中心に英会話スクールを開校しています。授業は、聞く・話す・読む・書くという各技能をバランスよく高める内容になっており、実際に使える英会話を身に付ける指導法を採用しています。

また、英会話だけでなく、学校の授業や英語検定などもカバーできるカリキュラムになっています。

教室の生徒募集は、WEB集客に力を入れており、各教室のWEBコンテンツ制作やメンテナンスは本部が対応しています。また、ジオスバイリンガルスクールは、既存の塾や教室と同じスペースで開校でき、その場合は新たな家賃が発生しないメリットがあります。

さらに、授業は1コマ(50分)単位でできるため、既存スクールの空き時間を使って開講できます。

名称 ジオスバイリンガルスクール
教室数 710校
対象生徒 0歳~大人
開業資金 〇自分で物件を用意する場合
171万6,000円
(内訳)
加盟金0円
看板代6,500円
校舎備品15万円
教材・販促物5万円
広告宣伝費20万円
デザイン・内装費100万円
 
*別途、物件取得費または物件賃借費が必要
 
〇既存教室を使う場合
166,000円
加盟金 0円
ロイヤリティ 授業料 生徒1名あたり1,000円/月
特別講習 講習費の10%
その他費用 広告分担金1万円/月
システム利用料5,000円/月
TV会議利用料900円/月
契約期間 開校から5年間

シェーン英会話

シェーン英会話は、全国で193校・首都圏に171校の教室を展開している英会話教室です。

対象生徒や授業内容は非常に幅が広く、2歳児から年中・年長の小学校入学前児童、小・中学生、ビジネス英会話、日常英会話、英検対策などを指導する各コースが設置されています。

無料体験レッスンやスクールカウンセラーによるレッスンプランの提案など、初心者でも受講しやすいシステムを作っています。

名称 シェーン英会話
教室数 193校
対象生徒 2歳~大人
開業資金 450万円+その他費用
加盟金300万円
保証金100万円
開校準備金50万円
(その他費用)
教室設備費
広告宣伝費
教材事務用品費
加盟金 300万円
ロイヤリティ 授業料の12%
標準収支モデル 教室20坪
生徒数150人
月間売上高180万円
月間粗利益74万円

ネス外国語会話

ネス外国語会話は、首都圏、大阪、新潟を中心に11校の教室を展開している英会話教室です。日常英会話、ビジネス英会話、旅行英会話、発音矯正、文法強化、TOEIC・TOEFL試験対策など、目的に合わせたカリキュラムが用意されています。

指導方法は、通学・スカイプ・講師派遣など様々な形態でのマンツーマン指導に力を入れている教室です。

名称 ネス外国語会話
教室数 11校
加盟条件 英会話学校運営に適した20坪前後の開業スペースを所有している、または用意できること
開業資金 モデルプラン(20坪・4部屋)
300万円
契約期間 1年間
初回更新後は1年ごとの更新

WinBe(ウィンビー)

WinBeは、個別指導学習塾、幼児教室、英会話学校、英語学童保育、バイリンガル幼児園を国内外に展開する「やる気スイッチグループ」が運営するフランチャイズ英会話教室です。全国1,500を超える商圏について、出店候補地の経済力や教育熱、潜在顧客層、子供数などを綿密に調査しています。

名称 WinBe
教室数 74校
収入モデル ・生徒数100名のケース
(月間)
売上高175万円
家賃(20坪)16万円
雑費・光熱費ほか8.5万円
広告宣伝費245万円
人件費73万円
 
(年間)
売上高2,100万円
営業利益636万円

まとめ

フランチャイズに加入して英会話教室を始めることは、フランチャイズの持つブランド力や経営ノウハウが利用できる以外にも、多くのメリットがあります。しかし、フランチャイズへの加入に際しては、加盟金をはじめ一定のまとまった費用がかかります。このことから、フランチャイズに加入するかどうかは、加入した場合のメリットとデメリットを総合的に勘案して判断することが求められます。

また、加入を判断するにあたっては、最初に、自己の信念や考えに照らし自分がフランチャイズに向いているかどうかについて、十分に検討することが肝心といえるでしょう。

そして、フランチャイズへの加入を決めた場合も、自分が従来から懐で温めてきた計画にマッチするフランチャイズを選ぶことが非常に重要です。
同じ英会話教室のフランチャイズでも、指導対象や教育内容はそれぞれに異なります。
フランチャイズの加入に際しては、後で後悔することがないよう、フランチャイズの教育方針や指導方法、力を入れているジャンルなどについて、十分に調査・研究することが大切でしょう。