沖縄ファミマがエリアフランチャイズ更新で体制強化

セブンイレブンがないことで有名だった沖縄県。しかし、セブンジャパンが2019年に同県に進出することを明らかにすると、ライバルである沖縄ファミリーマートは出店店舗増加に向けたエリアフランチャイズ契約を締結しました。同社は2018年度末までに県内350店舗体制を構築する方針で、2020年に初出店するセブンイレブンをけん制する狙いがあります。

活気づく沖縄のコンビニエンスストアビジネス。セブン初出店に沸くなか、コンビニファンの間では早くも地域限定メニューなどに対する期待が高まっています。

ファミリーマート、体制強化で350店舗に

那覇市に本社を置く沖縄ファミリーマートは、9月、東京本社のファミリーマートと新たにエリアフランチャイズ契約を結ぶことで合意。2019年3月末を目標に30店舗増やして350店舗体制を構築する方針を掲げました。

沖縄ファミマとは?

沖縄県内最大のコンビニエンスストアチェーンを展開する沖縄ファミリーマートは、1987年10月、地元のリウボウ株式会社とファミリーマートが共同設立した合弁会社でした。

ファミリーマート本社は沖縄ファミマとエリアフランチャイズ契約を締結し、沖縄でフランチャイズ展開を開始。同年12月、那覇市に1号店を出店します。
93年にはチェーン店舗数が50店舗を超え、創立10周年目に100店舗を突破しました。2007年には200店舗、16年には300店舗を達成しました。

沖縄ファミマは「(エリアフランチャイズ)再契約締結により、これまで以上に、株式会社ファミリーマート協力のもと、350店舗体制の構築を目指します。また、地元のお客様に支持される商品開発はもちろん、変化するお客様ニーズに対応した店舗運営に取り組む所存です」とコメントしました。(沖縄ファミリーマート ニュースリリースより)

エリアフランチャイズとは?

ある特定の地域(エリア)の他社にFC本部機能の一部を与え、フランチャイズ展開を進めることをエリアフランチャイズといいます。地元地域での影響を持つ企業に与えられることが多く、沖縄ファミリーマートのケースでは、那覇市で不動産賃貸業を営んでいたリウボウがそれに当たります。遠方エリアでの展開は本部が直接運営するよりも、地元企業に任せたほうが効率的なため、多くの業界でこの手法がとられています。

エリアフランチャイザーとなった他社は加盟店(エリアフランチャイジー)を募集できる代わりに、FC本部に対してロイヤリティを支払います。エリアフランチャイズ制度を導入する企業は「ファミリーマート」ほか、「サークルK」「ほっかほっか亭」なども有名です。

エリアフランチャイザーと本部の関係は、通常のFC契約のような上下関係ではなく、業務・事業提携のように対等関係にあるのが特徴です。しかし、本部がコントロールできないほどエリアフランチャイザーの影響力が大きくなるケースもあり、同制度の課題となっています。

最大のライバル? セブンイレブン、沖縄進出決定!

ファミリーマートが出店数を増やして沖縄での影響力を強めようとする背景には、最大の競合他社であるセブンイレブンの存在があります。

セブンイレブンジャパンは10月、100%子会社の「セブンイレブン沖縄」を那覇市に設立し、沖縄で本格的に展開する方針であることを明らかにしました。2019年度を目標に出店予定で、実現すれば全国47都道府県への出店を達成することとなります。

セブンイレブンは出店理由について「沖縄は出生率も高く、移住先としても人気であるため、人口増加率が高い。重要なマーケットだ」と説明。また地理的な魅力にも着目し、沖縄をアジア戦略のハブとし、プライベート・ブランドである「セブンプレミアム」を展開する方針です。

5年間で250店舗!?驚きの出店計画とは

現在全国で約2万店舗を展開しているセブンイレブン。2015年10月に鳥取県に初出店してから全国で唯一セブンイレブンがなかったのが沖縄県です。今後は新たに設立された「セブンイレブン沖縄」を拠点に県内企業と提携して販売体制を整え、5年間で250店舗を出店する方針です。

全国にあるセブンイレブンの店舗数(2017年10月末時点)

北海道 979店舗 山梨 510店舗 広島 574店舗
青森 60店舗 静岡 709店舗 島根 53店舗
秋田 91店舗 愛知 1027店舗 山口 316店舗
岩手 138店舗 富山 131店舗 徳島 89店舗
宮城 395店舗 石川 132店舗 香川 102店舗
福島 432店舗 岐阜 175店舗 愛媛 103店舗
栃木 430店舗 福井 67店舗 高知 36店舗
茨城 635店舗 滋賀 234店舗 福岡 966店舗
埼玉 1175店舗 京都 328店舗 佐賀 189店舗
東京 2566店舗 大阪 1166店舗 長崎 186店舗
千葉 1073店舗 三重 151店舗 鹿児島 191店舗
神奈川 1385店舗 奈良 142店舗 大分 159店舗
山形 177店舗 和歌山 77店舗 宮崎 187店舗
新潟 414店舗 鳥取 19店舗 熊本 318店舗
群馬 457店舗 兵庫 696店舗 沖縄 0店舗
長野 450店舗 岡山 297店舗 19887店舗

(参照:セブンイレブンジャパン)

セブンプレミアムのグローバル展開

セブングループのPB(プライベート・ブランド)商品であるセブンプレミアム。今後3年間での売上を1兆1500億円から1兆5000億円へと拡大する方針を掲げています。

今年3月には生鮮食品を取り扱った「セブンプレミアム フレッシュ」の展開を開始。商品数も192品目から300品目へと拡大します。

また、海外に人気のお菓子などは「セブンセレクト」ブランドとして売り出し、シンガポールと北京でテスト販売済みで、消費者からは好評だとしています。
今後は中国大陸全体で2000店舗での展開を目指すとしました。

世界にあるセブンイレブンの店舗数(2017年10月末時点)

アメリカ 979店舗
メキシコ 60店舗
カナダ 91店舗
韓国 138店舗
中国 395店舗
台湾 432店舗
タイ 430店舗
フィリピン 635店舗
マレーシア 1175店舗
シンガポール 2566店舗
オーストラリア 1073店舗
ノルウェー 1385店舗
スウェーデン 177店舗
デンマーク 414店舗
アラブ首長国連邦 457店舗
ベトナム 450店舗
43885店舗

(参照:セブンイレブンジャパン)

このほか沖縄ファミリーマートは、県内限定メニューであるフライドチキンを擬人化した新キャラクター「フラチキ先輩」の限定CMを作成するなど積極的なPR活動を展開しています。沖縄で始まる熾烈なコンビニフランチャイズ競争に注目が集まります。

(沖縄限定新キャラクターの「フラチキ先輩」 参照:沖縄ファミリーマート)