コンビニの閉店数は多い?〜大手フランチャイズチェーンに見る閉店率と人手不足問題〜
人手不足にあえぐ各社コンビニチェーン。近年、本部は足りない労働色を補おうと東南アジアを中心とした外国人採用に積極的に乗り出しています。ただ、コンビニ店舗は新陳代謝が激しい業界です。新たに出店しては閉店を繰り返すさまを目にする機会も多いのではないでしょうか。
果たしてコンビニの閉店率はどれほど高いのか。今回はセブンイレブンジャパンが公表している統計資料をもとに、まずは閉店数・新規出店数状況を詳細に見ていきたいと思います。
目次
出店数、閉店数ともに増加
コンビニチェーンのフランチャイズ契約における情報開示では、新規出店数や閉店数を開示している本部も多くあります。
07年度以降は着実に伸ばす
全国で最多となる1万9887店舗のコンビニを展開しているセブンイレブンジャパンの資料によれば、2004年度から06年度まで出店数は増加としたものの、07年度に3分の1に減少。しかし、以降は着実に出店数を伸ばしています。
年度 | 出店数 |
---|---|
2004年度 | 63店舗 |
2005年度 | 72店舗 |
2006年度 | 302店舗 |
2007年度 | 106店舗 |
2008年度 | 172店舗 |
2009年度 | 268店舗 |
閉店率が高かった04年、05年
一方、閉店状況では、2004年は新規出店63店舗に対し閉店48店舗で、新規出店数に占める閉店数の割合は76%を超えていました。2005年は出店72店舗に対して閉店42店舗で、58%でした。しかし、2009年には出店268店舗に対し閉店75店舗で、28%に落ち着きました。
年度 | 閉店数 |
---|---|
2004年度 | 48店舗 |
2005年度 | 42店舗 |
2006年度 | 81店舗 |
2007年度 | 68店舗 |
2008年度 | 64店舗 |
2009年度 | 75店舗 |
これまでに閉店数が出店数を上回ったことは一度もありません。2008年のリーマンショックに端を発する世界金融危機、2011年の東日本大震災時でも店舗数を着実に伸ばしました。セブンイレブンの店舗数は2万店舗目前となっています。
年度 | 店舗数 |
---|---|
2009年度 | 1万2753店舗 |
2010年度 | 1万3232店舗 |
2011年度 | 1万4005店舗 |
2012年度 | 1万5072店舗 |
2013年度 | 1万6319店舗 |
2014年度 | 1万7491店舗 |
2015年度 | 1万8572店舗 |
2016年度 | 1万9422店舗 |
人手不足にはどう立ち向かう?
店舗数は伸び続けているものの、従業員数は過去10年間で1万人以上減りました。2006年に2万人以上いたセブンイレブンジャパンの社員数は、2016年時点8054人。コンビニ店舗でもアルバイト従業員が足りないため、加盟各オーナーの業務が長時間化。過労自殺なども増えました。
これを受けて、各コンビニチェーン本部は労働力を外国人留学生で補おうとしています。ローソンやファミリーマートでは来日前の留学生に対して日本語講習のほか、店頭での接客研修を実施。1日でも早く現場に立たせたいという狙いがあるようです。
異例のロイヤリティ引き下げ
セブンイレブンジャパンは4月、異例とも言えるロイヤリティの引き下げに踏み切りました。9月よりセブンイレブン・チャージ(ロイヤリティ)を1%減額しており、特に期間は定めず当面の間実施する予定です。
「国内雇用環境は最低賃金、有効求人倍率の上昇、また社会保険加入対象の拡大等を受け、一層厳しさを増している。このような環境の中、加盟店オーナーがより店舗経営に専念できる環境を構築するため、当面の間、セブン‐イレブン・チャージ1%特別減額を実施する」(同社ニュースリリースより)
ロイヤリティ引き下げは異例の措置とも言えますが、その効果は未知数。果たして加盟オーナー増加につながるのか、今後の動向に注目が集まります。
コンビニが保育施設を設置?
このほか、セブンイレブンは店舗内に保育施設を設けるという驚きの人手不足対策を打ち出しました。東京都大田区と広島市の2箇所に加盟オーナーおよび従業員向けの保育施設「セブンなないろ保育園」を設置。大田区では、面積86平方メートル、定員30名の保育施設を店舗2階に設けました。子持ち社員が働きやすい環境を目指すとしています。
セブンの保育事業については、昨年10月より本社ほか横浜、埼玉、東京・立川の4地区で社員が利用可能な保育施設の運用を試験実施していました。111名の利用者のうち26%は男性社員の利用で、一定のニーズがあることを確認。今後、2018年度までに全37事業所への拡大する予定です。
セブンに続いてファミリーマートも保育施設の整備に乗り出すと発表しています。働く女性や子育てする男性を支援する取り組みのさらなる広がりに期待が集まります。